2022年の日本「ジェンダーギャップ」が125位まで低下,凋落傾向に拍車をかける女性差別の国:ジャポン
2022年,日本の男女差別は「146カ国中125位」に着けていた。だが,すでにその兆候がいちじるしい凋落過程を,さらに確実に歩むがごときこの日本になっている。
この日本国は,いまや「日出ずる国」にあらず,ただの後進的国家体制に転落した。しかもまずいことに,「世襲3代目の政治屋:岸田文雄」にその自覚は皆無,首相になれただけで大満足の小人物に,この国の舵取りは不可なり。
※-1「【ジェンダーギャップ指数】日本,2023年は世界125位で過去最低 政治・経済改善せず」『朝日新聞』2023年6月21日,https://www.asahi.com/sdgs/article/14936739 から
さきに「INSIGHT REPORT」『WORLD ECONOMIC FORUM』JUNE 2023,https://www3.weforum.org/docs/WEF_GGGR_2023.pdf のうちから「日本」に関した統計図表をかかげておく。これをみれば日本は,政治⇒経済の順でいまもなお,ジェンダーギャップがひどく現在する「後進国家」(発展途上?)だという事実が,必然的な結果として理解できる。
『朝日新聞』がたとえば,その『INSIGHT REPORT』から,つぎの諸国を選抜して順番に並べていた。日本はともかく,調査対象「全146カ国中125位」というまことに不名誉な数値になっている。
1 アイスランド 0.912( 1,+0.004)
2 ノルウェー 0.879( 3,+0.034)
3 フィンランド 0.863( 2,+0.003)
4 ニュージーランド 0.856( 4,+0.014)
5 スウェーデン 0.815( 5,-0.007)
6 ドイツ 0.815(10,+0.014)
7 ニカラグア 0.811( 7,+0.001)
8 ナミビア 0.802( 8,-0.005)
9 リトアニア 0.800(11,+0.001)
10 ベルギー 0.796(14,+0.003)
11 アイルランド 0.795( 9,-0.010)
12 ルワンダ 0.794( 6,-0.017)
13 ラトビア 0.794(26,+0.023)
14 コスタリカ 0.793(12,-0.003)
15 英 国 0.792(22,+0.012)
16 フィリピン 0.791(19,+0.009)
17 アルバニア 0.791(18,+0.004)
18 スペイン 0.791(17,+0.002)
19 モルドバ 0.788(16,-0.001)
20 南アフリカ 0.787(20,+0.005)
40 フランス 0.756(15,-0.035)
43 米 国 0.748(27,-0.021)
105 韓 国 0.680(99,-0.010)
107 中 国 0.678(102,-0.004)
124 モルディブ 0.649(117,+0.001)
125 日 本 0.647(116,-0.002)
126 ヨルダン 0.646(122,+0.007)
144 アルジェリア 0.573(140,-0.030)
145 チャド 0.570(142,-0.008)
146 アフガニスタン 0.405(146,-0.030)
本ブログ筆者は最近つとに,日本は「経済はすでに3流,政治はもう4流」だとまで断定してみた。以上の,統計図表や順位付けに表現されている「日本の政治経済」は,前世紀中に獲得していた “ジャパン アズ No.1” という世界中から寄せられた評判が,まさしく地に落ちた結果になっている。
いったい,こんな日本に誰がしたと問うてみたら,とりあえずはなんといっても2010年代において,この国の政治・経済・社会・文化・伝統をメチャクチャに破壊しまくっていた安倍晋三の氏名が,その断トツの第1位に挙げられる。
その「世襲3代目の政治屋」のボクちんが,『新しい国へ 美しい国へ 完全版』文藝春秋,2013年1月という本を,誰に代筆(手助け)してもらったかはしらぬが公刊していたのだから,笑止千万どころか悲喜劇こもごも「以前」に,猿芝居的によくぞ「戦後レジームからの脱却」などと唱えたものである。
2010年代に発足した安倍晋三第2次政権の子どもっぽいその俗悪さは,その間に,この「美しいはずのジャパン」の「内実:われわれの日常生活の平和と安寧」を,完全に崩壊させた点に顕現していた。「世襲3代目の政治屋」の,この分からず屋による「専制的なかつ身内びいきばかりの為政」によって,この国は,とうとうゆきつくところにまできたというほかない。
しかも,2021年4月から首相になった岸田文雄の場合もまた,丸出だめ夫よろしく,「世襲3代目の政治屋」としての無識・無脳ぶりを大いに発揮する以外,完全に能のない為政が記録されてきた。安倍晋三の幼稚ぶりもそれはひどかったが,岸田文雄もまた無類のひどさ=「無内容さ」を発揮してきている。
ついでに断わっておくと,安倍晋三(のアホノミクス)と岸田文雄(キシダメノミクス)の政権のスキマに登場した菅 義偉政権の1年間は,これまたお話にならない悪政を記録していた。「彼ら4流の首相たち」は,よくぞここまで「この国の政治・経済」をダメにしてきたものである。
なお関連するニュースとなるが,「〈ジェンダー問題〉LGBT法案採決 『おなか痛い』 自民・高鳥氏退席 杉田水脈氏は欠席」『毎日新聞』2023/6/13 17:20,https://mainichi.jp/graphs/20230613/mpj/00m/010/086000f/20230609k0000m010279000p という報道もあった。
杉田水脈(名はミオ)は男女差別を当然視する言動を国会議員としてきた女性議員であるが,安倍晋三のお気に入り「女性議員の1人」であったとなれば,なにをかいわんやであった。この種の女性国会議員が,日本の国会議事堂のなかをわが物顔で闊歩していたとなれば,この国の男女共同参画をめぐて必要不可欠であった人権意識は,最初から損壊されたも同然であった。
【参考記事】
※-2「日本のジェンダーギャップ指数125位 前年より後退,G7で最下位」『毎日新聞』2023/6/21 07:01,https://mainichi.jp/articles/20230620/k00/00m/010/326000c
この『毎日新聞』の記事は,今回発表された日本のジェンダーギャップ調査結果のその順位に関して,こう報じていた。
世界経済フォーラム(WEF)は〔6月〕21日,世界の男女格差状況をまとめた2023年版のジェンダーギャップ指数を公表した。対象146カ国のうち日本は125位で前年の116位から後退した。主要7カ国(G7)では最下位となっている。
補注)日本は,G7から追放されても文句をいえないほど,ジェンダーギャップの「ひどい低位」を,しかもいままで継続して誇ってきた。ここにあらためて,G7の順位を書き出しておく。
ドイツ 第6位
イギリス 第15位
カナダ 第30位
米 国 第43位
イタリア 第79位
日 本 第125位
指数は各国の,政治-経済-教育-健康の4分野14項目の男女格差を総合して数値化し,順位付けしている。1に近いほど平等,0に近いほど不平等を示す。日本は0.647だった。
日本は経済と政治の分野での格差が大きかった。
管理職比率は,0.148で133位(前年130位),
推定勤労所得は,0.577で100位(同100位)。
国会議員の比率は,0.111で131位(同133位),
閣僚の比率は,0.091で128位(同120位)となった。
男女間の格差が小さい国のトップは,0.912のアイスランド,0.879のノルウェー,0.863のフィンランドと続いた。G7で最高位だったドイツは0.815で全体6位。日本に次いでG7で下から2番目のイタリアは0.705で全体79位だった。
※-3 ジェンダーギャップ問題の低迷傾向にしがみつく日本の国会議員たちの問題
「LGBT法案 一転 “前向き” に…… 3つの理由 『差別発言』『サミット』もう1つは? 反対派『一時の雰囲気で決めるのはどうか』」『YAHOO!JAPAN ニュース』2023/2/9 (木) 11:07配信〔元記事『日テレNEWS』〕,https://news.yahoo.co.jp/articles/235a3846e8854f17d1f5a46f5a4a790f750036f3
この『日テレNEWS』は,最初につぎのように報道していたが,この2月段階からその後の6月段階になると,LBGTQ法案が実質,骨抜き状態にされ国会で可決された。その2月段階での説明は,つまりまだ,まともに議論されていた点に注意しておきたい。
「2年前に提出が見送られた,LGBTの人への理解を促す法案。岸田首相は一転,前向きな姿勢を示しましたが,安倍元首相の死去も背景にあります。同性婚や選択的夫婦別姓など,より踏みこんだ対応を求める声も上がるなか,法案の中身や今後の行方を考えます」
つまり,安倍晋三は男女共同参画社会の実現に反対であった「世襲3代目の政治屋」であった。女性の地位向上や権利擁護の問題には完全に後ろ向きの人間であった。LGBTの人びとを意図的に嫌う人間は,特別の根拠もなしに,たとえば「生産性がない」などと決めつけた非難をする。
前段に氏名が出ていた杉田水脈は,その典型例であって,しかも安倍晋三の立場を忖度し,代弁する立場から拡声器の役目を果たしてきた「女性・国会議員」である。
そこまで安倍晋三がやる(やらせた)となれば,晋三夫婦の場合はどうして子どもが1人もいないのかなどと,やぶにらみ的な批判が出ても,なんらおかしくなかった。いずれにせよ,その種の議論が不当性であっても,LGBTの問題の本質を理解できない安倍自身の問題としてならば,ブーメランのように返ってくるのは当然である。
以上に紹介した『日テレNEWS』の記事全文は紹介せず,以下では,その見出し項目と若干の本文引用をもって記述する。
▲-1〔ジェンダーギャップ,男女差別の解消のための〕法整備が遅れるのはG7で日本のみ
▲-2 安倍元首相,法案反対の保守派支援か
「安倍元首相は,法案に反対する保守派を支援していた」「生前,LGBTの人たちへの差別を許すことはしなかった」「が,関係者によると,周囲に『法律にする必要はない』と話していた」
▲-3「差別は許されない」に保守派が反発
この項目については,つぎの補注としてとりあげ,議論し,批判する。
補注1)その結果,最終的には「不当な差別は許されない」という法案の文言に決着をみていたが,差別には正当も不当もない。その正当性があるものは「差別ではなく識別という適当なことば」があるゆえ,「不当な差別」などいった用法をすることじたいが,たいそう不適切で「不当な思考回路の産物」であったと断定してよい。
「これによって,なにが差別なのか人それぞれ違うなか,『これは差別だ』と権利を主張する裁判が相次ぐのではないかと,伝統的な価値観を重んじる自民党保守派の議員たちが反対しました」というけれども,結果的にはその反対の考え方を「不当に許す法案」になっていた。
要するに,「不当な差別」という表現は基本的に,不必要かつ無用な「屋上屋を架す」ごとき文字の組み合わせであった。別の意味,形容的にはしっくりいかない組み合わせになる表現であった,ということになる。差別ということばは「不当な中身を前提する」ゆえ,不当な問題を意味することは当然である。
それなのに,わざわざ「不当な」という文句を「差別」の前に置いた。余計なお世話であるといえばいいのか,あるいは「不当ではない差別」という,ただの「非現実的な想定」まで用意することを要求しているのか。実にトンチンカンなド・屁理屈がまかり通っている。
以上のごとき「差別」ということばの本来の字義を,換骨奪胎させたいかのごとき横やり的な文言の修正は,まさしく条文の「不当な修正」であった。そうでなければ,あるいは,ひどく捻転しきった,ひねくれた修辞になっていた。
そうしたことばの破壊行為までも,わざわざ法案のなかに搬入した点は,日本国内ではLGBTの人びとを『不当にあつかいたがる』国会議員たちが大勢いる,という事実を反証していた。
昨年(2022年7月8日)安倍晋三が射殺されて以来,統一教会(現・世界平和統一家庭連合)ととくに自民党議員(国会と地方議会を問わず)との抜き差しならぬ関係性が,問題になっていた。
その統一教会風の家・家族観が,日本の明治憲法下の旧民法的な家・家族観とのあいだ親近性をみいだし,異様な共鳴作用を発生させていた。そのうえで,LGBTの人びとを排除しようとする闇雲な動きの背後には,ともかく「男女共同参画社会」の実現を邪視し,排除したいとする時代錯誤の観念イデオロギーが控えていた。
補注2)昨年に発行の『週刊文春』2022年8月4日号には,「式の日はカップルで尻を叩き合い,初夜は女性上位で避妊は禁止…統一教会『合同結婚式』の “性とカネ” -《総力取材》統一教会の闇-」『文春オンライン』2022/08/13,https://bunshun.jp/articles/-/56444 は,冒頭部分でこう報じていた。
この桜田淳子の発言はだいたいが詭弁であった。「見ず知らずの相手」との結婚でも「不安はありません」という場合,「教会の教えは愛と性を大切にする」し,「正しい家庭生活をスタートする」から「抵抗はありません」という発言であった。これは,宗教的なカルト観念に汚染された頭脳の語り口を端的に教えている。
ちなみに,桜田淳子の相手は世間で理解されているあの男性(勅使河原秀行のこと)とは別人だという事実があった。関連する説明をした記述は,いくともあるが,ここではつぎを挙げておきたい。
桜田淳子の発言を介して分かる点は,そこには統一教会的に特有である宗教上の発想が美化・隠蔽されており,これにしたがえば「正しい家庭生活のスタート」になるという思いこみが,なんの疑いも抱かれずに〈予定調和〉され,信心されていた。おめでたいとしか受けとりようがない。「鰯の頭も信心から」であった。
桜田淳子の事例はさておいても,実際には日本人女性の信者と韓国人男性の信者が結婚する〔させられる〕場合は,どうなっていたか。
韓国人男性の場合,そもそも現地(韓国)では自分で嫁さんをみつけられず,かつまた,そもそも統一教会の信心などと本当はまったく無縁であった彼が,ともかく統一教会の信者になっていれば,日本から日本人の女性が嫁さんとしてわざわざ「日本から来てくれる」という期待にかけ,実際に実現できたという物語になっていた。
統一教会側がそういった段取りを準備してくれたのであるから,それこそ,自分のために嫁さんが「配給され,宛がわれる」といったごとき要領でもって,韓国人男性と日本人女性とが結婚するに至るという段取りが用意されていた。
安倍晋三が死んだあとに関連して,つぎのような出来事が起こされていた。
それまで,統一教会の合同結婚式を介して韓国人男性と結婚し,韓国でいまも暮らしている7000人もの日本人妻が,動員されてであったが,なにやら韓国のソウルに集まり,示威行動をしていたという出来事があった。それに参加していた日本人女性のなかには,「不安や不満」がたくさんあったまま,現在までの現地での結婚生活をしてきた人が多い。
したがって,「見ず知らずの相手」だったから「不安はあった」し,統一「教会の教えは愛と性を大切にする」といわれたにしても,いまどき時代錯誤にひとしい「恋愛感情の完全無視」し,しかも「処女性を尊ぶ」などといった信念(理想?)に固執している「結婚観」は,お笑いぐさであるどころか,大昔は中世における時代の物語のようではないか。
〔だいぶ間があったが,ここから『YAHOO!JAPAN ニュース』2023/2/9,元記事『日テレNEWS』の記事に戻る ↓ 〕
〔以下の記述からは〕辻愛沙子・クリエイティブディレクター(〔日本テレビ系の番組〕「news zero」パートナー)〔の意見を聞く段落に移っている〕
「一般的に『差別は許されない』というのは,政治的スタンスや思想信条を問わず,そもそも当たりまえのことだと私は思います。そこに対していまだに,個人の感情論とも思えるような反対意見をいう国会議員がいることじたい,本当に残念な状況だなと思います」
「G7のなかで同性婚が認められていないのはいまだに日本だけという現状で,差別禁止や同性婚の実現に向けた議論ではなく,理解を促す法案ですら進められていません。政治家の皆さんこそ,理解促進してほしいなと強く思います」
以上の記述は,2023年の2月時点におけるものであったが,その後,2~3ヵ月が経ったころになると,『LGBTQ理解増進法案』という奇妙な名称の法律が成立することになった。
※-4 LGBT法案の成立-『朝日新聞』『東京新聞』『日本経済新聞』の各報道を紹介してみると,これだから「日本ではジェンダーギャップが100位以下を低迷するはずだ」という理由がよく分かるという点-
1)「LGBT法案,参院委員会で可決 立憲ら,採決反対も受け入れられず」『朝日新聞』2023年6月15日 20時30分 ,https://www.asahi.com/articles/ASR6H6QBXR6HUTFK00K.html
性的少数者に対する理解を広めるための「LGBT理解増進法案」が〔6月〕15日,参院内閣委員会で審議入り後,即日採決され,自民,公明,日本維新の会,国民民主の4党による賛成多数で可決した。16日の参院本会議で可決,成立する見通し。
15日に参院内閣委で可決したのは,性自認を「ジェンダーアイデンティティー」と表現する与党の修正案。与党案のほか,立憲民主党・共産党などの案,維新・国民民主案の計3案が提出され,「性自認」の表現が最大の論点となっていた。
自民は幅広い政党の賛同をえようと,衆院での審議直前に維新と修正協議を開催。「性同一性」とした与党案をもとに,いずれにも訳せる言葉で,折衷的な位置付けとなる維新・国民民主案の「ジェンダーアイデンティティー」を取りこんだ。同案に沿って「すべての国民が安心して生活できるよう留意する」と定める条文も新設した。
補注)この「すべての国民」ということばを出して,LGBTQの人びとの存在の意味を希薄化させていたところに,今回のLGBT理解増進法案の難点が抜きがたく残された。
〔記事に戻る→〕 参院の審議では,与党が野党の求めに応じ,衆院の約3倍の審議時間を確保。また,参考人として性的少数者の当事者や支援団体も意見を述べた。立憲などは「理解の増進どころか差別の助長につながる」などとして採決することに反対したが,委員長が職権で決定。立憲は内閣不信任決議案の提出を検討していたことから,それ以上の抵抗を見送った。
2)「LGBT法案,参院委で可決 与党,16日の成立目指す」『東京新聞』2023年6月15日 14時48分,https://www.tokyo-np.co.jp/article/256812(共同通信・配信記事)
LGBTなど性的少数者への理解増進を目的とした法案は〔6月〕15日の参院内閣委員会で,与党修正案を自民,公明両党や日本維新の会などの賛成多数で可決された。自民は16日の参院本会議で成立させたい考え。
質疑では,性的少数者だけでなく多数者も含めたすべての人が,たがいの人権を大切にする社会の実現をめざす法案だと説明した。立憲民主党は「理解増進どころか抑制法案だ」と批判。性自認を「ジェンダーアイデンティティ」に変更した表現は混乱を招くと懸念を示した。
補注)この「性的少数者だけでなく多数者も含めたすべての人がたがいの人権を大切にする社会の実現をめざす法案だと説明」は,前段の補注の指摘・批判に通じるが,ほぼ詭弁でなければほとんど無意味の意味づけであり,あるいは,問題の核心を故意にぼかすための,いいかえれば焦点をしぼらせないで拡散させておくための理屈であった。
それを別にたとえていえば,こういえる。
「病気〔たとえば癌がみつかっている人〕の治療」だけでなく,そのほかの「健康な多数者も含めたすべての人」にとって「必要な治療のために整備されるべき医療体制」などといわれる場合で,考えてみたい。
そこでの問題は,癌を発生し病気として治療を受ける人じたいに中心の問題があるにもかかわらず,そうではない未病の人たちまで,いきなり十把一絡げに対象にする発想法は,ムダがありすぎるし,的外れでもある。というか,そうした思考回路にあっては,未病の人たちのなかに実際に病気を発生している人たちを単純に混ぜこむ状態にしておき,より肝心であるはずの病気もちの人びとの存在を,あえて相対的に軽視しておくあつかいとなる点が非常にまずい。
当面する問題を,それ以外にも関連はしているるが,けっしてその必要性に関して緊急性や不可避性のない問題まで併せて突っこみ,あるいは抱き合わせにした議論の仕方は,今回,法案として議決された「LGBT法案」成立の場合としてみるに,故意に論点を本末転倒的にはぐらかした審議になっていた。
〔記事に戻る→〕 与党修正案の提出者として出席した自民の新藤義孝衆院議員は,法案の基本理念に関し「すべての国民が性的指向や性同一性にかかわらず基本的人権を共有するかけがえのない個人として尊重される」と強調した。
女性を自称する男性が女子トイレや女湯を利用することにつながりかねないとの指摘には「合理的な男女という性別にもとづく施設の利用のあり方を変えるものではない」と反論。性的多数者の女性に対する権利侵害は許されないと語った。(引用終わり)
この枝葉末節にもなりえないどころか,問題の本質をはぐらかすためだけの議論をしてきた国会議員たち(主に与党)の,頭の中の細胞はいったいどういう作りになっていたのか?
最後に『日本経済新聞』2023年6月21日夕刊1面(左上配置記事)に掲載された記事,「男女平等,日本125位 過去最低 政治や経済分野悪化」に添えられていた「世界経済フォーラム(WEF)『ジェンダー・ギャップ指数』」(この記事なりに抜粋)を紹介しておく。
この日経「夕刊」の記事からは,とくにつぎの段落を引用しておく。
日本の評価がとくに低いのは政治における男女平等だ。女性の議員数や閣僚数が他の国・地域と比べて大幅に少ないことにくわえ,これまでに女性の首相が誕生していないことなどが指数や順位に織りこまれた。女性の権利を制限していると指摘されるサウジアラビア(131位)を下回り,世界でもっとも低い圏内にある。
経済の項目でも低い評価が目立つ。女性管理職の比率が低いことや,男女の所得に依然として差があることなどが響いた。政府は東証プライム市場に上場する企業の女性役員の比率を2030年までに30%以上にする目標を新たに掲げ,多様性の確保を急ぐ。
「LGBTQ〔の〕理解〔を〕増進〔させるための〕法案」を,実質的にはなるべく骨抜きにした結果,日本はなかでも「女性の権利を制限していると指摘されるサウジアラビア(131位)を下回り,世界でもっとも低い圏内にある」事実は,今回成立させた法案の施行をもってしては,現状をいつまでも抜本から改善できるみこみはありえない。
日本という国は,いつの間にか女性をさらに大切にしない態勢の国柄になってきた。シングルマザーの問題,その子どもたちのなかには1日3食にこと欠く事例が多く報告されている。
女性の地位の改善・向上には「LGBTQ差別(そのものの)禁止法案」もあってこそ,よく役立ちいる点を理解しようともしない「日本の国会議員たち」は,女性問題からもLGBTQの問題からも遠くはなれた場所で,つまり無縁なところに留まったまま,これからも生きていきたい者たち(一群の連中)である。
ところで「厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会」という審議会があるが,それでも,LGBT問題を理解増進させねばならないとしたら,なによりもさきに,LGBTQなどを「不当に嫌う」国会議員たちの再教育=洗脳から始める必要がありそうである。
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