なぜ不起訴になったのか?不起訴処分の3つの種類
こんにちは、弁護士の髙野です。 ニュースで「検察庁は不起訴の理由を明らかにしていません」という報道を目にしたことはないでしょうか? 実はこれは通常のことで、検察官が不起訴の理由を公にすることはほとんどありません。
今回は、「不起訴」とは何なのか、そしてどのような理由で不起訴処分になるのかについて、詳しくお話ししていきます。
そもそも不起訴とは
日本の刑事手続では、被疑者(犯罪の疑いをかけられた人)を起訴して裁判にかけるかどうかを決めるのは検察官です。この仕組みは「起訴独占主義」と呼ばれ、起訴する権限は検察官だけに与えられています。
その検察官が被疑者を裁判にかけないこと、つまり起訴しないと決定するのが「不起訴」です。不起訴には以下の3つの理由があります。
不起訴理由その1:嫌疑なし
まず1つ目は「嫌疑なし」です。これは、捜査の結果、被疑者が疑われていた犯罪について何の関与もしていないことが明らかになった場合に適用されます。例えば、別の真犯人が見つかった場合などが典型的です。
このケースでは、被疑者の無実が明白であるため、不起訴となります。ただし、嫌疑なしを理由とする不起訴は他の理由に比べて少ない傾向があります。
不起訴理由その2:嫌疑不十分
2つ目は「嫌疑不十分」です。これは、被疑者が罪を犯したのかそうでないのか、証拠上はっきりしないため起訴しない、というものです。疑われている事実について争っている否認事件で不起訴となる場合、その多くがこの理由によるものです。
不起訴理由その3:起訴猶予
3つ目は「起訴猶予」です。これは、被疑者が犯罪を行ったことは間違いないものの、様々な事情を考慮して起訴を見送るという判断です。典型的なのは、被害者との示談が成立したケースです。被疑者が事実を認めている認否事件で不起訴となる場合、そのほとんどがこの起訴猶予によるものです。
有罪率99.9%のからくり
日本の刑事裁判の有罪率は99.9%を超えると言われています。しかしこの数字は、検察官が確実に有罪を取れる事件しか起訴していないことの裏返しでもあります。つまり、少しでも無罪になりそうな事件は、検察官が「嫌疑不十分」として起訴を見送っているのです。 私自身、担当した否認事件が不起訴処分となったことは数え切れません。経験のある弁護士による適切な助言があれば、否認事件であっても不起訴を勝ち取ることは十分に可能です。
不起訴処分告知書の活用
不起訴処分が下された場合、何も言わなければその事実は被疑者に通知されません。会社への説明や社会的信用のために証明が必要な場合には、「不起訴処分告知書」を検察官に発行してもらう必要があります。
また、この告知書には通常、不起訴の理由は記載されませんが、必要に応じて弁護士を通じて検察官と交渉することで記載してもらうことが可能です。
まとめ
被疑事実を認めている事件はもちろん、否認事件であっても、不起訴処分は決して珍しいものではありません。ただし、不起訴を勝ち取るためには、弁護士による適切な助言と戦略が不可欠です。しっかりと助言を受けながら不起訴処分獲得を目指していきましょう。
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