2024年8月3日(土)なんなんなの花
観測史上最も暑い7月でした、と昨日、テレビが言っていました。おそろしい夏です。
ぼくは昨日、月初めにたくさん届いている詩を読んで、感想を書き、疲れたら麦茶を飲み、というのを繰り返していました。詩を読み、感想を書く。それだけをして、だれとも競わずに生きてゆこうと思っています。
ところで、ぼくは童謡の歌詞を読むのが好きなのですが、有名な童謡というのは、たいてい知っていて、でもそのほとんどが一番の歌詞なのです。二番三番の歌詞は、読めばとても新鮮で、知らない人に会ったときのような緊張感さえ持てます。
「仲よし小道」という童謡があります。そのニ番三番を読んでみましょう。
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仲よし小道 三苫(みとま)やすし
仲よし小道は うれしいな
いつもとなりの みよちゃんが
にこにこあそびに かけてくる
なんなんなの花 匂う道
仲よし小道の 小川には
とんとん板橋 かけてある
仲よく並んで 腰かけて
お話するのよ たのしいな
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全くストレスのない世界です。思い煩わなくても、間違いなく「みよちゃん」は遊びにきてくれます。疑う余地なく「みよちゃん」は遊びにきてくれるのです。「みよちゃん」をあくまでも信じてよいのだ、という歌です。
長く生きてきたので、ぼくはこれまでにたくさんのみよちゃんと話をしてきたし、たくさんのみよちゃんのおかげで、今があるのかもしれません。
と、呑気なことを言っている場合ではなくて、ならばぼくはこれまでの人生で、だれかのみよちゃんに、一度でもなってあげられたことがあったかと、考えてしまうのです。
どんな条件も求めずに、ぼくを信じて遊びにきてくれた人はいただろうか。
夏の夕暮れ、点ちゃん(文鳥)のとなりで、ぼくは暗澹たる気持ちになるのです。