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好きな映画の話

あなたにとっての好きな映画はなんだろう。
友人と飲んだ時、このネタでお酒がいくらでも飲めてしまうのは、歳をとったせいであろうか。
映画でもドラマでも、小説でもチラシでも、なぜこのように作られているのか、撮られているのかがとても気になるようになった気がするし、
これは何を伝えたいのかと考えるようになってしまった。
製作側は、商業目的で、自己表現の為で、忖度を盛り込んで、予算内で、それでいて観る人に対して目線を合わせようとしてつくっている。
その自己表現軸と、伝えるパフォーマンス軸を調整する時が面白いのであるが、
そんな目線で話す好きな映画の話はネタが尽きないのである。

私の好きな映画は、「ファイトクラブ」である。
非常に有名な映画であるし、内容をお伝えする必要もないと思うが、
ここに出てくるブラットピッドが、とにかくカッコいい。
私もこうなりたいと、若い学生時代に衝撃を受けたものだ。

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同時に、こんなことを考える。

俳優業や芸能業とは、常にその時々が勝負であり、大スベリしてしまった時には、自分の仕事がなくなる危険性もあり、しかし平常運転では存在感を示せず、これもまた仕事が減っていくことに繋がってしまう、非常にリスキーでデリケートな職業である。
しかし、その分勝負で結果を残した時には、一般人よりも大きな見返りをもらうことができる。それへ対価であるお金もそうだし、承認欲求もである。

格闘技やスポーツの世界も同じように思う。
スター選手と持て囃されても、怪我をして試合に出られなければいずれ使用価値が減っていくものだし、結果を残せなければ淘汰されることが当たり前の世界である。
芸人や芸術家も同じく、ミスが許されず、必ずヒットを撃ち続けなければいけないという、難易度の非常に高い仕事である。


サラリーマンである私たちはどうだろうか。
与えられたタスクを、及第点まで引き上げることができればミッション達成で、契約上の勤務時間を越えれば、そこからは自由時間である。
リスクが少ない分、対価も安定している。

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ファイトクラブのブラットピッドのようになるには、もちろんだが現状維持なんかでは到底到達することはできない。
自分の好奇心に、全勢力をかけて楽しんでいる姿勢がないと、あんなに魅力的な雰囲気は醸し出せない。
そしてこの映画の最も印象的なセリフはこのように続く。

「いつか必ず死ぬってことを恐れずに心に叩き込むのだ。全てを失って、真の自由を得るのだ。」と。

福本先生のカイジという作品の中の、兵藤が残した名言がある。

「命はもっと粗末に扱うものなのだ。」

この言葉も、非常に近い意味に思う。


リスクは存在する。
しかし、人生も一度きりというリスクを孕んでいる。
その一度の人生を、リスクを前提に、思いっきり行動するということが、真剣に楽しむということではないだろうか。

私たちサラリーマンの仕事も、きっと私の理想とする自分に近づくためのツールでしかない。
顧客にいかに喜びを与えられるかを真剣に考え、
そして真剣に対面していく、それは一つスベれば仕事が無くなってしまうほどのリスクの上に存在している。
そのように考えられれば、もっと挑戦的に、有意義に仕事に臨めるような気がする。

世に存在している名作の名言には、それを作った製作側の人生の苦労と成功の凝縮されたメッセージが忍ばされているように思うのだ。

僕も、ただの傍観者ではなく、製作側の人間として、この人生を生きていきたい。
その先には、あのブラットピッドのような自分になれるかもしれないという、一縷の望みを信じて。

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