パーザン
プロレスサークルの後輩だった。
N村T夫と言った。
東京の三多摩地区から通っていたよ。
コンパには、だいたい顔を出していた。
最初のうちは、名前を呼び捨てにして呼んでいた。まだあだ名付ける特徴が、見つけられてなかったからだ。
そんなある日、モリバンと言う焼き肉食い放題の店で、コンパをした。
ここは焼き肉食い放題の他に500円追加で、生ビールも飲み放題だったのだ。
コスパが良く、結構利用したね。
食事は、焼き肉の他にカレー、お好み焼き、フルーツも食べ放題だった。
ただ、肉を残した場合、罰金で追加料金を払わなくてはならない。
学生だから、追加料金は怖かった。
だから食べる時は、まず肉を食え。他のはあまり食べるなよ、こう後輩には言っていた。
だが、飲み放題のビールで酔った後輩たちは、好き勝手にやっていた。
お好み焼き、カレーはまだ良い。
何故か大量にバナナ🍌も食べていたのだ。何故バナナ?
結局、制限時間になっても後輩たちの席には、肉が大量に余っていた。少しある程度なら、見逃してくれるが、これは流石に罰金だろう。
バレないで、帰ったが。
それから俺たちは、彼をパーザンと呼んでた。
パーのターザンだから、パーザンである。
うちのサークルの間では、全員が彼をパーザンと呼んでいたよ。本人に向かってね。
卒業前に俺たちは、パーザンにパーザンの名前の由来を教えてやった。
すると、「マジすか?
俺、カッコよくて気に入ってたので、地元でもパーザンって呼ばせてたんすよ!」と嘆いていた。
秘密にしたまま卒業したら、彼は幸せだったのかな。
ちょっと罪悪感。
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