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健康マインド(心に残る言葉❗)柴田翔「身に合った不幸を選べば、」


小説「されど我らが日々」の中の言葉にある言葉です。

前後の文脈は

「ぼくは思うんだけど、幸福には幾種類かあるんで、人間はそこから自分の身に合った幸福を選ばなければならない。
間違った幸福を掴むと、それは手の中で忽ち不幸に変わってしまう。
いや、もっと正確に言うと、不幸が幾種類かあるんだね、きっと。
そして、人間はそこから自分の身に合った不幸を選ばなければいけないのだよ。
本当に身に合った不幸を選べば、それはあまりよく身によりそい、なれ親しんでくるので、しまいには、幸福と見分けがつかなくなるんだよ。」

1953年 東大工学部応用化学入学。その後文学部独文科に転じて卒業します。
1959年 同人誌「象」創刊。
1961年 「「親和力」研究−西欧近代の人間像の追求とその崩壊の認識−」で日本ゲーテ協会ゲーテ賞を受賞。
1964年 「されど我らが日々−」で第51回芥川賞を受賞。

これが柴田翔の芥川賞受賞までの経歴です。
受賞した小説は同人誌「象」発表した当時の学生群像を描いた作品で、ベストセラーになりました。

左翼運動に挫折した姿を清新な叙情性で捉え、「されど我らが日々より別れの詩」のタイトルで映画化されます。

1971年公開 森谷司郎監督「別れの詩」

ドイツ文学者がベストセラー小説を書いて、その後も「贈る言葉」「鳥の影」「立ち盡くす明日」を発表します。
その後も沢山の著作・絵本を出版されている現役の文学者です。

私は高校生の時に読みましたから、受賞して8年後位です。
学生運動に関してはリアルな感じはなく、恋愛小説として私は読みました。
その中の文章で出会ったのが、この言葉です。

「身に合った不幸を選べば、幸福と見分けがつかなくなる。」

この「身に合った不幸」の言葉と認識は、その後の私の生涯の友になりました。
その意味で私にはまさに心に残る言葉です。

この作者と、この本に感謝しています。

私が出会った本




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