改めて「放屁」について
前から書いてみたかったテーマに手をつけることにした。
かなりの「シモい」話が出てきます。
苦手な方は嫌悪感を持つ前にスルーされることをお勧めします。
「同じことを言われても腹が立つ人とそうでない人の違いは何によるものか」
(拙稿 「後部座席での内言」)に続く私の中でのもう一つの命題
「『おならは、信頼関係のバロメーターである』か『親しき中にも礼儀あり』か」
人前での「放屁」(いや、「屁をこく」の方がしっくりくる)は、失礼なことであり、してはならないことは前提である。異論はない。
だからこそ、私は、「おならができる関係」にこだわってきた。
してはいけないことができる関係とは強い信頼があってこそではないか。
もちろん、法に触れない程度にだ。
「この人の前ではおならもできる」というのは、そんな、「はしたないことをしても許されるほどの関係」ではないのか。
お恥ずかしい話だが、この件で、妻とはずっと「論争」状態である。
一緒に暮らし始めてかれこれ37年になる。
何度となくこの件について「議論」してきたが、意見の一致をみない。
それどころか、
「離婚するとしたら、『おならと足の臭い』が原因やな』とさえ言われている。
(幸い、足の臭いは加齢とともに勢いがなくなり、今ではそれほど臭くない)
妻と、1年だけ同僚であった年があった。早い話がその時に出会ったのであるが……。
随分と親しくなった(私が、勝手に判断)と思った時から、
私は、職員室でもプップするようになった。もちろん、気心知れた同僚しか残っていないことを確かめてからの行いである。
「もうー。やめてくださいよ!」
二つ隣の席に座って日記に赤ペンを入れていた妻(いや、その時はまだ一同僚だった)が、下敷きをペラペラさせながら言う。
私のアホなところは、それを逆に面白がって、余計に放屁していたことだ。
調子に乗りすぎて、片尻を上げてした時は、頭をパチンとやられた。
私は、それも「仲良しの証拠」ぐらいに思っていた。
今でも、「あれは、ほんまに嫌やった」と言われることがある。「まあ、それでも結婚してくれたのだから、やっぱり信頼関係はできていたんじゃないの」と返すと、「それは別の話や」と怒られる。
おならは嫌やけど、他にいいところがあったということだろう。
いいところ>おなら ということか。
まあ、それはいいとして、
私は、他の同僚たちとの酒の席や、ランチの席で、
「いっぺん、聞いてみたいことがあるんやけど」
と切り出し、いろいろな方にこの問題について投げかけてきた。
「パートナーの方とか、親しい間柄の人の前でおならする?」
どれだけのデータが揃っただろうか。
決して少なくはないサンプルが揃っている。文書記録がないのが嘘くさい(おならだけに)のだが、ざっと50人くらいには聞いていたと思う。
結果は、なんと「半々」だった。
「そんなん、するの当たり前でしょう。うちなんか、おならで会話してますよ」
という積極的肯定派の方。
「うーん。したらあかんとは思うけど、出る時は普通にして『ごめん』って言うておしまい」
という消極的だがどちらかといえば肯定派の方。
かと思えば、
「それは、家族の中ででも絶対しませんわ。トイレでしてるの聞かれても恥ずかしいくらいです」
という断固否定派の方もおられた。
これは、男女の差はあまりなく、する人はするし、しない人はしないということだった。
「へえ、こんな人でも屁こくんやあ」と意外に思ったケースもあれば
「こいつは、こきまくってるやろ」と思っていた人から「絶対しません」という回答を得たり、なかなか面白い聞き取りだった。
まあ、そういうことが聞ける時点ですでに「信頼関係」があったのだろう。
もちろん、妻は、後者である。私は、妻の放屁音を耳にした回数は、片手に足りない。たまにそのレアな響きを耳にした時は、「あっ、屁こきよった!」と小躍りするくらいだ。
ほんのはずみや、たまたまトイレの前を通りかかった時に大きめの音がしたという偶然でしかなく、決して意識的に「こく」方ではないのであった。
この問題の「解」は
「それは、人による」
で終わりなのだろう。なんの深みも面白味もない結論だが。
しかし、もう一つこの問題には、別の要素を検討課題に入れなくてはならないかもしれない。
それは、ズバリ
「ガスの質」
である。
無臭なガスか、そうでないか。
もうお察しのことであろう。
私の場合、「猛烈にくさい!」ガス質であるらしい。
毒ガス級やとも言われたことがある。中には、
「ちょっと、腸がおかしいんちゃう? お医者さん行った方がええで」
と真面目に心配してくれる方まだおられた。
車の中で出てしまった時、
「うわっ、やりよった」と一斉に窓を下される。
昔、こたつで麻雀をしていた時、足のにおいも混ざってさらにパワーアップしていたらしい。いまだに、その話になることがある。
先日行ったうどん旅でも、私は、最近自分のおならがくさくないと思っていたので、就寝中に結構多めのガス量で放屁した。
しばらくすると、ふたつ向こうのベッドで寝ていたFが
「くさっ!! K(私のこと)へえこいたやろ!」
そんなに遠くまで私のおならパワーは届いたのか。
私は、自分でニオイを確認するべく、自分の布団をパタパタした。
すると、隣のMが
「何ちゅうことすんねん!」
と怒り部屋を出ていった。
「長い付き合いなのに、水くさいやっちゃなああ」
と私が平然(いや、屁然か?)としていると、
「水くさいんちゃう! ほんまにくさいんやあ」
と返された。
つまらない話を書いてしまったのかもしれない。
しかし、前から書きたかったことが書けてすっきりさせてもらった。
今は、誰もいない部屋だ。
ここらで、腸の方もガス抜きしてすっきりさせてもらおう。
「うーん。今日もなかなかの香りだ」