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【書評】『ヤメ銀 銀行を飛び出すバンカー』(文春新書)

本日紹介させて頂く本はこちらです。

著者は秋場大輔氏でプロフィールは次のとおりです。

1966年、東京生まれ。日本経済新聞社で電機、商社、電力、ゼネコンなど企業社会を幅広く取材。編集委員、日経ビジネス副編集長などを経て独立

この著者は以前に『決戦!株主総会 ドキュメントLIXIL 死闘の8ヵ月』(文藝春秋)を執筆されております。この本も私にはとっても面白く、以前にnoteで書評を書かせて頂きました。念のため最後に再掲いたします。

さて、このヤメ銀ですが、本の主な目次は以下のとおりです。

◆第1部 バンカー像の変遷(規制金利時代(戦後~一九七〇年代)
◆第2部 ヤメ銀だから今の自分がある(IT業界に身を寄せて;社会正義に生きる;「誰とでも会える」を実践)
◆第3部 銀行も変わる(追悼・三井住友フィナンシャルグループ太田純前社長)

第1部が各時代別にバンカー像がどう変化したか、その時の世の中の動きを踏まえて書かれています。

私が社会人になった頃は、東大、一橋、旧帝大、早稲田、慶応大学の法学部や経済学部の学生は、総合商社、メガバンクを中心にマスコミ、鉄道・電力のインフラ系を就職先の第一に希望した学生がとても多かったですが、この中で、メガバンクに就職した当時の学生は90年代後半の金融再編で激しく揉まれたかと思います。今はメガバンクが3つですが、当時は、みずほ銀行は日本興業銀行、富士銀行、第一勧業銀行の3つに分かれていたし、多くの都銀が存在していましたが、それが一気に集約となりました。銀行は縄張り意識の強い業界ということが当時良く言われていたので、再編後は出身母体がどこかで相当な駆け引きがあったと聞いています。

「部下が上司のはしごを外すことは普通」ということを、15年ほど前に某メガバンクにいた執行役員の方が良く言っていました。

そういう再編の厳しい中でメガバンクを途中でやめざるを得ず、外資系証券は投資ファンドに転職した方も非常に多かったです。そこでメガバンク時代の数倍の年収を稼いで成功した一部の方もいれば、そうでなかった人もいるとは思います。書籍の中では、銀行を辞めた後に別の人生を歩んだ東大卒の元バンカーの方、起業をして成功された方のインタビューもあり、この方々が外から銀行をどう見えいるのかも書かれています。

(再掲)【書評】『決戦!株主総会 ドキュメントLIXIL 死闘の8ヵ月』(文藝春秋)