東大マテリアル工学科の授業〈2A〉
はじめに
初めまして。この記事では、東大工学部のマテリアル工学科(マテ工)について紹介します。私が2年生で進振りに迷ったときに、先輩方のブログを参考にして自分の進路を考えることができたので、この記事も、進振りについて迷っている人に参考になることを目標として書きます。
マテ工については底点が低いということで悪い印象を持っている人がいるかもしれませんが、それも払拭できれば幸いです。
自己紹介と進振りについて
理Ⅰから第一段階でマテ工のCコースに進学して、現在2Aが終わったところです。基本平均点は84~5点くらいだったと思います。大学に入る前から物理に興味があって、当初は理物や物工をメインに考えていましたが、学部1,2年で色々と迷いが生じ、ネットで各学科の情報を集めていました。
進振りの際に一番参考になったのは、各学科が春に開催している進学ガイダンスです。学部ごとのガイダンスとは異なり、かなり専門分野に踏み込んだ話や学生からの話も聞けるので、学科生活が想像しやすくオススメです。
私は理物、物工、計数、EEIC、地物、マテ工、後期教養あたりに行き、その時点で物工とマテ工に絞り、最終的にはマテ工にしました。
決め手になったのは、マテ工の研究室のテーマが面白そうだったことですね。どの学科のホームページに行っても、研究室一覧みたいなページがあるので、そこを見るのも参考になります。私はマテ工がやっている半導体関連の研究や、材料開発に情報学的手法を取り入れる分野に興味を惹かれました。それにしても、マテ工のCコースはもう少し人気になってもいいと思います。
マテ工の全体的な感想
・学生について
なんとなく想像はしていましたが、モチベのある人と無い人がハッキリと分かれていますね。ただ、別にそれが悪いことだとは思いません。結局は自分次第なので。
私は理1中国語出身ですが、駒場でのクラスと比較すると気の良い人が多い印象です。学科は80人いるので全体的に仲が良いということはありませんが、毎日講義に顔を出していれば誰かとは仲良くなれます。
・忙しさについて
これも想像通りですが、工学部の中では(多分1番)忙しくないです。2Aは週に13~15コマくらい。難しい授業は限られているので、来る日数を減らそうと思えば際限なく減らせます。運動部やサークルとの両立はしやすいでしょうし、実際に運動部の人は多いです。
3Sは予定を見る限り多少忙しそうです。が、他の工学部ほどではないでしょう。3Aは暇そうです。就活に力を入れることもできるでしょう。
とにかく、意味も無く学生を課題で縛るような雰囲気が一切ありません。
「学科でゴリゴリに強制されることで成長したい」と思っている人には不向きかもしれません。
・授業について
後で細かく紹介しますが、全体的に、難しいということはありません。駒場の授業がわかればわかります。2Aはほとんどが座学でした。
教授は優しい人が多く、極めて質問がしやすい環境です(これはこの学科の特筆すべき良いところの1つです)。
・場所について
本郷キャンパスの工学部4号館で受けます。弥生門のすぐ近くです。場所はあまり良くないですね。どの駅からもまあまあ遠いです。建物の綺麗さは、まあ普通です。
本郷での講義は全て同じ大教室で行われます。講義間の10分で移動する必要がないという意味では良いですが、気分転換が難しいという意味では良くないです。
2Aは水曜日の授業だけ駒場で他学科と合同です。
・シケタイについて
シケタイ制度があります。過去問を見ることができます。具体的な制度はシケ長しだいです。
・単位について
基本的に落とすことは想像できないと言って良いでしょう。厳しい科目さえちゃんと出席していれば大丈夫です。多くの授業では過去問をやっていれば解けます。救済してくれる教授も多いです。
私は勝手にかなり勉強して試験に臨んでいますが、単位をとるだけなら前日詰め込みぐらいで行けるでしょう。
各授業の詳細
・材料相平衡論
A1の月木1限。相律から始まって、二元系状態図、三元系状態図をじっくりとやります。伝統的で材料系らしい授業。
・材料量子力学
A1の月木2限。「材料」と付いていますが普通の量子力学です。駒場の構造化学が少しパワーアップしたかな、という感じ。半導体をやるなら量子力学は必須でしょう、ということでやる気が出ます。
・材料速度論
A1の火金2限。「測度論」ではありません。熱伝導と物質の拡散を扱います。実際に何かを作るときには速度論は必要ですから、工学系ぽくて面白いです。
・材料結晶学
A1の火金3限。かなり独立した分野で興味深いです。固体結晶の空間的な原子配列について学びます。具体的には、原子配列に関する数学的な記述や、x線回折の際に用いる逆格子の概念などを扱います。
・材料力学Ⅰ
A1の火金4限。金属と高分子の授業が半々です。金属の方は、変形や転移を扱います。高分子の方は、高分子の性質を熱力学(統計力学)的に扱います。テストは簡単ですが、どちらも内容は難しいです。
・マテリアル工学概論
Aセメの火5。4人の教授が交代で講義をしてくれて、レポートを出せば単位がもらえます。様々な分野の初歩的な話が聞けます。
・マテリアル自由研究
Aセメの金5。2Aで唯一講義形式ではない授業です。十数人の先生が提示したテーマから自分で1つ選び、同じテーマを選んだ学生と4~6人くらいの班で中間発表と最終発表に向けて活動します(具体的な進め方は先生や班によって変わる)。最終発表のあとには軽い打ち上げがあり、学生間の仲を深めようという意図が多分に感じられます。
・生命科学概論
Aセメの水1。水曜は駒場の日です。私は履修していないので内容はわかりません。
・計測通論A
Aセメの水2。航空(?)と合同のはず。この授業はオンラインで、試験も無くレポートです。内容は計測全般で、主にセンサを扱います。地味だけれど面白い。
・数学1A
Aセメの水4。どっかの学科と合同です。駒場。常微分方程式、ベクトル解析、変分法について扱います。なんとなく知ってはいる内容ですが、数学で説明してもらえるのは嬉しいです。
・有機材料科学
A2の月木1限。唯一の有機の授業です。脂肪族と芳香族の講義が半々です。大学受験のときに知識として覚えていた反応の機構がわかります。
・基礎熱力学
A2の月木2限。このセメスター唯一の必修です。これ以外は全て選択必修。材料をやるなら熱力学くらいは、ということなんでしょう。内容としては駒場の熱力学とそこまで変わりませんが、機械寄り(サイクルとか)の話が減って、合成とかの話が増えます。
・材料統計力学
A2の火金3限。「材料」と付いていますが、普通に統計力学です。統計力学は学問自体がめちゃめちゃ面白いので、楽しいです。授業はちょっとだけ難しいです。
・無機材料科学
A2の火金4限。初歩的な化学結合の話から始まって、結晶や結晶成長、欠陥の話を広く浅くやります。他の講義と内容はかなり被っていますが、教授の話が面白かったので聞いていました。
おわりに
何となく学科についてのイメージができたでしょうか。参考になれば幸いです。
そういえば、私は前期の進級条件を勘違いしていて、各最低単位の他に必要な3単位の存在を知らなかったために、2Aは駒場で授業を取る羽目になりました。気付かないまま留年する人もいるので、気を付けてくださいね。
覚えていれば3年でも書きたいと思います。それでは。