久しぶりに本を買ったよ
数年ぶりに本を買った。いや、読み物としては十数年振りかもしれない。手に取ったのは哲学に関する教養本だ。
あまりにも思考を巡らせすぎて、生き易さとか、自分の将来とかを考えてる時に、これ哲学じゃね?(浅はか)と思いたち、まずたどり着いたのがラッセルの幸福論だった。
この言葉を受け取ったつい先日の哲学エアプの私は、内省に内省を重ねこんなブログまで綴る私はラッセルに倣うと不幸まっしぐらではないか?と気がついた。後にこの幸福論を掻い摘んでみれば、うちに向けること=内省というわけではなさそうだし、意外にも外界への興味はたくさんあったため、私はここにおいて不幸ではないとわかるのだが、その気づきをきっかけに哲学を衝動的に求めたのだ。人生や生き方、存在に「なぜ」と経験を元に問い抜く私には、たまには知識のインプットが必要なのかもしれない、いや知識が私を救ってくれるだろうと思って、普段140字以上の活字を読まない活字弱者の私が本を手に取った。
哲学なら理解できるもできないも、賛同するも批判するも自由だ。だから私は哲学を得ようと思った。
ただ、恐れていることは、私が特定の論述に納得して、私はこれだ、私のこの思考はこれだ、と断定(ラベリング)してしまうのではないか、ということ。いくつもの思考を参考にしすぎて間に受けすぎて、哲学をコピペした中身のない人になってしまわないか、私のオリジナルが消えてしまわないかということ。
もちろん納得するしないの選択を下すのは私自身のため、私が一切無くなるということはないだろう。しかし、自分で考えて模索するより、選択する方が楽であろう。そのため選択することにより思考を感情を放棄してしまったら、私を私たらしめるものはどこへ行こう??私の自由な思考はどう生まれよう??
ところで、「私(=主体)」はどういった存在だと考えるだろうか?
デカルトは「我思う故に我あり」という言葉を残した。「わたしは考える、ゆえにわたしは存在する」という主張は、考える、感じるといった行為は他者の存在がなくとも自覚できる。他者に依存しないという点において「私」は自立したものだと論じている。
一方、主体には相互性がある、と説くヘーゲルもいる。他者が私を認めることで私が成り立つし、私が他者を認めることで他者が成り立つ。というようなものなのだが、素人が改めようとすると説明できないので、「相互承認論」とかでググってくれ。相互性でいえば、以前私は『本当の自分』のブログの中で「縁起」という言葉を書き記した。これは仏教の考え方になるが、「私」を認識するためには「私以外の存在」が必要になる、という意の言葉である。これも生まれは違えど、歴とした相互承認ではないだろうか。
その「縁起」が私の中で腑に落ちていたから、私の「私」の認識はずっと後者であると思っていたが、前述の言葉を掬うとデカルトのように考えている節もある。じゃあ、どちらかにしなさい、というのは極めて無粋であり、求められた行動ではないので、私は一生このテーマと共に生きてゆくのだが、私以外の人はどういう認識でいるのだろうか?
***
先日買った本らを紹介するね。
○「知識ゼロでも楽しく読める!哲学」
古代から現代の哲学、西洋哲学だけでなく東洋思想や思考実験も幅広く取り上げられていること、何よりもそれぞれに図解があることが良かった。哲学者というか思考癖もしくは抽象思考を好む人間あるあるだと思うのだが、文も思考もが回りくどく、理解しにくいことは多々ある。概念を言語化しているので文章読解力の低い私にとっては図解が本当に助かる。かつ、結局時代比較や東西比較はすることになると思うので、それらがざっくばらんに掲載されているのがありがたい。簡単な辞書として基本を助けてくれる、気づきを与えてくれる1冊になると思う。
○「フランスの高校生が学んでいる哲学の教科書」
フランスで行われている授業を書本化したものであり、「主体」「文化」「道徳」などがテーマとして取り上げられている。取り扱ってるテーマと、各テーマごとに生徒からの質問と、それに対するアンサーが語り口調で読みやすく書かれているのが良かった。特に生徒からの質問が非常に良く、いくらフランスで哲学を学ぶ文化があるとはいえど、いち一般人からの、いち高校生からの純粋かつ等身大の質問に24歳思索大好きinfpの心には大変響いた。考え方に共感するももちろん、新しい考えとの出会い、そして何より人間として“悩み”を抱えるのは全世界共通なんだな、ということに安心感を覚えられる。
○「恋愛の哲学」
発売当初から気になっていたのだが、この衝動をきっかけに購入した。“哲学は「恋愛」を語るところから始まった。”という導入で紹介されるこの本だが、思えば私の哲学も元を辿ると恋愛を語るところから始まっている。大学受験勉強真っ只中の高校3年の倫理の授業を担当していた先生の研究テーマが「愛」であり、そのテーマを中心に学習していた。しかし、4時間目に設けられたこの授業の時間は思考のためではなく、昼休みを勉強の時間に当てるために早弁をする時間と化していた。ごめんね、先生。私は恋愛映画や恋愛ソングは大好き侍(というかそこから見える人間の感情の動きとか理性の外の人間臭い感じが好きって感じ)なのだが、私自身はというと別に恋愛に対して積極性はない。が、私的に人生の悩みの蓋を開けると「存在意義」「仕事」「人間関係」に分けられ、時たま発生する恋愛的イベントは人間関係の部類に入り込み大いに掻き回してくるし、仕事柄なのか結婚のルートが正義に見えるため、私が持つ「恋愛とか別に」という正義がぶつかり合いなんか悩む。そんなモヤモヤを改めて考えさせてくれるかつ、高校で真面目に受けなかった分の思考を取り返してくれそうだ。
あと、フォントがくっそ可愛い。これなんのフォントが使われてるか突き止められた人いたら本当に教えてほしい、なんだこの可憐なフォントは。さぞかし名前も可愛いのだろう。とか言ってどシンプルな名前でも好きになる。加えて本の色もめっちゃいい。テーマも好きだけどパケ買いも2割くらい入ってると思う。
珍しく本を買って紹介までしちゃったウキウキな私に、超絶タイムリーなPodcastが上がってきたのでそちらも一緒に紹介させてほしい。
最近よくお世話になってます、ゆる言語学ラジオです。(拍手)
55分のラジオないし動画で、なかなかボリューミーなのでほんの少しだけ要点を話すと、活字弱者が本を読むには、「興味のある分野(知りたいことや悩んでること、ゴールなどの目的)」と「読めそうなレベル(総文量、ページ数、文体、使用単語の難易度など)」を自分に合わせることが必要だという。
この3冊を選んだ時点で「私いい買い物したな」と思ってはいたが、この動画を経て改めて「私いい買い物をしたな!」と確信した。
念の為言っておくが、私はあくまで“紹介”しただけであって、このブログを読んでるもの好きらにオススメはしていない。ので、縁を切るなどという愚行を決行しないように。
***
生き方に悩み、悩むことに悩んでいる私に友人が「将来どうなりたい?」と聞いていたことがある。友人は「なんでも知ってるおもろいおばあちゃんになりたい」と言ってた。かっこいい。そういえば似たようなこと言ってるヤツいたな〜なんてことを思い出しつつ、老い先どうなりたいかなんて考えたことない問いに、少しの間考え込んだ。
確かに、あーだこーだ悩んでいるけれども、どれも一過性のものであり、20代らしい、イマドキの子らしい悩みでもあるな、と客観的に見てる節もあり。こんなこと綴ってるけど真剣に悩んでるけど40、50になった時って今の私とは違う人生観で違うこと考えてるんだろうなと思うこともあり。
聞かれた時、私は「いつまでも子供でいたい、常に反旗を掲げて生きたい」とか言った気がする。爆笑。疲れるだろう、ほどほどにしとけよ。まあ、いつまでも何かに抗いたい、というのは確かにある。ただもう一つ、付け加えるなら、私が私の考えを生き方をちゃんと認めてあげられるようになること、なんじゃないかな。そのために今はたくさん悩んで、たくさんインプットしてあげようと思う。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?