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第35回(令和4年度)社会福祉士国家試験 過去問解説 午後の問題 問84~150 【のんびり社会福祉士講座】

最初に

この過去問解説は、全部最初から読んでいるとかなり時間を使うので、効率的に勉強を進めるためには、自分の間違えたり、苦手な分野の解説だけ読むほうがいいです。


社会調査の基礎

問題84  社会調査に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  社会調査は、個人ではなく、組織や機関が実施するものである。
2  社会調査は、市場調査や世論調査を含まず、行政調査と学術調査を指している。
3  国勢調査の対象者は、日本に居住する日本国籍をもつ人に限定されている。
4  社会問題の解決のために実施する調査は、社会踏査(social survey)と呼ばれる。※正解
5  社会調査の分析対象は、数量的データに限定されている。
【解説】
1、個人でもします。✕
2、市場調査や世論調査を含みます。✕
3、居住する外国人も対象とします。✕
4、〇
5、事例も分析対象です。✕

問題85  統計法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  行政機関の長は、一定の要件を満たす学術研究に対して調査票情報を提供することができる。※正解
2  行政機関の長は、基幹統計調査のデータを加工して、匿名データを自由に作成できる。
3  個人情報の秘密漏えいに関する罰則は定められていない。
4  厚生労働省が実施する社会福祉施設等調査は、基幹統計調査である。
5  一般統計調査には、基幹統計調査も含まれる。
【解説】
1、〇
2、自由にはできません。✕
3、罰則あります。罰則がないと実効性が担保できません。ただ実態として個人情報の秘密漏洩があるたびに罰則が適用されているわけではないです。✕
4、一般統計調査になります。✕
 総務省のHPに統計法の記載があります。どのような調査が基幹統計調査になるのかみてもいいかもしれません。中身も重要なのですが、基幹統計調査については、国が費用の負担を見てくれます。例えば、国勢調査などにかかる調査員などの費用は国が負担します。一般統計は各自治体もちです。厚生労働省でも基幹調査にあたるものは9つしかありません。
5、別です。✕

問題86 標本調査に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  標本調査では、非標本誤差は生じない。
2  標本抽出には、性別や年齢といった母集団の特性を基準にする抽出法がある。※正解
3  標準誤差は、質問の意味の取り違え、回答忘れなど、回答者に起因する。4  系統抽出法では、抽出台帳に規則性がない場合、標本に偏りが生じる。5  確率抽出法では、標本誤差は生じない。
【解説】
標本調査に関する用語をきちんと理解しているのかが問われています。
非標本誤差とは、調査の中に、標本でないもの(非標本)が混じる誤差のことです。実際は無回答、集計処理のミスや、名簿漏れなどです。
標本誤差とは、標準化したモデル(標本)と実際の実数(標本の母集団)との誤差です。標準誤差はそれを確率的に誤差を計算した量のことです。
以上を踏まえて、回答していきましょう。
1、標本調査でも、回答ミスなどの非標本は生じます。✕
2、〇
3、選択肢の内容は、非標本誤差のことです。✕
4、系統抽出法とは、母集団に通し番号をつけ、それ以下の通し番号を持つ点から無作為に一点目の標本を抽出する。その点から等間隔で(抽出間隔ごとに)標本を抽出するような方法であり、規則性がなければ、偏りは生じない。✕
5、抽出した段階から母集団との誤差は生じます。✕

問題87 社会調査における測定と尺度に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。

1  信頼性とは、測定しようとする概念をどのくらい正確に把握できているかを意味する。
2  妥当性とは、同じ調査を再度行ったときに、どのくらい類似した結果を得ているかを意味する。
3  順序尺度では、大小や優劣を測定できる。※正解
4  間隔尺度の例として、身長や体重がある。
5  比例尺度の方が、間隔尺度よりも情報量が多い。※正解
【解説】
 
調査の大事なポイントは、信頼性、妥当性です。
また、尺度は間隔尺度と比例尺度の違いが微妙です。どちらも連続した数値の大小を比べるものですが、それぞれの連続の違いだけに意味がある場合は間隔尺度で、連続し0の意味が存在しないものが比例尺度です。
 間隔尺度は、気温
 比例尺度は、身長、体重が代表する尺度です。
1は、妥当性です。説明の通り、測定しようとする概念がどのくらい正確に把握できているか、その調査が妥当か?ということです。✕
2は、信頼性です。たまたまかもしれないという反論を封じるために、信頼性があります。✕
3、〇
4、身長や体重は比例尺度です。✕
5、比例尺度は0が”ない”という意味を示す分だけ情報量が多いです。〇

問題88 質問紙を作成する際の留意点に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  回答者の理解を促進するため、ワーディングはできるだけ多くの専門用語を用いることが望ましい。
2  回答者の回答を容易にするため、一つの質問に複数の論点を含む質問文を作成することが望ましい。
3  配布した質問紙の回収後の集計作業を効率的に行うため、自由回答法を多く用いることが望ましい。
4  選択肢法を用いる場合は、想定される回答を網羅するため、選択肢の内容が相互に重複していることが望ましい。
5  作成した質問紙の構成や内容が適切かを検討するため、プリテストを実施することが望ましい。※正解
【解説】
1、多く専門用語を使うことで、質問がわかなくなり、結果が正しくでてこないことがあると思います。✕
2、一つの質問には人の論点でないと、どちらの論点に反応したのかはよく分からないです。✕
3、自由回答は集計作業は大変になります。ひとつひとつExcelに入力していくことは途方もない労力がいりますね。✕
4、これは2とよく似ている内容ですが、相互に重複しているとどちらを選んだらいいのかよくわからないです。✕
5、いったん試行して、思ってもいないこともでるので、やる方がいいです。〇

問題89 参与観察に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。

1  調査中に対象者が意識しないように、調査終了後に観察していたことを伝える。
2  観察の記録は、現地で見聞きしたことについて、網羅的に記すことが原則である。※正解
3  観察を通して現地で得た聞き取りの録音データの文字起こし作業に当たっては、録音データの中から調査者が気になった部分や必要だと思う部分を抽出し、要約する作業を最初に行う。
4  現地で記録したメモは、できるだけ早く観察ノートに記録する。※正解
5  観察ノートを整理する際は、調査者の感想を記さないように留意する。
【解説】
1、いるだけで十分、意識するのでいるならなぜいるのか説明している方が余計な影響が面接にでないです。✕
2、漏れがないことは大事です。その漏れに重大な内容が含まれている可能性もあります。〇
3、最初はできるだけ多くの情報を文字起こししてから削っていきましょう。2の留意することと似ています。
4、人の覚えることの記憶には限界もありますし、時間が過ぎれば過ぎるだけ鮮度が下がると思ってください。できるだけ早い方がいいです。〇
5、整理の段階では、感想を記しても大丈夫です。✕

問題90 Q市社会福祉協議会では、地域の潜在的な福祉ニーズを探索するため、地域住民向けのワークショップを開催した。参加者が、KJ法を参考に意見を整理することとした。 次の記述のうち、参加者が行う意見整理の進め方として、適切なものを2つ選びなさい。

1  参加者は、一つのカードに様々な自分の意見をできるだけ多く書き出す。
2  提出したカードを並べた後、全体を眺めながら内容が類似しているものをグループとしてまとめる。※正解
3  グループ化する際は、カードが1枚だけで残ることがないように、いずれかのグループに割り当てる。
4  各々のグループに名前を付ける際には、福祉に関する専門用語を用いなければならない。
5  グループに名前を付けた後、グループ間の相互関係を検討し、図解する。※正解
【解説】
 
この問題はKJ法の概要が分かっていれば解けます。
ネットでもKJ法について解説しているので、参考にリンクを張っておきます。
2と5が〇です。

相談援助の基盤と専門職

問題91  次の記述のうち、社会福祉士に関する説明として、適切なものを2つ選びなさい。

1  虐待に関わる相談は、社会福祉士が独占している業務である。
2  社会福祉士は、特定の職種の任用資格になっている。※正解
3  社会福祉士の名称は、国家試験の合格をもって使用することができる。4  社会福祉士でない者が社会福祉士の名称を使用した場合に罰則がある。※正解
5  介護老人保健施設に社会福祉士を置かなければならない。
【解説】
1、社会福祉士が独占できるのは名称だけです。社会福祉士がやっている相談援助や社会への提言は、別に社会福祉士ではなくても他の資格でもできます。ただ、社会福祉士を取らないと名乗ることはできません。✕
2、行政の福祉職員などです。〇
3、試験の合格後、社会福祉士の申請をして「免状」が交付されてからです。社会福祉士会への入会は任意です。「免状」とるのにちょっとお金かかるんですよね。✕
4、罰則ないと勝手に使う人でてきます。✕
5、介護老人保健施設に設置義務はありません。社会福祉士は相談援助がメインですのあまり入所施設は必置義務があるところはないと理解してください。必置義務とは、施設を運営する際に、この資格の人は必ず配置しないといけないという義務です。診療所を運営するには医者、看護師が必置、保育所を運営するのに保育士が必置などです。社会福祉士が唯一必置になっているのは、地域包括支援センターのみです。〇

問題92  次のうち、「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」(2014年)に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  本定義は、各国および世界の各地域を問わず、同一であることが奨励されている。
2  ソーシャルワーク専門職は、社会変革を任務とするとともに社会的安定の維持にも等しく関与する。※正解
3  ソーシャルワークの原則において、マイノリティへの「多様性の尊重」と「危害を加えない」ことは、対立せずに実現可能である。
4  ソーシャルワークの研究と理論の独自性は、サービス利用者との対話的過程とは異なるところで作り上げられてきた。
5  ソーシャルワークの焦点は多様であるが、実践における優先順位は固定的である。
(注)「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」とは、2014年7月の国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)と国際ソーシャルワーク学校連盟(IASSW)の総会・合同会議で採択されたものを指す。
【解説】
 
ソーシャルワーク専門職のグローバル定義は、世界各地のソーシャルワーカー専門職が一堂に集まって、あれやこれや悩んでできています。文化や制度の背景があり、その中で共通の事項や本質を模索していっています。
1、いろいろな背景があるので、その国なりの定義や位置づけを定めることになっています。多様性を認めることも重要なことだと理解されています。✕
2、正解です。〇
3、「危害を加えないこと」と「多様性の尊重」は、状況によっては、対立し、競合する価値観となることがある、と日本ソーシャルワーカー連盟のグローバル定義の解説の中にあります。ご参考ください。✕
この問題自体は2が正解なので、それ以外の選択肢の検討もあまりせずに回答できるのですが、この選択肢3を✕するのが難しく、てこずりました。でもきちんとグローバル定義の説明の中に書いてありました。グローバル定義は必ずでる問題なので、いったんはきちんと読み込むことが大事だと思いました。
4、現場からできたんです。✕
5、現場や実態にあわせて柔軟に対応するのが本質です。✕

問題93  19世紀中期から20世紀中期にかけてのソーシャルワークの形成過程に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  エルバーフェルト制度では、全市を細分化し、名誉職である救済委員を配置し、家庭訪問や調査、相談を通して貧民を減少させることを目指した。※正解
2  セツルメント運動は、要保護者の個別訪問活動を中心に展開され、貧困からの脱出に向けて、勤勉と節制を重視する道徳主義を理念とした。
3  ケースワークの発展の初期段階において、当事者を主体としたストレングスアプローチが提唱された。
4  ミルフォード会議では、それまで分散して活動していたソーシャルワーク関係の諸団体が統合された。
5  全米ソーシャルワーカー協会の発足時には、ケースワークの基本的な事柄を広範囲に検討した結果として、初めて「ジェネリック」概念が提起された。
【解説】
 
この問題は、単純な選択肢入れ替え系問題だけでなく、若干ややこしくしています。選択肢入れ替えしているだけでなく、問題に出ていない用語の内容も使っています。
1、エルバーフェルト制度は、民生委員制度の原型となった制度です。内容もあっています。〇
2、セツルメント運動は、中流階級のボランティアたちが貧民地区に住み込み,セツルメント・ハウスと呼ばれる施設を拠点に,当該地区の貧しい人々と直接触れ合いながらその生活実態を学び,その解決方策を探っていくものです。選択肢の内容は、COSの友愛訪問のことだと思います。✕
3、ストレングスアプローチは、チャールズ・A・ラップの「精神障害者のためのケースマネージメント」で提唱されたものです。この本の発行は1998年になります。できないところに注目するのがケースワークの発展の初期段階です。✕
4、ミルフォード会議では、1920年代にペンシルバニア州のミルフォードで,様々な団体が集まり,ケースワークについて毎年会議を行いました。この会議は通称「ミルフォード会議」と呼ばれます。1929年の会議のまとめに「ミルフォード会議報告書」ケースワークは領域が違っても,基本的に必要な知識・技術は共通である「ジェネリック・ソーシャル・ケースワークの重要性」が提起されました。団体が統合されたわけではないです。内容は5。✕
5、ケースワークの「ジェネリック」概念は、「ミルフォード会議」です。全米ソーシャルワーカー協会は統合化に向けた動きです。内容的には4に近いものかと。✕

問題94  事例を読んで、Z障害者支援施設のF生活支援員(社会福祉士)がこの時点で行う支援方針の見直しに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事  例〕
知的障害のあるGさん(35歳)は、日頃から言語的コミュニケーションは難しいところがあるが、Z障害者支援施設から離れた場所にある生家に一時外泊を行った。Gさんが施設に戻った際に、Gさんの家族から、外泊中の様子を伝えられた。自分から気に入った場所に遊びに出掛けたり、簡単な食事は自分で用意したりしていたとのことであった。F生活支援員にとっては、施設ではこれまで見掛けたことのなかったGさんの様子であった。
1  Gさんの支援は、施設と自宅では環境が異なるため、施設の事情や制約に合わせた支援を行うことを再確認する。
2  Gさんの施設での生活では、職員が考えるGさんの最善の利益に関する事柄を優先的に取り入れる。
3  Gさんの興味が広がるよう、Gさんの理解力や意思決定の力を考慮して、思いや選好を確認するよう努める。※正解
4  家族から聞いた話を基に、Gさんの支援に、自立に向けたプログラムとして施設内で実施している料理教室への参加を組み入れる。
5  Gさんの短期的な支援目標を、施設に近接する共同生活援助(グループホーム)への移行に改める。
【解説】
支援方針の見直しを、どういう方向で行っていくのか?がポイントになると思います。現状より、ちょっとでもよくしたいものです。
また、事例では施設外での生活が本人にとってプラスになった事例だと思うので、できればそれをいかした選択肢にしたいです。
1は、現状維持なので✕
2は、施設の都合なので✕
3は、特に不都合なく、〇
4は、本人もいるので、本人を見ながら見直しを行ってください。✕
5は、短期的な支援目標の中に、居住する場所を変えるのというのはあまり好ましくないと思います。✕

問題95  リッチモンド(Richmond, M.)の人物と業績に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。

1  ケースワークの専門職としてニューヨーク慈善組織協会に採用された。2  ケースワークの体系化に貢献したことから、後に「ケースワークの母」といわれた。※正解
3  社会改良を意味する「卸売的方法」は、個別救済を意味する「小売的方法」の始点であり終点であると位置づけた。
4  『社会診断』において、ケースワークが社会的証拠の探索と収集を重視することに対して、異議を唱えた。
5  『ソーシャル・ケース・ワークとは何か』において、ケースワークを人間と社会環境との間を調整し、パーソナリティを発達させる諸過程と定義した。※正解
【解説】
 
リッチモンドは「ケースワークの母」です。おそらくですが、ものすごく面接が上手く、言語能力高く、クレバーだったんだと思います。
1、最初は事務員で採用されました。✕
2、〇
3、ちょっと意味が分かりにくいですが、ケースワークの母と呼ばれるくらいの人なので、ケースワークがとても重要が大前提です。個別のケース(小売的方法)の関わりから学んで、社会改良(卸売的方法)に結び付けていくことが重要と言ってそうです。個別のケースは始点ではありますが、終点ではないと思います。✕
4、ケースワークを重視します。✕
5、〇

問題96 次の記述のうち、福祉に関する事務所(福祉事務所)に配置される所員の社会福祉法に基づく業務として、正しいものを1つ選びなさい。

1  指導監督を行う所員(査察指導員)は、都道府県知事の指揮監督を受けて、生活保護業務の監査指導を行う。
2  現業を行う所員(現業員)は、所長の指揮監督を受けて、援護、育成又は更生の措置を要する者等に対する生活指導などを行う。※正解
3  母子・父子自立支援員は、家庭における児童養育の技術及び児童に係る家庭の人間関係に関する事項等に関する相談に応じる。
4  知的障害者福祉司は、社会的信望のもとに知的障害者の更生援護に熱意と識見を持って、知的障害者やその保護者の相談に応じ必要な援助を行う。
5  家庭相談員は、児童の保護その他児童の福祉に関する事項について、相談に応じ、専門的技術に基づいて必要な指導を行う。
【解説】
1、特に市町村が都道府県の指揮監督を受けるわけではないです。✕
2、〇
3、母子・父子自立支援員は、名称のとおり「自立支援」ですので、自立に必要な情報提供及び指導を行うこと、職業能力の向上及 び求職活動に関する支援を行うことです。福祉行政で「自立支援」と言えば、「就労支援」の方がニュアンスが近いと思います。選択肢は家庭相談員の内容に近いです。✕
4、知的障害者福祉司は、地方自治体の行政職員が任用されるので、「社会的信望や熱意」がなくても大丈夫です。「社会的な信望や熱意」などが必要とされるのは、民生委員、家庭相談員、保護司の公務員でも特別職と言われる人です。✕
5、児童の保護(一時保護:児童福祉法第33条)ができるのは児童相談所長だけです。かなり強力な権限なのです。✕

問題97 事例を読んで、ピンカス(Pincus, A.)とミナハン(Minahan, A.)の「4つの基本的なシステム」(チェンジ・エージェント・システム、クライエント・システム、ターゲット・システム、アクション・システム)のうち、チェンジ・エージェント・システムが抱える課題として、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事  例〕
脊髄小脳変性症で入院したHさん(45歳、男性)が退院準備のために医療ソーシャルワーカーに相談に来た。現在、下肢の筋力低下が進んでおり、長い時間の歩行は困難で車いすを利用している。Hさんは一戸建ての自宅で妻(42歳、会社員)と二人暮らしであり、今後は、介護保険サービスを利用して自宅に退院することを検討している。また、Hさんは入院後休職中であるが、自宅で療養した後に復職を希望している。
1  Hさんの退院後の自宅における介護サービス
2  Hさんが復職した場合の職場での勤務時間
3  Hさん夫妻に対して、退院後に必要となる妻への支援
4  Hさんの希望に基づき、近隣の利用可能な社会資源
5  Hさんの今後の療養に関わる院内スタッフの情報共有 ※正解
【解説】
 
少し、日本語に変換して考えると解けると思います。
エージェント:支援者
クライアント:支援される人
ターゲット:目標
アクション:行動
この4つのシステムのうち、エージェントシステムの抱える課題について判断する問題です。つまり、支援者の問題を含む選択肢です。
1、介護サービスのことなので、✕
2、職場のことなので、✕
3、家族のことなので、✕
4、社会資源のことなので、✕
5、支援者のことなので、〇

相談援助の理論と方法

問題98 事例を読んで、R市子ども福祉課の社会福祉士が行う、家族システムの視点に基づいた今後の対応として、適切なものを2つ選びなさい。

〔事  例〕
Jさん(15歳)は、小学6年生の時に父親を交通事故で亡くした後、母親(37歳)と母方の祖母(58歳)の3人で暮らしている。母親は、朝から夜中まで働いているため、家事全般は祖母が担っている。Jさんは、中学生になった頃から、祖母へ暴言を吐くようになり、最近は家の中で暴れたり、家に帰ってこなかったりするようになった。祖母は途方に暮れ、友人でもある近所の民生委員・児童委員に相談すると、R市子ども福祉課の相談窓口を紹介され、来所につながった。

1  祖母に思春期の子への対応方法を学習する機会を提供する。
2  家族の凝集性の高さが問題であるため、母親に祖母との距離を置くよう求める。
3  家族関係を理解するため、3人の互いへの思いを尋ねていく。※正解
4  家族システムを開放するため、Jさんの一時的別居を提案していく。
5  家族の規範を再確認するため、それぞれの役割について話し合う機会を設ける。※正解
【解説】
 
問題では、「家族システム」の視点とあります。イメージとしては、家族全体や相互作用について考える視点です。
1、母が抜けています。✕
2、凝集性と言えばわかりにくいですが、「距離感が近い」ということです。母は朝から夜中まで仕事しているので、距離は遠そうですね。✕
3、家族全員の視点です。〇
4、家族システムから切り離すのは、まず先に家族内システムの相互作用をコントロールしてからにしたいです。✕
5、家族の相互作用についての視点です。〇

問題99 ソーシャルワークのアプローチに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  行動変容アプローチでは、クライエントの主体的な意思決定や自己選択が重視され、自分の行動と決定によって生きる意味を見いだすことを促す。2  問題解決アプローチでは、クライエントのニーズを機関の機能との関係で明確化し、援助過程の中で、社会的機能を高めるための力の解放を焦点とする。
3  実存主義アプローチでは、その接触段階で、クライエントの動機づけ・能力・機会についてのソーシャルワーカーからの探求がなされる。
4  ナラティヴアプローチでは、クライエントのドミナントストーリーを変容させることを目指し、オルタナティヴストーリーを作り上げ、人生を再構築するよう促す。※正解
5  機能的アプローチでは、ターゲット問題を明確化し、クライエントが優先順位をつけ、短期処遇を目指す。
【解説】
 
選択肢入れ替え系問題です。
 2⇔5、3⇔1
1、行動の変容を求めるのに、主体的な意思決定や自己選択を優先させると、行動はかわらないままです。選択肢の内容は3です。✕
2、問題解決なのですが、社会的機能を高めるというのは、クライエントに成長してもらうということで、問題への働きかけではないです。選択肢の内容は5です。選択肢の中に「機能」とわざわざ書いてくれています。✕
3、実存主義アプローチは、どちらかというとクライエントに成長してもらうアプローチなので、ソーシャルワーカーからの探求(働きかけ)ではないです。選択肢の内容は1です。✕
4、〇
5、ターゲット問題を明確化なので、問題解決が優先されています。選択肢の内容は2です。選択肢の中に「問題」とわざわざ書いてくれています。✕

問題100 エンパワメントアプローチに関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。

1  クライエントが持つ資源より、それ以外の資源を優先して活用する。
2  クライエントのパーソナリティに焦点を絞り、行動の変化を取り扱う。
3  クライエントのパワーレス状態を生み出す抑圧構造への批判的意識を醸成する。※正解
4  個人、対人、組織、社会の四つの次元における力の獲得を目指す。※正解
5  クライエントが、自らの置かれた社会状況を認識しないように注意する。
【解説】
 
エンパワメントアプローチへの理解を確かめる問題です。
1、他の人のパワーを増幅させるみたいな意味合いもありますが、クライエント自身もパワーなので、使える資源はどんどん使いましょう。どれが優先とかはないです。✕
2、焦点も絞らず、環境も含めてアプローチしていきます。✕
3、パワーをどう導くかという中には、パワーを奪う原因に対するアプローチも含みます。〇
4、いろんな次元や多角的なアプローチです。〇
5、認識しないとはじまりません。✕

問題101  相談援助の過程におけるプランニングに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  アセスメントと相談援助の実施をつなぐ作業である。※正解
2  短期目標は、将来的なビジョンを示すものとして設定する。
3  家族の要望に積極的に応えるような計画を立てる。
4  生活状況などについて情報収集し、サービス受給要件を満たしているかを確認することである。
5  クライエントの課題解決能力を超えた課題に挑戦するよう策定する。
【解説】
 
プランニングの位置づけを確認する問題です。
1、〇
2、短期目標なので、将来的なビジョン(長期目標)とは違います。✕
3、問題文に「相談援助のために」とあるので、家族とあわせて「本人の自己決定」も重要です。✕
4、確認なので、アセスメントです。✕
5、課題解決能力を超えているので、「相談援助のために」とは違います。チャレンジのためのプランニングならかまわないかもしれませんが。✕

問題102  相談援助の過程におけるモニタリングに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  文書や電話ではなく、クライエントとの対面で行うものである。
2  モニタリングの内容を記録に残すよりも、情報収集に集中することを重視する。
3  モニタリングの対象には、クライエントやその家族とともに、サービス提供者等の支援者も含まれる。※正解
4  クライエントの主観的変化よりも、生活状況等の客観的変化の把握を重視する。
5  モニタリングは、インテークの途中で実施される。
【解説】
 
1、モニタリングは状況の確認を行いますので、確かに対面の方が情報量がおおですが、文書や電話による状況の確認を禁止しているわけではないです。✕
2、どっちがダメということではないです。目的は大事で、手段はあくまで手段です。✕
3、状況の確認には、取り巻く環境も含みます。〇
4、これも、選択肢2と同じパターンでどっちがダメということはないです。✕
5、インテークできちんと、何を目的にモニタリングするのかを定めてからです。そのため、インテークの途中で実施されるものをモニタリングというかどうかは怪しいです。✕

問題103  相談援助の過程における終結に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  ソーシャルワーカーが、アセスメントを行い判断する。
2  残された問題や今後起こり得る問題を整理し、解決方法を話し合う。※正解
3  クライエントのアンビバレントな感情のうち、肯定的な感情に焦点を当てる。
4  クライエントは、そのサービスを再利用しないことを意味する。
5  問題解決の過程におけるソーシャルワーカーの努力を振り返る。
【解説】
1、終結を誰がするかですが、職種や職場によっては、ソーシャルワーカーの場合もありうるんでしょうが、他の選択肢と比較しましょう。✕
2、〇
3、両方の感情を確かめたいです。✕
4、再利用の可能性もあります。✕
5、クライアントの努力は振り返りたいです。ソーシャルワーカーの振り返りは個人的にしてもらったらいいです。✕

問題104  ソーシャルワークにおける援助関係に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。

1  転移とは、ソーシャルワーカーが、クライエントに対して抱く情緒的反応全般をいう。
2  統制された情緒的関与とは、ソーシャルワーカーが、自らの感情を自覚し、適切にコントロールしてクライエントに関わることをいう。※正解
3  同一化とは、ソーシャルワーカーが、クライエントの言動や態度などに対して、自らの価値観に基づく判断を避けることをいう。
4  エゴグラムとは、ソーシャルワーカーが、地域住民同士の関係について、その相互作用を図式化して示すツールをいう。
5  パターナリズムとは、ソーシャルワーカーが、クライエントの意思に関わりなく、本人の利益のために、本人に代わって判断することをいう。※正解
【解説】
1、全般ではなく、「好意」です。✕
2、〇
3、避けるではなく、自らを重ねることです。✕
4、地域住民だけでなく、あらゆる関係について図式化します。✕
5、〇、「本人の利益のため」のところがひっかかりますが、他の選択肢より適切なためです。

問題105  事例を読んで、U大学の留学生支援室のK相談員(社会福祉士)のLさんへのこの時点での応答として、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事  例〕
S国からの留学生のLさん(24歳、女性)は、5年前に来日した。来日後1年でU大学に合格したLさんは順調に学業を続け、4年の後期試験を受けて卒業の見込みとなっていた。ある日、目を真っ赤にして留学生支援室を訪れたLさんは、K相談員に以下のように話した。
「私は来週の後期試験2科目を受けて卒業の見込みです。しかし、昨日母から電話をもらい、私の祖母が末期のがんと知らされました。すぐにでも帰りたいのですが、試験を受けなければ卒業できず、かといってこんな状況では試験勉強も手につきません」
1  「帰国したいけれどもできない、その板挟みで苦しいのですね」※正解
2  「おばあさんにはお母さんがついていらっしゃるから大丈夫です」
3  「お母さんは、さぞかしお困りでしょう」
4  「すぐにでも帰国できるよう私が調整します」
5  「お母さんも期待しておられるし、あと2科目で卒業だから頑張りましょう」
【解説】
 
ファーストコンタクトです。相談員としては、きちんと話をきくことができる雰囲気を伝えます。無責任なことをいったり、関係ないことをいったりしては雰囲気が伝わりません。
1、まずは気持ちを受け止めましょう。〇
2、本当に大丈夫なのかわからないのに、無責任なことを言ってはいけません。✕
3、お母さんの困り具合については何も言及されていません。✕
4、帰国すると試験を受けることができず卒業できないので、解決しません。✕
5、心配な気持ちや不安な気持ちがうまく処理できないです。✕

問題106 事例を読んで、V児童養護施設のM児童指導員(社会福祉士)が用いた面接技法の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事  例〕
Aさん(11歳、女性)は、10歳からネグレクトによってV児童養護施設に入所していた。1か月後に施設を退所し、実母と再婚相手の3人での生活が始まる予定である。ある日、M児童指導員に、Aさんがうつむきながら、「前の学校に戻れるのはうれしいけれども、家には本当は帰りたくない」とつぶやいた。M児童指導員は、少し間をおいてから、「家には本当は帰りたくない…。その気持ちをもう少し教えてほしいな」と静かに伝えた。
1  「繰り返し」と「言い換え」
2  「繰り返し」と「開かれた質問」※正解
3  「言い換え」と「要約」
4  「要約」と「閉じられた質問」
5  「要約」と「開かれた質問」
【解説】
「家には本当は帰りたくない…。その気持ちをもう少し教えてほしいな」を詳しく分析していきます。
「家には本当は帰りたくない」は、Aさんの発言をそのまま使っています。これは「繰り返し」です。「その気持ちをもう少し教えてほしいな」は、何かを言い換えたり、要約しているわけではないです。ちなみに閉じられた質問は、具体的に5W1Hを聞く質問です。「いつ」「どこで」など、この事例で閉じられた質問は「なぜ?」と直接聞く面接技法になります。
2の「繰り返し」+「開かれた質問」が〇

問題107 相談援助における面接等の実際に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  受理面接では、信頼関係が既に形成されているので、クライエントの不安は除去されている。
2  生活場面面接では、クライエントの問題となった生活場面を再現することから始める。
3  電話での相談では、ソーシャルワーカーからの積極的な助言や指導を中心にする。
4  面接室での面接では、ソーシャルワーカーが行う情報収集に役立つ範囲で、時間や空間を設定する。
5  居宅での面接では、クライエントの生活環境の把握が可能である。※正解
【解説】
1、受理面接は一番最初のファーストコンタクトです。信頼関係はこれから築いていきます。クライエントは不安いっぱいです。✕
2、問題とならない生活場面そのものにも今後のヒントがあります。✕
3、電話と言う手法ごとに、助言や指導の軽重はかわりません。✕
4、情報収集に役立たなくても時間や空間を設定することもあります。例えば、面接にも集中できる限界時間があるので、その範囲内にしたりです。
5、〇

問題108 事例を読んで、W認知症疾患医療センターで働くB若年性認知症支援コーディネーター(社会福祉士)のクライエントへの対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事  例〕
Cさん(45歳、男性)は、仕事の失敗が増えたことを思い悩み、「周りに迷惑をかけたくない」と4か月前に依願退職した。その2か月後にW認知症疾患医療センターで若年性認知症と診断された。今月の受診日にCさんが相談室を訪れ、「子どももいるし、教育にもお金がかかります。妻も働いてくれているが、収入が少なく不安です。働くことはできないでしょうか」と話すのを、B若年性認知症支援コーディネーターはCさんの気持ちを受け止めて聞いた。
1  他の若年性認知症の人に紹介したものと同じアルバイトを勧める。
2  認知症対応型通所介護事業所に通所し、就労先をあっせんしてもらうよう勧める。
3  障害年金の受給資格が既に生じているので、収入は心配ないことを伝える。
4  元の職場への復職もできますから頑張りましょうと励ます。
5  病気を理解して、対応してくれる職場を一緒に探しませんかと伝える。※正解
【解説】
1、同じアルバイトがいいのかどうかは、Cさんときっちり話をしてからでないといけません。✕
2、通所介護なので、職業あっせん(職業紹介)はできません。無断で職業紹介すると職業安定法に抵触する可能性すらあります。✕
3、障害年金の受給資格が生じているのかどうかは、保険料の納付要件などあります。この事例では一切触れられていないので、まったくわかりません。✕
4、既に退職しており、復職できるかどうかわからないなかで、無責任な発言をすると信頼関係が構築できません。✕
5、〇

問題109 ソーシャルワークにおけるアウトリーチに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  相談機関を訪れたクライエントが対象になる。
2  援助の労力が少なく効率的な活動である。
3  自ら援助を求めない人への関わりとして有効である。※正解
4  住民への関わりや広報を必要としない活動である。
5  援助開始前に行われ、援助開始後においては行われない。
【解説】
1、アウトリーチなので、相談機関で待つのではなく、外に’(アウト)手を伸ばす(リーチ)です。✕
2、どこにいるのか分からないので、労力は要します。✕
3、〇
4、住民から情報提供されたり、広報をきっかけにしたりします。✕
5、援助開始後であっても、必要なタイミングで相談機関から出て支援を行います。✕

問題110 ソーシャルサポートネットワークに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  自然発生的なネットワーク内に関与していく場合と、新しいネットワークを形成する場合がある。※正解
2  ソーシャルサポートを提供する組織間のつながりを強めることを第一義的な目的とする。
3  家族、友人、知人、近隣住民から提供される支援の総体と定義される。4  インフォーマルなサポートよりも、フォーマルなサービスの機能に着目して活性化を図る。
5  情報による支援や物的手段による支援からなり、ソーシャルメディアの利用を目的としている。
【解説】
 
ソーシャルサポートネットワークとは、日本語訳すると、社会的な支援のつながりです。
1、〇
2、ネットワークはひとつの手段です。つながることで支援の対象がよりよくなることを目的としています。✕
3、選択肢のような地域も含めた社会的公的な支援の総体です。✕
4、「よりも」がでてきましたが、どちらが優先ということでもなく、支援の対象に効果的であれば、その機能に着目していきます。✕
5、ソーシャルメディアの利もひとつの手段です。つながることで支援の対象がよりよくなることを目的としています。✕

問題111  ソーシャルワークにおけるグループワークに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  グループワークとは、複数の人を対象に行う集団面接のことである。
2  グループの開始期において、ソーシャルワーカーはグループの外から見守る。
3  グループワークでは、「今、ここで」が大切なので、事前準備は控える。4  グループワークにおけるプログラム活動の実施は、手段ではなく目的である。
5  グループワークは、個々のメンバーの社会的に機能する力を高めるために行う。※正解
【解説】
1、面接ではないです。グループで行うプログラムです。✕
2、グループの開始期は、ソーシャルワーカーが介入した方がいい場合もあります。✕
3、事前準備も大切です。✕
4、グループワークはあくまで手段です。
5、〇

問題112  事例を読んで、X基幹相談支援センターのD社会福祉士によるこの段階における対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事  例〕
X基幹相談支援センターのD社会福祉士は、買物依存のために家族関係の破綻や生活再建に苦労した人たちから、同じような課題で悩む人たちと経験を分かち合いたいとの相談を受け、自助グループの立ち上げを支援した。1年経ち、中心メンバーから、自助グループ運営の助言を求められた。特にルールを定めず開始したためか、グループでは、他のメンバーへの批判が繰り返され、一部のメンバーは、行政への請願を活動の中心とすることを求めるのだという。
1  経験を分かち合いたいとするグループと行政へ請願するグループへの編成を提案する。
2  批判を繰り返すメンバーに退会を勧めるための話合いの場を、中心メンバーと一緒に設ける。
3  メンバー同士でグループの目的やルールについて話し合うことを助言する。※正解
4  グループの司会進行を引き受け、相互援助システムづくりを行う。
5  家族関係の再構築と生活再建に向け、全メンバーとの個別面接を遂行する。
【解説】
 
中心メンバーから求められていることが何か?そのニーズに的確に答えているかという所を気にしたいです。
1、中心メンバーが求めていることは、分裂したいということでないと思います。✕
2、退会を求めているということでもないです。✕
3、どうやったらグループ内のやりとりをうまくできるか?に対してきちんと答えています。〇
4、求めているのは助言であって、具体的に何かの役割をしてほしいということではないです。グループの司会進行ではないです。✕
5、同じく具体的に何かの役割をしてほしいということではないです。全メンバーとの個別面接ではないです。✕

問題113  ソーシャルワークにおけるスーパービジョンに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  スーパービジョンの目的は、クライエントへの支援やサービスの質を向上させるための専門職育成である。※正解
2  スーパービジョンの支持的機能は、スーパーバイジーが適切に業務を行うよう目配りすることである。
3  スーパービジョンの教育的機能は、ストレスに対応するようスーパーバイジーの精神面を支える機能である。
4  スーパービジョンの管理的機能は、スーパーバイジーが実践するために必要な知識や技術を高める機能である。
5  スーパービジョン関係は、クライエントとスーパーバイザーとの契約によって成り立つ。
【解説】
スーパービジョンの3つの機能の理解が問われています。選択肢入れ替え系問題の応用です。
2~4は、3つの機能の内容を入れ替えています。
それぞれの内容は2は管理的機能、3は指示的機能、4は教育的機能です。
5は、クライエントとスーパーバイザーは直接契約しません。✕
残りの1が正解です。選択肢に違和感もありません。〇

問題114  ソーシャルワークの記録に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  フェイスシートには、全体の振り返りや目標達成の評価を記述する。
2  アセスメントシートには、目標を設定し具体的な解決策を記述する。
3  プロセスシートには、目標に対する援助過程を時系列に記述する。※正解
4  プランニングシートには、クライエントの基本的属性を項目ごとにまとめて記述する。
5  クロージングシートには、クライエントの主訴、解決したいことを記述する。
【解説】
選択肢入れ替え系問題です。
1、フェイスシートの内容は選択肢4です。最初の基本的な情報を記載します。✕
2、アセスメントシートの内容は選択肢5です。✕
3、〇
4、プランニングシートの内容は選択肢2です。目標やその計画を記載します。✕
5、クロージングシートの内容は選択肢1です。全体の振り返りを記載します。✕

問題115  事例は、Y地域包括支援センターのE社会福祉士によるFさん(74歳、男性)への支援記録の一部である。次のうち、用いられている文体として、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事  例〕
最近、Fさんからの電話連絡が頻回に続き、電話越しに混乱し、慌てている状況があるため、Fさん宅を訪問。財布をなくしたと探しているので一緒に探したが見付からない。また、部屋が片付けられないのでイライラしている様子。片付けの手伝いをボランティアに頼むことができることを伝えると了承した。
後日片付けの日程の件で訪問。Fさんは片付けのことは忘れており、混乱し、怒り出してしまった。Fさんの言動や生活状況から認知症の進行も考えられるため、関係機関の見守りと早急なケース会議の開催を提案。
1  要約体
2  逐語体
3  過程叙述体
4  圧縮叙述体 ※正解
5  説明体
【解説】
1、要約されている部分はあるものの、具体的なやりとりも詳しく書かれている部分もあるので、✕
2、話した内容まで逐一あるわけでないので、✕
3、最初の一文目は過程を要約している部分もあるので、✕
4、要約部分と叙述している分でまとめている。〇
5、ケース会議を提案は説明ではないので、✕

問題116 社会的排除の状態に置かれ、複雑困難な課題を抱えている利用者と家族に対するソーシャルワークに関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。

1  社会的排除の状態に置かれている利用者と家族に対して、プライバシーに配慮した上で、地域住民の協力を求め、利用者と家族の地域生活の継続を支援する。※正解
2  利用者との距離を置き、客観的に状況を理解している同居をしていない家族の意向に基づき支援する。
3  人との関わりに抵抗のある利用者や課題を持つ家族が多いので、利用者と家族の生育歴や生活歴に特徴的に見られる課題に限定して情報収集をする。4  時間をかけて関係づくりを行い、利用者と家族の意向を踏まえ、優先順位をつけて生活課題やニーズに対応していく。※正解
5  利用者や家族のストレングスを見いだすため、利用者自身の弱さを内省するよう支援する。
【解説】
社会的な排除や、複雑困難な課題を抱えている利用者と家族の状況について、イメージを持っている方がいいかもしれませんし、社会的な排除に至る経過や背景、つまり偏見や差別等があると思って、選択肢を精査していきます。
1、プライバシーの配慮はとても必要です。〇
2、利用者のニーズを無視する形になる場合もあるので、✕。また、客観的なようで社会的な排除をする側の論理かもしれないので、真に客観的な状況理解というのにも疑問です。
3、利用者と家族の成育歴や生活歴だけでなく、その周りの人や環境によるものもあります。✕
4、〇
5、ストレングスは強さです。✕

問題117 事例を読んで、Z放課後等デイサービスのG児童指導員(社会福祉士)による、Hさんへの面接に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。

〔事  例〕
Hさん(28歳、女性)は、長女Jさん(8歳)と二人暮らしで、Jさんには発達障害がある。ある日Jさんが、通っているZ放課後等デイサービスで、他の子のおやつを食べてしまった。Jさんは、「お腹がすいて我慢ができなかった」と訴えた。G児童指導員の呼び掛けに応じた面談でHさんは、「Jが大事で頑張っているけど、子育てがちゃんとできない自分が嫌」と話した。
1  「Jちゃんと少し距離を置くために、施設入所も検討してみませんか」と意向を聞く。
2  「Jちゃんを大事だと思って、あなたはよく頑張っていますね」と承認する。※正解
3  「家事を手伝ってくれる子育て短期支援事業を利用してはどうですか」と意向を聞く。
4  「子育ての方法を教えてくれるペアレント・トレーニングを受けるという方法もありますよ」と情報提供する。※正解
5  「Jちゃんにとって大事なお母さんなんだから、しっかりしましょう」と励ます。
【解説】このような事例問題は、わりとできると思いますが、適切なもの2つですので、不適切なものを先に探した方が早いと思います。
1は、「施設入所」ですが、Hさんは望んでいるとも書いていないのに、こちらから的外れな提案をしているので、不適切です。支援者あるあるで、客観的にみるとニーズにそぐわないことを言っているとわかりますが、自分のテリトリーの資源をまず提案しがちです。本当に必要なひとには、自分のテリトリーの資源を相談したらいいでしょうが、もしニーズがなければ、まったく的外れな資源の提案になってしまい、ニーズをちゃんと聞いてくれない人だと判断されて、後がやりにくくなる場合もあるので、まずはニーズがどこにあるのかをきちんと聞くことと、言語化されない情報も加味して、情報提供する方がいいです。
次に不適切なのは、5です。要するに「がんばれ」と言っているだけなので、その一言が欲しいだけのひとにはいいでしょうが、事例を読む限り、そういう相談ではないように思います。
残り3つですが、先に適切なものが分かるのでそちらを先に判断しましょう。
2の「承認」をまず先にしましょう。「承認」して、ちゃんと話を聞くということを伝えたいですね。2が〇
3と4の選択肢をあとは比べるだけですが、主訴をもう少し分析してみると、「Jが大事で頑張っているけど、子育てがちゃんとできない自分が嫌」という文脈を3と4の文脈に沿って理解してみると、
3は、「家事を手伝う短期支援事業」、4は「ペアレントトレーニング」です。つまり子育てを、一時的にしろ他に人に代わってほしいのか、自分でやっていくのかという点が違いになります。事例では変わってほしいというニーズはないんで、4が〇

問題118 事例を読んで、病院のK医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)のこの時点の対応として、適切なものを2つ選びなさい。

〔事  例〕
Lさん(59歳、女性)は、利き腕を複雑骨折し入院してきた。手術後も後遺症から細かい作業が困難となった。家族の見舞いはなく、不自然なあざがあり、退院を強く渋ったため、病棟の要請でK医療ソーシャルワーカーが面接を開始した。Lさんは徐々に心を開き、会社員の夫(64歳)から長年毎日のように暴力を受けてきたこと、高校卒業後すぐ結婚し妊娠したため働いたことがないことを話してくれた。子どもたちは他県で家庭を築いているが、経済的余裕はなく、他に頼れる親戚はいないそうである。離婚は考えるものの、収入がなく、今後の生活が心配だという。
1  夫に連絡を取り、心理的カウンセリングを受けるよう促す。
2  他県にいる子どもの家族と同居できるよう、引っ越しの手配を手伝う。3  行政から委託を受けた民間シェルターに入居するという選択肢を説明する。※正解
4  離婚や今後の生活に必要な情報提供をし、生活設計を共に考える。※正解
5  仕事を見付けられるよう、公共職業安定所(ハローワーク)に行くことを促す。
【解説】
 
典型的な身体的な暴力のDVケースです。不自然なあざ、退院しぶりなどから、かなりの重度だと判断します。ちなみにDV相談の9割近くは身体的暴力ではなく精神的暴力などで、いわゆるモラハラにあたる内容が多いです。
1、既に身体的暴力が繰り返されている事案で、夫に改善を求めることが現実的ではないです。✕
2、事例の説明の中で「こどもたちは他県で家庭を築いているが、経済的余裕はなく、他に頼れる親戚はいない」とありますので、子どもとの同居は現実的な助言できないです。✕
3、〇
4、〇
5、仕事を見つけたとしても、DVが解決するわけではないです。逆に仕事があるので、今の地域から離れにくくなる可能性もあります。✕

福祉サービスの組織と経営

問題119 社会福祉法人の組織体制に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  社会福祉法人は、定款、貸借対照表、収支計算書、役員報酬基準等を公表しなければならない。※正解
2  社会福祉施設を経営している社会福祉法人において、当該施設の管理者は法人の理事になることは禁止されている。
3  社会福祉法人は収益事業を行うことが禁止されている。
4  社会福祉法人における評議員の選任・解任は、定款に定めることにより、理事長や理事会が決定することが可能である。
5  社会福祉法人は、理事長以外に業務執行理事を評議員会で選定することができる。
【解説】
 
社会福祉法人の組織について、なぜ知っておかなければならないのか?と思いますが、社会福祉法人はその意義のため運営に税の減免など特典があります。逆にその特典を利用しようと社会福祉法人を不適正に活用しようという人達もいます。特に特定の人が社会福祉法人を私物化するのを防ぐ必要があります。
1、社会福祉法人は固定資産税の減免や経営上、会社組織は、定款や貸借対照表、収支計算書、役員報酬基準等は公表し、健全な経営を担保します。〇
2、解説の理由のため社会福祉法人の理事も兼務や就任できない場合があります。施設の管理者は利用者と一番近い位置にいる職員の代表ですので、健全な経営にはむしろ施設の管理者が理事であった方がいいです。✕
3、社会福祉法人は、収益事業は行うことが可能です。よくあるのが駐車場の運営などをすることがあります。
4、評議員の存在意義が大切な所です。以前は、評議員は必置ではありませんでした。置かなくても置いても良かったのです。ところが社会福祉法人の不祥事が続くと、平成29年4月の社会福祉法の改正にあわせて必置となりました。いくつか権限を有していますが、特に大きい権限が理事・監事・会計監査人の選任及び解任です。この権限を有することで、理事会へのけん制となり、健全な経営ができます。選択肢ように、理事長や理事会が逆に評議員を選任・解任することができたら、私物化したい人が自分のいうことを聞く人をどんどん評議員にすると思います。✕
5、業務執行理事の選定は、理事会の決定事項です。事業の運営そのものに関わることは評議員会の権限にはありません。✕

 問題120 特定非営利活動法人の組織運営に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1  特定非営利活動法人における最高意思決定機関は、評議員会である。
2  特定非営利活動法人において役員に報酬を支払うことができるのは、役員総数の半数までである。
3  特定非営利活動法人は、その主たる活動の目的を、政治上の主義を推進、支持、反対するための活動とすることができる。
4  特定非営利活動法人は、法律に定められた要件を満たし、必要な書類を添えて所轄庁に申請し、審査を経て認可された後、登記することによって成立する。
5  特定非営利活動法人は、その社員の資格の得喪に関して不当な条件を付してはならず、加入や脱退の自由を保障する必要がある。※正解
【解説】
 
特定非営利法人のイメージだけを先に伝えます。もともとは任意のボランティア団体だったが、法人格がないために代表の買い物など代表の個人の名義でしたり、社会的な信用が得られないため事業を受託できないなど不都合があったので、要件を決め特定非営利法人という法人格を与えることになったのが経過です。大前提は公益ためで非営利なので、社会福祉法人と違い、税の免除を受けるなどの特典はなく、私物化されてもメリットがないという位置づけです。但し、非営利であるとことに意味があるので、役員報酬を受ける人数は、役員総数の3分の1以下である必要があります。それと、公益のためなので役員は親族の人数に制限があります。
1、そのため、特定非営利法人に評議員会の設置は任意です。✕
2、3分の1以下です。
3、公益のためなので、政治活動は不可。✕
4、特定非営利法人の手続きは特殊で、「届出」でも「申請認可」でもなく、「認証」と言います。審査はするけど、要件を満たしているか確認する程度というニュアンスなので、「認証」です。✕
5、〇

 問題121  福祉や医療サービスを提供している組織・団体に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  社会医療法人は、収益業務を行うことが禁止されている。
2  株式会社は、都道府県知事への届出によって児童養護施設を設置することができる。
3  医療法人は、都道府県知事への届出によって特別養護老人ホームを設置することができる。
4  福祉活動を行う市民団体は、法人格を取得しなければならない。
5  医療法人は、剰余金の配当をすることが禁止されている。※正解
【解説】
1、具体的な収益事業で想定してほしいのは駐車場です。地元の病院とかでも駐車場は有料だったりしませんか?✕
2、児童養護施設は株式会社は不可です。児童福祉施設であっても、保育所は株式会社でも構いませんが、児童相談所が措置決定する児童養護施設への入所は株式会社での設置はできませんし、許認可なので届出でもないです。
3、特別養護老人ホームも公的施設扱いなので、”特別”と言う位置づけです。株式会社は不可。やはり許認可なので届出でもないです。✕
4、法人格を有さない場合もあります。✕
5、配当が目的になると、医療法人で利益をあげようとなるので、禁止されています。〇

問題122  組織運営やその原則に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  コンフリクトは、集団に肯定的な影響を与えることはなく、組織運営に非生産的な結果をもたらすので回避する必要がある。
2  事業部制組織は、職能別管理をすることによって、組織の統制が向上するメリットがある。
3  各構成員に対する指示・命令は、複数の者によって多面的に行う必要がある。
4  従業員が意思決定を行うことができる権限の範囲と、それに対応した職務に対する責任の範囲は、等しくなるようにしなければならない。※正解
5  管理者は、例外的で高度な業務のみならず、定型的で反復的な業務についても行わなければならない。
【解説】
1、コンフリクトは摩擦や紛争という意味ですが、必ずしも否定的な展開だけではないです。それをきっかけとして組織を見直し、生産的な結果をもたらすこともあります。✕
2、事業部制組織は、職能別管理とは別の組織になります。同じ職能(例えば社会福祉士)であっても、事業部(福祉事業部、地域支援部)別に組織が運営されることです。✕
3、いろんな上司からいろんなことを指示・命令されたら、混乱します。✕
4、〇
5、「ならない」ことはないです。✕

問題123  福祉サービスの経営に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  CSR(Corporate Social Responsibility)は、福祉サービス事業者には求められない。
2  ドメイン(事業領域)は、単一の制度や限定された利用者を対象として設定しなければならない。
3  バランス・スコアカード(Balanced Score Card)とは、財務だけでなく、顧客、業務プロセス、従業員の学習・育成といった各視点から企業実績を評価する仕組みである。※正解
4  経営における戦略とは、短期的な観点による目標を設定し、日々の業務を遂行するための方策のことである。
5  CSV(Creating Shared Value)とは、社会的な課題を解決するところから生まれる社会価値を、事業者の経済価値に優先する考え方である。
【解説】
あまり聞いたことのない単語でも、英語をヒントに日本語に訳してみれば、解ける問題です。
1、CSRは、組織の社会的な責任です。福祉サービス事業者にこそ求められます。✕
2、ドメインとは組織の事業領域にあたるので、単一ではなく、複数の制度や利用者にわたる場合もあります。✕
3、多面的な評価です。〇
4、戦略は長期的に考える方策です。✕
5、CSVは共有価値の創造です。社会的な課題を解決することが、事業者の経済的な利益につながるということです。✕

問題124  人材の確保や育成に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  360度評価(多面評価)とは、評価者である上司が、職員の能力や業績だけでなく、性格、志向、特技などを多面的に評価する手法を指す。
2  人事考課においては、ある対象を評価する際に、部分的で際立った特性が、全体の評価に及んでしまうハロー効果が起こることがある。※正解
3  OJT(On the Job Training)とは、日常の職務を離れて行う教育訓練方法のことを指す。
4  職員のキャリアや能力の開発を目的に人事異動を実施することは、望ましくないとされている。
5  エルダー制度は、新入職員のセルフラーニングを通じた自己啓発の仕組みである。
【解説】
1、多面的評価とは、上司から部下を評価するだけでなく、部下から上司を評価することです。何も知らない上司から性格とか志向とか特技をとやかく評価されたくないですね。✕
2、〇
3、英語のとおりです。日常業務の中で行う教育訓練です。✕
4、職員のキャリアや能力の開発を目的に人事異動することで、職員にやりがいが出ると思います。✕
5、セルフではなく、OJTによるものです。✕

問題125  福祉サービス第三者評価事業に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  児童養護施設は、福祉サービス第三者評価を定期的に受審すること及び結果の公表が義務づけられている。※正解
2  福祉サービス第三者評価は、市町村が認証した第三者評価機関が実施する。
3  福祉サービス第三者評価は、法令に定められた福祉サービスの運営基準が遵守されているかを監査するための仕組みである。
4  福祉サービス第三者評価の評価機関は、非営利組織であることが認証を受けるための要件となっている。
5  福祉サービス第三者評価の結果は、インターネット上に公開することができない。
【解説】
1、〇
2、第三者評価に関することは、都道府県になります。✕
3、監査ではなく、サービスの質を当事者(事業者・利用者)以外の公正・中立な第三者機関が、専門的かつ客観的な立場から評価する事業をいいます。通常の監査であれば行政職員でいいでしょうが、具体的なサービスの質を、専門家から評価する者になります。✕
4、評価期間は事業者、利用者以外であればいいので、非営利であることは要件ではないです。✕
5、公開できます。✕

高齢者に対する支援と介護保険制度

問題126 「令和4年版高齢社会白書」(内閣府)に示された日本の65歳以上の人の生活実態に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  経済的な暮らし向きについて、「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」と感じている人は約5割となっている。
2  介護保険制度における要介護又は要支援の認定を受けた人は、第一号被保険者全体の3割を超えている。
3  現在、収入の伴う仕事の有無については、収入の伴う仕事をしていると回答した人は約3割となっている。※正解
4  現在の健康状態について、「良い」「まあ良い」と回答した人の合計は、全体の6割を超えている。
5  二人以上の世帯について、「世帯主の年齢が65歳以上の世帯」と「全世帯」の貯蓄現在高の中央値を比較すると、前者は後者のおよそ3分の2の金額となっている。
【解説】
 
高齢社会白書は内閣府が作成しています。概要版ではなく、全体版から出題されているので、いったんは確認しておいた方がいいかもしれません。
まとめの内容から出題されているところもあれば、詳しい統計の中から出題されているところもあり、ひとつひとつ覚えるというよりかは、全体的な傾向や、選択肢の中身をきちんと精査することで対応しましょう。
 令和4年度版(第35回対応分)
 令和5年度版(第36回対応分)
1、「まったく心配なく暮らしている」と感じている人は12%です。✕
 高齢社会白書のまとめの表現は、「経済的な暮らし向きについて心配がない65歳以上の者は68.5%」と表現していますので、若干、ひっかけの選択肢ような気もします。
2、要介護者等は、第1号被保険者の18.4%です。✕
3、〇
4、健康状態について、「良い」「まあ良い」と回答した65歳以上の人が31.2%となっている。✕
5、二人以上の世帯の貯蓄現在高について、世帯主の年齢が65歳以上の世帯と全世帯の中央値を比較すると、前者は1,555万円と、後者の1,061万円の約1.5倍となっている。世帯が逆になっています。高齢者のみの世帯の方が、お金を持っているということです。✕

問題127 日本の高齢者保健福祉施策の変遷に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1  老人医療費支給制度による老人医療費の急増等に対応するため、1980年代に老人保健法が制定された。※正解
2  人口の高齢化率が7%を超える状況を迎えた1990年代に高齢社会対策基本法が制定され、政府内に厚生労働大臣を会長とする高齢社会対策会議が設置された。
3  認知症高齢者の急増に対応してオレンジプラン(認知症施策推進5か年計画)が1990年代に策定され、その計画推進を目的の一つとして介護保険法が制定された。
4  住まいと介護の双方のニーズを有する高齢者の増加に対応するため、2000年代の老人福祉法の改正によって軽費老人ホームが創設された。
5  高齢者の医療の確保に関する法律による第3期医療費適正化計画では、2010年代から2020年代の取組の一つとして、寝たきり老人ゼロ作戦が初めて示された。
【解説】
 
どの年代に、どのような制度ができたのかを理解しているか問題です。
歴史的な経過で考えてもいいですし、年代と内容のペアの確認ですので、そういう覚え方でもいいです。
1、〇
2、7%を超えたのは1970年です。1994年14%を超えました。✕
3、オレンジプランのために介護保険法ができたわけではないです。✕
4、2000年代に軽費老人ホームができたわけではないです。昭和38年(1963年)です。✕
5、寝たきり老人ゼロ作戦は1990年からのゴールドプランの内容です。✕

問題128 次の記述のうち、ボディメカニクスの基本原理に関する介護場面への応用として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  ベッド上で利用者の臀部{でんぶ}を上げる際に、自分の肘を支点にして、てこの原理を使った。※正解
2  ベッドから車いすへの移乗介助の際に、利用者の身体を小さくまとめてしまわないように意識した。
3  車いすからベッドへの移乗介助の際に、できるだけ自分の重心を利用者から離した。
4  ベッド上で利用者の体位変換や枕方向への移動を行う際に、利用者の身体をできるだけ垂直方向に持ち上げて移動させた。
5  ポータブルトイレからベッドへの移乗介助の際に、自分の両足をそろえ、直立姿勢をとった。
【解説】
 ボディメカニクスと言ってもわかりにくいので、体の構造を利用してという理解でいいと思います。また、この問題は実際の場面を想像してあっているのか確認してもいいです。その場合は時間がかかるので、テスト時間に余裕をもって臨んでください。
1、〇
2、小さくまとめた方が余計な力を使わないのでいいです。実際の場面を思い浮かべてみてください。✕
3、重心が離れると余計な力を使います。✕
4、垂直に力を入れるよりは、自分の腕の曲がる方向の方が自分の力を使いやすいです。✕
5、両脚は直立姿勢より、広げた方がバランスを取りやすいです。✕

問題129 事例を読んで、U介護老人福祉施設に入所しているMさんに対する日常介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事  例〕
Mさん(79歳、女性、要介護4)は、先月U介護老人福祉施設に入所した。3年前に発症した脳梗塞の後遺症により右片麻痺{まひ}、運動性失語症がある。問い掛けに対して、首を振って返答することは可能である。口腔{こうくう}内に感覚障害がある。時々、せき込むことがある。食事の時、自分で矢継ぎ早に摂取し、口いっぱいにほおばっていることが多い。最近になって腹圧性尿失禁があることが分かった。A生活相談員(社会福祉士)は、Mさんに対するケアカンファレンスに同席し、介護上の留意点を確認した。
1  Mさんに対する質問は、できるだけ開かれた質問で行うように心掛ける。2  着替えの介助の際、袖を通すときは左側から介助する。
3  浴槽に入る際は、右足の方から湯船に入るように介助する。
4  せきの時に尿が漏れるかもしれないので、尿パッドの使用をMさんと検討する。※正解
5  食事の時、食べ物を口に運ぶペースはMさんのペースのままとする。
【解説】
 
本人に負担のかからないように介護したいです。
1、開かれた質問の場合、具体的な内容をたくさん話す必要があります。運動性失語症があるので、閉じられた質問を活用し、「はい」「いいえ」で返答しやすくしましょう。✕
2、服の袖を通すのは、動かない方から通します。実際のやってみたら分かりますが、逆だと通すことができないです。事例では右片麻痺なので、右側からです。✕
3、お風呂の場合は、動く方から入って、支えにしてから入ります。逆だと麻痺している足で体を支えることになりできないと思います。✕
4、腹圧性尿失禁は、字の通りでお腹に圧力がかかった際に、おしっこが出る場合が想定されます。食事は胃に物が入るために物理的に圧力がかかります。〇
5、心情的にはMさんのペースで食べてもらいたいですが、口腔内に感覚障害があり、時々せきこむとあるので、誤嚥性肺炎などを気にして介護する側がきちんとペースをコントロールします。

問題130 高齢者に配慮した浴室の環境整備に関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。

1  開閉時に身体移動が少ないことから、脱衣所は開き戸にした方がよい。
2  立位でまたぐ場合、浴槽の縁(エプロン)の高さは65cm程度がよい。3  浴室は温度が高くなるので、脱衣所は温度を低くしておくとよい。
4  洗面台の水栓はレバー式が握り動作がいらず操作しやすい。※正解
5  浴室内に立ち上がりや姿勢保持のために水平及び垂直の手すりを複数設置する。※正解
【解説】
 
福祉住環境コーディネーターの勉強した人は思い出しながら解いてください。
1、扉は主には開き戸と引き戸があります。開き戸は一般的なドアのイメージでいいです引き戸は襖など引いて使う扉です。引き戸は横に押すだけですが、ドアは前後に体を動かさないといけないので、例えば、車イスの人とかにとっては、やりにくいです。✕
2、65cmは高めです。40cm程度が望ましいです。✕
3、脱衣所も暖かい方がいいです。普段でも浴室は暖かくても、脱衣所は寒かったら嫌ですよね。ヒートショックもあるので、✕
4、〇
5、〇

問題131  介護保険制度における第一号被保険者の介護保険料(以下「第一号保険料」という。)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1  第一号保険料の額は、政令で定める基準に従い、各市町村が条例で定める保険料率に基づいて算定され、第一号被保険者に賦課される。※正解
2  第一号保険料は、被保険者の前年の所得に応じて、原則として3段階を標準とした保険料率が定められている。
3  第一号保険料が特別徴収となるのは、公的年金の受給額が年額120万円以上の第一号被保険者である。
4  第一号被保険者が医療保険の被用者保険(健康保険など)の被保険者の場合、第一号保険料は医療保険者が医療保険料と一体的に徴収する。
5  第一号被保険者が被保護者(生活保護受給者)であって第一号保険料が普通徴収となる場合、その保険料は介護扶助として支給される。
【解説】
第一号被保険者と、第二号被保護者の違いや、徴収方法の違いについては理解している前提で解説します。
1、介護保険料は各市町村ごとに決まっています。介護サービス量や高齢者のいる人数などにより、必要な経費も異なるため、それに対応する保険料も異なっています。〇
2、3段階となっていますが、もっと細かいです。✕
3、特別徴収とは、いわゆる天引きです。年金から天引きされる場合は、年額18万以上の人です。月額にすると15,000円以上になります。国民年金が月額6万6,000円ほどなので、基本的に年金からの天引きが多いです。✕
4、医療保険と一体的に徴収するのは第二号の保険料です。年金支給開始の65歳を区切りとして、第一号被保険者になります。その際は被用者保険に加入していても、別途第一号の保険料は、あれば年金から特別徴収されると理解ください。もし年齢で区切らなかったら、医療保険料と一体的に徴収する人と、そうでない人が混在することになり、とてもややこしいです。✕
5、被保護者(生活保護受給者)の場合は、保険料相当額は介護保険加算といって、生活扶助プラスされます。介護扶助ではないです。介護扶助は介護サービスの自己負担分になります。✕

問題132  指定居宅介護支援事業者とその介護支援専門員の役割などに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  指定居宅介護支援事業者は、利用者が介護保険施設への入所を要する場合、施設への紹介など便宜の提供は行わず、利用者の選択と判断に委ねることとなっている。
2  居宅サービス計画は、指定居宅介護支援事業者の介護支援専門員に作成を依頼することなく、利用者自らが作成することができる。※正解
3  指定居宅介護支援事業者の介護支援専門員による居宅サービス計画作成業務の保険給付(居宅介護支援)では、利用者の自己負担割合が1割と定められている。
4  地域住民による自発的な訪問や民間事業者が市場サービスとして行う配食サービスなどについては、居宅サービス計画に位置づけることはできないとされている。
5  介護支援専門員は、居宅サービス計画の実施状況の把握のため、少なくとも2週間に1度は利用者宅を訪問することが義務づけられている。
【解説】
1、施設への紹介など便宜の提供もします。✕
2、〇
3、居宅サービス計画作成業務の保険給付と分かりにくく言っていますが、ケアプランの作成に自己負担はありません。✕
4、ケアプランには介護保険によらないサービス(インフォーマルサービス)も位置づけるようになっています。✕
5、モニタリングは3カ月に1回が基本になっています。✕

問題133  介護保険制度における要介護認定・要支援認定に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1  介護認定審査会の委員は、要介護者等の保健、医療、福祉に関する学識経験者及び第一号被保険者から都道府県知事が任命する。
2  介護認定審査会は、市町村長が定める認定基準に従って審査・判定を行い、その結果を申請者(被保険者)に通知する。
3  介護認定審査会は、被保険者の要介護状態の軽減又は悪化の防止のために必要な療養に関する事項などの意見を市町村に述べることができる。※正解
4  認定調査員は、新規申請の場合も、更新・区分変更申請の場合も、市町村職員以外の者が担うことはできない。
5  認定調査員は、申請者である被保険者若しくは同居家族が自記式で記入した調査票の回答に基づいて調査結果を取りまとめる。
【解説】
1、介護認定審査会は市町村単位なので、都道府県知事の任命ではないです。また、委員の条件も違います。✕
2、介護認定審査会自体が、直接申請者に通知はしません。直接、苦情の対応はしたくないです。市町村から通知します。✕
3、〇
4、指定居宅介護支援事業所等へ委託できます。✕
5、申請者が自記するのではなく、認定調査員が調査票を記入します。✕

問題134  老人福祉法に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1  法律の基本的理念として、要援護老人の自立支援の重要性が規定されている。
2  老人福祉施設の一つとして、介護老人保健施設が規定されている。
3  やむを得ない事由で介護保険法の保険給付などが利用できない場合、市町村が採ることのできる福祉の措置の一つとして、居宅における介護等が規定されている。※正解
4  市町村社会福祉協議会には、老人福祉センターを設置する義務があることが規定されている。
5  市町村老人福祉計画は、社会福祉法に基づく市町村地域福祉計画と一体のものとして作成されなければならないことが規定されている。
【解説】
1、要援護の人をどうやって自立支援していくのだろうか。✕
2、介護老人保健施設は、介護保険施設です。✕
3、「やむ措置」と言われるものです。〇
4、設置義務ではなく、設置することができるです。設置義務があるような施設は行政処分をするような権限を持っていることが多いです。老人福祉センターは、無料又は低額な料金で、地域の高齢者に対して各種の相談に応ずるとともに、健康の増進、教養の向上及びレクリエーションのための便宜を総合的に供与することを目的とする施設なので、設置義務ではないです。✕
5、市町村老人福祉計画と市町村介護保険事業計画が一体のものとして作成されなければないです。調和が保たれたものでなければならないに該当します。✕

問題135  事例を読んで、B社会福祉士が、Cさんの希望を踏まえて特に意見を聴くべき職種として、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事  例〕
急性期病床を有する病院に医療ソーシャルワーカーとして勤務するB社会福祉士は、10日前から入院中のCさん(79歳、一人暮らし)の退院時カンファレンスに臨んだ。その会議には、Cさんを担当する看護師・理学療法士・作業療法士・管理栄養士・言語聴覚士・医療ソーシャルワーカー、Cさん本人が同席した。Cさんは軽度の脳梗塞を初めて発症して入院し、その後の治療等によって、基本的な日常生活動作や、言語・コミュニケーションに関する症状はほぼ消失したため、医学的には定期的な外来通院に移行できる状態である。しかし、利き腕の右手を動かしづらく、既存の調理器具ではうまく調理ができなくなっており、在宅生活には支援が必要な状況である。Cさんは、「調理はずっと行ってきたことなので、上手にできるようになりたい」と希望している。
1  看護師
2  理学療法士
3  作業療法士 ※正解
4  管理栄養士
5  言語聴覚士
【解説】
消去法で考えていきましょう。また、問題文に「Cさんの希望を踏まえ」とあります。Cさんの希望は、「調理はずっと行ってきたことなので、上手にできるようになりたい」であり、「利き腕の右手が動かしづらく、既存の調理器具ではうまく調理ができなくなっており、在宅生活には支援が必要」です。
選択肢のうち、看護師、管理栄養士、言語聴覚士は関係なさそうです。
理学療法士が身体的な機能回復をするのと違い、作業療法士の違いは日常の基本動作を発展させた応用的動作や社会適応動作のリハビリテーションを行います。調理は社会的で応用的動作になるので、作業療法士が適任です。

児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度

問題136 事例を読んで、V里親養育包括支援(フォスタリング)機関のD相談員(社会福祉士)の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事  例〕
Vフォスタリング機関のソーシャルワーカーであるD相談員は、養育里親であるEさん夫婦からFさん(9歳)の相談を受けた。Eさん夫婦はFさんの養育里親委託を受け、5年になる。このところ、Fさんが実親のことを詳しく知りたいと言い出し、どうしたらよいか悩んでいると話す。Eさん夫婦は、実親のことを知ることで、自分たちとの関係が不安定になるのではないかと危惧しているとD相談員に話した。
1  Fさんは思春期に入る前なので、今は伝えない方がよいと助言する。
2  Fさんの最善の利益を考え、Fさんに実親のことをどのように伝えるかについて相談する。※正解
3  Eさん夫婦が自分たちを追い詰めないことを優先する必要があり、実親の話題が出たら話を変えてみることを提案する。
4  D相談員からFさんに、実親のことを知らない方がFさんのためだと伝えることを提案する。
5  実親についての全ての情報を、Fさんに直ちに伝えなければならないと助言する。
【解説】現場でも実際にどうしたらいいのか悩ましいのが、真実の告知をどうするのか?です。これについては、複雑な影響があることは確実です。もし、自分が信じていた親子の前提が崩れてしまうことは、子どもにとって大きなことです。しかも、その真実は墓場まで持っていくことはできなくて、戸籍を請求すればすぐにわかることなので、いずれは知ることになります。戸籍の請求は、結婚のときや、役所に書類を提出する際です。その時に【養親】であること、実母の名前、実父の名前、もしくは空欄であることを知ることになります。
 要親であれば、その影響を最小限にしたいと思いますし、早く知らせたらいいのか、本人が知りたいというまで黙っておくのか、親子の関係性があれば養親であることは乗り越えることができるのか、早く知らせて、「どうせ実親ではないし。」と関係性が崩れないのか?などたくさんのことを考えます。
 結論としては、真実の告知をいつするのかに正解があるとすれば、大人の都合や、大人の責任転嫁で決めないことだと思います。
 問題の選択肢に戻りますが、「告げる」「告げない」というより、子どもの利益のためという視点がある選択肢を選択するのが正解でしょう。 2が〇

問題137 事例を読んで、妊娠中のGさんが出産後に母子で居住する場について、H婦人相談員(社会福祉士)がこの時点で利用を勧める施設として、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事  例〕
Gさん(18歳)は夫から暴力を受けて、心も身体も深く傷ついており、「出産で入院することをきっかけに夫から逃げたい。子どもは自分一人で育てる」とH婦人相談員に相談した。Gさんは親族との関係が断絶しており、実家に戻ることもできないという。働いたこともなく様々な不安があるので、子どもとの生活設計を支援してもらえるところを希望している。
1  母子生活支援施設 ※正解
2  児童家庭支援センター
3  産後ケアセンター
4  乳児院
5  母子・父子休養ホーム
【解説】答えは、1の母子生活支援施設なんですが、まず「婦人相談員」って何?というところからはじまります。まず、それぞれの施設がなんなのか知っておきましょう。
「婦人相談員」は、売春防止法やDV法により相談指導を行います。
母子生活支援施設ですが、母子が生活する入所施設です。母子専用マンションのようなイメージが近いです。DVから避難している人が入所するために、ホームページなどで情報がなくイメージが沸かないと思います。
児童家庭センター ➡ 小さな児童相談所(相談機能のみ)
産後ケアセンター ➡ 産後に母子で入所する施設、入院の延長のイメージ
乳児院 ➡ 2歳未満の乳児のみ。お母さんはどこへ???
母子・父子休養ホーム ➡ 無料又は低額な料金で、母子家庭等に対して、レクリエーションその他休養のための便宜を供与する施設です。法律的な位置づけは分かりますが、実際はどれくらいの数があるんでしょう。
そして、これは問題文を丁寧に読めば、答えが書いているので、読みましょう。「出産後に母子で居住する場」「夫から逃げたい。」とあるので、「母子生活支援施設」になります。

問題138 「児童虐待防止法」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  児童相談所長等は、児童虐待の防止及び児童虐待を受けた児童の保護のため、施設入所している児童を除き、面会制限を行うことができる。
2  児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、できる限り通告するよう努めなければならない。
3  児童の福祉に職務上関係のある者は、児童虐待の早期発見を行わなければならない。
4  児童が同居する家庭における配偶者に対する生命又は身体に危害を及ぼす暴力は、児童虐待の定義に含まれる。※正解
5  児童に家族の介護を行わせることは、全て、児童虐待の定義に含まれる。
(注)「児童虐待防止法」とは、「児童虐待の防止等に関する法律」のことである。
【解説】
1、施設入所をしている児童を除きなので、一時保護中は面会制限できるという選択肢です。実際は一時保護中に面接させると児童を連れて帰る可能性があるので、面会を児童相談所が拒否する事例もありますが、児童虐待防止法では、面会制限を行うことはできません。✕
2、通告義務の問題ですが、「できる限り」は通告義務ではないです。「できなかったらしなくてよい」という意味になってしまいます。保護者に配慮して、児童相談所に通告しないため重大な結果が積み重なって、「受けたを思われる」場合でも、「しなければならない。」です。✕
3、児童の福祉に職上関係のある者となれば、児童福祉法に関係する人だけになってしまいます。保育所の保育士さんは該当します。ところが学校の先生は外れてしまいますので、✕
4、面前DVです。これは心理的虐待にあたります。〇
5、今話題のヤングケアラーのことを指しているのでしょうが、「全て」児童虐待に該当はしないです。ここ数年、ヤングケアラーの話題があがってきてますが、法律の改正まで至っていないのが現段階です。いずれは児童虐待として定義される日が来るかもしれませんが、どういう文言にするのか調整するのに何年か必要だと思います。✕ 

問題139 事例を読んで、相談を受けたW母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)の相談員(社会福祉士)がJさんにこの時点で利用を勧める事業として、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事  例〕
Jさん(30歳、女性)は、夫と8か月の息子と共に暮らしている。Jさんは現在、育児休業を取得している。最近、時折とても悲しくなったり、落ち込んだりすることがある。どうしてよいか分からず、仕事への復帰に不安を感じるようになった。そこで住まいの近くにあるW母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)に、そのことを相談することにした。
1  児童自立生活援助事業
2  保育所等訪問支援事業
3  乳児家庭全戸訪問事業
4  産後ケア事業 ※正解
5  児童発達支援事業
【解説】
「この時点で」に注目して、問題を確認していきましょう。また、相談員が進める事業であるのもポイントです。消去法でいきましょう。
3の乳児家庭全戸訪問事業は、相談ベースでする事業ではないです。行政が乳児家庭を全て個別に訪問する事業です。✕
2も保育所に入っている子どもを対象としている支援なので、✕
5も入所施設なので、✕
1も社会的養護の児童が対象なので、✕
残った、4の産後ケア事業は産後の母への支援も含むので〇

問題140 児童手当に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  児童手当の支給には、所得制限が設けられていない。
2  児童手当は、子どもの年齢が高い方が支給額は高くなる。
3  児童扶養手当を受給している者には児童手当は支給されない。
4  児童手当の受給を希望する者が申請の手続を行う必要はない。
5  15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童は、支給要件児童に該当する。※正解
【解説】
児童手当は実際に受給している人が多いので、正解しやすいと思います。
混同しやすいのが、「児童扶養手当」
どっちも、児童(こども)を扶養してる人がもらうお金じゃん、と思ってしまうけど、まったく別物です。
制度の名前って、いろいろこだわりがあって、「児童”扶養”手当」、「児童手当」に”扶養”と強調しているのは、”扶養”していない人はもらえないって意味で、つまり 離婚などして”扶養”していない元配偶者はもらえないということです。児童扶養手当は、別名”母子手当”と言われます。窓口なんかでは、「母子がもらう手当」みたいな言われ方もします。それもいろいろ経過があって、平成22年までは、ほんとに「母子」しかもらえなかって、「父子」は受給できなかったんです。だから、本当は「児童扶養手当」というより、「ひとり親手当」というのが分かりやすいと思いますが、名前はなかなか変わってませんね。話が脱線しましたが、「児童手当」ですが、これは「児童がいる世帯がもらうお金」ですね。
まずは、名前が変わってきていることを知りましょう。
「児童手当」➡「こども手当」➡「児童手当」、なので、「児童手当」も「旧児童手当」、「新児童手当」とか言ったりしますが、試験や実務でも「旧児童手当」のことが出てくることはないです。昔話くらいです。
なぜ、名称が変更されたのか?ということですが、これは政権交代が影響しています。悪く言えば、「バラまき」みたいな事業なので、少子化対策のために「旧児童手当」がスタートして、2009年に民主党政権に代わった時に「こども手当」となり、2012年に自民党政権に代わった後に、「児童手当」になっています。少子化対策の看板になるので、その都度、金額や所得制限が拡大しているイメージです。
金額は基本が中学生まで1人10,000円。
 3歳までは、15,000円 ※乳幼児はおむつ代かかるというイメージ 
  ➡マニアックなところで言うと、この追加分は、企業からの別途拠出金を出させています。
 3子は中学生まで、15,000円 ※少子化対策で3子はボーナスでるイメージ
なぜか、公務員だけは住んでいる自治体への申請ではないです。
1、所得制限はあります。✕
2、3歳未満の加算があり、ざっくりいうと年齢が低い方が多いです。✕
3、児童扶養手当と児童手当は主旨が違うために、両方もらえます。✕
4、申請が必要です。申請が遅れればその分、もらえるものがもらえなくなります。✕
5、〇

問題141  保育士に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1  保育士資格は社会福祉法に規定された国家資格である。
2  保育士としての登録は市町村が行い、保育士登録証が交付される。
3  保育士は保育士の信用を傷つけるような行為をしてはならないとされている。※正解
4  保育士の業務を離れた後に、守秘義務を課されることはない。
5  保育士資格取得後に3年ごとの更新のための研修が義務づけられている。
【解説】
1、ひっかけですが、社会福祉法ではなく、児童福祉法です。資格は施設の定義とペアだと覚えてもらえればいいです。✕
 児童福祉法 ➡ 児童福祉施設 ➡ 保育所 ➡ 保育士
 社会福祉法 ➡ 社会福祉法人、社会福祉主事
 介護保険法 ➡ 介護保険施設 ➡ 介護支援専門員(ケアマネ)
 老人福祉法 ➡ 老人福祉施設 
ちなみに、社会福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法によって規定されています。
2、登録は都道府県です。市町村に登録する免許や資格はなかったかもしれません。但し、中核市、政令市は除く。✕
3、〇
4、守秘義務は課せられます。他の資格・免許でも一緒だと思います。✕
5、更新義務もないので、取れば一生ものです。✕ 

問題142  虐待のおそれがある場合の児童相談所長の権限に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1  家庭への立入調査を学校に委託することができる。
2  一時保護を行うためには、保護者の同意を得なければならない。
3  一時保護を里親に委託して行うことができる。※正解
4  一時保護は3か月以上行わなければならない。
5  児童虐待を行う親の親権喪失を決定できる。
【解説】
 
児童相談所長の権限は、他の行政機関に比べて非常に強いと覚えておきましょう。
1、立入調査も児童相談所長の強い権限のひとつです。学校には負担が大きすぎます。✕
2、保護者の同意なしで一時保護する場合もあります。児童虐待している加害者に同意を求めても、同意しないでしょう。性的虐待とかは特に。✕
3、できます。〇
4、3カ月も必ず一時保護する義務があるなら、既に一時的な保護ではないと思います。✕
5、親権の停止、喪失の判断は家庭裁判所で行います。申し立てはできます。✕

就労支援サービス

問題143  福祉と就労などに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  ワークフェアとは、柔軟な労働市場を前提とし、他の労働市場に移動可能な就労支援プログラムを提供するシステムである。
2  ベーシックインカムとは、権利に基づく福祉給付を得るときに、就労という義務を課す政策である。
3  アクティベーションとは、福祉と就労を切り離し、国民に対して最低限の所得保障給付を行う政策である。
4  ディーセント・ワークとは、働きがいのある、人間らしい仕事のことをいう。※正解
5  アウトソーシングとは、職場や地域における性別役割分担を見直そうとする考え方である。
【解説】※回答入れ替えパターン?
 1、ワークフェアとは2の選択肢の内容です。
 2、ベーシックインカムは、国民に対して最低限の所得補償を行う政策ですが、選択肢3は福祉と就労を切り離しではないと思いますし、✕
 3、アクティベーションは、ケアや教育などでサポートを行いながら、対象の社会参加を促進するもので、ワークフェアと対義です。✕
 4、〇
 5、外注です。✕

問題144  有期雇用労働者などの保護を定める労働法規に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  「パートタイム・有期雇用労働法」では、事業主は、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間で不合理な待遇差を設けないよう努めなければならないと定められている。
2  「パートタイム・有期雇用労働法」では、事業主は、短時間・有期雇用労働者からの求めに応じ、通常の労働者との待遇差の内容や理由などについて説明しなければならないと定められている。※正解
3  労働契約法では、有期労働契約による労働者について、その契約期間が満了するまでの間において、やむを得ない理由がなくても解雇できると定められている。
4  労働契約法では、有期労働契約が反復更新されて通算3年を超えたときには、労働者からの申込みにより、当該契約は無期労働契約に転換されると定められている。
5  短時間・有期雇用労働者は、労働者災害補償保険法の適用対象とはならない。
(注)「パートタイム・有期雇用労働法」とは、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」のことである。
【解説】
1、努めなければならない、ではなく禁止です。✕
2、〇
3、そう簡単に解雇できません。✕
4、労働者からの申し込みがなくとも、となっています。✕
5、労災の対象となっています。職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者」をいい、 労働者であればアルバイトやパートタイマー等の雇用形態は関係ありません。一人親方などの特別加入もあることを知っておきましょう。✕

問題145  「障害者雇用促進法」が定める雇用義務に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1  精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている精神障害者は、雇用義務の対象となる。※正解
2  雇用率のカウントに際し、重度の知的障害者を1人雇用したときは、重度以外の知的障害者を3人雇用したものとして扱われる。
3  民間企業の法定雇用率は、国・地方公共団体の法定雇用率より高く設定されている。
4  厚生労働大臣は、法定雇用率未達成の民間事業主の企業名を公表しなければならない。
5  地方公共団体は、法定雇用率未達成の場合に、不足する障害者数に応じて納付金を納付しなければならない。
(注)「障害者雇用促進法」とは、「障害者の雇用の促進等に関する法律」のことである。
【解説】
1、精神障害者も対象となっています。障害者総合支援法でも同じです。〇
2、カウントの仕方は、2人です。✕
3、国・地方公共団体の方が求められます。✕
4、公表することができる。義務ではなく、任意です。✕
  令和5年3月に 5社公表されています。厚生労働省HP
5、地方公共団体は対象外です。納付金は100人以上の企業に限ります。地方公共団体は雇用することが大前提なので、納付金を払って障害者を雇用しないことは想定していないからです。✕

問題146 事例を読んで、福祉事務所のK生活保護現業員(社会福祉士)の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事  例〕
Lさん(28歳)は、両親(父68歳、母66歳)と同居し、両親の基礎年金と父のアルバイト収入により、3人家族で生活している。Lさんは、健康状態に問題があるようには見えないにもかかわらず、仕事をせずに自宅に引き籠もる生活を数年続けている。世帯主である父親が病気で入院し、蓄えも尽き、医療費の支払いも困難になったため、Lさん家族は1か月前から生活保護を受けるようになった。担当のK生活保護現業員は、Lさんに対し、面談を行うなどして就労を促しているが、Lさんは、体調が優れないことを理由に働こうとしない。そこで、K生活保護現業員は、次の段階としてLさんにどのような対応をとるべきか、検討することにした。
1  生活保護現業員による指導・指示に従わないことを理由とする保護の停止に向けて、書面で就労を促す。
2  Lさんを世帯分離して、保護の必要性の高い父親と母親だけに保護を適用する。
3  医療機関での受診を促し、その結果を基にケース診断会議等によりLさんの就労阻害要因を探る。※正解
4  早急に仕事に就くという自立活動確認書を作成するようLさんに命じる。
5  不就労がこのまま継続すると、稼働能力の不活用により保護の打ち切りが検討されることになる旨を説明し、Lさんに就労を促す。
【解説】
 
よくあるケースでもありますね、就労可がでているが、本人は体調不良を訴えたり、いい求人が見つからないと言って、なかなか就労が進まないケースです。一見すると、本人がさぼっているように見えますし、どう対応していくのか事例と選択肢を読み込んでいきましょう。
 1の保護停止や、4の保護の打ち切りなどは、一定、CWもやることをしたうえで、ステップを踏んでやっていくことになりますが、まだ先だと思います。
 2の世帯分離は、むしろ就労していて収入がある場合に行われる場合もありますが、収入がない状態では全く関係ないです。
 3と4を比べた時には、本人に急いで書面を書かせるよりか、「体調がすぐれない」という本人の主訴に沿った対応をまずすることになると思います。したがって、正解は3になります。

更生保護制度

問題147 保護観察に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1  保護観察処分少年の保護観察の期間は、少年の希望を反映して決定される。
2  保護観察所の長は、保護観察処分少年について、保護観察を継続する必要がなくなったと認めるときは、保護観察を解除する。※正解
3  保護観察所の長は、少年院仮退院者について、少年院に戻して収容する旨の決定をすることができる。
4  仮釈放を許された者は、仮釈放の期間満了後、保護観察に付される。
5  懲役刑の全部の執行を猶予された者は、被害者の請求により保護観察に付される。
【解説】
1、保護観察の期間を長くして欲しいという少年はあまりいないように思います。希望は聞くとおもいますが、反映するとは思えません。✕
2、〇
3、「戻し収容」のことですが、少年院に入院、退院の決定は家庭裁判所にて行います。保護観察所の長ではないです。処遇する者と、入退院の決定するの者は別になっています。✕
4、仮釈放と同時に保護観察になります。仮釈放中は刑期が進行しているという理解です。仮釈放の期間満了ということは、刑期が終わったので、保護観察の必要はないです。✕
5、保護観察に付されるかどうかは、裁判所が決めることになります。被害者の請求があろうがなかろうがです。被害者の心情なども考慮にはいるかもしれませんが。✕

問題148 事例を読んで、X保護観察所が行うことができる措置に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

〔事  例〕
少年院に収容されているMさん(17歳)は、親元に帰住することが難しいため、親元以外への帰住を希望している。X保護観察所はどのような措置をとるか検討した。
1  Mさんの少年院入院中に、釈放後の住居を確保することを調整する。※正解
2  Mさんの仮退院を許可する。
3  Mさんの仮退院時に特別遵守事項を定める。
4  Mさんの少年院入院中に、一般遵守事項から住居に関する事項を削除する。
5  Mさんの仮退院時に保護観察期間を定める。
【解説】
1、保護観察所がMさんにきっちり関わることができる入院中にできるだけのことをしておくことが望ましいし、そういうシステムができています。〇
2、3ですが、仮退院や特別遵守事項など直接入退院に関わる事項をを決めることは、保護観察所の権限で決めることではなく、裁判所が決めます。✕
4も同様です。特別であろうが、一般であろうが遵守事項は入退院に関わることです。✕
5も同様です。保護観察期間であれ、直接入退院に関わることは裁判所が決定します。✕

問題149 更生保護における就労支援に関わる機関・団体に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  保護観察所は、保護観察対象者の補導援護として、必要に応じて職業のあっせんを行っている。
2  保護観察対象者は、公共職業安定所(ハローワーク)において、補導援護を受けることが義務化されている。
3  公共職業安定所(ハローワーク)は、協力雇用主に対し、保護観察対象者の雇用を命ずることができる。
4  保護観察所は、協力雇用主に対し、刑務所出所者のみを雇用することを命ずることができる。
5  公共職業安定所(ハローワーク)は、個々の保護観察対象者に対し、求人開拓から就職まで総合的な就労支援を行っている。※正解
【解説】
1、「就労支援」と「職業のあっせん」は異なります。職業紹介とは 職業安定法第4条第1項において、「求人及び求職の申し込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすることをいう。」 と定義されており、無秩序に職業のあっせんができるようになると、労働者の保護に支障をきたすため、有料無料も含め職業のあっせんについては許認可届出やルールなどがあります。保護観察所が補導援護の一環として行う就労支援は、ハローワークに同行するなど、職業のあっせんとは異なります。
確かに、保護司は、「犯罪をし た者及び非行のある少年の改善更生を助けるために、その者を雇用する事業主の確保その他の雇用の促進を図る活動」もしており、協力事業主を増やす活動もその範疇です。まぎらわしいですが、✕
2、ハローワーク以外の方法で就労先を見つけることもあるので、義務化されていたら、そちらができなくなります。「義務化されている。」という日本語も若干変なのです。元々は義務じゃなかったけれどというニュアンスがありますが、制度の作りとしてハローワークが義務なら、制度発足から義務になっているはずです。「義務」ではなく、「義務化」と言う表現もいまいちです。✕
3、労働契約は誰かから命じられるものではないです。✕
4、「協力」雇用主なのに、命令はないです。✕
5、〇

問題150 「医療観察法」が定める医療観察制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1  対象となる行為は、殺人、放火、強盗、強制わいせつ、強制性交等及び傷害等に当たる行為である。※正解
2  社会復帰調整官は、各地方裁判所に配属されている。
3  入院決定を受けた者に対して医療を実施する指定入院医療機関は、都道府県知事が指定した病院である。
4  通院決定がなされた場合、指定通院医療機関による医療を受けることができる期間の上限は10年である。
5  地域社会における精神保健観察は、保護観察官と保護司が協働して実施すると規定されている。
(注)「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。
【解説】
1、〇
2、社会復帰調査官は、保護観察所に配属されています。社会への復帰ですが、どこから復帰するのかが大事です。裁判所は保護観察や判決を出すのが仕事です。そこから保護観察になって、社会に復帰します。✕
3、医療観察法は、法務省の管轄です。都道府県ではなく厚生労働省が指定します。✕
4、もし上限があったとしたら、それに達したときは医療を受けることができなくなります。✕
5、保護観察官と保護司が協働して実施するのは、保護観察。精神保健観察は保護観察官と様々なサービスや関係機関とが協力して行います。✕

 

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