日本なりの強権・専制支配体制とマスコミ・メディアの凋落傾向とは,故・安倍晋三政権以来「この国の民主政」が忖度的に破壊されつくしてきた道程の正直な反映
※-1 民主主義国家体制を溶融させた安倍晋三の悪政・失政・愚政
a) 民主主義(デモクラシー・民主政・民主制)とは,教科書どおりに説明すれば,「組織の重要な意思決定を,その組織の構成員(人民・民衆・大衆・国民)がおこない,すなわち,国家の構成員が最終決定権(主権)をもつという政体・制度・政治思想である。その概念や理念,範囲,制度などについては,古代より多くの主張や議論がある。
以上のごとき民主主義という政治の概念を念頭に置き,21世紀におけるこの国(日本国)の現状を考えようとするとき,正直いって絶望的な気分にならざるをえない。
最近は,東京都知事小池百合子の学歴詐称疑惑問題に典型的に現象させられているが,「うその嘘によるウソのための政治」があたかも日本政治のモットー(規範型)でありうるかのような,政治価値観としては完全に逆立ちした,この倒錯した事態が平然とまかり通るしかない,その体たらくも極限させ突き抜けたごとき「この国の内情」を呈している。
「故・安倍晋三の国政」と「カイロ大学卒業資格の実力・学力などもつわけもない小池百合子の都政」は,その内情を典型的に表現していた。つまり彼女の都政における采配ぶりは,この国の「恥辱」を意味してきた「日本の政治のまことにみっともない実情:中身」を,長年にわたって隠すことなどもなく,日本国内のみならず世界中にさらしてきた。
とくに国政の次元では「世襲3代目の▲カ政治屋たち」が幅を利かし,その大きな顔をさらしながら,「政治的な実力も人間的な魅力も」根本から備えていない立場からであっても,この国のまつりごとを壟断している始末であったから,これ以上この国がよくなりそうだといった期待は,まったくもてない「政治4流・経済3流」の国家の態様になりはてている。
b) 以上のごときに「日本の政治」の現況をこき下ろして語るまでもないのだが,21世紀にはいってからのこの国は,森嶋道夫が1999年に公刊した著作『なぜ日本は没落するか』岩波書店をもって,すでにバブル経済が破綻したのちのこの国を進路に待ちかまえていた暗礁を指さし,これに注意せよと警告していたわけだが,肝心のこの国の人びとは,とくに政治家たちはその指摘を理解するための基本的な感性すらもちあわせていなかった。
森嶋道夫のその本は,こういう点を指摘していた。世襲政治にも言及していた。
この森嶋道夫の「日本政治批判」は世襲の2代目に触れていたが,いまどきの日本ではすでに3代目から4代目の世襲が現実の姿になりつつあって,しかもこの世襲政治は,世界のなかでいちおう先進国といわれていた諸国家のなかでは,異様なまで繁殖してきた。
本日のこの記述にとって直接関連する指摘をも,森嶋道夫は与えていた。それは「日本のテレビは」「きわめて娯楽的--しかも品の悪い--である。そのような状態のもとで,りっぱな政治教育が,今後日本でおこなわれるとは考えられがたい」と断言した点に表現されていた。
21世紀の最初の10年代(2000-2009年)が終わるころ,日本の政治は自民党政権が民主党政権に移行するといった「本格的な政権交代」を体験しえたものの,その2周目の10年代(2010-2019年)になると,あの「世襲3代目の政治屋」の極悪的な見本であった安倍晋三が登場したところで,いよいよ本格的に腐敗・堕落の急坂を転落していく「政治過程」を,それも絵に描いたかのように推進させてきた。
例の表現,「売り家と唐様で書く三代目」(読み:ウリイエトカラヨウデカクサンダイメ)という警句そのものの体現であった「安倍晋三の第2次政権」が,この国の「政治と経済」を,あのアベノポリティックスとアベノミクスによって,本当に破砕するための為政をおこなってきた。
c) 安倍晋三が第2次政権時を2012年12月26日から2020年9月16日まで担当してきたがために,この国はすっかり「政治4流・経済3流」になり下がってしまった事実は,現在の2024年の4月下旬段階になってみれば,われわれ庶民の生活感覚からしても,いたく実感させられている。
最新のニュースとしてだが,「〈ビジネス TODAY〉東京ディズニー,実はホテル大手 1泊30万円開業の勝算」『日本経済新聞』2024年4月23日 17:11,20:00 更新 という〈つぎに引用するがごとき記事〉に接したとき,安倍晋三が自国経済をデフレ状態のままに押し殺してきたこの種の顛末は,
外国人観光客がもたらすインバウンド景気を呼びこんだものとはいえ,実質生活面ではそれとほとんど無縁である一般庶民の経済事情からみて,まるで「雲の上の坂」のそのまた向こうのほうにそびえ立つ豪華ホテルの話題としてしか聞こえず,ただため息しか出ない。
ところで,外国人観光客が集中している観光地では,ここでもっぱらの外国人たちを相手にするたとえばラーメン屋は,一杯2000円の値段で商売している。この話を聞いたのはだいぶ以前であったが,さらに最近は「いや3000円のところもあるぞ」という話まで聞かされていた。
こうなると,いまこの国において労働者たちが働いてえている「平均的な年収」のその「中央値」は,2022年後半から2023年前半ごろに関した推計値となるが360万円であり,その単純な平均年収は414万円であった。
直近で(4月24日 6:23)の,ドル円為替レートは「154.78-154.84」円であった。安倍晋三の第2次政権以前,民主党政権の時期には80円を切るそのドル円レートになっていたのだから,すでにその2分の1,半分近くにまで対・ドルの「円の価値」が低落した。
d) 以上は労働経済や国際経済の領域における話題であったが,アベノポリティックスがとくに日本のマスコミ・メディアを破壊してしまい,その報道機関として本来果たすべき役目・機能を絞殺してきた「過去歴」が,2024年の現段階になってみれば,それこそ取りかえしのつかない惨状を出来させた。
いわゆる「忖度の政治」は,安倍晋三の「モリ(公文書改竄問題)・かけ(お友だちへの縁故政治),桜(私物化政治)」や国家統計の改竄,国会でのウソ公認回数118回などの不正をめぐって典型的に発揚されてきた。
民主主義の基本理念など頭から否定,これを粉砕するためだけの脳しかもたなかった,しかも,自分は岸 信介の孫なのだと誇らしげに語れたアベ君であったからか,「総理大臣」として自分が残した「負の成果」を認知できない立場をきわだたせていた。
安倍晋三はさらに,マスコミ・メディアに対するただ単に否定的な弾圧を常套手段と悪用してきた。そうした状況が構築されていったなかで,このマスコミ・メディア側が萎縮させられてしまい,本来であれば言論界が堅持すべき理念や精神を喪失していった。
そうした言論界が萎縮・退廃していくなかで,21世紀になってからの広告業界には基本的な変質が生じていた。いうまでもないが現状は,既存のマスコミ・メディアの凋落傾向に対する,インターネットの勃興・普及がより顕著になっている。
とりわけ,広告業界に対してどのような変質と展開がもたらされているのかという点に注目しつつ,しかも「政治と経済のからんだ網状の様相」として読みとるかたちを採ってとなるわけだが,これについてはさらに問題意識を抱いて観察する必要があった。
※-2 魑魅魍魎男・稿「視聴率急落で『死の谷』にはまったテレビ局の苦悩 激減するテレビCM収入を配信で補う日は来るか」(東洋経済)『阿修羅 掲示版』2024年4月22日 03:09:14,http://www.asyura2.com/23/holocaust7/msg/432.html
まず紹介するこの記事そのものは,「テレ朝が首位浮上,フジは長らく低迷 東洋経済」「視聴率急落で「死の谷」にはまったテレビ局の苦悩 激減するテレビCM収入を配信で補う日は来るか」『東洋経済 ONLINE』2024年4月15日,https://toyokeizai.net/articles/-/747634 である。
この記事は,一般的な印象としては華やかな世界に映るテレビ業界が,最近はそれほど隆盛を極めつづけているわけではない実情を伝えている。以下に引照する。
--「死の谷はいつまで続くのか」 いま,テレビ局の将来をそう憂う声が日増しに強まっている。
電通が2月に発表した「2023年 日本の広告費」によると,日本の総広告費は過去最高の7兆3167億円を記録した一方,地上波テレビの広告費は前年比4%減の1兆6095億円となった。
コロナ禍では,ネットフリックスや U-NEXT など動画配信サービスの利用者が急増。それに押されるかたちで2021年以降,地上波テレビの視聴率は低下に拍車がかかり,テレビ局の収益柱である広告収入の減少がいっそう鮮明となっている。(以下略)(引用ここまで)
ということで,この事実を紹介した人物「魑魅魍魎男」氏は,つづけてつぎのように,自分の意見を述べていた。なお,この人物は『東洋経済 ONLINE』の当該記事から,以下の図表を取り出し,紹介していた。
これは事実経過そのものを現わした図表ではあるが,とても興味深い事実を伝えている。注意したいのは,ここに記入されているテレビ4局(いずれもキー局)の視聴率「合計」そのものが低落傾向をたどっており,とりわけ2020年代になるとその傾向はきわめて明確になってきたことである。
魑魅魍魎男氏はつぎのように意見を開陳した。
--英米のテレビ局はどこも視聴率低迷に苦しんでいますが,日本も同じです。インターネットのせいではありません。新型コロナやワクチン,ウクライナやガザの戦争について,デタラメばかりを報道しているので,視聴者に見放されたのです。
補注)「インターネットのせいではありません」というのは極論であり,事実そのものではなく,誇張をいくらか混ぜこんだ反喩的な表現である。
〔記事に戻る→〕 真実を報道すれば必ず視聴率は上がりますが,もちろん上からの圧力でそれはできません。どんどん地獄の底,視聴率ゼロに向かって落ちていきます。自業自得です。
(関連情報)「CNNがこの9年間で最低の視聴率に苦しんでいる (MSN)」(拙稿,2023/2/4)http://www.asyura2.com/22/iryo10/msg/614.html(以下,後略)
魑魅魍魎男氏が「テレビ業界の沈滞・低落傾向のきざし」をとらえて説明しようとしたさい,これは「インターネットのせいではありません」というのは,いいすぎであり,事実を直視していなかった。
ここからは,魑魅魍魎男氏が引用しなかった『東洋経済 ONLINE』の当該記事:段落をさらに参照しつつ議論していきたい。
※-3 テレビ広告よりもインタネット広告に重心が移動
この※-3では,前項の最後でいった『東洋経済 ONLINE』の引用の続きを紹介するまえに,つぎの記事を画像資料の形式になるが紹介してみたい。
電通がまとめて報告した「2023年における広告費」の解説である。
--以下においては,「テレ朝が首位浮上,フジは長らく低迷 東洋経済」「視聴率急落で「死の谷」にはまったテレビ局の苦悩 激減するテレビCM収入を配信で補う日は来るか」『東洋経済 ONLINE』2024年4月15日から,まだ引用していなかった「続きの段落」のほうから紹介したい。
テレビ業界の今後を占ううえで非常に重要な要因が,視聴者の獲得をめぐる「自社商圏の確立とその収益化」の方途は,前途多難であっても各社が,絶対に退くことなどできない「未来市場に対する積極的な開拓」が目前に開けている。
以下,前記記事からの引照となるが,適宜に取捨選択しているゆえ,中略した段落がたくさんある。
a)「3冠獲得」に燃えるテレ朝
日本民間放送連盟(民放連)の定める放送基準では,節度ある広告などを目的に,週間でのテレビCMの時間を総放送時間の18%以内とする規制が明記されている。
放送できるCMの本数(時間)に限界がある以上,カギを握るのはCM1本当たりの単価だ。一般的に,視聴率が高いほど広告主がCM1本(15秒)に対して支払う広告費も上がるとされる。そのためテレビ局にとっては,自社の視聴率がそのまま広告収入に直結するといっても過言ではない。
(なお,この段落のあいだに,前段に引用・紹介した「民放キー局の年間平均視聴率推移」という図表が挿入されていた)
その視聴率をめぐり,並々ならぬ闘志を燃やしているのがテレビ朝日だ。〔2024年〕3月26日に開かれたテレビ朝日の社長定例会見の冒頭,篠塚浩社長は2023年度の視聴率について,つぎのように述べていた。
「昨日までの段階で,個人全体では(中略)2冠という状況だ。世帯視聴率では3冠。今日を含めて残りあと6日,最後まで全力を尽くしていきたい」
テレビ視聴率には,世帯単位の視聴率である「世帯視聴率」と,個人単位の視聴率である「個人視聴率」の2つがある。さらに時間帯ごとの区分として,全日(6~24時),ゴールデン(19~22時),プライム(19~23時)という3つの指標がある。
それらいずれの時間帯でもトップをとれれば「3冠」達成となる。
テレビ朝日は昨〔2023〕年3月に発表した中期経営計画で,2025年度までに年間・年度での個人全体視聴率で3冠をとることを目標にかかげている。2023年の年間視聴率は開局以来初の世帯3冠,個人全体2冠を獲得。長年王者であった日本テレビは首位陥落となり,いまやテレビ朝日が “視聴率王” に躍り出ている。
「2023年の年間高視聴率番組ランキング」(この表も割愛した)
「相棒」や「科捜研の女」など,定番シリーズ番組を複数抱えるテレビ朝日。テレビ視聴率を調査するビデオリサーチが公表した,2023年の年間高視聴率ランキング(関東地区)の上位に同社の番組が多数入っている状況からしても, “視聴率王” の座に違和感はない。
しかし,あるキー局の社員は「テレ朝の視聴率が高いのは高齢者の視聴割合が高いから。在宅時間の長い高齢者はテレビの視聴時間も長い」と指摘する。
b) 現役世代に強い日テレの底力
ビデオリサーチが2020年3月から開始した新視聴率調査によって,いまでは視聴者の人数だけでなく,性別や年齢層も詳細に把握できるようになった。
そうしたなか,長らく視聴率王であった日本テレビは今〔2024〕年4月の番組改編から,13~49歳の男女の視聴率を「コアターゲット」視聴率として重視する戦略(コアMAX戦略)を明確に打ち出している。
(中略)
c) 民間キー局の放送収入と視聴率の比較
日本テレビはコアターゲット視聴率で,テレビ朝日を含めた他のキー局と大差を付けている。個人全体の視聴率では2位に後退した日本テレビが,いまなお放送収入で頭一つ抜けているのには,こうした現役世代への強さも関係している。
(中略)
いうまでもなく,個人全体,コアターゲットいずれの視聴率も高いことが理想だが,視聴者の数だけでなく中身の違いも,テレビ局の収入を左右する時代へと変わりつつあるようだ。
d) テレビ以外の場での競争が熾烈化
もっとも,テレビ離れじたいに歯止めをかけられないなか,王者の日本テレビでも広告収入の減少は深刻だ。そこでいま,テレビ局の間では,“テレビ以外の場”での競争が熱を帯びてきている。
それが民放キー局・準キー局などが出資する配信サービス「TVer」だ。2022年から民放5系列で地上波番組との同時配信を開始し,足元では急速にユーザー数を伸ばしている。今〔2024〕年3月の月間動画再生数は 4.5億回を突破し,過去最高を更新した。
TVer の薄井大郎取締役は,「以前までTVer で番組を配信するのを控える動きもあったが,サービスの急拡大に伴い(TVer に対する)業界全体からの期待の高まりを非常に感じる」と手応えを語る。
そのうえで,「いまのユーザー数で良しとも思っておらず,昔のテレビのように毎日見られるような国民的なサービスにしたい」と意気ごむ。
TVer などの配信サービス経由の収入拡大は,視聴率低下にあえぐテレビ局にとってはまさに最重要課題である。TBSも番組の視聴率だけでなく,その後の配信収入などまで含めたコンテンツのLTV(ライフ・タイム・バリュー)を重視する戦略を打ち出している。
ただ,TVer などの配信広告費は拡大しているとはいえ,テレビ広告費の急速な縮小にはまったく追いついていないのが実情だ。
補注)このTVer の話題に関連しては,こういう変化に注目する余地がある。
note プロデューサー / ブロガー徳力基彦の寄稿「テレビ経由のユーチューブ視聴,3800万人超に」『日本経済新聞』2023年12月29日 4:00,https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC243AN0U3A021C2000000/ という話題がさらにあった。これについては別に次項を用意して記述する。
e) テレビ広告費と配信広告費の推移
ある放送業界関係者によれば,TVer の収入がテレビ広告の収入減を補えるようになるまでの期間を,テレビ局や総務省関係者らは「死の谷」と呼んでいる。一般的には,ベンチャーなどが事業を黒字転換させるまでの期間を指す言葉だが,開局から半世紀以上が経つテレビ局も目下,その “谷” にはまってしまっているわけだ。
TVer の収入増に向けては,広告主に対する認知度拡大が不可欠となる。「クライアント(広告主)側は4マス(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)担当とデジタル担当で分かれていて,その中間のTVer をどちらが担当するか,明確になっていない場合が多い。 ”ポテンヒット” のようになってしまっている」(TVer の古田和俊執行役員)。
f) 視聴者受けする番組に違いも
テレビ局にとって悩ましいのは,「テレビでの高視聴率番組=TVer での人気番組」という方程式が成り立つわけではない,ということだ。
(中略)
昨〔2023〕年は,莫大な制作費を投じたとされるTBSのドラマ「VIVANT」が大ヒットとなった。一方,視聴率では伸び悩んだフジテレビのドラマ「あなたがしてくれなくても」がTVer 総再生回数では5600万を超え,TVer アワード 2023において「VIVANT」を差し置いてドラマ大賞を受賞している。
(中略)
テレビ広告収入に比べて配信収入が圧倒的に少ない現状では,手堅く視聴率をとれる番組を作りつつ,配信向け番組を強化していくという,絶妙な番組編成の舵取りが求められることになる。
視聴率とTVer の再生回数という二兎を追い,死の谷を越えられるのか。厳しい戦いになるのは間違いなさそうだ。
※-4 note プロデューサー / ブロガー徳力基彦の寄稿「テレビ経由のユーチューブ視聴,3800万人超に」『日本経済新聞』2023年12月29日 4:00,https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC243AN0U3A021C2000000/
グーグル日本法人のイベント「 YouTube(ユーチューブ) Brandcast 2023」でユーチューブの最新の数値が発表され,話題となっている。
日本国内における18歳以上の月間ユーザー数は7120万人となり,さらに「コネクテッドテレビ」と呼ばれるネット接続したテレビを通じたユーチューブの月間ユーザー数は3800万人を超えたというのだ。
2021年3月時点で,この数値が2000万人だったことを考えると,2年3カ月の間に,倍近くに増えたことになる。日本の世帯数が約5500万とされていることから考えると,単純計算で7割近い家庭がテレビでユーチューブを視聴していることになる。
こうしたユーチューブの存在感アップと反対に低下しているのが,地上波テレビの視聴率だ。テレビ放送をリアルタイムで視聴していた世帯の割合は,1997年〜2020年まで20年以上かけてゆるやかに46%から40%に下がってきていたが,2021年度上期から22年度下期にかけては,たった2年で40%から32%へと急減しているのだ。
日本は世界的にみてもテレビが強い国といわれ,現在でも地上波のテレビ番組がSNSの話題の中心を占めるなど,その影響力はまだまだ大きいが,この2年間でその影響力のシフトが大きく進みはじめていると考えられるのだ。メディアの主役がテレビからネットにシフトする可能性が高くなっているといえる。
もちろん,広告費の分野においては,すでにネット広告費がテレビメディアの広告費を2019年の段階で逆転しているだけではなく,2021年にはネット広告費が「新聞」「雑誌」「ラジオ」「テレビ」のマスコミ4媒体の合計額を上回っている。
補注)この段落については前段,※-3がこのあたりの事実に関する最新のデータを提示していた。
そういう意味では広告費においては,すでに業界の中心はネットに移っていると考えることも出来る。
さらに,この状況を加速させる可能性があるのが,現在大きな騒動となっている旧ジャニーズ事務所の性加害問題をめぐる動向だ。現在,地上波テレビ局のほとんどが,同事務所の所属タレントの新規番組起用を停止しているが,これによりファンによるテレビ視聴が減少することで,さらなるテレビ視聴率の低下が懸念されているのだ。
もちろん,こうしたテレビ視聴率低下の背景には,テレビ局の番組じたいがTVer やネットフリックスのような動画配信サービスで視聴することができるようになったり,テレビ局自身がユーチューブや TikTok などのネット動画プラットフォームに注力していることも影響している。
実はテレビ番組をネットで視聴することもできるし,ユーチューブのようなネット動画をテレビ端末でも視聴することができる時代に突入しているわけで,もはやメディアを媒体毎に区切って議論することじたいが無意味な時代になっている,ともいえるわけだ。
こうしたメディア環境の変化は,企業のマーケティングに大きな影響を与えるのは間違いない。すでにに多くの企業が媒体別の担当構成や,組織構造を見直し,新しい時代のマーケティングに備えている。まだその準備ができていないのであれば,早期に議論をした方がよいだろう。(引用終わり)
※-5 テレビ朝日の問題-安倍晋三の第2次政権時代に「地に墜ちた日本の政治」-
日本のマスコミ・メディア業界に影響を与えている〔与えてきた〕のは,その中核になっていたのは,しかも前項※-4が語った内容に即してすなおにその点を解釈したら,必らず勘違いしそうになることがらがあった。
本当は,たとえば新聞の購読者であり,テレビの視聴者であり,ユーチューブ動画サイトの視聴者である「われわれの側」に,その中核は存在していなかった。
安倍晋三の第2次政権時にこの国の言論機関としての言論・放送業界は,実質,完全に没落したと極論されてけっして不思議ではないくらい,つまり,端的にいえばダメ(腰抜け同然)になっていた。
たとえば,まともな大手紙であれば以前は,この新聞社の存在のことを「第4の権力」だと指称されたものだが,このごろはすっかり「吠えない犬」も同然になっており,むしろ政権側の腰巾着になっていた。
以下に紹介する「参考文献の紹介:アマゾン通販」から選んだ同一著者の本4冊は,その点を真っ向から指摘・批判していた。
この※-5は「テレビ朝日の場合」に触れるつもりであったので,その事実に言及したネット記事『リテラ』からの「2つの記事」を,つぎに紹介することにしたい。
その2本ともやや長めの記事であるが,核心を突いた批評をおこなっていた。なにが,どのような問題となって,日本の言論・報道機関を腑抜け(忖度しかできないマスコミ・メディア)に転向していたかが,批判的に議論されている。
※-6「テレビ朝日が幻冬舎の宣伝機関と化している! 見城社長と関係か」『リテラ』2014.07.24 08:00,https://lite-ra.com/2014/07/post-271.html
本サイト(『リテラ』)でも既報のように,20万部超のヒットとなった『食べものだけで余命3か月のガンが消えた 全身末期ガンから生還した,私のオーガニック薬膳ライフ』(高遠智子 / 幻冬舎)に虚偽・経歴詐称疑惑がもちあがっている。
『週刊新潮』(新潮社)〔2014年〕6月19日号では,著者の高遠智子氏がかかっていた「スキルス性の卵巣がん」という病気が存在しないという指摘を受け,続いて『FLASH』(光文社)〔2014〕7月15日号でも「本に書かれていた放射線治療法が医学的にありえない」という疑問が投げかけられた。
さらに『FLASH』では,パリ・リッツホテルの料理教室に4年通い,北京中医薬大学の薬膳専科に1年間留学していたという高遠氏の経歴がいずれも現地の記録になく,詐称の可能性があることも報じられた。
がんという生死にかかわる問題で,虚偽の経歴と虚偽の体験談をでっちあげ,自分の薬膳料理を喧伝していたとしたら,著者の行為はきわめて悪質だといわざるをえない。
もちろん,版元の幻冬舎の責任も重大だ。幻冬舎といえば,カリスマ編集者の見城 徹氏が1993年,角川書店を退社し設立した出版社だが,設立以降,毎年のようにベストセラーを生み出し,いまでは小学館や講談社とも肩を並べるほどの存在になっている。
そんな大手出版社が詐欺商法まがいの出版物を出していたとしたら,それこそ信用問題にかかわるだろう。
しかし,この問題ではもうひとつ,責任を追及されるべきメディアがある。それはテレビ朝日の朝の情報番組「情報満載ライブショー モーニングバード!」だ。同番組は『食べものだけで余命3か月のガンが消えた』発売から1ヶ月後の〔2014年〕6月6日に「週刊人物大辞典」というインタビューコーナーで,著者の高遠氏を大々的に紹介。その売れ行きに大きく貢献しているのだ。実際,書店のデータをみても,同書は「モーニングバード」放映を境に売れ行きが倍増している。
佐村河内氏のゴーストライター騒動では,ブームの火付け役となったNHKが検証番組を放映しておわび。同氏を紹介した民放各局も軒並み謝罪をする事態となった。
だとしたら,虚偽記述や経歴詐称がもちあがっているこの『食べものだけで余命3か月のガンが消えた』についても,テレビ朝日は一刻も早く,放送番組審議会などで論議し,その真偽を視聴者にきちんと説明すべきではないだろうか。
だが,おそらくテレビ朝日の放送番組審議会がこの問題を取り上げることはないだろう。なぜなら同審議会の委員長は『食べものだけで余命3か月のガンが消えた』の版元である幻冬舎の見城 徹社長だからだ。
「テレビ朝日が幻冬舎の本の疑惑を検証することなどありえない。むしろ,最近のテレビ朝日は幻冬舎とべったりの関係で,同社の宣伝装置と化しているんですから」
こう話すのは,当のテレビ朝日関係者だ。実際,見城社長が同局の放送番組審議会の委員になった2003年以降,幻冬舎とテレビ朝日の関係は非常に緊密になっている。
「モーニングバード」には幻冬舎取締役で見城氏の右腕といわれる舘野晴彦氏がコメンテーターとして出演。同番組や昼のワイドショー「ワイド! スクランブル」ではやたら,幻冬舎の本やその著者が取り上げられるようになっているのだ。
たとえば,『置かれた場所で咲きなさい』は2012年3月の発売だが,翌5月の「ワイド! スクランブル」に著者の渡辺和子氏が出演している。
岸 惠子が幻冬舎から小説『わりなき恋』を出版したさいも,2013年3月29日に「モーニングバード」,4 月3日に「ワイド! スクランブル」と,両方でインタビューを受けた。
『人間にとって成熟とは何か』も,著者の曽野綾子が2013年10月29日の「モーニングバード」と10月30日の「ワイド! スクランブル」に立てつづけに登場して,本を紹介するパブリシティを展開した。
最近も2014年5月15日に,ヒット中の『しない生活 煩悩を静める108のお稽古』著者の小池龍之介が「モーニングバード」に,同年6月27日には『ビビリ』を出版した EXILE の HIRO が出演している。
しかも,これらのほとんどは,人物密着やロングインタビューというかたちで,放映時間も長く,かなり大々的に本のことを紹介しているのだ。大手出版社の営業担当も苦々しげにこう語る。
「とにかくテレビ朝日での幻冬舎本の取り上げられ方はちょっと異常です。最近は,発売直後に『ワイド! スクランブル』『モーニングバード』に紹介させて,弾みをつけるというのが幻冬舎の本の売り方のパターンになっている」
今回,虚偽記述と経歴詐称が問題になっている『食べものだけで余命3か月のガンが消えた』もまさにこのパターンで,「モーニングバード」に取り上げられた。
こうした番組での大々的な宣伝の裏に見城社長の直接的指示や圧力があったかどうかはわからない。
だが,少なくとも見城社長がテレビ朝日の番組に大きな影響力をもち,最高幹部である早河洋会長,吉田慎一社長とも深い関係を築いているのはまぎれもない事実だ。
しかも,見城社長はそのテレビ朝日の幹部と一緒に,二度にわたって意外な人物と会っているのだ。その人物とは,現首相の安倍晋三である。
参考記事)「メディア工作も? 幻冬舎・見城社長と安倍首相のただならぬ関係」『リテラ』『リテラ』2014.07.25 08:00,https://lite-ra.com/2014/07/post-280.html この『リテラ』の記事は読んで字のごとくの内容であるが,これもつぎの※-7で全文を引照する。
付記)なお,こちらの※-6で引用・紹介した『リテラ』の記事のほうでは,最後に『約束の日 安倍晋三試論』という,幻冬舎が発行した本を紹介していた。
※-7「メディア工作も? 幻冬舎・見城社長と安倍首相のただならぬ関係」『リテラ』2014.07.25 08:00,https://lite-ra.com/2014/07/post-280.html
前回の記事(※-6のこと)では,テレビ朝日のワイドショーが幻冬舎の本の宣伝装置と化していること,その一方で,同局の番組審議会委員長をつとめる見城 徹・幻冬舎社長がテレビ朝日に食いこみ,同局の早河 洋会長らと非常に緊密な関係をもっていることを指摘した。
だが,見城氏とテレビ朝日のつながりは,本の宣伝どころの問題ではなさそうだ。先日,見城氏とテレビ朝日幹部は一緒に意外な場所を訪問し,意外な人物に会っていた。その場所とは首相官邸,相手は他でもない,首相の安倍晋三である。2014年7月4日の「首相動静」にはこうある。
「18時55分 テレビ朝日の早河洋会長,吉田慎一社長,幻冬舎の見城 徹社長。▽21時4分 私邸着。」(日本経済新聞)
分刻みのスケジュールが組まれている総理大臣が2時間にわたって特定の出版社社長やテレビ局幹部に会っていたというのはきわめて異例なこと。しかも,これ,見城社長が主導した会合らしいのだ。
「見城氏は今回に限らずしょっちゅう安倍さんに会っている。メディア対策のご意見番的な存在といってもいいほどです。安倍首相からの信頼は非常に厚く,安倍首相は『ここまでこれたのは見城さんのおかげだ!』と公言しています」(政治ジャーナリスト)
安倍氏とは行きつけのスポーツクラブでしりあったという見城氏だが,その後,急速に親しくなり,2012年には首相に返り咲くための応援団を買って出る。
そして,先の自民党総裁選前には『約束の日 安倍晋三試論』(小川榮太郎著, 2012年9月)を自社から刊行し,大々的に新聞広告を打つなどして安倍首相を援護射撃したのだ。
大規模な広告展開を仕かけ,ベストセラーに仕立てる手法は幻冬舎商法と揶揄される戦略だが,それが成果をあげたのか,本はベストセラーに,安倍は首相への返り咲きに成功した。
安倍首相が「ここまでこれたのは見城さんのおかげだ!」と発言したのは2013年9月20日,安倍首相と若手IT経営者との銀座での会食でのこと。
その発言を書きこんだ近藤太香巳ネクシィーズ社長の facebook をみると,この日の会食の主催者も幻冬舎・見城 徹社長で,「事務局長は損得舎 社長の佐藤尊徳。
メンバーは,楽天 三木谷社長・GMO 熊谷社長・avex 松浦社長・サイバーエージェント 藤田社長。僕の計8名でした。この少人数でトキの総理を囲み,話題は旬のオリンピック秘話から世界に向けた日本のあり方にまで進展」したとある。
この会合をみてもわかるように,見城氏は積極的に自分の人脈と安倍氏を引き合わせている。2012年11月には,安倍に三木谷浩史・楽天社長(経済団体『新経済連盟(新経連)』代表理事)を引き合わせ,ITベンチャー業界を中心とする新経連との橋渡し役を務めていた。
また,2013年11月13日には石井 直・電通社長と一緒に安倍首相を訪問して会食をしている。
「その見城氏が最近,積極的に安倍首相との間をとりもっているのがテレビ朝日の早河会長なんです。早河氏と見城氏は今回だけでなく,2013年3月22日にも会食しています」(前出・政治ジャーナリスト)
こうした工作が効いているのか,テレビ朝日の一部の番組では,露骨な安倍擁護の論調の番組も放映されるようになっている。たとえば,2013年12月末の安倍首相の靖国参拝の翌日のこと。
「ワイド! スクランブル」がこの問題を取り上げたのだが,靖国参拝は中韓だけでなくアメリカからも批判を受けていることから多角的に論じるのかと思いきや,石破 茂幹事長が番組に出演。安倍応援番組のような様相を呈したのだ。安倍首相の行動に疑問を投げかけたコメンテイター・デーブ・スペクターが逆に集中砲火を浴びたほどだ。
とくに番組のなかで,「いまの瞬間だけの算盤で,損か得かだけをやるんであればね,保守のリーダーとはいいがたいわけですよ」と,露骨な安倍擁護を展開したのが番組コメンテイターの末延吉正氏だった。
末延氏は元テレビ朝日の政治部長で,番組での肩書は「中央大学特任教授 政治ジャーナリスト」とされているが,実は,末延氏の父親は地元・山口で岸 信介の時代から安倍家の有力な後援者で,末延氏自身も「月刊現代」2007年11月号に,「わが友・安倍晋三の『苦悩の350日』」といった文章を寄稿したこともあるくらいの親しい関係だ。2013年11月13日の安倍首相と見城氏,石井直・電通社長との会食にはこの末延氏も同席している。
前回の記事では,テレビ朝日ではこの「ワイド! スクランブル」と「モーニングバード」という2つのワイドショーが,見城氏と幻冬舎の影響下にあると指摘したが,これらの番組で安倍応援色が強まっていると感じるのは偶然だろうか。
「テレビ朝日といえば,もともと『ニュースステーション』時代から反自民党色が強かったメディアです。このメディアを抑えることは自民党の悲願ともいってもいいものだった。そのメディアを見城氏が手なずけてくれれば,安倍首相にとってはこれ以上ない貢献になるでしょう」(政治ジャーナリスト)
それにしても,見城氏は安倍首相に接近することでいったいなにをもくろんでいるのだろうか。このままいくと, “第二のナベツネ” になって政界フィクサーとして君臨している,なんてことありうるかもしれない。
(小石川シンイチ)(以上で『リテラ』から引用終わり)
最後に参考になるつぎの記事を紹介しておく。テレビ朝日において発生した「大事件」を『毎日新聞』が報じた記事である。
最近,世間を騒がせている「小池百合子都知事」にまつわる「学歴詐称疑惑問題」は,日本の政治を悪くしてきた政治家の男性版第1位が安倍晋三だとしたら,その女性版第1位が小池百合子であった。
現状まで日本の政治は凋落という意味での悪質化ばかりを現象させてきたが,安倍晋三や小池百合子のごとき「世襲3代目の政治屋」や「政治家まがい」の偽物が,日本の政界なかに盤踞しているかぎり,この国の未来は待ったら闇。
昔,「右も左も真っ暗闇じゃござんせんか(!?)」 という語りで始まる歌があった。この歌は俳優の鶴田浩二の持ち歌であった。その歌の歌詞はこういう文句で始まっていた。
鶴田浩二に関するウィキペディアの解説のなかには,こういうふうに説明した段落がある。
鶴田浩二は,NHKからアルバム『男 / 傷だらけの人生』(映画化されたレコード集)の関係で,「公共放送で流すことは好ましくない曲」「任侠映画に出演している」という理由を挙げられ,NHK紅白歌合戦の出場(1971年)を拒否された。
それに鶴田は激怒し,以後,NHKの番組出演を拒否するようになった。『男たちの旅路』に出演するまで約6年間続いた。出演拒否を解除したあと,鶴田は,NHKでは方針転換もあり『思い出のメロディー』などでこの曲を歌唱しているほか,彼の遺作でもあるドラマ『シャツの店』劇中でもこの歌を歌っている。
この鶴田浩二と幻冬舎の見城 徹とが社会に与えられうる影響力のそれぞれは,時代を異にするゆえそう簡単には比較できないけれども,鶴田のほうでは,周囲がそれほど激怒して騒ぐほどの問題ではないものであったというふうに,いまからはみなせうるのに対して,見城 徹がいままで日本の政治に与えてきた悪影響は,その根幹が安倍晋三がらみであったがゆえ,まさに「罪や罰」だらけだったというほかない。
見城 徹は「日本の編集者,実業家」だと紹介され,具体的に就いている役職名を挙げると,株式会社幻冬舎代表取締役社長,株式会社タッチダウン代表取締役社長,株式会社キャブ代表取締役社長,エイベックス株式会社取締役とともに,株式会社テレビ朝日の放送番組審議会の委員長も務めている。
その「罪とか罰とか」の証拠(?)はなにかと問われたら,われわれの身の回りの「全角にわたり,360度に広がって実在している」と応えておけば,それで充分……。
なにせ,その一角に大きな顔して陣取っていた見城 徹君の立場だったゆえ,あなたのその「罪と罰」は私的次元のものではなかった。アベ的にという立場から「公的な意味あい」を不可避に,非常に色濃く有していた。
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