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あなたの前科と犯歴、誰が知っている?国による情報管理の実態
こんにちは、弁護士の髙野です。
自分の個人情報が誰かに管理されているという事実は、多くの人にとって不快に感じるものでしょう。特に、刑事事件に関わった記録である前科や犯歴の情報は、非常にセンシティブな情報です。今回は、これらの情報がどのように管理され、利用されているのかについてお話していきます。
前科前歴情報を管理する2つのデータベースの存在
前科や犯歴の情報を管理するデータベースは、大きく分けて2つあります。1つは検察庁が管理するもの、もう1つは警察庁が管理するものです。これらは異なる目的と範囲で情報を保管しています。
検察庁のデータベースは、犯歴事務規程に従って管理されています。このデータベースには、有罪判決が確定した事件の情報、つまり「前科」が記録されています。具体的な手順としては、確定した裁判を担当した検察官の属する検察庁の検察官が「既決犯罪通知」を作成し、これをその検察庁の所在地を管轄する地方検察庁の犯歴事務官に送付します。この情報を受け取った犯歴事務官が、データベースに登録する仕組みになっています。
一方、警察庁のデータベースには、検挙されたすべての事件が記録されています。つまり、不起訴処分になり前科がつかなかった場合でも、検挙された事実自体が存在すれば、このデータベースには記録が残ることになります。警察庁は各都道府県警察に対して「犯歴A登録原票及び犯歴A登録補助票の作成要領」を定めて通達しており、これに基づいて犯歴が登録されています。このデータは「犯歴Aファイル」という名称のデータベースとして、「警察庁情報管理システム」により一元管理されています。
それぞれのデータベースが利用される場面
これらのデータベースは非常に厳格に運用されており、外部からの閲覧は不可能な仕組みになっています。利用される場面も限定されています。
検察庁のデータベースについては、刑事事件の処理に必要な限りでしか用いることができません。このデータベースの内容を照会できるのは、検察官または検察事務官に限られています。前科情報の回答は、前科調書という書類が作成されて行われます。この前科調書は刑事裁判において証拠として請求され、刑の重さを決めるための材料の一つとして考慮されることになります。
警察庁のデータベースも同様に、扱うことができるのは警察官に限られています。犯歴を確認する必要が生じた場合、警察官は都道府県の警察本部の照会センターに犯歴情報の照会を行います。これを受けた端末操作担当者が照会に必要な情報をシステムに入力し、出力された回答を照会を行った警察官に対して伝達します。職務質問などの場面ですぐに前歴の情報が調べられるのは、このシステムによるものです。
まとめ
これらのシステムは、個人のプライバシーを保護しつつ、法執行機関が必要な情報を適切に利用できるようにするためのものです。しかし、一度記録された情報は簡単には消えないため、その取り扱いには十分な注意が必要です。前科や犯歴の情報は、個人の将来に大きな影響を与える可能性があります。そのため、これらの情報の管理と利用には、厳格な規制と慎重な運用が求められます。同時に、社会復帰を目指す人々にとっては、これらの記録が永続的な障壁とならないよう、適切な支援システムも必要でしょう。
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