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【ライブ感想】Morfonica Concept LIVE 「ff」

(セットリスト等については下記記事を参照している)

衝撃的な展開を遂げた前回のConcept LIVE 「forte」から早くも半年、ライブ数日前にリリースされたシングルに収録されたライブ映像を早速確認しているとあっという間にライブの日が来てしまった。

これまでの流れとしては、7月にはそれまで一切話題に出てこなかった新曲"Tempest"が表題曲の新しいシングルリリースが発表された。その発売が迫ってくると「ff」のちょうど1ヶ月前には前回の「(C.L.)forte」を見ていないとは言わせないといわんばかりのライブ映像配信+ダイジェスト動画公開、その翌週には"Tempest"のMV公開および音源デジタルリリース。その1週間後にはゲームにおいて節目の曲となった"Wreath of Brave"のMVまで…どこでそう気付いたのだろうか、前回にも増して只者ではないオーラが漂ってきた中でのライブとなる。

河口湖ステラシアターでのMorfonicaのライブは確かに初めてだが、その前からここで歌われた曲があった。他でもないデビュー曲の「Daylight -デイライト-」のMVはまさにここで撮影されたものだ。
前回の黒いカラーの"f"とその前のライブツアーのロゴを思わせる明るい"f"が組み合わせられたライブロゴはこれまでの歴史を踏まえ、新たな革新に向けて駆け出すかのよう。昨年の熱い夏を力強く駆け抜けたツアーから1年越しの物語、あるいはこのバンドが始まった時以来の4年半越しだろうか、全ての始まりの地と言える河口湖で歌われる物語とは…

河口湖ステラシアターはこれから起こる出来事を暗示しているかのような曇り空、涼しいというよりは肌寒いという形容がより合っているような空気だった。その空気にパイプオルガンの音色が鳴り渡る、僅か見える空は曇っており珍しく入場開始直後に入場したので気付かなかったのだが雨が降っていたようだ。

その始まりは唐突だった。ff (フォルテッシモ)の意味は「(f:フォルテと比べ)より強く」。それを表すような「フレージング ミラージュ」そして「MUGEN Reverberate!」から始まったかと思えば続いて「わたしまちがいさがし」、「esora no clover」と半年前を振り返るかのごとく短縮版で一気に続く。そして「何者にもなれない」という苦悩を語るポエトリーの後に「きょうも Merry go rounD」で一旦演奏は締めくくられる。館の門に崩れ落ち、暗いステージには雨の音だけが残る…

再び始まったポエトリーはこれまでの苦悩を踏まえ、しかし何かそこに信じて進んでいくことができるだけの何かがあると確信しているかのようなものだった。一人一人の諦めたくないという思い、それが結集し再びステージに光が灯る、僅かな光から「両翼のBrilliance」として翼を広げたのだ。衣装も前回のライブのものからキービジュアル、そしてこの曲のMVの衣装になっているではないか。前回はポエトリーの始まりとなった曲が一転したパートの始まりを告げるという構成も面白い。続いて「fly with the night」そしていよいよ新曲の「蒼穹へのトレイル」に進む。逆境の中でも諦めずに前を進んでいく、そんな決意が改めて示されたような思いがした。
その決意で翼織り成し高く羽ばたくように「誓いのWingbeat」に繋がる、これからへの誓い、過去の自分を全て受け止めて先に進む誓いのように。続くは「flame of hope」だが今回はアウトロが通常より長い特別版となっている。定番曲として演奏されてきた曲ではあるが特別な場所で新しい衣装、これまでとは違ったメッセージを帯びて聴こえてくるような気がした。
そして耳に飛び込んでくるこれまでとは違った旋律…まさかこの曲は! 満を持して「Tempest」お披露目となった。これまでの陰鬱とした夜を嵐の暴風が全て吹き飛ばしていく。その暴風の後にはきっと美しい夜明けの青空が広がっているはずだ。ここまでのさまざまな景色が脳裏を去来し、その景色は未来に向かって繋がり歩み始める…

そこから語られるポエトリーの内容はすっかり晴れ渡ったものとなり、葛藤やコンプレックスを否定はせずともそれも全てまとめてこれからの自分だと未来へ進み出すもの。その全てに感謝するかのように「音がえしのセレナーデ」が歌われる。続くはこれから広がる景色を語るかのような「金色へのプレリュード」、ステージの演奏と観客席に広がる金色が合わさる。

カップリング曲まで演奏されたらいよいよこのライブの締めくくりはこの曲をおいて他にあるまい、本編最後の曲として「Daylight -デイライト-」が遂に奏でられる。もともと今回の会場たる河口湖ステラシアターはこの曲のMVが撮影された場所。当然撮影時に観客がいないのは当然の話にしてもMorfonicaのデビュー時期はよりにもよってとしか言いようのない2020年の春、デビューイベントは遂に中止されてしまいその後もライブを行うということそのものすら制約が多い時期がしばらく続いていた。初お披露目は同年8月に近くのコニファーフォレストで、それすら観客は歓声を上げることはできず顔も見られない状態だった。その2つが揃うまでには更に3年弱の時間を要したのである。

デビューから4年半を経て様々なものが変わった、そこに至るまでの道のり・歩みを示してこれからに向かう道標とするかのような時間だった。最初と同じステージ・メンバーで、しかし衣装は最新のもので、そして観客席に溢れるオーディエンス…ここまでの物語のフィナーレとしての演奏が終わったとき、語られる言葉ははっきり前を向いて進み出す決意と覚悟を示すものになっていた。最初に縋り付くように跪いた門を開け、そこから外の世界へと飛び立って行く。門は開け放たれたまま…

彼女達の日常を語るような後日譚のような物語の後、熱烈なアンコールが響き渡る。それに応えて出てきた姿はまさかと思っていたがデビュー時の衣装、最初に演奏されたのは「メランコリックララバイ」。ここまでの重厚なストーリーからのギャップがなんとも心地良い、そういえばこの曲もツアー「forte」から演奏されるようになった曲だ。
次回ライブ開催の告知がなされ、あいさつに続く。前回はストーリーが終わると同時にアンコールもなく終わったので、実質的に前回のC.L.の分も含めてというものかもしれない。

最後の曲としての「寄る辺のSunny, Sunny」はこの位置だと初披露の「Reverberation」以来か、夕立が上がっていくという歌詞もこの半年間の「嵐」を思い起こさせるようで最後を飾る良い曲と改めて感じる。爽やかな残響が響き渡りこの楽しかったライブもいよいよ…? と思いきやストップの声、せっかくこの衣装、この会場なのだから最後に一曲挟めないかという提案。スタッフとの直談判の末本当に最後の、ダブルアンコールと言ってもいいかもしれない。

「Daylight -デイライト-」の旋律が奏でられる。

月が見守る下、河口湖ステラシアターのステージで、あの時の衣装による曲が演奏される。それはここまでの流れから新しいスタートを告げる決意表明だったのかもしれない。

…今回は合計17曲という凄まじいボリューム、しかもカバー曲が一曲もないというのも特徴かつ1つの象徴とも感じた。始まりの地で物語の結末を見届けるというコンセプトの妙もあって、ライブというよりは舞台を見届けたような充実感を感じた。
キャスト・スタッフの皆様本当にお疲れ様でした、そして素敵なライブをありがとうございました!!!

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