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再生可能エネルギーの発送配電体制構築を拒む「お邪魔虫」どころか「獅子身中の虫」と化した「悪魔の火:原子力を焚く原発」
2050年を目標に据えた話題であった。自国内の電力供給源を,100%を再生可能エネルギーに求めるための努力をしている国々がある。ところが,この日本はその年における「電源に占める再エネの比率」を,なんと50~60%という「恐るべき低水準」に設定している。
本稿の表題は『発送配電体制構築を拒む「お邪魔虫」どころか「獅子身中の虫」と化した「悪魔の火を焚く原発」』とつけてみた。今後の日本におけるエネルギー事情の見通しは,「原発の介在」に囚われた時代錯誤のエネルギー観のために,自国内エネルギーの完全なる自給体制確立が基本から妨げられている。
※-1「中部電力が出力制御を実施 三大都市圏で初」『日本経済新聞』2023年4月8日 9:34,更新 11:31,https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD07DDW0X00C23A4000000/
この記事は,『日本経済新聞』同日の夕刊1面(の,電子版ではない紙面の記事)が「中部電力,出力制御を実施 太陽光・風力 三大都市圏で初」という見出しで報道されていた。なお,こちら「夕刊の紙面」においては,以下に引用する記事の「最後の段落」の箇所,「北陸電力送配電……」以下の部分は含まれていない。
また,この記事のあとには,関連するほかの記事のリンクが張られており,とくに,つぎの記事が「いつもどおりに日本経済新聞社の嫌らしさ」の象徴である「原発推進派の立場」が露骨に表現していた。「原発1基」がエネルギー問題を計測するための尺度に使用されいるのは,奇怪な作法としかいいようがない。
⇒ 【関連記事】〔として,つぎの2点のリンクが表示〕
・再エネ拡大へ送電網増強 原発11~13基分,原資課題
・廃棄される再エネ 砂上の送電網,停電リスク軽視のツケ
ここで,記事そのものに言及するまえに,あえて断っておきたい点がある。
それは,「再エネ拡大へ送電網増強」という問題に関しての話なのだが,「原発11~13基分」という数字を対置させている点についてであった。これは多分,「発電量」を「100万kW時 × 原発基数」という計慮をもって,「特別に比較しておきたい〈対象のなにか〉」を意味させたものと推察する。
だが,この「送電網の問題じたい」と「原発の基数の問題じたい」とは,当初の問題として,もともとなにか特別の関係をもっていたわけではない。双方に関係があるのだといわれても,それでは別途にまた,LNG火力発電「100万kW時 × 何基」分という〈尺度・物差し〉をもちだすことはいけないのか,という反論が当然に頭に浮かぶ。
つまり,原発推進派の立場にある『日本経済新聞』としては,なにか関連のある記事を掲載するたびに,いつもそのように「原発,原発,原発・・・〔がなければ・・・ダメよ・・・〕」といいたい「問題意識=観念的な大前提」が,記事のなかにいちいち注入され,「公表:告白:訴求」する必要があるらしい,そう推理されるのである。
--ともかくつぎに,記事を引用する。
中部電力の送配電子会社の中部電力パワーグリッド(PG)は〔4月〕8日,一部の太陽光・風力発電事業者の稼働を一時停止する「出力制御」を初めて実施した。電力の需要と供給のバランスが崩れると停電リスクがあるためで,電力消費が多い三大都市圏での出力制御は初めて。国が普及を進めてきた再生可能エネルギーを十分に活用しきれない状況だ。
補注)最初から明確に指摘しておく。この「国が普及を進めてきた再生可能エネルギーを十分に活用しきれない状況」が生じている主な原因のひとつが,まさしく「原発」の介在にあった。この問題はのちにくわしく議論するが,まえもってとくに強調しておく。
中部電PGの管内では太陽光発電は右肩上がりで増えてきた。中部エリアは〔4月〕8日,おおむね好天に恵まれ太陽光発電の出力が伸びやすい環境だ。一方,週末で中部に多い工場の電力消費が少ないうえ,気温が上がって暖房の利用も減る。火力発電などを抑制しても,太陽光・風力の出力制御をしなければ電力の需給が釣り合わないと判断した。
中部電PGの7日の発表によると,8日午前8時~午後4時の間で需給に応じて3万から41万キロワット分の出力を止める。一時停止する対象は太陽光発電の場合,出力10キロワット以上の事業者から無作為で選ぶ。
補注1)中部電力パワーグリッドのホームページには,つぎの「プレリリース」2023年04月07日が公示されていた。出力制御の具体的な内容が説明されている。このリリースのなからつぎの図解(図表)を紹介しておく。その「リリース全文」は,以下に出した中部電力の住所(アドレス)から入って読んでほしい。
![](https://assets.st-note.com/img/1681019940612-pcDLCYyEU2.png?width=1200)
補注2)九州電力送配電のホームページには,つぎの「再エネ出力制御について」という項目が解説されている。
北陸電力送配電も〔4月〕8日,出力制御を実施した。同社管内では初の実施となる。出力の制御量は最大で47万キロワットと想定する。同社管内では太陽光にくわえ,7日の降雨により8日の水力発電の出力増加も想定されていた(引用終わり)
補注)水力発電の場合は,発電に使用せず放水するという手段も採れるはずだが,この点に関する記事は出ていない。この問題は,たとえば,引用した記事の下欄に設けられた投稿(コメント)の「指摘・説明」からも理解できるはずである。
「多様な観点からニュースを考える」 -〔この〕掲載される投稿は投稿者個人の見解であり,日本経済新聞社の見解ではありません-
★ 鈴木一人 東京大学 公共政策大学院 教授 ★
= コメントメニュー「分析・考察 」=
記事では,出力制限を「国が普及を進めてきた再生可能エネルギーを十分に活用しきれない状況」とみているようだが,やや違和感がある。火力発電のように出力をコントロールできるわけではなく,お天気任せ,風任せの発電なので,需要が少ない時でもフルパワーで発電することもある。
事実上の再エネ 100%状態なので,気候変動の観点からしても喜ばしいことであり,再エネを活用している証拠ともいえる。余った電気を溜めておかないのは再エネの問題ではなく,電池や水素の問題。
2023年4月8日 13:24
この東大の先生による以上の指摘・説明は,「余った電気を溜めておかないのは再エネの問題ではなく,電池や水素の問題」と語っているが,これには「原発の介在しており,むしろこちらが問題」(だ)という文句も追加しておかねば不十分である。
たとえば九州電力における電力発送配電の解説には,つぎのような電源別の優先順位が決められている。また,1日24時間内において発生する電源(この図解では太陽光が対象である)の出力制御が描かれている図表も添えておく。なお,前段で中部電力が提示した図解にも,同じ趣旨が表現されていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1681020355621-bapgI9NVaw.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1681020407521-T6XnZwlmX6.png?width=1200)
さて,ここでは以下のような実際問題を指摘しておく必要がある。
つまり,「再生可能エネルギーを電源としたスマートグリッド電力網体制」が,「各種再生エネの組み合わせ」からなって全体的・有機的に稼働していれば,「電力需給」問題に関して前段のごとき「実際上の困難」とは別次元の展望が開ける。
さて,スマートグリッドは,電気の利用量や使い方をリアルタイムで把握し,そのデータを活用して電力の有効利用を実現する次世代型エネルギーシステムである。電力需要を正確に予測することで,需要に応じた発電や余剰電力の蓄電が可能になるため,再エネ電力の普及に欠かせないシステムとされている。
ただし,送電をコントロールするためのシステムはセキュリティ上,脆弱なシステムとなる可能性があり,専用のインフラを別にもうける必要や通信システムを別に構築する必要がある。既存のインターネットではセキュリティ対策に万全を期す必要があり,そのコストも上昇する。
以上のようなスマートグリッド体制のなかで一番の邪魔者になる電源が原発(原子力を燃料に使用する発電所)であった。別のいい方だと,邪魔者どころか妨害因子として実在(介在)していたのが,この原発であった。
【参考画像資料】-資源エネルギー庁作成のスマートグリッド関連の図解から原子力(原発)は除去できない-
![](https://assets.st-note.com/img/1681030754301-dO2IvEGNUK.png?width=1200)
※-2「中部電・北陸電,三大都市圏で初の出力制御 太陽光など稼働停止 送電網増強,喫緊の課題」『日本経済新聞』2023年4月8日朝刊7面「総合5」
![](https://assets.st-note.com/img/1681020968121-9ugLcP0jNg.png?width=1200)
この記事のなかから,図解「出力制御のイメージ」と表「全国で出力制御が相次ぐ」だけを抜き出し,再度紹介しておく。
![](https://assets.st-note.com/img/1681021050458-5cvTrUYyyX.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1681021690122-w1m4FMqb3x.jpg)
また,この記事は,前項※-1の記述そのものをさらに詳しく報じた内容である。出力制御は中部電力,北陸電力だけでなく,沖縄電力・北海道電力・中国電力・東北電力・四国電力,そして九州電力などでも以前から現実に出現してきた問題であった。
ここでは,九州電力が2018年10月21日に記録していた1日24時間の電源別比率が一目で分かる図解をみたい。この図解は,出力制御が7時台から15時台まで,それも揚水発電では対応できなかった部分(比率)を埋める関係うで実施されていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1681021297616-ghYwstD7vp.png?width=1200)
〔記事に戻る→〕 だが,この記事(全文・1544文字)でも「原発」の問題には触れる必要がない論調になっていた。本当のところは,原発が介在しているがゆえに出力制御が余計に必要ないしは不可避になっていた事実・状況について,日本経済新聞は語りたがらない。
要は,日本経済新聞の記事はその肝心な問題から逃げている。そう受けとっても,けっしてうがち過ぎではない点は,あらためて強調しておきたい。
※-3「【視点】太陽光発電の出力制御に思う」『原子力資料情報室』2019/02/08,https://cnic.jp/8392 が,すでに関連する見解を披露していた
本稿は冒頭の表題の文句で決めつけて,こういってのけた。「原発はお邪魔虫」どころか「獅子身中の虫」だと批難したのである。その理由は,以下の説明が的確に語っていた。
◆【視点】太陽光発電の出力制御に思う ◆
=『原子力資料情報室通信』第536号(2019/2/1)より =
〔2019年〕1月3日に九州電力は,太陽光発電の一部運転停止を求める出力制御をおこなった。昨:2018年10月13日,14日,20日,21日,11月3日,4日,10日,11日に続いて9回目の実施(離島での出力制御を除く)である。10,11月の8回はいずれも土曜・日曜で,1月3日は正月休みだ。
春や秋の休日と正月休みには電力需要が低下し,太陽光発電が活躍する日中に供給力が需要を大きく上回る。火力発電を抑制し,余剰電力を他社に送電し,また,揚水発電所での揚水や蓄電池変電所での蓄電をおこななったりしても,まだ供給力が大きいときに,太陽光発電や風力発電の出力制御がおこなえるとされている。
実施したのは,いまのところ,九州電力のみだ(風力発電での実施は試験的で,〔2018年〕11月3日のみ)。年間でもっとも需要が低下するのはいわゆるゴールデンウィークの時だが,昨〔2018〕年のゴールデンウィークには九州電力でも出力制御はおこなわれなかった。
当時,原発は玄海原発3号機しか動いていなかった。ところが10月以降は玄海原発3,4号機,川内原発1,2号機と4基がそろってフル稼働していた。海外では再生可能エネルギーより先に原発が抑制される(もちろん,こまめな制御はできない)のに,日本では逆なので,秋~冬期の最大需要の40%強,最小需要に対しては50%を超える原発はフル稼働のまま,自然エネルギーの出力が制御されるのである。
補注)前段に紹介した図表「九州電力エリアの電力需給」の日付は,2018年10月21日であった。
〔2018年〕10月21日と11月4日の出力制御が最大となった時間には,川内原発1基分を上回る93万kWの太陽光発電が制御された。火力発電では400万kW以上と,原発4基分に匹敵する出力が制御されている。他の電力会社に約200万kWが送られ,揚水には160万kWとか180万kWとかが使われている。
ならば原発を止めればよいではないか。というと,すぐに反論があるだろう。電力需要のピークは午後3時ころだと以前には説明されていたが,2010年ころから夕方の6時ころへと移ってきた。その時間だと,太陽光発電の発電量はゼロとなっている。最大時には600万kWにもなる太陽光発電だから,差はきわめて大きい。
とはいえ,太陽光発電については,あらかじめ出力の予測ができる。いきなり,それも複数基が同時に停止することがありうる原発が動いているよりも,本来的により堅実な対応が可能である。
ただし,そのぶん火力発電の発電量が増えてしまう。電力需要全体を減少させることが,なにより大事である。と同時に,需要が小さくなっても再生可能エネルギーをもっと使えるようにする条件整備が欠かせない。出力予測の精度も向上させる必要がある。再生可能エネルギーの太陽光一辺倒も,見直されるべきだと思う。
再生可能エネルギーの出力制御を低減するとして,資源エネルギー庁でも「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」での議論などを通じて対策を進めようとしている。
事故を恐れて電力会社の間の送電量を極端に制限してきた規制の緩和が昨2018年から始まり,送電可能な量がさらに拡大されることとなった。火力発電の出力制御の最低出力が引き下げられてきた。しかし,その本気度には疑問符も付く。
電力会社は,当然ながら自社の都合ファーストである。そのことは,九州電力から他社への送電量実績は,供給力が過剰となったとされる時に,逆に減っていることにもみてとれる。しかも日本の大手電力会社は,発電・送電・配電の一貫体制を自社内で完結させてきた意識が根強い。
それはまさに当然のことだとしたら,送電を受ける会社にメリットを与える制度が要る以上に,もともと自然エネルギー嫌いでもある電力会社の意識改革のほうが急務かもしれない。
いずれにせよ,原発を止めればよいというだけではすまない(むろん原発は止めなくてはならない)からこそ,早急に,かつ長期的な視点をもって対処する必要があるだろう。(西尾 漠)(引用終わり)
以上でなにが問題かといえば,つぎの3点にまとめてみたい。
a) 原発の介在-いまだに「ベースロード」観を捨てていない
b) 各電力会社間における電力送電網
c) 電力会社側の再生可能エネルギー「食わず嫌い体質」(当面の営利追求だけが関心事)
以上のうち,b) に関しては,つぎの図表を添えて理解の助けにしたい。
![](https://assets.st-note.com/img/1681027713177-MQIQu2YLvn.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1681027780571-09KinVMGV3.png?width=1200)
※-4 経済産業省の「原発推進派国家官僚」に丸めこまれた岸田文雄の無策的な無為を超えた無知と無謀
ここでは「岸田首相,原発新増設へかじ 根強い慎重論,論争必至」『時事通信』2022年08月25日07時14分,https://www.jiji.com/jc/article?k=2022082400908&g=pol から引用する。
その前に批判しておく。
--岸田文雄は,首相の立場から原発の推進を,いまどきになって積極的におこないたいかのように決定を下していた。この愚昧きわまりない意思決定は,※-3までに論及した日本の再生可能エネルギー問題・実績を,まるでちゃぶ台返しするかのような仕儀にさせた。この首相は,エネルギ-事情が情けないほど理解できていない。
記事はここから引用する。
岸田文雄首相が原子力発電の本格活用に向け,原子炉の新増設や建て替えを進める姿勢を鮮明にした。東京電力福島第1原発事故以降の「脱原発」の流れを問い直す動きだ。一部の野党だけではなく,公明党も原発推進には慎重で,論争となるのは必至だ。
「再生可能エネルギーと原子力はGX(グリーントランスフォーメーション)を進める上で不可欠だ」。
首相は〔2022年8月〕24日のGX実行会議にオンラインで出席し,原発の必要性をこう力説。
「次世代革新炉の開発・建設」と「運転期間の延長」を挙げ,「これらを将来にわたる選択肢として強化するため,検討を加速してほしい」と指示した。
自民党は2011年の原発事故以降,原発推進の方向へ徐々にかじを切ってきたが,新増設や建て替えは踏み越えなかった「一線」だ。首相は先の通常国会でも「再稼働はしっかり進める」としつつ,新増設や建て替えは「現時点で想定していない」と明言していた。
原発の運転期間は原則40年,最長60年とされ,現状のままなら原発はいずれなくなる。新増設や建て替え,運転期間の延長に踏みこめば,長期にわたり原発を使いつづけることになる。新増設などは「エネルギー政策の大転換」(閣僚経験者)といえる。
補注)この原発の運転期間「最長60年」という話は,稼働していない期間はその耐用年数に入れないといった,これまた非常に「トンデモない主張」になっていた。工学的な概念からしても非常識が過ぎた発想である。
首相の判断を後押しするのが電力需給の逼迫とウクライナ危機だ。火力発電の休廃止や異常気象が重なり,国内では数年間,電力不足がみこまれる。今〔2022年〕夏は老朽火力発電の稼働で乗り切ったが,ウクライナ危機の影響で原油市場は混乱しており,この手法は限界が指摘される。
補注)2023年4月段階になるまでには,つぎの記事(2023年3月13日)が言及しているように,エネルギー事情の様相はだいぶ異なってきた。
くわしくはたとえば,この記事,「世界経済に追い風,エネルギー価格下落で EU域内GDPを 1.5%押し上げか,米国にも恩恵」『THE WALL STREET TIMES』2023年3月13日( ↓ )を参照したい。
この記事からは冒頭の段落のみ,次段に引用しておく。
エネルギー価格が世界経済を揺るがすのは,この1年で2回目となる。ただし,今回は朗報だ。原油と天然ガスが値下がりしたことで,経済成長が支えられ,消費者の懐が潤い,景況感が改善している。政府予算への圧力も和らいでいる。
ロシアがウクライナに侵攻し,欧州をはじめ世界各地で深刻な景気後退が懸念された1年前のエネルギー価格ショックとは逆の現象となっている。
エコノミストらによると,米国と欧州で今〔2023〕年発表された経済指標が予想外に好調な一因は,エネルギー価格の下落にある。今後の経済成長をみきわめる指標として注目度が高いS&Pグローバルの企業調査では,欧米の購買担当者がここ数カ月でもっとも楽観的であることが示されている。
家計・企業・政府にもたらされた,この思いがけない恩恵は,多くの中央銀行が歴史的な高インフレを抑えるために利上げを行い,借り入れコストが上昇するなか,その影響を相殺している。
首相周辺は「GXに対応するためにも,エネルギー危機を乗り切るためにも,原発を最大限活用するしかない」と語る。首相は〔2022年8月基H24日の会議で「足元の危機克服に万全を期す」と述べ,先に約束している今冬の原発9基の運転にくわえ,新たに7基の再稼働に全力を挙げる考えも明らかにした。
一方,国民の間では脱原発を望む声も根強い。各党も自民党に比べ原発推進には慎重なのが実情だ。公明党は先の参院選の公約に「原発に依存しない社会をめざす」と明記。竹内譲政調会長は24日の記者会見で「方針転換は聞いていない。(国民の原発への)不信感を取り除くことが第一歩だ」とくぎを刺した。
立憲民主党は党綱領に「原発ゼロ社会」をかかげる。同党閣僚経験者は「国民合意がない。勝手に決めていいわけがない」と述べ,国会で追及する考えを示した。同党内からは「旧統一教会問題を隠すための奇策」(ベテラン)とやゆする声も出ている。
岸田文雄という現在の日本国総理大臣は,いくらなんでもあのアベ君よりマシだと薄々でも期待されていたけれども,実際に総理になってから,いうこと・なすこと・やることのすべてが,完全に「世襲3代目議員の政治屋」であったとおり,
『売り家と唐様で書く三代目』になりはてていた。
断わるまでもないが,この国は岸田文雄の持ち家ではない。ともかく,この首相には「自分というものがない」。政治家として理念や信条がまったく感知できない,つまり不在の人物であった。国家官僚群のいいなりにしか仕事ができない。「こんな人」にこの国の為政をつづけてやらせていたら,ここまですでに相当に落ちこんできた日本が,よりいっそう,ますますダメになる。
という情けない話になっていたが,再生可能エネルギーを中心にいうか,できれば全面的に利用する発配給電体制を構築するためには,いったい,どのような電力観が必要とされているのか。
この問題を考えるさいに,実は,再生可能エネルギーの導入・展開に対して「いつも妨害する要因」になっていた「原発介在の問題」を,基本から批判しておかねばならない。
【関連記事からの補足】
ところで『くろねこの短語』2023年4月9日,http://kuronekonotango.cocolog-nifty.com/blog/2023/04/post-f8a8a2.html が,岸田文雄のことを,こう批判していた。
自衛隊のブラックホーク墜落をしりながら,高級料亭に馳せ参じたヘタレ総理は,まさにシンキロー森の轍を踏んだってわけだ。しかも,その席を設けたのがシンキロー森なんだから,これほどの悪い冗談はひな壇芸人だって憚ろうというものだ。
それにしても,シンキロー森の時にはさんざんに叩きまくったメディアも,ヘタレ総理にはなんとおやさしいことか。オザワンが「総理になってはいけない人」とツイートしてるけど,総理どころか政治家にもなっちゃいけないひとってことだ。
安倍晋三も岸田文雄もともに「世襲3代目の政治屋」であったゆえ,どだい,初めから「総理とか政治家などにはけっして,なってはいけない者たち」であった。なお,森 喜朗はさらにそれ以下の人事考課が可能……。
※-5「電力の供給過剰で出力制御,太陽光拡大の足かせに 融通の制約,原発優遇…解決策は?」『神戸新聞』2023年2月20日 05:30,https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202302/0016067222.shtml
丘陵のあちこちを大規模太陽光発電所(メガソーラー)が覆う淡路島。送配電会社の指示で,島内5カ所に太陽光パネル(総出力5千キロワット)を保有するマルショウ運輸(兵庫県南あわじ市)が発電を手動で止めて回ったのは,昨〔2022年〕年春のことだ。
電力は需要と供給をつねに一致させないと周波数が乱れ,大停電を起こす恐れがある。天候が良く,冷暖房の需要が低い春先や初夏は,供給過剰になりやすいという。2022年4月,関西では初めて,太陽光発電の出力制御が淡路島でおこなわれた。
補注)マルショウ運輸については,つぎの案内を参照されたい。
〔同年〕5月にかけて複数回,発電を止めた同社の損失は数百万円分に上ったという。松井規佐夫(きさお)社長(60歳)は「こんなことが続けば,投資にみあった収益をえられない。事業参入への意欲がそがれ,再生可能エネルギー(再エネ)の拡大にブレーキをかけてしまう」とこぼす。
2030年度の電源構成で主力電源と位置付けられる再エネの4割ほどを担うとされる太陽光。だが,その出力を制限する課題の解決が進まない。その一つが送電網の問題だ。
送電網は送配電会社の系統ごとに完結しており,淡路島南部は四国電力送配電の系統に組みこまれている。四国系統で供給が過剰になった場合,隣接する淡路島北部や神戸・阪神間で電気が不足していても,発電を止めなければならない。
電力融通の制約をめぐっては,政府もようやく解消に動き出した。都留文科大教養学部の高橋 洋教授(エネルギー政策)は「政府は再エネに消極的で対応が遅れた」と指摘する。「制約解消は電力の安定供給にもつながる。いかに早くできるかが重要だ」とする。
もう一つは,電力需給を調整する際の「原発優遇」のルールだ。供給が需要を上回る場合,出力を制御する順番が決められているが,原発は太陽光よりあとで,最後に設定されている。
補注)前段でこの優先順位に関する電力会社側の説明を引用してあった。
資源エネルギー庁は「原発は出力を短時間で小刻みに調整することが技術的にむずかしく,一度出力を低下させるとすぐに元に戻せない」と理由を説明する。
一方,東京工業大環境・社会理工学院の分山達也准教授(電力システム)は「電力会社が原発に投じたコストを回収できるようにルールが設定された」とし,「欧州のように,再エネをより活用できるルールにみなおすべきだ」と訴える。
石炭火力や原発など集中型発電システムは,大量生産・大量消費の時代を支えてきた。省エネ・脱炭素の時代に入り,ウクライナ危機による燃料高騰とエネルギー不安も背景に,太陽光など再エネがそれぞれの地域を支える分散型発電システムが模索される。
分山准教授は「いろいろな電源に気を使っているのか,国がどの電源を主力にしようとしているのかが曖昧だ。2050年の再エネ比率を50~60%とするのなら,再エネを育てていかなければならない。明確なメッセージが必要では」とする。(脱炭素取材班)(引用終わり)
2050年に再エネ比率を50~60%にまで上げるなどと “いまどき唱えている日本” は,21世紀の半ばにはエネルギー供給体制に関しては,間違いなく「完全にエネルギー後進国になる」。
【参考画像資料】-「2050年に再エネ比率を50~60%」としておき,原発(原子力という電源)は絶対に確保した識者が作図した図表-
![](https://assets.st-note.com/img/1681030590160-JP011irPBd.png?width=1200)
その「たいそう愚かな・算段」としての目標値,「2050年に再エネ比率を50~60%にする」は,経済産業省・資源エネルギー庁が以前から決めていたものである。
前段に引用した『神戸新聞』2023年2月20日の記事より早く,『しんぶん赤旗』2022年4月30日も,同様な批評を与えていた。こちらはつぎに住所(リンク先)だけ指示しておく。
エネルギー問題は,一国においてもっとも重要な社会経済条件を形成しており,立国維持のために必要不可欠な要件である。だが,日本は再生可能エネルギーを2050年であれば100%を目標値に据えた国々が,すでに多く存在するなかで,いまからわざわざその比率を低い50~60%に抑えている。
「いったいなにを考えているのか?」
どこかの思考回路がまさか断線しているのか,あるいは思考回路がどこかが完全に詰まっているのか。「この国のエネルギー政策の特徴」に対してはそのような懸念しか感じとれない。
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