次期日本国総理大臣の有力候補と目される小泉進次郎の危うさに観る「世襲4代目の政治屋」の劣化現象は必然的な事象
2024年9月下旬に自民党総裁選が予定されている。実質,日本国の次期総理大臣の有力候補と目されている小泉進次郎は,「世襲4代目の政治屋」としての資質的な劣化現象を,まさしく法則的な事象として展望させた「絶好(?)の人物」となっていた。
かつて首相だったとき,内閣支持率で最低記録(一桁)を叩きだした保持者であって,現在はただの元国会議員でしかない森 喜朗が,その自民党総裁選にちょっかいを出し,「自分の院政維持」を狙っているなかで,「政治4流日本の国会模様」の醜怪さは,さらにバカらしくも再現させられざるえなくなっていた。
【参考記事になり過ぎる関連の「小泉進次郎」批判】 こちらの適菜 収の記述が猛烈に「進次郎の幼稚さかげん」を剔抉して(深くえぐって)いる。これをさきに読んでもらうと「相乗効果が期待できる」と思いたい。
ついでに挙げておくが,つぎの『日刊ゲンダイ』の記事も参考になる。
※-1「全然セクシーではない日本の自民党政治の体たらく」
a) 2024年9月下旬に実施されるが,実質で日本国総理大臣を選ぶことになる自由民主党総裁選挙をめぐっての事前評価(予想)では,小泉純一郎のせがれで次男坊の進次郎が,もっとも有力な候補だという下馬評が出まわっている。
いまの自民党は,議員たちが血税をちょろまかした裏金問題や「政教一致」的な政治影響をさんざん受けてきている統一教会問題,ましてや2021年10月4日に首相になっていた岸田文雄のこれまた「世襲3代目の政治屋」の,みごとなまでの下手クソな為政によって,日本の政治と経済はますますヨレヨレのクタクタ状態である。
トヨタ自動車はいちおう,あいかわらず巨大な純利益を上げている大製造会社であるが,GAFAなどの現時点における世界規模の企業経営一群からは,以前からだいぶ後れをとっていた事実に変わりはなく,電気自動車やハイブリッド車分野へのより進出も含めて,この日本を代表してきた製造会社のこの先,絶対に安泰だなどとは,とてもいえない現状にある。
21世紀になってからも日本の代表的で有名な諸会社が没落・転落・衰退した事例は,ここでいちいち挙げて言及していたら切りがない。そこでつぎにいささか長文となるので,以下には直接には引用しないでおくが,コラムニスト:リーディー・ガロウド稿「【コラム】失われた30年が変えた日本,進化し次の時代へ-リーディー」『Bloomberg』2024年4月25日 11:57 JST, https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-25/SCGX1IT0AFB400 を,面倒でも先に読んでもらうことをお勧めしたい。
b) その「失われた30年」という形容はこの「30年」で終わるみこみはなくなっていた。以前ならば「失われた10年」という時間の単位を当てて,この日本が直面させられてきた21世紀な苦境・窮状が表現されていたものが,
いまや「失われた30年」の単位に変えて言及することが「適切な解説」の方法になっている。これは,なんとも皮肉以上になにもなりえなかった「この国の現状」が「 ♯ どこまで続く泥濘(ぬかるみ)ぞ ♭ 」--藤原義江が歌った『討匪行』(昭和7年12月発売)のなかに出てくる歌詞--に酷似した状況に追いこまれてしまってからというもの,
このドロドロ状態のどん底状態から抜け出すために,ぜひとも登壇してほしい国家指導者が,いまだにみあたらないでいる。21世紀になってこの国の首相になった森 喜朗だとか小泉進次郎,安倍晋三のたぐいは,日本を完全に低迷,劣化させていくための身勝手な政治をおこないえただけで,その実質は「自民党をぶっこわす」のではなく,最初から「日本をこわしていく」結果しかもたらさなかった。
とりわけ,安倍晋三の第2次政権は,そうした凋落傾向に対して決定打となる悪政(アホノミクスとアベノポリティクス)を7年と8カ月も継続させてきたために,最近(2024年)になってのこの国は,インバウンド収入をもたらしてくれる観光業を介して,外国人観光客が落とす金に大きく期待をかけるほかない産業構造の体質になっている。
それに対して,日本国内にもともと暮らす住民(市民・庶民)たちの生活は,昨今いちじるしく貧困化しており,それがために外国人観光客の金持ちぶりを金儲けの相手にするさい,とくに人気のある観光地では「内外人に対して使い分ける二重価格」を適用するようにもなっている。
それでも,外国人観光客は「日本はなんでも安いと大喜び」なのだから,日々・3度の食事のために調達する食材の「最近における順調な価格上昇ぶり」にはたいそう参っている国内人の負担・嘆きを尻目に,
c) 日本よいとこ一度はおいで,飯はうまいし,サービスはテイネイ・優雅だし,ねえちゃんは ✕ ✕ だ・・・イイネなどと,冗談にもなりえない,進次郎の女房君的にいえば「お・も・て・な・し」は,確かに外国人観光客にはトレビアンかもしれないが,振りかえって国内の貧乏さかげんときたら
なかでも,シングル・マザー(ファザーはまだ少ないが)の3分の1が,たとえば,今年も襲来した猛暑の時節のなかで「食事を摂らないか,冷房を切るか」の選択肢を迫られるような生活実態,つまり具体的にいえば,彼女らの世帯では「3割以上」のところで,子どもたちが「1日,2食未満」の食生活状態を強いられている。
とりわけ彼女とこの子どもたちは,夏休みになると学校にはいかなくなる期間となるゆえ,栄養面では “たのみの綱” になってもいる給食に子どもたちがありつけず,なんともかわいそうな生活境遇に追いこまれている。
補注)彼女らとその子どもたちからは,なんとまあ「夏休みはなくしてほしい」とか,これができなくとも,せめて「その日数を減らしてほしい」などという要望が出ているというのだから,「世も末」というか,ここまで日本はダメになったかという感じすらある。
要は,少子化がどうだこうだといえるような自民党政権か(?)という現状にあるわけだが,国会議員たちは自分たちが上級市民である立場を享受することは当然視していながら,いったいなんのために自分たちが存在しているのか,さっぱりわきまえていない連中が多くいる。
ところで,日本だからまだその種の事件は発生していないが,困窮している家庭の若者たちが,まさか外国人観光客を襲って「・・・など」ということにならないことを願うばかりである。
※-2 小泉進次郎の履歴・経歴など
a) 手前の女房がどのくらいセクシーなのか,他者にはほとんど実感できない「真実」だということだが,この記述で問題にとりあげる「世襲4代目の政治屋」小泉進次郎が,9月下旬に予定される自民党総裁選では当選しそうな第1候補だ,という事前の評定がすでに広く出まわっている。
さて小泉進次郎は,つぎのような履歴・経歴をもっていた。ひととおり説明しておきたい。
生年月日は,1981年4月14日(43歳)。日本の元気のない政治には40歳台の政治家の登場・活躍が期待されているが,世襲も4代目までなっている事実は,すでにその3代目のせいで,この国の政治がすっかりダメだらけにされてしまった〈負の実績〉を踏まえていえば,
これは日本にのみ特有になっているが,「民主政」をそもそもダメにする基本要因にしかなっていなかった世襲の事実は,すでに明々白々であった。「地盤・看板・カバン」あっての世襲政治をなくせないこの国は,このままだとますますこれからも,万事に関して凋落傾向を昂進,加速させるしかない。
進次郎の出生地は神奈川県横須賀市。出身校は関東学院大学経済学部経営学科卒業,コロンビア大学大学院修了で,修士(政治学) (M. A. in Political Science)。前職,戦略国際問題研究所非常勤研究員,衆議院議員秘書。
関東学院大学からコロンビア大学大学院に進学したという事例は,多分前例がなかった経路だと思われる。ただし,ここでは絶対そういい切れるための完全なる証拠はないので,ひとまず「前代未聞かつ超高度の実例」とみなされて当然の,アメリカ風になる縁故入学の珍例だとみておくほかない。
b) これまたおそらく〔だといっておくのだが〕,その戦略国際問題研究所の非常勤研究員という立場も,名目上の職歴であって実質的にその研究成果がなにかあったのかについて,われわれの耳に入ってくるような「具体的な〈実績〉」はないと思われる。ともかくひとまず,そのように決めつけさせてもらう。
そもそもその戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies, CSIS)とは,アメリカ合衆国のワシントンD.C.に本部を置くシンクタンクである。1962年にジョージタウン大学が設けた戦略国際問題研究所(CSIS)が,のちに学外組織として発展したものである。
分かりやすくいうと,要は日本にとってのこのCSISは「ジャパンハンドラーの巣窟」みたいな,アメリカの国益にとってのみ役に立つ「日本側の子飼い」を育てることも,大事な仕事のひとつにする組織としてのシンクタンクである。
ところで,もっともというか,そもそも小泉進次郎がコロンビア大学・大学院に進学した(できた)のは,いわゆるコネ入学としか推理できない。そこで,彼がどのような勉強をしてきたのか一般にはなにも情報がない。
2019年9月,進次郎が「セクシー発言」をしたことぐらいか,または「おもてなしクリスタル:年増嬢」を嫁にとったくらいのイメージしかもてないこの「世襲4代目の政治屋」に,なにかを特別に期待することは,これを換言すると,これからの日本国の新規捲きなおしを彼に期待することは,かえって危険がいっぱいだけであるだけなく,不安にも満ちた要らぬ冒険にならざるをえない。これは必定である。
c) 進次郎の履歴紹介に戻る。
所属政党は,自由民主党(無派閥),配偶者は滝川クリステル(2019年からセクシーな,なんらかの手練手管で女房にゲット )。親族(男系だが)に小泉又次郎(曾祖父),小泉純也(祖父),泰道三八(大叔父),小泉純一郎(父)がいて,つまり「世襲4代目の政治屋」になっていた。
進次郎は関東学院大学からコロンビア大学大学院に進学したが,関東学院大学の偏差値はおよそ「37.5~40.0」付近とかで,一方のコロンビア大学の(大学院修士課程)は,世界大学順位ではとくに「コロンビア大学の経営大学院」になると,アメリカでもハーバードなどと並ぶ一流校であり,2023年の Financial Times のMBA(Master of business administration)ランキングでは,ハーバードを抑え No1の地位を獲得している。
もっとも,アメリカではブッシュ大統領(息子のGeorge Walker Bush)もあの,チョット大丈夫か,といった顔つきのアメリカ人であったが,イェール大学歴史学部卒(学士)であった。
進次郎もジョージも多分だが,情実入学(縁故によった正式の進学)で,コロンビア大学大学院修士課程とかイェール大学歴史学部に入れてもらえたものと推察しておくのが,おおよそ順当な観察と考えられる。
ともかく,小泉進次郎が5年前に「セクシー発言」をしたとき,われわれは,この男「頭は大丈夫か?」と疑問を抱いた人は大勢いたのではないかと想像できる。ユーチューブ動画サイト『一月万冊』の佐藤 章は,進次郎がこういっていた点をとらえて,この世襲政治屋もやはりダメだという評言を与えていた。
d) 進次郎はこういったのである。
「悲観的な考えしかもてない人口1億2千万人の国より,将来を楽観し自信に満ちた人口6千万人の国の方が,成功事例を生み出せるのではないか」と。
この発言は,いまの政府が人口減社会にどういう基本方針で臨んでいるかを明らかにしていたといえなくはないが,それにしても,いままで「やるべきことをろくに計画・立案も実行・手当もしてこなかった」くせに,いまごろにもなってからこのように,後追い的にヘリクツ同然の,つまり実に幼稚な発言をしていた。
問題なのは「いまの1億2千4百万人(2024年1月1日あたりの計算)」のこの日本国に関することなのであって,21世紀も末期になるころの話題もさることながら,いまこれをどうするかが大問題であるにもかかわらず,脳天気にもセクシーとかなんとかで,さすがに世襲4代目の政治屋「風」の駄弁を披露していた。
「売り家と唐様で書く3代目」という格言があったが,その4代目となるとそもそも「この話が成立しうる題材」になりうるのかと思うのだが,日本の世襲政治屋の圏内ではすでにその4代目まで登場していた。これには感心するやら大いに呆れるやら……。
ところで,「コロンビア大学大学院でなにを勉強してきたのかい,進次郎?」 具体的に教えてほしい。
こんな男が日本国の首相? 冗談以前のまたそのホラー以外の,本当に末恐ろしい今後しか予想できなくさせるようなその有力候補者,進次郎であった。
この男が次期首相候補に(自民党総裁に選ばれて)なったら,この日本はいよいよ本当に,ダメダメな国柄になる。
e) 森嶋道夫『なぜ日本は没落するのか』(岩波書店)は1999年に公刊されていたが,森嶋は多分,1世紀も先まで観察するまでもなく,日本は沈没状態になると警告していたのではなかったか?
今年は2024年であり,今世紀も4分の1が経過したが,この2倍の時間が過ぎるころには,「人口6千万人の〔この国の方が,成功事例を生み出せるのではないか」といったごとき,おそらく進次郎もいなくなるころの想定話を,お気軽に語るのは,正直いってただ,バカらしいの一言に尽きる。
人口問題の専門家にいわせるまでもなく,進次郎の人口6千万人説ウンヌンは,話題としてまともに相手するだけの価値がないどころか,居酒屋での与太話にもなりえない虚論であた。
少なくとも「一国の最高指導者の地位」に就くことを予想されるごとき人物が,そのような珍説以前・以外の与太話を本気で語ったとなれば,これから首相になってなどという話題は,国民全員の立場にとってみれば,恐怖物語の予鈴にしかなりえない。冗談で終わっていたことを切望したい。
以上の記述を踏まえてつぎは,例のセクシー発言をテコに使い,この「世襲4代目の政治屋」の本質的な特性=限界をさぐってみたい。
※-3「小泉氏『セクシー』発言,その中身は? 言葉の是非の先」『朝日新聞』2019年9月25日 11時00分,https://www.asahi.com/articles/ASM9S4S9WM9SUTIL02V.html
小泉進次郎環境相〔当時〕がニューヨークで開かれた国連気候行動サミットで,「気候変動問題に取り組むことはきっとセクシーでしょう」と英語で述べ,国内外で波紋を呼んだ。セクシーという言葉は,政治家として適切だったのか。
発言は〔2019年9月〕22日朝(日本時間 23日)の非公開会合後,主に英語で質疑が進んだ記者会見で飛び出した。出席が認められたのは海外の主要メディアと,日本からは新聞・テレビを代表して読売新聞とテレビ朝日だった。「セクシー」という言葉は,同じ会見に出席した国連気候変動枠組み条約前事務局長のクリスティアナ・フィゲレス氏が先に使ったという。
小泉氏は〔2019年9月〕23日,記者団に「セクシー」発言の真意を問われ,「それをどういう意味かって説明することじたいがセクシーじゃないよね」と話した。「対策としてクールは分かるがセクシーは会見で聞き慣れないのでは」との問いにも,「だからそれを説明することじたいがセクシーじゃないよね」とほぼ同じ言葉を重ねた。
補注)ちまたでそこらに居るお兄ちゃんが,この「セクシー発言」を放ったら,はたしてどう受けとられるか? おそらくその場だけの格好づけでそれっきりになる。たまたま「世襲4代目の政治屋・小泉進次郎」君が,しかるべき場所でそのように「発言したからといって」,それほどにまでまともにとりあげられるべき中身があったのか,あやしいものである。
要は,全然セクシーには感じられなかったが……(?)
〔記事に戻る→〕 発言は,ロイターが「sexy」を見出しにとり,「どう指導力を発揮するのかという点で詳細は語らなかった」と報じるなどした。国内ではツイッターで「キャッチーな表現だけれど,なにをしたいのかわからない」「計画的にしっかり行動で示すとだけいえばいい」といった声が上がった。
補注)「なにをしたいのかわからない」と環境相のときに指摘されていたというわけだが,この進次郎からはその後も,この「4代目の政治屋はなにをどう考え,なにをしたがっているのか」という点が,さっぱり伝わってこなかった。女房のクリステル・瀧川ならば,きっとよく理解できていたのかと忖度的に推理だけはしておく。
■「米国でも使う」との趣旨で…(これより以下は有料記事なので省略))
※-4「『セクシー』の意味,閣議決定 小泉氏発言で政府答弁書」『朝日新聞』2019年10月15日 18時19分,https://www.asahi.com/articles/ASMBH539TMBHULFA02C.html
この※-3の記事は見出し文句をみただけで吹き出した。それはともかく,引用・紹介したい。
政府は〔2019年10月〕15日,気候変動問題をめぐる小泉進次郎環境相の「セクシー」発言について,「正確な訳出は困難だが,ロングマン英和辞典(初版)によれば『(考え方が)魅力的な』といった意味がある」とする答弁書を閣議決定した。「セクシー」の意味や発言の趣旨をたずねた立憲民主党の中谷一馬衆院議員,熊谷裕人参院議員の質問主意書に答えた。
小泉氏は〔同年〕9月,国連気候行動サミット出席のため訪れたニューヨークで記者会見に臨み,同席者の発言を引用するかたちで「気候変動のような大きな規模の問題に取り組むことは,楽しく,クールで,セクシーに違いない」と英語で発言した。その後,日本の記者団から発言の真意を問われると,「どういう意味か説明することじたいがセクシーじゃない」と述べた。
補注)いくらか混ぜっかえしていっておくが,進次郎のこういった答え方じたいがいちじるしく「ノン・セクシー」であった。はっきり断わっておくが,もっと自分が賢く映るような発言をすべきであった。日本・日本人相手であるならば,なおさらのこと「日本語で表現すべきであった」。
セクシーだとかそうではないなどと,この4代目の世襲政治屋のボクちんは,いったいなにを本心としていいたく,訴えたかったのか? いまひとつその核心が伝わってこない。
そのところを「セクシー」だなどと,いささかならず「セクシーではない」発言をしたものだから,はたで真剣にこの話のやりとりを聞いた者としては,中曽根康弘流に表現された「知的水準」発言問題にまで思いださせられた。
進次郎にしても康弘にしても,肝心の自分たちにおける「セクシー度=知的水準」のありようを,事前によく再吟味してからその種の発言をすべきであった。セクシーとは,日本ではもちろん日本語での話題になっていたが,いうまでもなくとっかかりは,英語じたい,その意味から発していた。
〔記事に戻る→〕 熊谷氏は質問主意書で,記者団への返答が不誠実だとして政府の見解をただした。政府は答弁書で,政策的な質問にはこれまでの会見で誠実に応答しているとして,小泉氏の発言が「妥当でないとは考えていない」と回答した。また,直近5年間で小泉氏以外の閣僚が政策の説明などで「セクシー」という単語を用いた事例については,「見当たらない」とも回答した。
わざわざ「直近5年間」に限らなくとも,「小泉氏以外の閣僚」が「政策の説明などで『セクシー』という単語を用いた事例」は,あったわけもないはずだから,この種の質問を調査してみた官僚たちも「見当たらない」とも回答するほかなかった。実にくだらない応答がゆきかっていた。
※-5 鈴木貴博 ::経済評論家 百年コンサルティング代表「進次郎『セクシー発言』が意図せずスベった理由 ビジネスの現場でも確かに使われる英語だが」『東洋経済 ONLINE』2019年9月24日 12:40,https://toyokeizai.net/articles/-/304555
小泉進次郎環境大臣がニューヨークの国連本部で開かれた環境関連の会合で「政治にはさまざまな問題があって時に退屈だが,気候変動のような大きな問題への取り組みは,楽しく,かっこよく,そしてセクシーでもあるべきだ」と発言したことが話題になっています。
セクシー(sexy )という英語を辞書で引けば「性的魅力のある,セクシーな,性的な,挑発的な」( weblio 英和辞典)とあります。日本人政治家が英語でこのような独特の表現を使うことが珍しかったこともあり,ロイター通信が世界に打電したのがきっかけですが,そのニュースを耳にした日本人の間でこの発言が物議をかもすようになったわけです。
a) コンサルティング業界では多用される英語
そもそもですが,大きな問題への取り組み方法をめぐる議論の際に「セクシー」という英語を使うことはよくあることです。実際,むずかしい経営課題に取り組むことが多い経営コンサルティング業界では「セクシー」は多用されます。
たとえば,私たちコンサルの間では「戦略はセクシーなほうが有効性は高い」といういい方をよくします。具体例を出しましょう。
商品開発戦略において「他社との差異化に力をいれよう」といういい方はダサいので組織に浸透しにくいけれど,「商品開発コンセプトはシンクディファレント(think different=違った考え方)でいこう」というとよりセクシーないいまわしなので,関係者にもなにをすればいいのかがピンときます。ちなみに「シンクディファレント」はアップルの開発コンセプトです。
これはとくに,経営トップを相手にする経営コンサルティングの現場では至言です。アイデアは実行されてこそ意味がある。むずかしいことばかり口にしたり,たくさんの問題をひとつひとつ取り上げて細かいところを議論させたりするような経営手法は嫌がられます。
そうではなくひとことで大組織が動き出すような言葉があればそっちのほうがずっと力があるわけです。ですから「戦略はセクシーなほうが有効性は高い」という考え方は実用性があって,私たちコンサルタントも経営者もこの英語を結構よく使うのです。
似たようないいまわしとして「物理法則は数式がシンプルなほうが現実を表している」というものがあります。
アインシュタインの「E= mc2」やニュートンの運動方程式「F= ma」は数式として美しい。そしてそういったセクシーな数式は真実であることが後に証明されることが多いという経験則です。
哲学の世界にも「オッカムの剃刀(カミソリ)」という考え方がありますが,これもよく似た考え方かもしれません。
だから,環境問題のような難しい政治課題は「セクシー」な解決策を考えていくべきだという主張じたいは,ここまで炎上するほどの話ではないはずです。ではなぜ,今回問題になったのかというと,この「セクシー」という言葉の使い方にはあるテクニックが必要で,そこでスベったのが今回の炎上の理由なのです。
映画『不都合な真実』〔2006年〕が話題になった当時,イギリスのトニー・ブレア首相が環境問題についてメディアの前で語ったときに,当時はまだ珍しかったLED電球を手にしてこういったことがあります。「地球温暖化に関心がある人はこの電球をひとつ買ってほしい」と。
b) セクシーは具体策があるときに使う英語
こういったいい方が「セクシー」なんです。なにもブレア元首相がイケメンだからセクシーなのではなく,セクシーという言葉は具体策があるときに使う英語なのです。
実際,コンサル業界では「セクシー」を多用するといいましたが,セクシーという言葉が出る局面はかならず「ちょっと違う解決アイデアについてどちらがいいかを議論する」ような場合です。
狙っていることは似ているし,どちらも同じぐらいの規模の投資をおこなう施策があって,でもどちらかを選ばなければいけない。そのとき「発案者の顔を立ててこっち」みたいに選ぶのではなく「こっちの案のほうがセクシーだからこちらを選ぼう」というような使い方をする言葉なのです。
つまり具体策ではなく「これからセクシーな政策を考えますよ」というのは「いまからおもしろい話をします」というのと同じくらいダサいいい方でマイナスな効果がある。そこが今回,小泉環境相の発言が炎上した一番の理由だと私は思います。
最後にあえて本文では触れませんでしたが環境問題について議論をする世界では「グリーンセクシー」という言葉があります。環境問題というのは政治家も資本家もリップサービスするばかりでなんら具体案を出してくれない。
だからレオナルド・ディカプリオのようにいちはやくハイブリッド車に乗るような具体的行動をとる人を「環境にセクシーな人」としてもち上げることが地球環境問題の解決に向けたひとつの戦術になるわけです。
つまり,小泉環境相は今後どうすればいいのか? それは具体的にセクシーな行動を示せばいいわけです。ディカプリオのように。(引用終わり)
となると,その後における環境相としての小泉進次郎が,どのように「リップサービス」に終わらないように,自分の発言の「セクシー(さ)」を具体化(内容化)してきたのかと,あらためて考えてみたら,これが全然なかった。
環境省の大臣を務めていた進次郎であったが,「ことば遊びの夢域のみでセクシーという用語をもち出したに過ぎなかった」とすれば,すなわち,これほどセクシーではない発言はなかったことになる。
それにしても,以上のようにあれこれ書いている本ブログ筆者自身が,ここまで書いていて,相当に嫌気が差してきた。ということで,その当たりの「論点!?」をすっきり説明してくれる一文を,最後に引照してみたい。
※-6「逆風小泉進次郎氏,『演説の中身のなさ』を改めて検証する」『NEWSポストセブン』2019年10月1日,16:00,https://www.news-postseven.com/archives/20191001_1461441.html
この記事は最初に「評価が急落している小泉進次郎環境相(時事通信フォト)」という写真をかかげていた。これである。
a)「将来の総理」としきりと報じられた小泉進次郎・環境大臣に対し,突然メディアからの逆風が吹いている。多くはその発言に「中身がない」などとされる点だ。〔2019年〕9月30日付けの東京新聞では大きなスペースを割いて「言語明瞭,意味不明」と評された。
ここでは,国連での「セクシー発言」にくわえ,福島第1原発事故の影響で出た汚染土の最終処分場建設についての政府の対応について聞かれた時の以下の言葉を紹介した。
「30年後の自分は何歳か。発災直後から考えていた。30年後の約束を守れるかどうかの節目を見届けることができる政治家だと思う」
補注)これは前段で出ていた「人口6千万の話・・・」と瓜二つの発想にもとづく言動であった。ここまで聞いただけでも,この人に総理大臣は無理だね,という判断を下すほかない。しかし,それでもこの人に国家指導者の役目をそれでも与えてみようとするのは,大冒険になる。しかも成功する確率はきわめて低いそれとなる。
〔記事に戻る ↓ 〕
b) 他のメディアでもその “意味不明” な発言が報じられた。原発の汚染水処理問題について聞かれ,なぜか小名浜の漁協の組合長と喋った時に「ノドグロが好き」と話したことを明かしたり,環境問題について「いのままではいけないと思います。だからこそ日本はいまのままではいけないと思っている」と話したりした。
補注)政治「家」が「いまの話」をすべきところで,そのTPOを考慮すべき場に対面したとき,進次郎はたびたび何十年も先に話しをズラした話法に走っていた。時期的にはもとよりその展望すら困難な,ずっとあとの話にずらすその話法になっていたとしたら,これはまずい。論点外しを意味するからである。
〔記事に戻る→〕 現在多くのメディアが同氏の発言に疑問符をつけはじめているが,そもそも同氏の過去発言には,「そこまで内容はないのでは?」というものが散見される。
2009年の初当選時は「解党的出直し,新党のつもりで,もう一度再建しなければいけないという思いでがんば張っていきたい」(朝日新聞デジタル版)と述べており,これは野党時代の自民党議員としてまっとうだ。だが,大臣になったいまこそ,過去の演説や発言はいま振り返っておいた方がいいだろう。
補注)ところで,こんどはそれも「総理大臣:首相」の地位が近づいているかもしれない進次郎が,これからもそのように,「中身が具体的に指示できない」「先の先にならないと明確には具体像が浮かぶわけもない〈想像話〉」を語るのが得意だとなれば,これは困る。
c) 小泉氏について,ネットニュース編集者の中川淳一郎氏は「声の良さと通りの良さ,そしてそのイケメンっぷりから多くの人が勝手に『いいことをいっている』と思っていたところがあったのでは〔と疑いの念を示していた〕。
いままでの一議員の立場ならば,まだそれでも良かったかもしれないが,国を代表して国連の環境関連の会議に出席したり,原発事故や放射能関連の発言をする場合はこれまでの『なんか立派そうだな』的な話法は通用しないのでは」と語る。
では,小泉氏は一議員だったころ,どんな発言をしてきたのか? 今回,彼が最近行った演説で,その特徴がわかる部分をピップアップした。
2019年4月,〔令和への〕改元前月の統一地方選で茅ヶ崎市の候補の応援演説をした時の小泉氏の演説の一部を文字起こしした。結論としては「いままで,この人ががんばってきましたが,これからは彼の後を継ぐこの人にぜひ投票してください」というものである。
なにしろそこに至るまでに長いのと,立派なことをいっているものの,話が飛びまくるのが特徴だ。以下,同氏の演説書き起こしである。
◆「政治に無関心であるということは,無関心のままでいられると思います」
補注)「ウッ,なんのことか?」 いったい「なにをいっているのか?」 「同義反復だとしてもよく解釈できない表現」であって, 「この人もしかすると ✕ ✕ か?」〕
〔記事に戻る→〕 「変わってはいけないこと。それは平成の時代は日本にとって戦争がない,そういう時代であったように,つぎの令和の時代も戦争のない平和な時代にしなければいけません。それは絶対に変わらない」。
「そしてもうひとつは,令和の時代をいい時代とするか,そうではないとするか。それはすべてにおいてわれわれ1人ひとり人の意思と覚悟にかかっています。だから,皆さん,一緒に来月から始まる令和という新時代を1人ひとりのなかで必ずいい時代にしようと思って来月〔2019年〕5月1日を迎えようではありませんか」。
「それをいまから1か月も前から,新たな時代に向けた力強い意思と覚悟を共有できるそのきっかけを作ってくださったのが,いままでの改元にはない,陛下の生前退位に伴うわれわれがつぎの時代を事前にわかるということの意味でもあるのです」。
「ですから,この選挙,どうか茅ケ崎の皆さん,政治に無関心であるということは,無関心のままでいられると思います。だけど,政治に無関係でいられる人はいません。なぜなら,良くも悪くも,皆さんに関心があろうとなかろうと,法律を変えたり,条例を変えたり,新たな制度を作ったり,そういったことをやる責任がわれわれにはあります」。
「今日から始まったことはなんですか? 今日から始まったのは働き方改革。これも,新しく有給の5日間の義務化が今日から大手の企業では始まり,来年(2020年)からは中小企業でも義務化が始まります。また,いままでになかった,長時間働きすぎて過労死にならないように,そして体調や健康を害さないように,残業時間も含めて長時間の残業に規制がくわえられたのは今日から始まるんです」。
「お子さんたちを連れてきてくれたお母さんもたくさん来ています。子供たちの育ち,学び,これから本当に大切になるから。来年から小学校でプログラミングが必修になります。そういう時代なんです。人工知能が出てきた。自動走行車も恐らくこれから当たり前になるでしょう」。
「さまざまなことが出るなか,とくに幼いころ教育をしっかりやることがその子の一生にとって決定的に大事な時代になるからこそ,来年から小学校からプログラミングの授業が始まったり,そして今年〔2019年〕の10月から消費税が10%に上がったとしたら,その時から幼児教育の無償化が始まるのがなぜかといえば,その子供たちに投資をしてでも,幼いころからしっかり教育をしなければ一生安心して暮らすことができなくなるから,なんとか投資をしなくてはならないということで」・・・
補注)この最後の段落に語り方なると,「ウーン,この人,なにいってんの,なにをいいたいの,という印象」。だいたいまじめに聞いていたら「なにをいっている」のか,というか「いいたいのか」。聞かされているほうの脳細胞が,ヨレヨレのグダグダ,ダレダレに混迷しそうになる。
〔記事に戻る→〕 「いままでにはない判断だけど,消費税を上げて,税収が増えて,その増えた税収の使い道のひとつに子供向けに使っていくという新しい国造りをやろうとしているのは,人生100年時代」。
「高齢者の方々に消費税は使います,といういままでの医療と年金と介護,この3つに消費税の税収が使われていたところをこの3つに加えて新たに子供,子育てにも使います,というのは新たな時代へのわれわれの備えです。この茅ヶ崎は,全国でも医療費などが低い街なんです。高齢者も含めて元気なんです。あまり病院にいかない。介護などのサービスに使わない。それでも元気でいられるから,その街作りをやって来たのが永田さんなんです。その永田さんの後を追い……」。
〔以上の進次郎式の話法は〕 新元号や政治に関心をもつことの重要性を説いたかと思えば,突然「働き方改革」の話に飛び,次いで教育の重要性やプログラミングに関する話題になる。とにかくテーマが飛びすぎるのである。
新聞に登場するような新しい言葉をまぶしておけば,それなりにその場では説得力がありそうな雰囲気になるのだが,上記演説,文字で読んではたして心に響くか。自民党候補の応援に繋げるために,ここまでまわりくどい表現をしているのだ。
人気の芸能人の場合,ステージ上でなにかをいえばファンは歓声をあげてくれるもの。それがこれまでの小泉氏のポジションだった。ところが,閣僚になったことで,発言の “重み” が変わったことが,昨今の同氏への疑問の声に繋がっているのではないか。(引用終わり)
以上で『NEWSポストセブン』を終えるが,さてこの「世襲4代目の政治屋」がこんどは日本国総理大臣になる可能性が一番大きいと,もっぱらの評判である。しかし,閣僚になったことで,発言の“重み”が変わったことが昨今の同氏への疑問の声に繋がっている」点がなんら改善すらされないまま,
こんどは首相にこの人がなるかもしれないという大方の予想になっているのだから,そうなったら「日本沈没」への方途は,さらにアクセルを強く踏まれてしまい,さらに加速されることになりかねない。
昨今の日本,森嶋道夫『なぜ日本は没落するのか』1999年に,なんとまあ馬鹿正直に応えていることか。
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【参考記事】-これは長めの『日刊ゲンダイ』の記事となるが,小泉進次郎をかつぎあげたところで,いまさらどうしようもない自民党を批判する-
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