いつの間にか運転手
「なんか、ここんとこ、ずっと運転ばっかりしてるわ。俺、運転手やあ」
一緒にラウンドする友人を、家まで迎えに行き、ゴルフ場に向かう時に思わず口から出できた。
先週から今週にかけて、長距離の車の運転が続いた。
世の中には、長距離運転を仕事にしている方がたくさんおられる。私のそれなどは大したことないのかもしれない。しかし、この間のガソリン残量メーターの減り方はかなり早い。
先週は、孫の運動会へ名古屋方面へ車を走らせた。これは早朝ドライブだった。
今週も、娘&孫のイベントで同じく名古屋方面へ。これは夕刻の出発。
イベント終了後に奈良へ帰る際、京都のゴルフ場へコンペに参加する妻を送るというおまけつき。
そして、冒頭のつぶやきは、その翌日のものだ。
今度は自分のゴルフのために、一緒にプレイする友人の家宅車を向かわせた。奈良と京都の県境にあるゴルフ場まで約1時間程度のドライブだ。
そこにきて、妻のご両親が、
「昔よく通っていた久美浜(京都北部)の温泉が、新しくなったので連れて行って欲しい」
と来たもんだ。
「俺、いつの間に運転手になってんやろ」
「まあ、明るいうちに行って、明るいうちに帰ってきたらええやん」
呑気そうに妻は笑う。
名古屋へ行った後は、ぐったりする。
かわいい孫の熱烈大歓迎を受けても、その後、一緒に遊ぶ体力が残っていない。
「ちょっと、じいじ、おやすみね」
と、情けなくソファにバタンQとなる。
名古屋から奈良へ帰ってきた時も、同様だ。
「ああ、しんど、休ませてもらうわなあ」
いつしか、応接のためというより、私の寝具と化しているソファでトドになる。
齢65歳。
気持ちは元気のままなのだが、やはり体力の低下は否めない。
「楽しいことしていたら疲れは残らない」
なんて言っていたのはいつのことか。
妻と名古屋に向かうたびに話す。
「いつまで、こんな運転できるかなあ。もう、夜なんか、目が見えにくくなってきているし、雨の日なんか怖いよなあ」
「まあ、70くらいはまではなんとかなるかあ」
ちなみに、私の父は、91歳。
周りの心配をよそに、免許証の返納はせず、ほぼ毎日、MY畑へ車で向かっている。何度、「もう、返納した方がええんとちゃう」と説得しても「試験で落ちたらいつでも返納したるわ」と、毎回「優秀」な成績で「認知機能検査」をパスしていることを自慢する始末だ。
残念ながら、父の遺伝子を受け継いでいる実感はないが、できることなら孫が小学校卒業するくらいまでは(あと8年で72歳かああ)運転手でいられますようにと手を合わせる私である。
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