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大好きな映画『マガディーラ 勇者転生』の感想

 ラーム・チャラン主演、ラージャマウリ監督作『マガディーラ 勇者転生』の感想を書く。ネタバレありです。

はじめに

 自分が本当に大好きな映画の全体的な感想を書くのって難しい。ポイントを絞った方がどこが良かったか冷静に考えられるし書きやすい。でも、自分にとって大本命の映画の、全体的な感想もたまには書いてみようと思う。何事も挑戦。よかったらお付き合いください。

全体的な感想

※ここから下はネタバレあり!!!







 この映画の何がそんなに好きなのか。どこに惹かれているのか考えてみた。この映画の悲劇の部分。悲劇の全貌が、少しずつ明らかになる過程、回想シーンの見せ方。多分そこが好き。映画の冒頭で、悲劇があったことは最初から分かる。でも、二人の歴史や、人となりはまだ分からない。映画が進むにつれ、徐々に明かされて、そうだったのか、こんなことがあったのかと知った後でもう一度最初のシーンに戻ると、最初に見たときより胸が締め付けられる思いがする。一度見終わった映画を、再鑑賞したときのような見え方の違いが、一回目の鑑賞で体験できるあの感じが堪らなかった。

 もう一つ。ハルシャとインドゥのやりとりは基本的に明るい調子だし、前半の歌も明るいものばかり。でもこの二人の前世にはあの凄まじい悲劇があったわけなんだよな。いろいろと考えてゾクッとしながらも、なんて美しい曲なんだと思ってしまう。無邪気に愛を育んでて大丈夫なのか、また酷いことになるんじゃとちょっと心配しながら見守るけど、二人とも圧倒的に美しくて尊い。輝いているね、今度こそ幸せになってね。そう願ってしまう。

 あとはバイラヴァの真っ直ぐな気持ちと眼差しの強さ。見ていてヒリヒリするような闘志を感じる。初めて見たとき、冒頭でバイラヴァを供養している人は長年の友人か何かかなと思っていたら、後でその日出会ったばかりと分かって驚いた。でもシェールカーンが一日で惚れるのも納得。それぐらいの気迫と魅力が彼にはある。見ていて胸が苦しくなるような格好良さもある。

 この映画のクライマックスは、別に派手じゃない。回想シーンの百人斬りの方が見た目はよっぽど派手だし、荒廃した聖地での対決は寂しい感じすらある。でもハルシャがいる。前世の記憶を取り戻して、怒りと闘志に溢れたハルシャが。もう観客としては彼を応援するだけ。この場面はハルシャそのものが見せ場だ。

 まとまらないけど、全体的な感想は以上。あとは書きたいことを適当に書く。

ハルシャとバイラヴァに思うこと

 傷だらけでフラフラしてる男前とか、毒を打たれてフラフラしてる男前が嫌いな人っているんだろうか。あれの色気はものすごい。全力で飛ばす乗馬シーンもめちゃくちゃカッコいい。
 主演のチャランさんが男前だからとか乗馬スキルがあるからとか、運動神経がいいから対決シーンの見栄えが良いんだろうなとか、そういうのももちろんあるけど、前世の記憶を取り戻して、忘れていた情熱とか怒りが蘇ってからが特にカッコいい。体から煙とか火花とか出てそうな感じ。日本公開版でカットされている後半のあの曲がすごく良い。爆煙とか火花とかが似合うから。

インドゥとミトラ姫に思うこと

 ちょっと厚かましくて、小悪魔的なところもあってかわいい。中身は純真なところもかわいい。前世では超絵が上手くて、生まれ変わったらファッション系の学生なのも面白い。美的センスは健在ということね。 

悪役ラグヴィールに思うこと

 いい大人が自分の恋路に使用人を総動員ってどういうことだよ。しかもみんな結構一生懸命尽くしてくれている。終盤のヘリのプロペラ攻撃とか、あれヘリに乗ってる側が危険じゃないかな。ゴーラちゃんも味方に付けているし謎に人望あるのが面白い。気持ち悪いキャラなんだけど、感情表現がどストレートなのは見てて気持ちが良い。前世の頭の骨を砕かれたときの表情がめっちゃ好き。演技が上手すぎてあまりイケメンに見えないけど、完全版にある夜に城で槍投げるシーンは、かなり格好いいと思う。リアルで会うことがあったら人は殺してはいけませんと教えてあげたい。

シェールカーンさんに思うこと

 乗っている眠そうなお馬さんが超かわいい。ラナデーヴとの約束をほっといて百人倒したら姫も国もお前にやると言っちゃったり、その後すぐバイラヴァの魅力にノックアウトされちゃったり、その気持ち分かるよ。私もあの超カッコいい男に翻弄されたい。悪役ポジションぽいのに全然そうならないの好きよ。

シェールカーンの部下たち

 弓持ってる兵隊さんの服装は案外かわいい。魔軍が若干うほうほ言ってるの楽しくて良い。やたら血気盛んなウスマーンも、一貫してバイラヴァ推しなマンシンもとても良い。組織には色んな考え方の人材が必要だよね。

金のメンドリちゃんソング

 ストーリーの流れ重視、上映時間の短縮を優先するなら、普通だったら日本公開版でカットするのは後半のアイテムソング(ジョセージョルセー♪)よりこの曲な気がする。チル様ご登場シーンまで含めるとジョセージョルセーの方が短いし、あの曲はハルシャの心情描写っぽい感じもあるし。でもラージャマウリ監督はこっちを残した。私もこの曲が無ければマガディーラではないような気はする。何でだろう。この曲初めて見たときは何これって思ったけど、他にない強烈な魅力があると思う。
 最初のあたりでどうして石になるのか全然分かっていなかったんだけど、ツイッターでおっぱい砲で石になると書いている人がいてなるほど!と思った。私のお気に入りはおっぱい砲のあとのハルシャのキメポーズでコンクリにヒビが入るところです。ああいうの実写映画で初めて見た。超好き。

終わりに

 ここまで書いてみて楽しい要素がたくさんある映画だと改めて思った。ネタバレありの感想文なので未見の人はほぼ読んでないと思うけど、この映画はオススメです。見た人も是非もう一度見てみて下さい。


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