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[書評] 日本人のための第一次世界大戦史

みなさん、こんにちは。Naseka です。
私は 哲学者・書評家・エッセイスト として、
自らを定義しています。

日本で生まれ育った
典型的な日本人の私としては
「戦前・戦後」
「先の大戦」というと
第二次世界大戦(WWII)が
想起されるが、
世界…特に欧州では
必ずしもそうではないという。

もちろん WWII も十分過ぎるほど
悲惨だったことには違いないが、
世界史(欧州史)における
インパクトとしては
第一次世界大戦(WWI)の方が
大きかったとか。

私は欧州人に
知り合いはいないから
実のところは分からないが、
よくよく学んでみると
なるほど一理ありそうである。

言われてみれば
日本も参戦こそしているものの、
日露戦争と WWII という
国家存亡を懸けて戦った戦争に
挟まれた WWI は、
私(そして多くの日本人)の中では
なんとも影の薄い出来事である。

WWI に対するイメージなど、
私は映画の
「西部戦線異状なし」
くらいしかない。
(戦後処理に関してなら
 いくつか思い浮かぶが)

そんなわけで、
近代史の学びを深めるために
今回の本を読んでみた。


こんなはずじゃなかった

これは高校の授業だったか
何か別の書籍だったか忘れたが、
WWI は当初
「こんなに大事になるとは
 誰も思っていなかった」
戦争だったと聞いたことがある。

どのくらい
予想外だったかというと、
7月末に戦争が勃発して
クリスマスには家に帰れるだろうと
考えてられていたほどだそうだ。

よもやまさか 4年以上も続く戦争が
そんな気楽に考えていられたなんて、
当時の人々は
余程 のんきだったのだろうと
心のどこかで思っていたふしがある。

ところがこれは俗にいう
後知恵バイアスというもので、
当時をリアルタイムに生きていたら
そう考えたのもやむを得ない。

WWI 開始から
WWII 開始が25年として、
WWI 開始より25年前といえば
まだ日清戦争すら起こっていない。

二国間の戦争となれば
それなりに数はあったものの、
多数の国が大規模に
交戦したものに限定すれば それこそ
クリミア戦争(1853~1856年)
くらいまで遡る。
(大規模の定義にもよるが)

「愚者は経験に学び、
 賢者は歴史に学ぶ」
とは私も好んで
引用する言葉であるが、
当時を生きた人々が
知ることのできた歴史からは
確かに この戦争がもたらす悲惨さは
学ぶことなどできなかっただろう。

ないない尽くしからの…

少しだけ話は横道に逸れる。

私は東北の田舎の生まれなのだが、
吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ」が
カラオケでの密かな十八番である。

自身が生まれるより前の曲だし
(知ったキッカケは
 ニコニコ動画だった)
さすがに地元も
あそこまでの田舎ではないのだが、
自分の親よりも上の世代には
意外とウケが良くて
二次会のカラオケには
重宝したものだ。
(最近は歌っていないが)

最近の若い世代には
知らない人も多いだろうから
興味があったら
ぜひ聴いてみてほしいのだが、
歌詞に出てくる村は まぁ
(現代の視点で見ると)
残念なほど ないない尽くしである。

テレビもラジオもなければ、
電話もガスもないし、
車もそれほど走ってない。

そりゃ東京へ行きたくなる
気持ちも分かる。

私もこれほどインターネットが
普及していなければ、
きっと今でも都会へ行きたいと
思うかもしれない。
(その点は文明に感謝)

閑話休題、20世紀初頭というのは
どこか この歌に通ずるところがある。

テレビもラジオもないし、
車もそれほど
(現代ほど)走ってない。

電話やガスはあったにせよ、
動力といえば
蒸気機関が主流だった時代。

そんな中、大戦までの間に
無線通信・内燃機関・
飛行機・潜水艦などの
技術革新が進み、
クリミア戦争の頃とは
戦術も戦闘も
全く違う様相を呈したのが
この WWI だった。

「俺ら東京さ行ぐだ」が発表された
1984年当時、現在のように
手のひらサイズの機器で
誰もが世界と
つながれるようになるなんて
(ごく一部の天才を除いて)
誰も予想しなかったように、
当時を生きた人々には
この戦争が あれほど大規模で
被害の大きいものになるなどとは
想像できなかったのも
無理からぬことである。

当時の人々に思いを馳せる

私は歴史に思いを馳せるのが
大好きだが、なるべく
リアリティーを高めて楽しむためには
当時の情勢や風俗を知らねばならない。

もちろん私の想像が
どこまで史実に則しているのかは
分からないが、敢えて喩えるならば
100年前の世界に携帯電話が
普及していると誤解していれば、
歴史を振り返ったときに
違和感が溢れかえるだろう。
(もっとも、それにさえ
 気付かなければ本人は楽しめるが)

この本は WWI が主題ながら、
個人的には技術発展の歴史を
追っていく流れが特に面白かった。
(これは私自身が
 技術者だからかもしれないが)

もちろん戦争の経過や戦後処理までも
丁寧に解説されているが、
単に「戦争」「世界史」という
視点に留まらず
当時の社会・文明を学べる良書である。

こんな人にオススメ!

・世界史が好きな人
・WWI について理解を深めたい人
・文明や技術の歴史に興味がある人

お読みいただき、
ありがとうございました。

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