フキをゆでた話
ご近所から、フキをたくさんいただきました。
両手で抱えてずっしりと重たいほど大量です。何キロあるの。
春の味覚、大人の味。
おいしいフキが食べられる「わあ!!」という喜びと同時に、「こんなに茹でて皮をむくのか!」という気持ちが勝ってしまいます。
子供たちの入学式やら引っ越しやらPTAやらで、今年の4月は特に忙しく疲労困憊だったので、フキは食べたいけど、下準備をする気力はありませんでした。
「でもせっかく持って来てくれたんだから、新しいうちに茹でなきゃな」
ということで、重い腰を上げ、フキの束から4分の1を取り、洗ってまな板に置きました。
フキ独特のみずみずしい、緑っぽさの中に土のような香りがフワッと漂います。
フキに塩をまぶして手のひらでゴリゴリ板ずりすると、あら。
塩とフキの繊維が手のひらを刺激して、なんと心地よいことか。
熱いお湯で数分ぐつぐつ茹で、冷たい水のなかにひたし、しばらく置いたら、次は皮むきです。
フキの先端の皮を、爪でちょっとつまみ、上から下へ「ツツー」とむいていきます。すると、美しい翡翠色の中身が出ていらっしゃいました。
「おおー!」
キラリと輝くフキさん、今年も見られて幸せです。ありがとう!
ふと気づくと、フキを触る前の億劫な気持ちは消えて、すっかり癒されていたというお話でした。
まあ、でもね、まだ4分の3も残っているんですけどね。