誰よりつよくて、おおきくて。
カーテン越しから見るだけで目眩がする日の光、
外に出れば無数に流れる汗で視界が遮断された。
そんな夏も日が経つごとに緩やかになって
夜は虫の音で溢れている。
気づいたらそんな時期になっていた。
理想の自分を作り上げようと思った
夏は終わりを迎えた。
あれも頑張ろう、これも頑張ろう。
何一つ完成しなかった。
中途半端に引きずられた気合とやるせなさで
いっぱいいっぱいになっていた。
そんな中、彼は強く生きていた。
自分自身との約束を守り、今日も良い意味で
憎らしさを覚える程、彼という人生を歩んでいた。
夏の始め、オープンキャンパスの終わりに
会う時間を作ってくれた事があった。
その帰りに、理由は上手く言えない寂しさを
ふと感じてしまった。
可愛い甘え方なんてわからないから、
手を広げてそばに寄るくらいしか思いつかなかった
私は頼りないとか、本当かとか、
すぐに疑いの目を向ける。その時は違った。
いつもと違う苦しさがあった。
すらりとした細身に、色白かつ透き通った肌。
私と同じくらいの手に、
数センチほど違う背丈からは
今まで感じられなかった強さがあった。
物理的にも強かった。
それ以上にどこか苦しくて仕方なかった。
うまく力が入れられなかった。
温かくて、大きくて、飲まれてしまいそうな強さ。
ただ力強いだけではなかった、気がする。
いつものように弱くて不甲斐ない自分が
このまま壊れてしまえばいいのにと思った。
最近それをよく思い出す。
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