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「東山魁夷と日本の夏」を鑑賞して。

久しぶりに、恵比寿駅から約15分歩き、山種美術館へ。日本画を嗜むものなら観ておかなくては、という気持ちで…。

駅から美術館からはやや遠いため、美術館に着いた瞬間に滝汗をかいてしまったが、中は寒いくらい涼しかったため、心地よく鑑賞をすることができた。

実は、恥ずかしながら魁夷の作品というものを生できちんと見たことがなかったのだが、とても素晴らしいものだった。

洗練された静謐な美と、筆致を感じさせないのに退屈じゃない画面。圧倒的な画力や集中力を感じた。構図や色選びなど、無駄がないのである。

魁夷以外にも上村松園や小林古径等の作品や、現代も活躍する作家の作品も展示されていた。

個人的には、並木さんの「截金(きりかね)」という技法を使った作品が印象に残っている。並木さんの作品は知っており、もちろん見たことはあったが、作品をこの様に生で鑑賞することはなかったので、角度によって表情がかわる煌めきが美しく、その繊細さにとても感動した。
(大学の時に金箔講義を行い、砂子や箔は経験し、作品にも使ったが、截金はあまりに技法が高度すぎたことを思い出した…)

そして、山種美術館といえばやはり奥村土牛。私が最も尊敬し、愛する日本画家。「海」を鑑賞することができ、初心に帰り、気持ちを色々と整理することができた。

自然との対話を大事にし、絵の具のマチエールを味わう。これは、どれほどAIというものが発達しようと、私たちにしか作り出せないものであるし、感じ取ることもできない。そのことに改めて気付かされたのである。


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