弁護士髙野傑

刑事弁護人|早稲田リーガルコモンズ法律事務所|刑事事件についてわかりやすくお話しします…

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取調べで使われる卑劣な手口と対処法 - 弁護士が暴露する黙秘権行使の真実

最近、黙秘に関する私のいくつかのポストが、(私のアカウントにしては)広い関心を集めました。 今年に入ってから、私自身が代理人を務めているものも含め、次々と捜査機関の取調べ内容が世間に向けて公開されています。そこでわかるように、捜査機関は黙秘をしている被疑者に対し、あの手この手で口を割らせようと働きかけてきます。今回は、そんな捜査機関のやり口と、それに対する弁護士の対応についてお話ししたいと思います。 黙秘をしても取調べは続くまず、押さえておくべき重要な点は、被疑者が黙秘権

    • 満員電車での"偶然の接触"と痴漢罪の境界線

      皆さん、こんにちは。弁護士の髙野です。今回は、痴漢冤罪の中でも特に難しい問題を扱います。それは、「触れてしまった事自体は間違いないが、わざとではない」というケースです。 満員電車は、残念ながら痴漢冤罪の温床となっています。女性に間違えられて捕まってしまうというケースは後を絶ちません。このような状況は、多くの人にとって悪夢のようなシナリオでしょう。しかし、法律の観点から見ると、この問題はそれほど単純ではありません。 痴漢の罪が成立するための「故意」の必要性 まず、痴漢で罪

      • あなたの弁護士は大丈夫?証拠開示で結果が変わる

        弁護士として法律相談を受けていると、時折、依頼者から現在の弁護士の活動に対する不満や不安を耳にすることがあります。個別の事情を詳しく知らないまま、短時間の相談で他の弁護士の活動を安易に非難することは控えるべきですが、明らかに疑問を感じざるを得ない場面も存在します。その典型的な例が、証拠開示に関する問題です。 証拠開示が不十分な弁護士 依頼者やその家族が「このような証拠があるはず」「警察で作成したこのような書類があるはず」と言っているのに、弁護人がその証拠を入手できていない

        • 違法薬物使用者の逮捕パターン:弁護士が明かす入手ルートの実態

          こんにちは、弁護士の髙野です。 覚醒剤などの違法薬物を使ったり、持っていたりして逮捕されたという報道を定期的に目にすると思います。もちろん、彼らは捜査機関にバレないよう細心の注意を払っています。ではなぜ頻繁にこのような報道があるのでしょうか。今回は、違法薬物の使用や所持で逮捕されるケースについて、具体的な状況や入手経路を交えながらお話ししたいと思います。 職務質問による現行犯逮捕 最も典型的なのは、薬物を所持した状態で職務質問を受け、現行犯逮捕されるケースです。 警察官が

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          法律相談で話していること:不同意性交等罪(否認)の場合

          こんにちは、弁護士の髙野です。 法律相談に行って、何が解決するのかよくわからない。そういう声をよく聞きます。そこで今回は「不同意性交等の罪で逮捕されてしまったが、同意の上の行為であったと考えている。」という事例をもとに、私がどのように対応しているかをお話したいと思います。 なお、罪の成立を認めている場合には、こちらのnoteを御覧ください。 事案設定 髙野「はじめまして。弁護士の髙野と申します。これからご相談に乗らせていただきますが、適切なアドバイスをするにはまずは状況

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          刑事弁護のプロが教える!保釈を勝ち取るポイントとは

          こんにちは、弁護士の髙野です。 逮捕され勾留までされてしまった被疑者が起訴されると、そのまま身体拘束が継続します。本人や家族は、一刻も早く拘束から解放してほしいと望むでしょう。そのための制度が保釈です。今回は保釈の仕組みと、私が保釈を認めてもらうためにどのような工夫をしているのかをお話します。 保釈とは 保釈とは、起訴された被告人を身体拘束から解放するための制度です。勾留されたまま起訴された被告人は、保釈が認められない限り、判決言い渡しまで身体拘束が続きます。もし実刑判

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          逮捕された家族をすぐに釈放させる!弁護士が明かす"身柄解放"のポイント

          こんにちは、弁護士の髙野です。 今回は刑事事件における弁護活動の最重要目標である、起訴前の身体拘束からの解放についてお話したいと思います。これは逮捕されてしまった人の家族からの法律相談の多くでお話する内容です。 逮捕された後の流れ まず、逮捕された後の流れについて説明しましょう。逮捕による身体拘束は法律上72時間までしか認められていません。しかし、捜査機関はより長期の身体拘束である「勾留」を請求してきます。逮捕された人は通常、逮捕の翌日か翌々日に検察庁に送致され、担当検察

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          犯罪組織が好む理由は?テレグラムについて

          先日、テレグラム(Telegram)の創業者がフランスで身柄を拘束されたというニュースが流れました。日本においても、テレグラムは振込め詐欺や違法薬物の輸入などの犯罪組織が好んで利用しているアプリとして知られています。今回は、このテレグラムの機能と、なぜ犯罪組織に好まれるのかについて解説します。 スマートフォンは第二の脳 まず、現代社会においてスマートフォンは人の第二の脳とも言える存在となっています。そのため、捜査機関は逮捕した人のスマートフォンをほぼどんな事件でも押収し、

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          口座売買の誘惑と危険性 - 弁護士が警告する人生を台無しにする罠

          こんにちは、弁護士の髙野です。 最近、SNSで口座売買に関する投稿を目にする機会が増えています。あるネット記事によると、Xだけでも口座売買関連の投稿が6万件ほどあるそうです。今回は、この口座売買について、その仕組みと危険性を詳しくお話ししたいと思います。 なぜ他人名義の口座が求められるのか まず、そもそもなぜ他人名義の口座が求められているのかを理解する必要があります。主な理由は、犯罪組織が自分たちの正体を隠すためです。 振込め詐欺などの金融犯罪において、捜査機関は被害金の

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          法律相談で話していること:振込め詐欺(かけ子)の場合

          闇バイトに気をつけて こんにちは、弁護士の髙野です。 先日こんなポストをしたところ、反響がありました。 犯罪組織はいつでも使い捨てにできる駒を探しています。甘い話しに乗らないように気をつけましょう。 こんにちは、弁護士の髙野です。 弁護士に相談に行ったとしても、それで何が解決するのかがよくわからない。そういう声をよく聞きます。そこで今回は「テレビを見ていたら自分の息子が振込め詐欺の疑いで逮捕したというニュースが流れていた。」というお母さんを相談者として、私が普段どのよう

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          逮捕された人の1日とは?弁護士が明かす留置施設での驚きの生活実態

          こんにちは、弁護士の髙野です。 皆さんは、逮捕された人がどのような生活を送っているか想像したことはありますか?テレビドラマなどでは、暗い独房に閉じ込められているイメージが強いかもしれません。しかし、実際の留置施設での生活は、意外にも規則正しく、時には他の被留置者との交流もあります。今回は、私が弁護士として接見した経験や、依頼者から聞いた話を基に、留置施設での一日の流れをご紹介します。あくまで、例ですので、警察署によっては違いがあるかと思います。 起床〜 午前6時30分、

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          その逮捕はどのタイプ?おはよう逮捕や私人逮捕

          おはよう逮捕や私人逮捕とは? 先日、逮捕についてnoteを書きました。 今回はその続編として、逮捕の種類や手続きの流れ、そして身体拘束からの解放に関する難易度の違いについて、お話ししたいと思います。 逮捕の種類について逮捕には大きく分けて3つの種類があります。通常逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕です。それぞれ異なる要件と手続きがあり、これらの違いが後の勾留防止の難易度に影響を与えます。 1.通常逮捕について まず、通常逮捕についてです。 これは多くの人がイメージする典型的

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          法律相談で話していること:振込め詐欺(受け子・出し子)の場合

          闇バイトに気をつけて こんにちは、弁護士の髙野です。 先日こんなポストをしたところ、反響がありました。 犯罪組織はいつでも使い捨てにできる駒を探しています。甘い話しに乗らないように気をつけましょう。 こんにちは、弁護士の髙野です。 弁護士に相談に行ったとしても、それで何が解決するのかがよくわからない。そういう声をよく聞きます。そこで今回は「警察から『息子さんを振込め詐欺の疑いで逮捕した。』という電話が受けた。」というお母さん(お父さん)を相談者として、私がどのように

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          法律相談で話していること:不同意性交等罪の場合

          こんにちは、弁護士の髙野です。 弁護士に相談に行ったとしても、それで何が解決するのかがよくわからない。そういう声をよく聞きます。そこで今回は「不同意性交等の罪の容疑がかかっており、そのことについて身に覚えがある。」という事例をもとに、私がどのように相談者に対応しているか、実際の法律相談の形にできるだけ合わせてお話ししていきたいと思います。 事案の内容 髙野「はじめまして。弁護士の髙野と申します。これからご相談に乗らせていただきますが、適切なアドバイスをするには状況を正確

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          逮捕≠有罪!弁護士が明かす"逮捕"の真実 あなたの常識は間違っているかも

          逮捕は制裁ではない! こんにちは、弁護士の髙野です。 先日、私はX(Twitter)で次のような引用リポストをしました。 この投稿をきっかけに、逮捕とはそもそもどういう状況なのか、詳しく解説したいと思います。 逮捕される事件とされない事件がある まず知っておくべきなのは、刑事事件で罪を犯した人が特定されても、全員が逮捕されるわけではないということです。実際には、逮捕されない「在宅事件」のほうが、逮捕される事件よりもかなり多いのが現状です。逮捕されるかどうかは、主に「逃

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          精神鑑定って何をやっているの?鑑定留置の問題点

          こんにちは。弁護士の髙野です。 重大な事件が置きてしばらく後、その事件の被疑者が「鑑定留置」になったという報道を耳にすることがあるかと思います。今回は、この「鑑定留置」と「精神鑑定」そして「責任能力」について解説したいと思います。 刑事裁判における「責任能力」とは まず、責任能力がない人は刑事責任を問えないということについてです。刑法には次のように定められています。 これが刑事責任能力を定めた条文です。罪を犯した人に責任を問えるのは、それが悪いことだとわかっていながら、

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