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アベノミクスの空虚さが転じて有害な経済政策の結末となってしまった現状,救いがたい「世襲3代目の政治屋」が壊しつづけた「この美しい日本」の結末

 ※-1 最初からアホノミクスだと罵倒された「2010年代アベノミクス」,そして2024年,日本被団協のノーベル平和賞記事

 現在進行中である,自民党政権による政治・経済の運営ぶりは「2020年代のモウダメノミクス」を,さらにますます深刻化させるだけの始末にあいなっており,その逆的な悪効果の病状は止みがたいもので,例のアベノミクスのアホノミクス的な空虚さが,いまでは完全に有害でしかなかった経済政策の顛末を引きこむ結末になっていた。

 基本的には,財務省的な日本経済運営観に足を引っ張られたかっこうで,この態勢をダラダラとつづけてきた結果,いいかえれば,あの救いがたかった「世襲3代目の政治屋:安倍晋三」が,子どもの砂場遊びのようにして,さんざんに壊してきた「この美しい日本」は,いまとなってみれば地獄の一丁目に向けて,ただトボトボと歩むほかなくなった,すなわち,もてる「能力すべてを奪われた」がごとき国家体制にまで落ちこんでいる。

 ところで最近,2024年のノーベル各賞が発表された。今年も自然科学部門(物理学,化学,生理学・医学)と経済学部門では,日本人科学者の受賞は出なかった。ただ日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)が,「プーチンのロシア」によるウクライナ侵略戦争を強く意識せざるをえない世界情勢が昂進している時代になっていたせいか,平和賞の部門で授賞された。

 ノーベル賞を授賞されるような,日本の「科学技術や学問研究の体制」がすでにだいぶ衰えてきており,このごろにおける日本の関連事情は,その自然科学・社会科学の両部門ともにその受賞者が出にくくなっている。

 ノーベル賞の受賞はおそらく,25~30年単位の視野に支えられた「学問・研究の地道な蓄積」があっての話題になりえ,その必然的な因果の蓄積が着実にあってこそ生まれる出来事である。

 それゆえ,いまの日本,とくに安倍晋三の第2次政権成立(2012年12月26日)以降は,完全にノーベル賞なんぞ「ナンボノモノカ」という観方しかできないような「暗愚の極地である国家指導者たちの存在」を念頭に置いて考えるとき,最近まで,アジアのなかではノーベル賞の自然科学部門から,それなりの人数を輩出できた「この国の総合的な科学・技術力」は,低迷状態の時期に入っているのか。

 日本におけるノーベル賞受賞者の一覧は,つぎの案内をみると分かりやすくまとめていた。ただし,日本被団協が今回,平和賞を授賞された点はまだ追加されていない。

 ▲-1 ノーベル賞受賞者の一覧はまず,2018年までだがNHKのまとめた資料がある。これは顔写真入りのものである。


 ▲-2 2024年までのその受賞者一覧はこの表をみたい。

もしもこのまま2020年代においてとくに
自然科学部門で受賞者が出ない傾向が続くとした場合
その原因がしっかり分析・把握されておく余地があるはずである

 ノーベル賞の最初の授与は1901年,ノーベル財団によってはじまった。ダイナマイトの発明者であったアルフレッド・ノーベルの遺言にしがたい創設され,「物理学,化学,生理学・医学,文学,平和および経済学」の「5分野と1分野」で,人類に対して大きな貢献をした人物に贈られる賞である,というから,これらの各賞の受賞者は大いなる名誉に浴することができたことになる。


 ※-2 話題は一転する-2020年代になってのこの国

 例の,アベノミクスのアベノリスク「桜」は,一時期であれば満開になって乱れ咲いた時期もあったが,いまでは葉桜の段階もすっかり過ぎ去って,完全に枯死(立ち枯れ)に等しい。しかも,安倍晋三政権の途中ですでに頓死状態になっていたはず……。

 安倍晋三は2022年7月8日,統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の2世となり,不幸・不運な運命に追いやられていた山上徹也の銃撃を受けて死亡した。安倍が死んだところで,この日本国のなにかがよくなる事由がみつかるわけもなく,この事件とは別に,この国はその後もドンドンとどん底へと行進させられてきた。

 この「世襲3代目の政治屋」の周辺に高くそびえ立っていた「バカの壁」に頭をぶつけまわしたあげく,悶絶死しそうにまでなった「この国の政治経済」は,そのみかけの「窮状以上に決定的などん詰まり的な現状」は,すでに万事休すに近い様相を呈している。

 本稿の記述の要点は,ひとまずつぎの2点に整理しておく。

  要点:1 アベノミクスというアホノミクス・ウソノミクス・ダメノミクスのデタラメさ加減は,アベノリスクとしての逆機能を,いままでさんざんに全開させ,その被害を拡大させてきた。

  要点:2 安倍晋三の政治(アベノポリティックス)と経済(アベノミクス)は,まともな中身:正体を,もともともちあわせず,この国を破滅の淵に向かわせるためにのみ,その効力を発揮させてきた。

本記述の要点

 それこそ『馬鹿が戦車でやって来る』(1964年に松竹が制作・公開した映画,山田洋次監督・ハナ肇主演,「戦車」は「せんしゃ」ではなく「タンク」と読ませるとか)そのものの新作が,まさしく「安倍晋三の第2次政権」の誕生であったような「2010年代物語」になっていた。

 ただし,安倍晋三が好ましからざる「負の遺産」として放り出してしまった “その「せんしゃ」” (つまり,統一教会味の自民党と創価学会カルトの公明党の合体政権)は,立ち去る時期を逸したままいまもなお,われわれの目前に図々しくも居座っているのだから,事態は相当に深刻かつ悲惨……。

本日・午後になっての追補】 ちなみに,本日(2024年10月16日)のこの記述を終えてからとなったが,午後の3時も過ぎて配達された『毎日新聞』夕刊2面「特集ワイド」は,「過去十年間における日本の物価上昇の具体例」(東京都心の住宅価格と自動車の販売価格のそれぞれある実例)を挙げながら,こういった文章,題して「マイホーム哀歌」を書いていた。

 この文章は,いままでの「2014年(アベが首相になって実質2年目)から2024年までの10年間における物価水準の上昇ぶり」に比してだが,その同じ期間において,われわれのえてきた賃金が,いかほど実質水準的に低下してしまい,縮小ばかりしてきたかを,具体的に説明している。

まさに馬鹿が戦車でやって来て
この国をガタガタに壊し
ガラクタにした
こどもの遊びも同然の政権が存在した

 ※-3以下の記述では,じっくり(あるいはしみじみ)と,そしてなによりもしっかりと真剣に,かっと目を見開いて,そのあたりに介在させられてきた「関連する因果の諸要因にからんだあれこれの事情」を冷静に分析し,総合的に評価し,批判すべきは徹底的に追究していかねばなるまい。冗談じゃ,ありませんぞ。

後藤田正晴はこう発言していた
 し
2015年3月27日テレビ朝日の報道ステーションに
解説者として出演した
古賀茂明(もと経済産業省官僚)は

この放送番組のなかで
I am not ABE と書いた手看板をかかげた

もちろん以後はこのニュース番組から降ろされた

アベやスガが激怒したことはいうまでもない
しかし本当に激怒すべきはどこの誰であったか?


 ※-3 アベノリスクなる用語を使いだしたのは,植草一秀のブログ『知られざる真実』,2019年2月8日の記述「題名」は,「2014年を上回る消費税増税大不況の深刻度」, http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2020/02/post-f41b1f.html であった。

 植草一秀の発言を参照する。

 --日本経済の悪化が鮮明になっている。内閣府が2月7日に発表した昨〔2019〕年12月の景気動向指数速報値は,景気の現状を示す一致指数(CI)が前月比横ばいの 94.7だった。

 補注)以下には,植草一秀が用意していた図表をかかげて出すつもりであったが,その間における情勢の変化を踏まえ,ここでは本日2024年10月16日になるべく近い日付の関連統計図表を参照することにした。

 まず,つぎの時事通信社配信した2020年7月時点の記事としてかかげられていた統計図表から参照したい。こちらは当初,植草の用意した図表より1ヵ月前の経済統計であったが,その間における趨勢を読むのに支障はない。

 安倍晋三の首相任期は,2012年12月26日から2020年9月16日までであった。植草の用意した図表のなかには「いかさま景気」と記入されていたが,まさしくそのとおりであって,「アホノミクス」の実体の “カゲロウ” 性だけは明白になっていた。

アベノミクスは日本経済に良い効果があったのか?

 この上の統計図表の出所をあらためてつぎに記しておく。

 出所)「【図解・経済】景気動向指数の推移,景気動向指数の推移 昨〔2019〕年11月の景気指数,6年9カ月ぶり低水準=基調判断4カ月連続『悪化』」『時事通信』2020年1月10日,https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_eco_index-diffusion

出所
 

 上掲の統計図表に関した植草一秀の説明は,こうなっていた。

〔植草一秀に戻る→〕 前〔2019〕年同期比では7.3%の減少で,リーマン危機期以来の下落率になっていた。指数から自動的に決定される景気の基調判断は5ヵ月連続で「悪化」となった。景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」判断の長期化はリーマン危機前後の2008年6月~2009年4月の11ヵ月連続以来。

 日本経済はすでに景気後退局面に移行している可能性がきわめて高い。安倍内閣は2012年11月から景気拡大が続いているとしてきた。安倍内閣は,景気拡大期間がいざなぎ景気やいざなみ景気を超えて史上最長であるとするが,これも虚偽である。

 〔安倍晋三は,いつも〕「息を吐くように嘘をつく」といわれるが,日常的に嘘をつきつづけているうちに,現実と幻との区別もつかなくなってしまうのだろう。

 補注)ちまたでは「安倍晋三の吐く息そのもの」が肺から出てくる段からから「ウソ」なのだと,聞いたほうが奇妙に納得できそうな説明を与えてくれる人もいた。それほどにまで,アベの嘘というものは終始一貫していて,ともかく徹頭徹尾,うそまみれであった。この〈真実〉は過去形ではなく,彼が生きている間は常時,現在進行形で展示されていた「話題」というか「物語」であった。

〔記事に戻る→〕 日本経済は2014年3月から2016年5月にかけての2年強の期間にも景気後退局面を通過している。今回の景気後退は一昨〔2018〕年10月を起点とするものである。そして,景気悪化のスピードは2014~2016年の不況よりも今回の方が速い。きわめて深刻な経済崩壊が発生している。

 安倍首相は安倍内閣の下で日本経済が改善したかのような言説を振りまくが,その事実は存在しない。

   有効求人倍率が上昇した。
    雇用が増えた。
     企業収益が増えた。
   株価が上昇した。
    外国人訪日者が増えた。

 安倍首相はこれだけを繰り返す。これらはすべて事実であるが,それだけのこと。経済全体を評価するかぎり,日本経済そのものが改善したという事実は存在しない。

 経済全体のパフォーマンスを示すのが実質GDP成長率だが,第2次安倍内閣発足後の実質GDP成長率平均値(前期比年率)は+1.3%。これは民主党時代の+1.7%を大幅に下回る。

 民主党政権時代は東日本大震災,フクシマ原発事故などがあり,日本経済は最悪の状況だった。第2次安倍内閣発足後の日本経済はこのときよりも悪い。これが安倍内閣下日本経済の実態である。

 補注)なお,民主党政権は2009年9月16日から2012年12月26日まで3年3ヵ月ほどの存在したのに対して,アベ第2次政権は7年8ヵ月もの長期間持続した。したがって,同じGDP成長率平均値を受けとる場合,その含意に関して特定の相違があって当然である。

 このなかで〔安倍政権になってからだが〕企業収益だけは激増した。全産業・全規模法人企業当期純利益は2012年度から2017年度までの5年間に,2.3倍の水準に拡大した。〔しかも〕経済成長が最悪なのに企業収益が2倍以上に膨張した。このことは,すべてのしわ寄せが労働者に向かったことを示す。

 労働者1人当たりの実質賃金は第2次安倍内閣発足後に5%も減少した。雇用は増えたが,増えた雇用の4分の3は非正規雇用である。圧倒的多数の国民,労働者が下流に押し流されてきた。

 植草一秀が作成したその「実質賃金の下落傾向」は,つぎのように作図された統計によっても説明されていた。

このような実質賃金の傾向的低落ぶりは
「日本が衰退途上国」を呼ぶにふさわしい労働経済次元
での動向を明示している

 最近,れいわ新選組代表の山本太郎が制作したつぎの統計資料をみると,安倍晋三の第2次政権以降は,この「非正規雇用割合(比率)と実質賃金の推移」を,みごとに定着させていた顛末がうかがえる。山本いわく「日本の労働者の賃金は30年間,上がっていない」のだ。

実質賃金が伸びない日本の労働経済

 補注)「上級市民と下級市民」という用語が登場していたが,これは中産階級(階層)が「新・旧ともに縮小している現状」を,間接的に表現するための概念として用いられてもいる。

〔記事に戻る→〕 外国人訪日客が増えたのは円安の影響と,安倍内閣が観光産業に巨大な財政資金を投下したことによるもの。国民に大きなプラスは発生していない。

 補注)アベノミクスはただ,日本の「円」を安くするほうに誘導してきただけであり,この政策の失敗が「国民生活」の悪化を急速に招いてきた事実から目を離してはいけない。

 100円ショップの百円商品ですら,いまでは東南・東アジア諸国では100円では売っていない(売れない:利益がとれない)ところが多数派である。日本の100円ショップでも現在の時点(2024年)では,100円ではなく200円以上の定価を貼る品物の割合が増えてきた。

 そこまで,円の国際経済為替レートにおける相対的な貨幣価値が,日本の国内において絶対的に低下してきた。長期間にわたるデフレ経済の持続が,その傾向をじわじわ深めてきた。日本に来る観光客が増えている背景には,そうした国際為替レートにおける円の価値の落下傾向があった。

 インバウンド景気を地域経済にもたらす彼らは,異口同音に日本は物価が安いと大喜びであるが,それにつられて日本国内の物価が上昇させられる要因が現象している事実は,低所得層の労働者群にとってみれば,非常につらい生活経済を囲む情勢となっている。

 以上要するに,アベノミクスがアホノミクス・ウソノミクス・ダメノミクスだとか指称されるゆえんであった。

〔記事に戻る→〕 〔そして〕下流に押し流された庶民に追い討ちをかけたのが消費税大増税だ。国民生活の息の根を止めるのを目的としているとしか考えられない。安倍内閣は韓国敵視政策を推進し,韓国産業に必要不可欠な物資の供給を制限した。韓国が反発するのは当然だ。

 韓国からの訪日客が激減している。そこにコロナウィルスの感染拡大が重なった。日本政府の対応は後手後手に回り,日本国内で深刻な感染の広がりが発生する可能性が高まっている。中国からの訪日客も激減しているが,訪日客全体の約半分が中国と韓国からで,国内観光産業に深刻な影響が広がり始めている。
 (引用終わり)(以上当時の情勢に関する指摘にもなっていた)

 

 ※-4「日本の産業経営の凋落傾向が止まらない

 いまからだと4年と8カ月も前になるが,2020年2月8日の『朝日新聞』朝刊がこう伝えていた。見出しだけでその雰囲気がよく伝わってくる。

 ★-1「日本製鉄,呉製鉄所閉鎖へ 4400億円赤字見通し 生産設備を削減」(1面)

 ★-2「日本の鉄 冬の時代 日鉄リストラ 車・造船 縮む需要」(3面)

 ★-3「日鉄ショック 地元直撃 『戦後最大』影響計り知れず」(9面) 

 また,同日の『日本経済新聞』朝刊には,日鉄が「さらなる合理化不可避 日本製鉄 駐韓が台頭,稼ぐ力低下」という見出しの記事を,2面に報道していた。

 だが,その1日前の『日本経済新聞』2020年2月7日朝刊には「トヨタ,純利益25%増 今期 2兆3500億円に上方修正」という報道があった。「米中で新モデル〔の売れゆきが〕好調」だという経過であった。この記事に添えられていた図表を引用しておく。

なお2024年3月期決算によれば
「トヨタの純利益4.9兆円」「国内製造業で初の4兆円台」
というふうにあいかわらず好業績であった

だが世界の企業を時価総額でその順位をみると(2023年3月末現在)
上位100位以内に入った日本企業はトヨタ自動車(39位)のみ

バブル経済の絶頂だった1989年には10位以内だけで日本から7社が占めていたが
「失われた30年」と表現される日本経済の長期停滞を映す結果となった


 ところで,一方では「産業の米」だといわれる鉄の生産は,敗戦後の日本における経済用語として,「日本の産業の中枢を担う物」を意味することばであった。冷戦時代になるとこんどは,日本の高度経済成長を支えた鉄鋼を指すことばになっていた。ところが,この製鉄業を支える日本の代表的な日鉄が低迷を余儀なくされ,自社の存続のためには,徹底した合理化を迫られている。

 かつては,アメリカの製鉄業がまず日本の企業に追われて駆逐されたのと同じ現象が,東アジア地域において日本に対する韓国や中国とのあいだで現象してきた。ただし,アメリカの場合は,凋落した製鉄業(など)に代わる産業経営が台頭していた。IT・情報産業や軍需・宇宙産業がそれである。

 だが,こちら日本のほうをみると,重厚長大型の産業経営に代わってたくましく国家経済を牽引していく部門・業種・会社の登場が,アメリカのように元気よく展開してきたとはいえず,一部の起業家たちの創業の限られていて,大きく見劣りがする。日本の大学では博士号の取得者数が減少しているという,先進国中ではめずらしい事実も浮上していた。

 具体的にその数字を挙げて説明すると,こうなる。人口100万人当たりの博士号取得者数が日本では2010年の1万6760人から2020年の1万5564人へと減少した。 米国は6万7698人から9万4119人に増加しており,対照的である。

なぜこのような推移になっているのか
また別に議論が必要である

 以上の記述を受けていえば,つぎの『日本経済新聞』コラム「大機小機」がまとめているとおりの課題が,日本の産業界には差し迫っている。

    ◆〈大機小機〉デジタル経済と安倍政権のレガシー ◆
       =『日本経済新聞』2020年2月5日朝刊=

 デジタル経済のもとでは,個人のデータが本人の認識しないままにプラットフォーマーに活用され,広告宣伝をはじめとして彼らの巨大な利益獲得につながっている。

 本来,自分のデータの価値は自分に帰属するはずだが,プラットフォーマーが人工知能(AI)やアルゴリズムを活用して初めて市場価値となる。えられる利益は,経営者の高額な所得と株主への配当・キャピタルゲインとして分配される。このメカニズムを放置しておくと,普通の個人との格差はますます拡大する。

 そこで,個人情報保護を厳しくして勝手な利用を制限したり,不公正取引の観点から優越的地位の乱用を防いだりする対応が始まっている。だが,それだけでは格差拡大は収まらない。

 筆者が必要だと考えるのは,まずは社会規範,モラルの再構築である。デジタル経済のプラットフォーマーや企業家は「データは社会の公有財」という意識をもって,所得や配当を受けとるべきだ。欧米と比べてわが国の不平等が拡大していないのは,戦後このような規範が形成され,巨額報酬を控えてきたためだ。

 経済協力開発機構(OECD)の統計では,わが国は税・社会保障の再分配をする前は大変平等な国である。日産自動車のゴーン元会長が有価証券報告書に給与の半分しか記載しなかったのは,社会規範が働いたためであろう。

 しかし,このような規範はグローバル化で崩れつつある。そうなると格差是正の役割を担うのは国家の権能である税制と社会保障だ。金融所得を含めた所得税の累進税率を高め,実効性のある所得再分配をしていく必要がある。

 さきほどのOECD統計による比較では,わが国の税・社会保障再分配後の平等度は大きく低下し,先進国中でもっとも低い部類に属する。

 アベノミクスは,かたくなにトリクルダウンに固執し,本格的な税・社会保障改革に手を付けないままだ。デジタル経済では付加価値が一部の経営者や株主に集中するのでトリクルダウンは生じない。手をこまぬいているうちにAIによる労働代替効果も加わり,中間層の崩壊や格差拡大でポピュリズムを招く。

 所得再分配こそ今日の国家に与えられた役割で,これに本格的にとりくんでこそ安倍長期政権のレガシーをつくることになる。(ミスト)

「手をこまねいているうちに」日本はすでに経済的には後進国化

 以上のごとき時期においてだが,もしも,当時の安倍晋三に向かい「安倍長期政権のレガシーをつくること」「に本格的にとりくんで」みたらどうかなどといった者がいたとしたら,これは完全に焦点ボケの発言を意味した。

 どっこい,その相手自信が実はすでに,偉大なる「負のレガシー」そのものを創ることに関してならば,エラク大成功していたからである。それゆえ,お門違いにしかなりえない「はかない期待」,そのような願かけ(?)は,この首相にかぎっては抱かないほうが賢明であった。

 アベ政権は,「長期政権の結果」として大発生させてしまった「負のレガシー」を,解消させうるアテ(手当)すらみいだせないまま,いわばどん詰まり状況に追いこまれたすえ,とうとう逃亡したかのようにして,2020年9月16日「首相の座」を捨てさった。そのころの安倍晋三は検察庁から手が伸びている事実におびえ,これを猶予してもらうために,いよいよ自分の政権に終期を付けたのである。

 前段に紹介したコラム「大機小機」の執筆者が唱えたように,これから「所得再分配こそ今日の国家に与えられた役割で,これに本格的にとりくんでこそ……」などと勧奨するのは,ほとんど寝言同然であった。

 このコラム『大機小機』の執筆者は,アベ君の為政に関していえば,すでに頓挫したままの状況にある事実は百も承知のうえで,あえて以上のような勧告(忠言?)を,アベ君に向けておこなったものと,あえて好意的に解釈しておく。

 だいたい,安倍晋三のあとを襲って首相になった菅 義偉にしても,岸田文雄にしても「アベ亜流」どころか,経済政策については無策・愚策以外のなにも実行しえなかった。

 

 ※-5「大阪府の孤独死,71%が65歳以上 40~50題も18% 2019年,府警が調査」『朝日新聞』2020年2月7日朝刊3面「総合3」

 大阪府内で昨〔2019〕年1年間に誰にも看取(みと)られないまま屋内で死亡し,1カ月以上たってみつかった遺体が382体にのぼることが大阪府警の調査でわかった。「死後2日以上」で区分すると2996人。

 65歳以上の高齢者が71%と大部分を占めたが,一方で40~50代の「働き盛り層」が18.4%を占めることも判明。いわゆる孤独死の法律上の定義や全国的なデータはないが,今回の調査でその実態の一端が浮かび上がった。

 孤独死の深刻化を受け,府警検視調査課が初めて実態を調査した。昨年1年間に同課が調べた,病院で死亡するなどの「自然死」ではなかった1万2309の遺体について,遺体や発見時の状況から事件性の有無を確認。

 事件性がなく,屋内で死亡してから2日以上経過してみつかった独居者(自殺含む)2996人について分析した。

 その結果,

    10~20代が 29人  30代が 33人    40代が 159人
    50代が 392人    60代が 684人   70代が最多の 1029人
    80代が 572人    90代以上が 98人

となった。性別でみると男性が2213人で,女性の3倍近くに達している。

 一方,死後経過した時間については,

    2~3日が 923人   4~6日が 508人
    7~29日が 1183人   1カ月以上が 382人

 また全体のうち遺族がみつからないなどの理由で身元が判明しなかったのは,今〔2020〕年1月末時点で 2.4%にあたる71人にのぼった。

 民間調査機関「ニッセイ基礎研究所」は2011年,東京23区で死亡した人の状況を踏まえ,自宅で死亡し,死後2日以上たってみつかる高齢者が全国で年間約2万7千人にのぼるとの推計を発表。一方,鹿児島県や北海道が自治体レベルで孤独死の実態を把握しようとする動きはあるものの,定義がまちまちで全国一律の基準はない。

 こうしたなか,日本人全体の死亡者数のうち 6.6%(2018年,厚生労働省調べ)と東京に続き〔その率が〕2番目に多い大阪府を管轄する府警が,実際に調べたケースを詳細に分類した。(引用終わり)

 以上の孤独死に関する報道は2020年2月時点のものであったが,最新の報道だと,たとえば『NHK NEWS WEB』が,2024年8月29日,つぎのように同旨のニュースを伝えていた。

高齢社会もいよいよさらに高度化・深刻化している
その証左となる悲しい実情の一端が
こうした孤独死の事例を介して具現している

 本ブログ筆者は「特殊清掃会社」に関する本を読んだことがある。ネット上には,たとえば『特殊清掃アイコム』(TEL:0120-500-797 メールでお問い合わせ)と題した(広告・宣伝する)会社もあるが,この会社は自社の業務をこう説明している。まず「蓄積された知識とプロの技術で孤独死・自殺・事故現場の原状回復」と謳い,さらに具体的にはつぎのように説明している。

 孤独死,自殺,事件現場の特殊清掃は迅速な対応が必要です。一刻も早く現状回復を行うためにもまずはご相談ください。

 特殊清掃作業は時間との戦いです。対応が適切で早ければ早いほど周辺の住民の方々への影響も少なくなります。また結果として特殊清掃作業料金も安く抑えることが可能となります。  

 特殊清掃パックは周辺住民からの異臭の苦情,害虫の発生によるクレームの多い現場。そのような現場の除菌・殺菌,汚染物の除去,消臭を行い,とりあえず周辺住民への影響を最小限に抑え,室内に立ち入ることが可能な状況まで作業を行います。

特殊清掃業からの発言


 この種のいかにも最近の問題は,少子高齢社会化した現状日本がかいまみせている社会問題の一環である。人口構成じたいが老齢化しているだけでなく,日本全体の質的状態がいわゆる「老齢者・弱大国化」しており,この状態の進捗が人口減少の事実ともあいまって,一国としての体質の脆弱化を促進している。

 もっとも,より肝心でもある「実際に生きている人間」の立場に関しては,たとえばつぎのような記事も出ていた。前段の孤独死とけっして無関係とはいえない内容である。

   ★「無業者35~44歳 横ばい 昨年39万人 氷河期の支援強化」★        =『日本経済新聞』2020年2月4日朝刊5面「経済」=
 
 総務省の2019年の労働力調査によると学卒時に就職氷河期を迎えた35~44歳で,家事も通学もしていない無業者は39万人にのぼった。2018年と同水準だった。厚生労働省は40歳代の無業者への相談体制を強化する。

 2019年平均の就業者数は6724万人で,2018年から60万人増えて過去最高となった。雇用情勢は製造業などで陰りが見えるものの全体では堅調だ。一方,35~44歳の無業者は2018年の40万人から1万人の減少にとどまった。

 就職氷河期世代への就労支援は依然として課題だ。職業能力を高める機会が少なく,職務経歴も積めていない。生活基盤が脆弱なまま高齢化する恐れがある。

 政府は3年間で氷河期世代の正規雇用者を30万人増やす目標をかかげている。厚労省は2020年度から氷河期世代向け相談窓口の利用年齢の上限を現在の39歳から49歳に延ばす。全国177カ所あり,職業訓練など就職に向けた支援を提供する。

 2019年8月からはハローワーク経由での募集なら氷河期世代に限定した求人も認めている。2019年12月末までに寄せられた氷河期限定の新規求人数は累計1290件。54人の採用が決まったという。

 厚労省も氷河期世代から正規職員10人を採用する。〔2月〕2日に筆記試験を実施し,約1400人が受験した。

無業者層39万人の存在が問題だという報道

 
 こうした日本の経済・社会状況のなかで当時,第2次安倍政権が喧伝だけは盛んにおこなってはきたものの,その効果が出るどころか,弊害のほうばかりが顕著になっていた『アベノミクスのアベノリスク性』は,いよいよ本格的にその可能性を増すばかりであった。

 今後において安倍晋三自身が,総理大臣の任期をさらにどのくらい延長させるかについてはさておき(2020年9月16日トンズラ的に辞任したが),この「世襲3代目の大▼カ政治屋」が,21世紀に入ってからというもの,2010年代におけるこの国の大事な時期を,余人にはそれはもう堪えられないほどに「政治と経済も目茶苦茶にしてくれた」。
 
 最近は(ここでの「当時というか2010年後半」になると)は,当人のアベ自身がさっぱり口にしなくなったアベノミクスではあったが,2019年10月1日から消費税が8%から10%に上げられて以降,日本の経済はどのように推移したきたか? 

 この記述がもともと最初に執筆されたときは(2020年2月10日であったが),その消費税上げ2%からまだ実質4ヵ月しか経っておらず,また経済統計は前年の12月分までしかまとめられていない時点にあったが,この点はつぎの※-6でとりあげてみたい。


 ※-6『日本経済新聞』2020年2月8日朝刊5面「総合4」左側に上・下に配置するかたちで掲載されていた関連の記事

 1) その上の記事は「景気指数『悪化』5カ月連続 〔2019年〕12月,リーマン危機以来 個人消費も停滞」という見出しをかかげていた。

 --経済活動の低迷を示す景気指標が増えている。内閣府が〔2月〕7日発表した2019年12月の景気動向指数による基調判断は5カ月連続の「悪化」だった。

 景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」との判断がこれだけ長引くのは,リーマン危機前後の2008年6月~2009年4月(11カ月連続)以来だ。先行きも新型肺炎の拡大で不透明感が強い。

景気の現状を示す一致指数(CI,2015年=100)

 〔2019年〕12月は景気の現状を示す一致指数(CI,2015年=100)が94.7だった。前月から横ばいで2013年2月以来の低水準のままだ。

 一致指数の要素となる公表済みの7つの景気指標のうち,耐久消費財出荷指数や小売業販売額など4指標がマイナスに働いた。出荷は乗用車の低調が続く。家電や衣料品の販売も不振だった。消費増税前の駆けこみの反動減がまだ残るほか,暖冬で季節性商品の売れゆきが鈍い。

 総務省が〔2月〕7日発表した〔2019年〕12月の家計調査も個人消費の低迷を示す結果となった。2人以上の世帯の消費支出は物価変動の影響を除いた実質で前年同月比4.8%減少。下げ幅は前回の増税後3カ月目の2014年6月(3.0%減)より大きい。品目別にみてもエアコンや温風ヒーター,コートなどの冬物の落ちこみが目立った。

 日本経済が増税後にいったん失速することは市場も織りこみ済みだ。内閣府が〔2月〕17日に公表する2019年10~12月の国内総生産(GDP)は,前期比年率3~4%ほど減るとの予測が多い。

 2020年1月以降は,増税の影響も和らいでもちなおしが進むとみられていたが,中国で発生した新型肺炎の感染拡大でぐらつきはじめた。小売りや観光,宿泊などは中国人訪日客が減る分,直接の打撃を受ける。

 補注)この間,アベノミクスと名づけられた経済政策が大いに推進されてきたはずであった。つまり「金融緩和」を受けて「財政出動」も強力におこなわれていたとなれば,これらを受けてさらには,「成長戦略」が実現させうるとまで期待されていた。このころからは,新型コロナウイルス感染症が日本社会全般に甚大な影響を与えはじめる兆候が出てきた。

 ところが,日本の経済過程が現実にたどり記録されてきた “それらの効果” は,円安の迂回的な効果のために庶民の生活水準はかえって低下・悪化してきた。実質賃金の向上もままならなかった。これとは対照的に,海外進出をはたして,国際企業として活動をしている会社は営業成績は,一般的に好調である。

 前段に紹介したトヨタの場合,2020年3月期決算は,あいもかわらず高利益水準のみこみとなっているが,しかし,同社の正規社員以外,そしてすべての関連会社の立場(下請け企業群)にとってみれば,けっして同じ意味をもちえないことは,しごく常識的にも理解されてきた。

 2) その下の記事:「パート賃金が頭打ち 昨〔2019〕年の毎勤統計 時給最高も『年収の壁』」。

このパート時給は2024年時点まではさすがに
少しはじりじりと上昇してきた
 
だが時給1500円を当面の目標にすえたところで
非正規雇用関係にある労働者群の経済生活が

一気にまともに改善されるわけではない


 パートタイム労働者の賃金が頭打ちになっている。厚生労働省が〔2月〕7日に発表した毎月勤労統計(速報)によると,パートタイムの2019年の現金給与総額(名目賃金)は月平均で9万9758円で前年比横ばいだった。時給は2.7%増の1167円と過去最高だったが,税金や社会保険料の負担を避けるために就労調整する人が依然として多かったとみられる。

 2019年のパートタイム比率は0.65ポイント増の31.53%。毎勤統計の不正発覚を受けて2012年以降の数値を再集計したため単純比較はできないが,過去最高となったもようだ。人手不足を背景に,企業が時給を引き上げてパートタイム労働者を積極的に雇ったためだ。時給上昇は最低賃金の引き上げも追い風となった。

 しかし,こうした状況が賃金水準には反映されていない。パートタイムの基本給を示す所定内給与は横ばいの9万4078円。残業代など所定外給与は4.0%減の3144円だった。総労働時間も2.7%減の83.1時間となった。

 補注)2024年10月現在の話題となるが,パート労働者の「時給51円のベースアップは過去最高」というニュースについて,若干ふれておきたい。

 それは,2024年10月から順次引き上げ開始となった「答申の取りまとめ」にもとづいて報道されていた。すなわち,47都道府県で最低賃金は50〜84円引き上げられ,全国平均加重平均額は1,055円となり, 昨(2023)年度の1,004円から51円の引き上げ幅は,目安制度が始まって以降,過去最高額になっていた。

〔記事に戻る→〕 〔前段で少し触れたように時給上げ問題のその〕背景にあるのが「年収の壁」だ。所得税負担が発生する「103万円の壁」や社会保険への加入が義務付けられる「106万円の壁」などと呼ばれる。手取りが減ることを回避するために,労働時間を調整する人も多い。

 厚労省は2019年の年金制度改革の議論で106万円の壁について検討課題に挙げたが,制度変更は見送った。制度のひずみが労働市場の障害にならないように見直していく必要がある。

 補注)この記事は,税制面の変更(改正)がないままに現状が維持されていくとしたら,パート労働者の時給だけが多少上昇させられても,年収総額そのものを増やせない制約:障壁がある実情を教えている。

 安倍晋三が首相だったとき,国会のなかの議論で,主婦である「パート労働者の月給(時間給⇒月給!)がたとえば25万円だとしたら……」と口にしたことがある。そうだとすると,この主婦の年収は3百万円になるわけで,この種の問題を基本からまったく理解できていなかった「アベ式の話法」が開陳されていた。

 パート労働者たちの年収にまつわる税制面の壁についてすら,基本的な知識として欠落していた総理大臣が無様にも語ったことだけに,これは「議論するに値しない」「無知・無恥」論のアベ的な実例のひとつであった。

 ところがアベは,自分がなにかをよく判っていたうえで,その種の話を例示したつもりでいた。だが,彼は,当該の問題に自分が無理解であった立場そのものに関してからして,本当のところでは,全然「理解できていなかった」のだから,それは始末が悪かった。

 以上の話題は,たとえば晋三の配偶者(女房!)である昭恵に聞いてみたところで,おそらく,なにも適切な助言はえられないと思われる。昭恵の父は,森永製菓社長を務めた松崎昭雄である。この「お嬢ちゃん的である日本のファーストレディー」に向かって,安倍晋三のほうから「良妻賢母たる “パート労働者の賃金水準” 」を聞き出すことなど,お門違いの期待もいいところであった。

 ここではついでに,『朝日新聞』2020年2月8日朝刊から関連する記事を参照しておく。見出しと添えられていた図表も引用しておく。

 3)「消費税3ヵ月 鈍い回復 昨年12月 家計調査・景気動向指数」(8面「経済」)

消費税が10%になった

 4)「名目賃金 6年ぶり減  パート増,労働時間は減 32万2689円」(9面「経済」)  

実質賃金が全然伸びていなかったアベノミクスの内実

  

 ※-7「〈経済気象台〉7年間は何だったのか?」『朝日新聞』2020年2月4日朝刊12面「金融情報」

 --このコラムの意見は,前段に参照してみた植草一秀の議論と同類・同質であった。引用しよう。

 日銀が2%の物価目標をかかげ,できるだけ早期に実現すると宣言したのが2013年1月。それから7年経ったが,いまも実現するめどは立っていない。もともと短期戦を想定してスタートした日銀の異次元緩和は,その後,維持可能とすべく手がくわえられた。しかしマイナス金利などによる副作用がしだいに目立ってきて,2%目標が実現しないことを前提に,いつまで続けるのかが現実的な問題となりつつある。

 アベノミクスが市場の関心の的となったのは,「遅くて小出し」と批判されてきた日銀が,異次元緩和という大胆な政策転換に踏み切ったからだ。デフレからの脱却をめざした大規模な金融緩和と財政支出は財政赤字の増大とともに,株高,円安と完全雇用をもたらした。ただ,成長戦略の実績は期待をはるかに下回り,目にみえて進んだ改革は少ない。首相が今〔2020〕年最大の挑戦と位置づ付ける「全世代型社会保障」も抜本改革にはほど遠い。

 これでは「バイ・マイ・アベノミクス(アベノミクスは買いだ)」という安倍晋三首相の呼びかけに期待した海外投資家が,すっかり日本への関心を失うのは当然だろう。彼らも最近では「景気が回復して雇用が改善すれば,物価は上がらない方が国民にはいい。改革をしなければ恨みを買わず,これも選挙に勝つにはいい。首相はこれで満足なのだろう」と冷静である。

 もともと安倍首相にとっての悲願は憲法改正。しかし憲法改正はもとより,ロシアとの平和条約締結,北朝鮮による拉致問題といった外交課題も,在任中の解決のめどは立っていない。7年間のアベノミクスは結局なんだったのか。海外投資家に聞かれて答えに窮するのは私だけではないだろう。(玲子)(引用終わり)

 このコラム「経済気象台」のアベノミクス評価は最悪かつ最低であった。その間の7年間,なにかはやってきたはずのこのアベノミクスが,本当に「アホノミクス・ウソノミクス・ダメノミクスのデタラメさ」てんこ盛りであった「事実」は,このミクスが提唱されはじめた当初から,浜 矩子(同志社大学教授)が強烈に批判し,それこそ罵倒し倒すような勢いで痛論もしていた。

 しょせん,このサギノミクスは安倍晋三という幼児のための玩具『でんでん太鼓』にしかなりえなかった。この真実は,彼が過去に人になった現在,あえてデンデンするまでもあるまい。

 そのほか,以上までの論述に関連させて,注目したい最近のニュースを紹介しておきたい。

 ◆-1「山形・百貨店大沼が自己破産 190人解雇,320年の歴史に幕」『河北新報』2020年01月28日,https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/202001/20200128_53013.html

 ◆-2「『いなげや』営業利益4割減が示す『安倍大恐慌』の始まり。消費増税でスーパーも火の車」『MONEY VOICE』2020年2月5日,https://www.mag2.com/p/money/888618

 補注)なお,いなげやの「連結経営成績の状況(5期比較)(2020年から)」については,https://www.inageya.co.jp/ir/finance/ を参照されたい。

 最後に繰り返していっておく。

 安倍晋三は自分の姓を冠した経済政策『アベノミクス』を大仰にみせびらかしてきた。だが,「日本の首相」である指導者としての立場に立っていたこの7年間(⇒2024年から振りかえって計算すると7年と8カ月もの間),いったいそのなにを「国民・市民・庶民たち」のために実現できていたか?

 『政治の私物化(本当は死物化)』ならば,大いに絶好調に達成しえてきたけれども,『経済の活性化』など,初めからからっきしダメで,不調・低迷「路線」を堅持(!)しつづけてきた。

消費税は3%から10%へ
法人税は40%から25.5%へ
(れいわ新選組・作成資料)

 もっとも,大企業向けの対応だけは別枠の問題として,財界側からは評価され歓迎されたにしても,日本の経済にとっての総合的な判断を下せば,アベの為政は完全に落第点であった。もちろん,総理大臣としての安倍晋三は,最初から失格・失敗を約束されていた「世襲3代目の大▼カ政治屋」でもあった事実が,結果的にも実証された。

 いずれにせよ,このような国家的実験の大失敗は,原発の過酷事故と同じに,最初から「その発生じたい」が,絶対に,けっして許されるべきものではなかった。安倍晋三が長期間政権を維持してきたなかで,要らずして発生させた「必然的な大失策」は,この国をより弱体化させ溶融させるほかない窮地に追いこんだのである。

 民滅びて・国栄えた「くに」はない。

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