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ヘリ空母(アマガエル)が正規空母(殿様ガエル)でなくて「なん」なのか?

 ※-1 前段としての断わり-アマガエルのまま居るつもりは最初からなく,殿様ガエルになる予定を仕組んでいた「元ヘリ空母:かが」はそろそろ「正規空母に模様替え」する工事を完了-

 「本稿」そのものを執筆して初めに公開した時期は,10年近くも前の2014年1月8日であった。また,その前年の2013年の8月,こちらの時期は今日の2023年11月27日だと,満で10年を超えるころであったが,

 本ブログ筆者はつぎの(以下の「引用」枠内に一覧した諸記述の)ように,日本国防衛省海上自衛隊が保有していた「ヘリ空母」型について,すでに就役していた〈模擬:正規空母〉の実態とみなしてだが,あれこれ記述をしていた。

 これらの記述は現在,未公表の諸稿になっているが,本日の記述は「その前哨を構成する」それらのなかから「1編」を,復活させ再掲することになった。

 ここではさきに,それら諸記述の題名のみ以下に紹介しておきたい。これらをこのブログサイトのなかで以後,さらに転載していくかは「のちの日程に任せることにしておき」,とりあえずそれらを一覧にして列記してある。

 なお,この一覧の順序は日付としては順逆である。これらの記述をしてからもはや10年(一昔)の時間が経過した今日となっている。本日のこの記述にあらてめて着けてみた標題のように,

 「ヘリ空母(アマガエル)が正規空母(殿様ガエル)でなくて『なん』なのか」という題目で,本日の記述を再度おこなうことになったが,もちろんその間に登場した新しい題材も意識しつつ,本日のこの記述は展開されている。

2013年8月29日
 主題「日本国の自衛隊は,米軍基地を護衛するのが任務か」
 副題「ヘリ空母を保有して,なんのために使うのか? 」「自衛隊が守るべきものは,なんであるのか?」

2013年8月28日
 主題「ヘリ空母で本格空母『遼寧』を撃沈?」
 副題「想像もたくましく,日中の空母に戦わせて,どうなる?」「【模擬演習にもならない勝手な妄想絵,核戦争の破壊が始まったらこの地球はどうなる?」

2013年8月25日
 主題「ヘリ空母が護衛艦というなら,虎は子猫である(2)」
 副題「ヘリ空母で守る日本国の意味はなにか」「天皇制と日米軍事同盟の合体的な歴史関係を清算できるのか?」

2013年8月24日
 主題「ヘリ空母が護衛艦というなら,虎は子猫である(1)」
 副題「1隻の建造費 1200億円-より高価・高性能をいつでも求めつづける軍人の性癖-」「実際の運用にはいくら経費がかかるのかなどを考える」

以上はヘリ空母に関する記述一覧である
明日以降につづく記述で1編ずつ
復活させたい

 「ヘリ空母」がその後,当然のように新たに艤装をしなおし,換装もくわえて正規(本格級)空母に衣替えしている海上自衛隊の航空母艦のうち,現在(2023年11月27日),ひとまず先行して話題になっているのは『かが』にくわえられていたその改修工事であった。

 ごく簡約な説明としては,ウィキペディア『いずも型護衛艦』のなかに,「第1次改修」と「第2次改修」という項目が設けられているので,とくにその箇所を参照されたい。

【関連する動画記事】-本日,2023年11月27日に公開されていたユーチューブ動画サイトの記事である。7分11秒あたりから空母「かが」の話題がとりあげられている-


 ということで,この記述はもっぱら2013年中における記述からそうであったが,この海上自衛隊のヘリ空母はのちに,「正規空母に変更させるつもり:欲望」をコミコミで建造されていた事実を,当時から注目してとりあげていた。

 すなわち,今年の2023年になるだいぶ以前から本ブログは,軍隊(軍人)精神として当然に秘められていた「空母に関したその種の〈欲望〉」が,海上自衛隊関係でその後どのように実際に現象してきたかという「経過」と「その事情」に関心を向けた議論をおこなっていた。

 以上のような10年前になされた本ブログの執筆を踏まえていえば,日本国防衛省海上自衛隊の「ヘリ空母」が「正規空母」に格上げするためには,どのような努力が傾けられてそのような欲望が実現されたのか,という論点がその関心となる。

 本日においてまず議論する内容は,ひとまず2013年8月から2014年1月ころまで,日本において発生していた空母関連の事情にかぎった記述となる。そして,事後につづけてとなるが,現時点:最近における状況もとりあげることになった。

 今日のこの記述はあくまで「一昔前の事情」を詮議しているが,最近までのその事情の推移に直接深く関連する含意をもっていた。

 しかし,現時点における日本国の軍事事情のなかでは,すでに,ほぼ「ヘリ空母」が「正規空母」に〈蝉変:ゼイヘン〉(脱皮?)しえた段階における議論となる。

 今日のこの記述とっては,事後につづく話題となるので,しばらくは,10年前の話題に関した以下の記述〔を中心にする議論〕に付きあってもらわねばならないところとなった。


 ※-2 ヘリ空母が『空母』でなくてなんなのか?」- ヘリを載せようが,戦闘機を載せようが,垂直離着機を載せようが,空母は空母で,空母に変わりなし-

 詭弁の空母「観」を語る日本国自衛隊であっても,「オニヤンマもシオカラトンボトンボもトンボのうち」であるように,本格空母もヘリ空母もみな空母である

 1)「海自最大の護衛艦『いずも』,どう見ても空母なので・・・」『朝日新聞』2014年1月7日朝刊の記事について

 補注)なお,「いずも」と「かが」は同型艦である。昔風にいえば戦艦の大和と武蔵みたいな兄弟艦である。この記事では以下,「かが」ではなく「いずも」がとりあげられている。話題としては両艦に共通する議論となるゆえ,どちらをとりあげても,ひとまず同じ中身とみなせる点を断わっておきたい。 

補注

 昨日〔2014年1月7日〕の朝日新聞朝刊は,つぎに画像でも紹介するが,海上自衛隊が新しく配備する予定のヘリ空母,護衛艦「いずも」について,解説記事を掲載していた。あまりに当たりまえの説明であって,とくに,付けくわえるものはない。

 本ブログはいままで,自衛隊が保有・配備するヘリ空母については,くわしく議論してきたので(この文句は2013年8月に執筆した上記の4件を指している),本日〔ここで2014年1月8日であったが〕は,ごく簡単に新しく付論しておくべき論点にのみ言及することにしたい。

 以下の画像資料は,日本国・防衛省海上自衛隊「護衛艦〈いずも〉」の勇姿。

同型艦として『かが』がある

 補注)いずれにせよ,この写真はどうみても航空母艦である。上に参照した画像を示していたブログ主も「誰が見ても空母に見えます」と添え書きしていた。

 なお,〈いずも〉の艦船として の武装は,ヘリ以外に,高性能20mm機関砲 ×2基,ミサイル:SeaRAM × 2基,水上艦用ソーナーシステム1式。

 2) ここで参照している「海自最大の護衛艦『いずも』,どう見ても空母なので・・・」『朝日新聞』2014年1月7日朝刊の記事「全文」を,以下に紹介する。

 --海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」が昨夏,進水した。どうみても空母だが,防衛省は「空母ではない」という。どういうこと?

  a) 能力や構造は空母そのもの

 〔護衛艦「いずも」型の〕船体の長さ約250メートル。排水量1万9500トン。真珠湾攻撃に参加した旧日本海軍の空母「翔鶴(しょうかく)」「瑞鶴(ずいかく)」に近い大きさだ。

 補注)これは作戦行動中の翔鶴の画像と概要図。下につづいてかかげた図解(設計にもとづく)には,この空母の全長である 257.5メートル を記入しておいた。

艦首近くに兵士が立っているのが写っている
この翔鶴の飛行甲板の艦首上の形状に注目しておいてほしい


〔記事に戻る→〕 自民党政権下で2010年度予算の概算要求に建造費が盛りこまれ,民主党政権を経て,安倍政権のもとで迎えた進水式に,中国や韓国のメディアは敏感に反応した。「準空母の登場」と報じ,「日本の右傾化の象徴」などと批判した。

 いずもは,京都・舞鶴基地所属の「しらね」(5200トン)の後継で,防衛省の説明では「ヘリコプター搭載護衛艦」だ。海自はすでに1万トン超のヘリ搭載護衛艦「ひゅうが」と「いせ」を保有。

 いずもは来春に就役予定で,建造中の同型艦と合わせて4隻を配備する計画だ。先月,閣議決定された中期防衛力整備計画でも,海自の基幹部隊とされる護衛隊群の中核を担う。

 ヘリコプター9機を同時に運用できる能力や,艦首から艦尾まで甲板が平らな構造は空母そのものだ。

【付 記】 ここでつぎに参照するのは,各国が保有する空母の比較図である(ウィキペディアを参照した)。この図に関するくわしい説明は不要である。ここに出ている「日本の空母」は「ひゅうが」型で,「いずも」からは1世代前の「ヘリ空母」。その全長は 197 m。

いずも型空母の全長は約250メートル


  b) 戦闘機を載せる構想がないため〔といった「詭弁の見本」〕

 実際,英国のジェーン海軍年鑑は「ヘリ空母」に分類している。それがなぜ護衛艦なのか。艦種を定める防衛省の訓令では,任務別に潜水艦や輸送艦などがあるが,戦闘が主目的の大型水上艦はすべて護衛艦とされるからだ。河野克俊・海上幕僚長〔当時〕は「諸外国と違う区分になっており,規則上,護衛艦としか呼びようがない」と話す。

 補注)そのうち,この河野克俊(安倍晋三がお気に入りだった統合幕僚長にまでなっていた海将で,異例に任期を延長させてもらっていた人物)が触れた点,「諸外国と違う区分になっており,規則上,護衛艦としか呼びようがない」という制約はとっぱらった名称改変がおこなわれるかもしれない。

〔記事に戻る→〕 空母の保有をめぐっては1988年に示された政府見解がある。「大陸間弾道ミサイル,戦略爆撃機,攻撃型空母を自衛隊が保有することは許されない」。遠方に出向いて対地・対艦攻撃ができる戦闘機を積む米空母のような能力は,専守防衛の立場を逸脱するとの判断にもとづく。

 補注)この段落の記事の内容は,現在となっては完全にそのタガは外されている。2015年度に成立した「米日安保関連法」のあと,自民党政権は調子に乗りまくってだが,いまは「敵基地攻撃能力」をウンヌンしだした。

 『朝日新聞』2014年1月7日朝刊がいま前後して述べているような段階などは,はるかに飛び超えた地平にまで出張っている。現状(2023年11月27日)では,在日米軍といよりもアメリカ太平洋軍の一翼を担っている気分(実態)を横溢させる「隷属軍」が,自衛隊3軍の最近事情にある。

 ここではつぎのリーフレットを紹介しておきたい。

日本弁護士連合会リーフレット

 いずもが空母ではないとする理由を防衛省は「大規模災害や国際緊急援助にも使える多目的艦で,打撃力をもつ戦闘機を載せる構想がないから」と説明する。F35Bなど垂直発着できる戦闘機の搭載については,同省幹部は「改修は可能だが,航空機の取得や要員養成など膨大な時間と経費がかかり現実的に不可能」と否定した。

 補注)この発言から早10年が経った。その顛末がどうなりつつあるかについてはまさに,このブログの記述が「その10年も時間が経過してきた事情」に即して説明している。

  c) 専門家〔は〕「拡大解釈では」〔ないかと疑問を突きつけていた〕

 大型のヘリ搭載艦の狙いは,海上作戦で大きな脅威となる第三国の潜水艦に備えた能力を高めることにあるという。

 米海軍との共同行動を前提とする海自の大きな任務は戦後一貫して,護衛艦や艦載ヘリなどを使って敵の潜水艦を探知し,いざという時に撃破すること。それは中国など周辺国が多数の潜水艦を配備しつつあるいまも変わらない。

 従来の護衛艦では,特殊なセンサーや魚雷などの攻撃能力をもつ艦上ヘリの搭載数は1~3機。ヘリの数を増やし,故障の際に整備もできる大型艦をもつことで,作戦を長時間,効率的に展開できるという。

   イ) 護衛艦の導入を長く担当した香田洋二・元自衛艦隊司令官は,こういっていた。「いずもは,空母とはまったく本質を異にする船。空母が将来,必要になるなら,国民に必要性を説明したうえで造るべきだ」

 補注)その「空母が将来,必要になるなら,国民に必要性を説明したうえで造るべきだ」などといった必要の条件など,いままでの経緯を観るかぎりまともに問われ,吟味された形跡はみられなかった。

 安倍晋三政権は,その種の「本質」の問題などまったく理解(顧慮)しなかった。アベは自身の采配を強権専制的に振るってきた。それゆえ,そのようなだいじな問題を国民に向けて正面から問うことなどしなかった。

   ロ) 軍事ジャーナリストの清谷信一氏は「世界標準では空母そのもの。政府は政治問題化するのを恐れ,なし崩し的に拡大解釈しているのでは」と指摘する。

 註記)『朝日新聞』2014年1月7日10時24分,http://digital.asahi.com/articles/ASFDT5KFRFDTUTIL03D.html?iref=comkiji_redirect&iref=com_top_pickup

  d) 詭弁の羅列

 以上,詭弁なしには説明などとうてい不可能であった「ヘリ空母という空母」を配備する海上自衛隊側のいいぶんであった。

 まず「大規模災害や国際緊急援助にも使える多目的艦で,打撃力をもつ戦闘機を載せる構想がない」という「構想に限った説明」,という説明からして,そもそも詭弁的な説明の代表格である。

 たとえていえば,こういうことになる。それは実質,同語反復になる空母の定義であった。塗装の白い空母と赤い空母との違いはなにかと問われて,その塗装にしか違いがかないものを,空母の性能諸元に違いがあると強弁したごとき単なるヘリ理屈。

 2011年の「3・11」(東日本大震災)の発生を受けて,米海軍の航空母艦「ロナルド・レーガン」が〈トモダチ作戦〉という災害援助作戦に出動してきたことを想起すればわかるように,ヘリ空母にだけあてはまるわけではない説明,いいかえれば「説明にはならない説明」を繰りだしている。

 「3・11」直後に災害救助に向かって活躍したその原子力航空母艦は,主に軍用ヘリを運用して日本の国民たちを援助していたことを,忘れてはならない。もちろん,そのさいには「大(軍用機)は小(民間機)を兼ねる」米軍空母の運用になっていたとはいえ,ろくでもないヘリ理屈を振りまわすはたいがいにすべきであった。

 そこには率直にいって,人間としての「脳細胞の仕組・組成」が疑われるような,焦点の定まらない〈非説明〉が横行していた。冗談にもなりえない筋違いというにはあまりにも突拍子もない説明など要らなかった。

 前段には「プーチンのロシア」によるウクライナ侵略戦争が始まってから,ときおりテレビ番組に出てきて解説をしてもいた「香田洋二・元自衛艦隊司令官」の氏名・官職もみられたが,この香田自身が自衛隊高官体験者として触れていた「空母が将来,必要になるなら,国民に必要性を説明したうえで造るべきだ」というこの必要性など,どこ吹く風といった様子で,旧海軍並みの航空母艦をいまの海上自衛隊はすでに手に入れた。

 つぎにこういう問題点も指摘しておく。

 「遠方に出向いて対地・対艦攻撃ができる戦闘機を積む米空母のような能力」の有無を『空母であるか・ないかの判断基準』に据える発想じたい,異様な兵器「観」である。

 たとえば,軍用ヘリを対潜水艦作戦において運用するとき,対艦攻撃=「防衛的(?)な応戦」をするけれども,これを「対艦攻撃(!)ではない」といえるのか? 「攻撃は最大の防御である」という表現すらあるではないか。

 準本格的な「ヘリ」空母であれ,本格的な「正規」空母であれ,戦争行為そのものをすることに,なんらかわりはない。それにもかかわらず,枝葉末節の部分:共通要素に関する説明だけを針小棒大に強調し,その本質的な特性を意図的にボカそうとする〈口先での話法〉は,当初から誤解・誤導を狙った詐称的・欺瞞的なものというほかない。

  e) 国民を平然と愚弄する姿勢

 以前,航続距離〔脚〕の長い戦闘機が空中給油するための装置をとりはずせば,自衛隊の目的にかなった「脚の短い戦闘機」として,日本の軍隊の兵器に使用してもよい,適合的:ふさわしいという議論があった。

 この議論の〈目先の欺瞞性〉を参考にしていえば,「いずもは,空母とはまったく本質を異にする船。空母が将来,必要になるなら,国民に必要性を説明したうえで造るべきだ」というのは,当面だけを「黒を白といいくるめるためのみえみえのウソの説明」であった。

 国民の目には「いまは黒であっても白と説明しておき,そのうち,やはり黒は黒だったと説明すればいい」というような,まったく理屈をなしていない,それも人を完全にバカにしきった〈説明〉が,白々しくも堂々となされていた。

 もっとも,この種の説明方法は,日本の自衛隊史において繰りかえし使われてきた便法である。便法といえばウソということばときわめて近しいことばである。

 ウソを承知で便法だといえばそれまでだが,国民たちの収めた血税を,ふだんは使わない(訓練はさておき)軍艦を航空母艦まで手に入れるた海上自衛隊は,陰ではほくそ笑んでいるかもしれない。だが現状,国民が大多数が苦しい日常生活を強いられている昨今,なんのための軍備であるのか軍人なら軍人なりに,市民統制(文民統制ならぬそれ)の面前に立って,説明しておく最低限の義務がある。

 前段で出ていた「脚の短い戦闘機」など,わずかな時間で「脚の長い戦闘機」に改修できるし,搭乗員の訓練も短期間であれば,それも優秀な航空戦闘員であれば,特別の困難もなくただちに訓練をほどこして育成できる。

 ヘリ空母の仕様・装備・艤装を本格空母に変えて通常の艦載機を載せたり,あるいは,現状のままで搭載できる垂直離着戦闘機などを装備したりするには,その気になりさえすれば簡単であって,予算さえ付ければ一定の年数をかければ容易に実現可能である。

 補注)この段落のように書いてから10年が経ったら,まったくこうした指摘どおりに「ヘリ空母」が蝉の脱皮しえいたかのように,まさに「正規空母」に艤装しなおして登場しなおした。

 いうなれば,本質的に差などない護衛的なヘリ空母と本格的な正規空母の,それもごく現象的な差を故意に誇張しつつ,これだけを前面にかざして,空母に関する論議全体を〈ごまかしておく〉話法はいただけない。

 憲法第9条2項の骨抜きだなどといった議論,とうの昔に済んでいるのが日本国であり,そして自衛隊という軍隊の存在をめぐる議論でもあった。それゆえ,前段までのごとき「自衛隊側にとって都合がいいだけのいいぶん」に対しては,いまさら,すなおに耳を傾ける余地はない。

 「自衛隊という軍隊組織:暴力装置」が現在まですでに十分に有している「ふつうの軍隊」性について,その根本から目を逸らせようとする詭弁,そして強弁のたぐいは,国民に対する説明の義務に関して,誠実さ・正直さを完全に欠いた国家側の態度であった。ここには,特定秘密法が要求されていたゆえんもあった。
 
  f) 「特定秘密法」の威力

 ましてや,特定秘密法案が昨〔2013〕年12月6日に成立,12月13日に公布された。そして,1年以内には施行が予定されており,現在その準備がなされている。

 海上自衛隊が現在保有する「護衛的なヘリ空母」を「ただのふつうの正規空母」に改装備することなど,これからは「特定秘密」に指定しておけば,今後においてはお茶の子さいさいの作業であった。しかし,この必要性などないままその「空母的な蝉変」は,難なく実現されていた。

飛行看板が250メートルあれば正規空母としては本格的な艦艇である
航空機を発艦させるとき空母は風上に向かい全速で走行しながら発艦させる
1942年4月18日に初めての日本本土空襲となったドーリットル空襲は
米軍の双発爆撃機B25の16機を米海軍の正規空母から無理やりに発艦させていた
母艦への帰艦を予定しない作戦であったからできた芸当である 
 

 そうした策動を防止する仕組が,いまの日本国の3権分立の政治機構のなかにはない。文民統制もまったく不備である。ヘリ空母を本格空母に化粧直しさせるためには,ちょっとした予算と時間をかければ,やる気さえあればすぐに実現する。実際,そうしてきた。もっともその改装工事に当たってはアメリカ軍側に「指導料」ごときに金子をだいぶ渡していた。50数億円。

 特定秘密法の施行を踏まえていえば,以後は,このヘリ空母の改装備についてしろうとするマスコミ・組織・個人などの動きは,自衛隊(政府防衛省大臣などや防衛庁高級官僚たち)がそれに関連する情報・資料をすべて「特定秘密」に指定しておけば,いっさい排除できる。そうしていたかどうかはさておき,原則論としてはいえる。

 近い将来,防衛問題に関してはそのような国家体制が,当然のように整備されていくことを予見しておくべきである。

 補注)もっとも,ここに述べたごとき制約は,安倍晋三政権下ではほとんど問題になることがなかった。

  g) 軍人のための危ないオモチャ

 しかし,日本が空母(ヘリ空母や正規空母)を保有したところで,在日米軍の実質指揮下のもとでしか,まともな運用はできない現状である。その現実のなかで,いったいなんのために空母を配備するというのか?

 アメリカ軍(海軍,広義ではアメリカ太平洋軍)の下請け程度,つまり,現状のごとき日本国防衛省自衛隊の《パシリ的軍隊の姿》を想起するとき,この国はいったい「なんのための軍備を整えている」のかと,あらためて考えこまざるをえない。もっとも,軍人はいつも「もっと兵器がほしい」と欲望する職業人であることは,歴史を通貫しての真実である。

 自衛隊3軍は実際には,アメリカとの共同作戦で動くほかない軍事勢力である。この日米軍事関係史的な本質状況を踏まえないで,ヘリ空母が本格的な「正規空母」と違うとか,いや同じだとかいった議論をしても,歴史の事実を一面しかみえない。そのまえに,日米安保条約体制のもとで,親分のアメリカに頤使されている「21世紀の日本軍」のありのままの姿を,よく透視してからの議論とする必要がある。

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【「本稿〔続・1〕」は,つぎの住所になる。

 ⇒ https://note.com/brainy_turntable/n/n9817ba45b571

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