健康マインド「心に残る言葉❗」唐十郎 「人形を片付けろ」
唐十郎の戯曲「少女仮面」の一節。
地下喫茶(肉体)のボーイ主任が宝塚スター春日野が呼び寄せた人形達(入門希望の少女(貝)と老婆・腹話術師と人形・水を飲みまくる男・甘粕大尉・春日野の肉体を奪い、返しに来たファンの女達)を片付けろと叫ぶ❗
ややこしい演劇論ではなく、昔から芝居でよく使われていた手法をはっきりと戯曲で明示した作品として「心に残る言葉」です。
一人の妄想が色々な登場人物(人形)を呼び寄せて演劇空間を創るのは演劇の王道の手法ですからね。
この戯曲「少女仮面」は1969年に鈴木忠志が主宰する早稲田小劇場に書き下ろされた作品です。
初演は春日野を白石加代子、貝を吉行和子が演じました。
唐十郎の初期名作で「岸田戯曲賞」を受賞しました。2年後(1971年)の唐が主宰する状況劇場の公演では、当然春日野を李麗仙が演じます。腹話術師として根津甚八のデビュー舞台だったと思います。
後は私の記憶ですから、正確ではないかも知れませんが、「少女仮面」は人気のある戯曲ですから様々な劇団で公演されました。
私が覚えてるのは、甘粕大尉(大久保鷹)の登場とセリフ「無骨な比喩ですみません。」と地下喫茶「肉体」の熱血ダンス指導する主任ボーイが春日野のファンだと言う防空頭巾の女達で混乱する舞台で「人形を片付けろ❗」と叫ぶシーンです。
この言葉で春日野以外の登場人物が、人形に戻り硬直します。
後は肉体が衰えた男役宝塚スターの春日野とボーイ。
そして地下鉄工事で潰れる地下喫茶「肉体」でした。
私は1974年に上京したので、「少女仮面」の初演は観ていませんが、状況劇場の紅テントを胸を躍らせて観た記憶があります。
「唐版 風の又三郎」で又三郎が織部に言うセリフ
「岩波文庫を閉じるのか、読み続けるのかはっきりしな❗あんたが風の又三郎と呼んで私が応えた。話を合わせた、それだけじゃないか! あんたに呼ばれなきゃ、栃木くんだりの飯炊き女さ❗」
このセリフで、この舞台が精神病院に入院してる織部が岩波文庫の宮沢賢治作「風の又三郎」を読んで妄想した世界だとわかります。
でも、織部の妄想が余りに多彩で魅力的だったから飯炊き女のエリカが風の又三郎になって登場した。
だから妄想すれば夢の舞台が実現すると思えた瞬間で時代でした。
今でも時々「人形を片付けろ❗」と叫びたくなります。
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