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「相手の意表を突くこと」が身を守ることにつながると学んだ小学1年の私

小学1年の頃、近所に住むクラスメイトにいじめっ子(女子)がいて、毎日下校中にいじめられていた。いま思い出すとターゲットは私だけではなかったが、とにかくしつこかった。

その子に捕まるのが嫌で、足早に下校するのだが、追いかけてくる。
一時期、その子および取り巻きが
「あんずさん、〇〇持ってるー?見せてー!」
としつこく聞いてくる時期があった。
〇〇というのは、教科書とか、宿題のプリントなどである。
「見せて」と言われてランドセルから取り出すと面倒なことになるのは想像がついた。
「ダメ!」と言って逃げ出すと追いかけてくる。やつらはその追いかけっこがしたかっただけかもしれない。
何が楽しいのかわからないが、それがやつらのマイブームだったのだろう。

当時の私は気が弱かったが、何度もやられるといいかげんめんどくさくなってくる。
ある日、またいじめっ子に
「〇〇持ってる?見せてー!」
と言われたときに、
「ダメ、見せるなって言われたから見せられない」
と言い返した。
すると、相手は少し戸惑った顔をして、
「誰に言われたの?」
と聞く。
「誰でもいいでしょ」
と言うと拍子抜けしたようで、それ以上ついてはこなかった。

いじめっ子は、思いのほか、このことが堪えていたようである。
しばらくして、私が忘れた頃に、
「ねえ、どうして見せられないの?」
と聞かれた。
そのときは取り巻きもおらず、いじめっ子ひとりだった。
いや、取り巻きもそばにいたかもしれないが、一度私に断られたことで取り巻きのテンションが落ち、口を出さなかったのかもしれない。
私はどう答えたか覚えていないが、適当にあしらい、つけ込む隙を与えなかったのだろう。
いじめっ子にそれ以上からまれた記憶はない。

いじめっ子がどうしてしつこく聞いてきたのかはわからない。
親や先生に言いつけられたと思い、恐怖心が芽生えたのかもしれないし、
「どうしてこれまで私の言うことを聞いていたあんずが急にこんなことを言うのか?」
と不気味に思ったのかもしれない。
ただ、この時期を境に、いじめっ子のテンションは下がったように思う。

「相手の意表をつけば、相手は攻撃の手を緩めてしまう」ということを、小学1年の私は学んだのであった。

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