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知らないと損する!?留置場のリアルな実態‐捜留分離は真実なのか

こんにちは、弁護士の髙野です。
逮捕されてしまった人は、警察署の留置場という場所で寝泊まりすることになります。そこで日々の生活を送り、取調べを受けたりすることになります。今回はそんな留置場での生活についてお話します。

多くは事件を担当する警察署で生活することになる

逮捕されてしまった人は、起訴されるかどうかが決まるまでは、警察署で生活することになります。多くは、自分の事件の捜査をしている警察署の留置施設と呼ばれる場所で生活することになります。例えば、新宿警察署の刑事課が捜査をしているのであれば、新宿警察署の留置施設というところで生活することになるのです。

例外が共犯事件と女性の場合

ただし例外があります。
例外のひとつめは捕まってしまった人が女性だった場合です。女性の被疑者を留置する場所は、全警察署に用意されているわけではありません。特定の警察署、留置施設に限定されています。例えば、東京23区の場合、女性被疑者を留置できるのは、原宿、湾岸、西が丘分室という3つの場所だけです。捜査をしている警察署とは別の場所で生活することになるのです。例えば新宿警察署の刑事課が捜査をしている場合であれば、施設内の人数などが検討されたうえで、例えば近場の原宿警察署で生活することになります。その場合、新宿警察の警察官が、原宿警察まで出向いて取り調べをすることが多いです。
もう一つの例外は、共犯者がいる事件の場合です。捜査機関が共犯者がいる事件と考えているとき、多くの場合は疑われている共犯者が同時に逮捕されることになります。この場合、共犯者を同じ警察署の留置施設で生活させることは出来ないと判断されます。留置施設内ではたとえ別々の部屋であっても会話をすることが可能であり、捜査機関からすれば口裏合わせをされてしまうと考えるからです。この場合、共犯者のうち、主犯と考えている人が捜査をしている警察署の留置施設に置かれ、他の人が近場の別の警察署に振り分けられることが多いように感じます。例えば、新宿警察署の刑事課が捜査をしている事件で、3名の被疑者を同時に逮捕した場合、主犯格は新宿警察署の留置施設で生活することになり、ほか2名は近場の中野、野方、原宿警察署などに振り分けられることになるのです。

接見等禁止がついているかどうかは大きな違い

留置施設内での生活は、自由に移動することも出来ず、自由に誰かと話をすることも出来ず、自由に食事をすることも出来ません。とてもストレスを感じる環境です。その中でも接見等禁止となり、家族などと面会できなくなっている場合はダントツに辛いと皆さん言います。接見等禁止の状態だと、弁護士以外とは面会することが出来ず、雑談をすることも出来ないからです。

差し入れによって房内での立場が左右される?

また、被疑者の方からよく聞くのは、本を頻繁に差し入れてくれる人がいる被疑者は、留置施設内の同房者から一目置かれるという話です。一人頻繁に本を差し入れて貰える人がいると、周りの人はその人から本を回してもらって読むことが出来るため、房内で丁寧に扱ってもらえるようになるそうです。
その際に一つ注意するとすれば、同房の人と仲良くなることは構いませんが、その人のアドバイスを弁護士のアドバイスより優先したりしないということです。当然のことですが、同房者は同様に被疑者に過ぎません。弁護士のような専門的な知識も技術も経験も有しているわけではないのです。多くの同房者は嘘をついているわけではありませんが、あくまでその人自身がこれまで経験したことを語っているに過ぎません。しかしさもそれが常識、正しいことであるかのように語る人が少なくないため、弁護士の助言と異なっていた時に被疑者が混乱したりすることになります。留置施設内での生活を必要以上に苦痛なものにしないためには最低限のコミュニケーションを取ることは構わないと思いますが、弁護士のアドバイスより優先することなどはやめたほうが良いと思います。

担当に気に入られるかどうか

留置施設内では、自分が生活する部屋を担当する留置係官がいます。多くの被疑者はその人のことを「担当さん」と呼んでいます。留置施設内での生活は事実上この担当さんの判断によって出来ること出来ないことが変わることがあるようです。担当さんに気に入られるかどうか、適切なコミュニケーションが取れるかによって、留置施設内の生活環境は大きく変わるかもしれないのです。
ただし、事件のことについては担当さんに対しても話すのは控えたほうが良いと思います。

捜留分離なんて信じられるか?

警察においては、捜査と留置施設は情報などが分離していなければならない、というルールがあります。これを捜査と留置の頭文字を取って、捜留分離、などと言います。つまり建前上、留置の担当さんが被疑者から聞いた内容は、当然には捜査をしている刑事の耳には入らないということになっています。しかしあくまで建前上です。これが、担当さんにも事件内容については話さないほうが良いと考えている理由です。
冒頭でお話したように、逮捕されてしまった人が生活する場所は、基本的には捜査をしている警察官がいる警察署です。つまり、留置施設の担当さんと、捜査をしている刑事は、ともに警察官であることはもちろん、同じ警察署の同僚ということです。果たして捜留分離が厳守されていると信じられるでしょうか。

まとめ

このように、留置施設での生活には様々な注意点があります。家族の方々は、これらの点を踏まえた上で、差し入れなどの支援を行っていただければと思います。

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