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その響きを求めて
少し特別な便に乗り
いつもの朝、いつもの時間の電車、いつも聴いているラジオ、いつもの柏駅の人波に揉まれる。でもここからは少し違った。新鎌ヶ谷で電車を降りて、アクセス特急。
今日は、旅に出る。
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東京の地下鉄がアクセス特急に充当されているのもすっかり板についた、しかもその先が浅草というのも面白い。(ベタに過ぎるきらいもあるが)最も"Tokyo,Japan"を表しているような路線の電車が自ら海外からの観光客を迎えに行っているかのようだ。
電車は横を走る車を次々と追い抜き千葉ニュータウンを駆け抜けて印旛沼を眺めて走る、成田湯川を出たらあっという間に空港第2ビル駅に到着する。そういえば今日は成田湯川でもその後の信号所でも待避が無かったので実にスムーズ。
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このあとは時間を取って食事する機会があまりないのでここでしっかりと。先日販売終了が告知された朝マックの「ビッグブレックファスト」をお名残で。いかにもなアメリカンメニューでガッツリ行きたいときには何度か頂いていたのだが、確かにこんな重いメニューをチョイスできる人はそんなに居ないか…マフィンとスクランブルエッグの組み合わせも気に入っていたので残念。
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さて、成田空港といえばその経緯上国際線メインというイメージを持つ方が多いだろう。行先によっては欧米レガシーキャリアを中心に羽田再国際化に伴って羽田回帰が進んだので海外旅行はよく行くものの成田空港はご無沙汰…ということだってある。
最近使っている機会が多いと自負する場合LCCが多いと言う方が多いか。国際線LCCについてはともかくとして、国内線LCCについてはピーチがANA系列ということもあり本体と同じ第1ターミナル発着、ジェットスターやスプリング・ジャパンだとLCC向けの第3ターミナル発着となっている。
しかし、今日乗るのは第2ターミナルからの国内線だ。
第2ターミナルというと主に利用しているのはワンワールド系列で、その他エミレーツ航空やスターラックス(ワンワールド加盟が有力視されているが…)、変わり種では成田では概ね第1ターミナルに集約されているはずのスターアライアンスでありながらエア・インディアがいる。しかし国内線を飛ばすような会社は日本航空だけだ。いったいどういう路線で、どういった人が乗るのだろう。
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第2ターミナル出発ロビーから案内に従い階段を降りて、長い通路を歩くと国内線出発エリアに着く。そこには国内線出発案内があるがずらりと並ぶ便はほとんどが「第3ターミナル」すなわち国際線乗継の場合に限ってジェットスター便に日本航空などのコードシェア便として乗ることができるわけだ。国内線乗継のためだけに2時間程度かけて羽田空港に行けというのもしんどい話だし、それなら便数が多いジェットスターに乗ってもらったほうが良い。しかしよく見てみるとそうではない便がある、それが今日のお目当てという次第。
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このエリアは店舗も何も無いしゲートまでも結構距離がある。速やかに搭乗ゲートに向かうとしよう。保安検査場にも注意書きがあるが、この先含めて店舗は1つもない(2024年1月現在)。搭乗ゲート前に自動販売機がいくつかあるのと、通路途中のトイレ付近に冷水機があるだけで食事は全く入手不可となっている。
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保安検査通過後に非営業とはいえJAL PLAZAがある。最近"BLUE SKY"からリブランドされたばかりなので、もしかしたらここの営業再開が意外と遠くない未来の話かもしれない。それはそうとつい最近までJALの店の名前が最大のライバルを想起させるような単語を使っているのはどうだったんだろうか…
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保安検査場から搭乗口がまた長い、正直なところ第2ターミナルの国際線ロビーから第3ターミナル、それもサテライトのほうが近いのではないだろうかというくらい。しかもあちらは保安検査場近くにフードコートやコンビニがある。好意的に考えるとこの「場末感」がなんとも言えない魅力を醸し出しているとも言えるか…?
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いよいよ着いた国内線搭乗口、LCCを除けば国際線ばかりの成田空港において極めて珍しいJALの国内線に搭乗する。この便は国際線乗継便、ここまで国際線に乗ってきた人を国内の空港に送り届けるのが任務となっている。時間設定もそれを前提にしたものでこの便は早朝に東南アジアやオセアニアから来る便から乗客や荷物を引き受けて飛んでいくのだが直前には早朝にセントレアから飛んできている。これは午前中の東南アジアへの出発ラッシュに合わせて成田空港に到着するダイヤというわけだ。
夕方にはセントレアと、伊丹からも到着する便がありこれは夕方の東南アジアや北米への出発ラッシュに合わせたもの。そしてその後はその東南アジアや北米からの便の乗客を待ってセントレア、伊丹に飛んでいくという次第。
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今回はJAL(2024年1月現在)についてだが、ANAもセントレア、伊丹に加え新千歳にこのような便を飛ばしている。また、かつてはアイベックスエアラインズが就航しており仙台などへ接続便を運航していた。国際線の羽田回帰や海外からセントレア、関空への直行便が増えた以上今後大きな拡大が望めるような路線ではないが一種の面白さを楽しめる路線だろう。
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DEP:NRT/RJAA
RWY34L
ARR:NGO/RJGG
RWY36
JAL JL3083
(SB4800,IB1575,AM7746,MH9139,HA5470,UL3352)
Planned:1025-1140
Actual:1050-1133
Japan Airlines
🛩Boeing737-846 B738
JA320J 35349 /2953
コードシェアの便数の多さにも驚く、成田からセントレアに飛ぶフライトにマレーシア航空やスリランカ航空の便名がついているなどにわかには信じがたいくらいだ。
すっかり777Fが主力となった貨物地区のFedEx達に見送られて離陸、すぐに霞ヶ浦を見ながら西に進路を取ると巡航高度が低いのもあってかすぐにドリンクサービスが始まった。
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離陸前のセーフティデモンストレーションはモニタが出ていないにも関わらず通常の安全ビデオの内容を流したのが珍しいと思いCAさんに尋ねてみたところ、これは以前からそうだったとのこと。
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スカイタイムで唇を潤し一息ついた頃飛行機は都心上空、おそらく羽田空港の真上を飛んでいた。この景色の中には仕事先があって、自分がいない中でも色々進んでいるんだろうななどと考えるだけでも結構面白いのだが東京貨物ターミナル駅やコンテナターミナル、お台場と飛び込んでくる景色はそれ以上だ。よく目を凝らしてみると鉄道路線に沿って周囲より建物が高いような…?
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しかし最大のハイライトといえば富士山をおいて他にあるまい、山体の少し南側を飛ぶので意外とギリギリになって姿を表した。山頂付近を取り囲むように雲があるので地上からは見えにくいだろう。飛行機なればこその景色を味わえた。
富士山が後ろに去っていくとまもなく高度を下げるというアナウンス、新幹線ではだいぶ長い気がする静岡県も飛行機では高度を下げながらあっという間に横切ってしまった。
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知多半島を横切るともうセントレアは目の前だ、後は最後の旋回を行い滑走路に正対するとタッチダウン。出迎えてくれたはなんとボーイング747-400LCF"Dreamlifter"、これは生で見たのは初めてだ。主にボーイング787用の部品を運ぶ大型貨物機で日本におけるボーイング787サプライヤーは中京圏に展開しているため、セントレアまで海上輸送で運び込みここから飛行機でアメリカのチャールストン(以前はエバレットも)にある組立工場に持っていく。
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今や世界で1,000機以上が導入されて飛び交っているボーイング787、その全ての主翼は三菱重工で製造されてここからアメリカに出荷されている。この飛行機をベストセラーたらしめた卓越した効率性も主翼なくしては成り立たない、確かに試作1号機がここに里帰りして展示されるようになったのも納得がいくというわけだ。
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さて国際線乗継便のためにわざわざ成田空港に国内線の機材を用意しているのかというと、原則としては違う。この国際線乗継便は比較的身近に国際線機材を楽しめる便で、ビジネスクラスの区画はクラスJとして提供されている。そのためこの便のクラスJは本来国際線ビジネスクラスの「スカイラックスシート」に腰掛けることができるというわけだ。
かつてボーイング747の時代にはこれが機体前方にズラリと並び、数多ものビジネスパーソン達のミッションを支えてきた。現代のビジネスクラスとしてはライトに過ぎるきらいがあり、近年ではこのクラスの機体でも大韓航空やスターラックス航空などフルフラットシートが惜しげもなく投入されるケースが増えているため次期機材が入る頃にはそういった方向性になっても何らおかしくない。
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次の移動まで時間があったためスポッティングを楽しむ。この日はANAのボーイング777-200ERがタッチアンドゴー訓練を行っており、見学者は短時間で回ってきては舞い上がる様子に魅了されていた。ちなみに時々「鬼滅の刃ジェット」などの特別塗装機が充当されることもあるそうな、定期旅客便は比較的コンパクトながら大型の貨物機、ドリームリフターや訓練機などが見られるのもセントレアの魅力である。
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ここからは三重県の津に向かうのだが、セントレアは高速船乗り場が併設されており「津エアポートライン」で45分程度で移動することができる。
基本的に予約前提ではあるが、今回の乗船時には空席は十分あった(というか乗客が十数人程度)ので飛び乗りで困ることはそこまで多くはなさそう。とはいえ是非予約はしたほうが良いだろう、事前決済で当日とても楽なので。
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船はベタ凪の伊勢湾を30ノット近くでスムーズに進んでいく、波はほとんど無くシートベルト着用しているとはいえそれが必要と感じられるほど揺れることは遂に無かった。どちらかといえば浮遊物発見時に急旋回する可能性などに備えたものだろう。しばらく微睡んでいるうちに津なぎさまちに到着、ここからは津駅まで散歩がてら歩く。
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津駅からは近鉄を乗継いで大阪へ、まずは普通列車で隣の津新町に向かい更に急行に乗って伊勢中川。はっきり言って最初から急行でも全く問題ないのだが、より多くの列車に乗ってみたいという助平心に支配されていた。伊勢中川からは伊勢志摩ライナーの京都行きに乗車、コンセントがあるのはありがたい…
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青山峠を越えて大和八木に、ここからこの列車は京都方面に入るため大阪線に乗り継がねばならない。ここからはアーバンライナーで難波に向かう。こちらもコンセントが近年取り付けられ後輩の「ひのとり」に伍して名阪間を中心に都市をきめ細かく結ぶ役割を担う。
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難波からは南海に乗り換えて、空港急行で関西国際空港に向かう。一日で成田、セントレア、関空と三大都市の主要空港を巡るなんとも奇怪なスケジュールだが、飛行機ではないお目当てが関空にはあった。本来もっと早く訪れてみたかったのだが…その前に腹ごしらえでターミナル内の551蓬莱にて点心セットを頂く。
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お目当ては「神戸-関空ベイ・シャトル」関西地方2つの海上空港である神戸空港と関空をつなぐ高速船だ。元々関空は淡路島などへの高速船もあったのだが定着したとは言い難い状況で、定期運航している高速船は2024年1月現在これが唯一の存在だ。
ターミナルにカウンターがあり乗船券はそこで購入、同額で神戸空港から三宮までのポートライナーの切符が付いてくるので今回はそれを購入する。そこからは連絡バスで移動して船に乗るのだが…波が意外と大きく船がかなり揺さぶられている。これはなかなかしんどそうだ、座るが早いかシートベルトを着けて第2ターミナルからのバス遅れで少し遅れているという出航を待つ。
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出航もしていないのに船が波で大きく揺れる、ところがこの揺れもスピードを上げてきて20ノットを超えてくると逆に気にならなくなる。打ち付ける波は相変わらず大きいが…しかしこれだけ揺れるとなるとシートベルトは是非欲しいわけだ。
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ちょうど着いたのはスカイマーク到着ラッシュの直前、その前に居たFDA機は去年花巻から小牧まで乗った「ユピテル 羽衣6」号との再会となった。羽田行きのANA ボーイング767は神戸空港を飛び立つ今日の最終便であり、この後来るスカイマーク機は全て今晩ここで過ごし明日また全国へ飛び立っていく。そんな到着機を見届けてポートライナー、そして阪神の普通を乗り継いで大阪に向かう。比較的空いていて運賃も安く、こまめなストップアンドゴーを満喫できるのがジェットカーこと阪神普通の魅力だ。
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ラストスパートの最速
大阪駅から徒歩圏内のホテルをチェックアウトして週末朝の大阪駅に、朝のホワイティはこの時間ともなると休日を楽しもうという人々で賑わいつつある。今日の旅は大阪駅から特急「サンダーバード9号」、途中新大阪、京都、福井のみ停車の速達便だ。来たる3月のダイヤ改正でサンダーバードは全便大阪と敦賀を結ぶ便になるというので敦賀通過もあと僅かである。
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流れる景色は何度か見たものだが、そのどれよりも今回は速い。そして敦賀での乗換ホームや福井での試運転列車は今しか見られない光景だ。初めてサンダーバードに乗ったのは9年と少し前、北陸新幹線金沢開業前に日本海縦貫線を在来線で踏破したいという旅のときだった。結局その日は強風の影響で富山まで乗るはずだったサンダーバードを金沢で降りて今はなき北越に乗換え、ついにはいなほ号の大幅な遅延で2日掛かりで青森に降り立った思い出がある。新幹線の基本計画線では北陸新幹線に加えて上越妙高から現在の信越本線に沿って長岡駅、そして新潟から羽越本線と奥羽本線に沿って青森に至る羽越新幹線の計画がある。果たして実現するのだろうか、貨物新幹線が実現した場合もしかしたらこの21世紀の北前船ルートは今再び日本列島の「背骨」として返り咲くのかもしれない。
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サンダーバードと金沢駅の組み合わせを見られるのはきっと最後と思うと色々撮影したくなる…とはいえ金沢から和倉温泉に向かう特急「能登かがり火」は引き続き運行されるのだから似たような写真は引き続き撮れると苦笑い。といっても9両固定編成の4000番台などはもうめったに来なくなってしまうのだろうか。
金沢駅では乗継待ちが約1時間、冬の日本海といえば旨い魚介類を求めたくなる。ということで「百番街 あんと」の中にある「魚菜屋」で地魚丼とあら汁を。どれから食べようか本当に迷うボリュームと魚の旨味が滲み出たあら汁、なんとも素晴らしいランチとなった。
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新幹線で富山に向かい、今度は「ひだ」で高山に向かう。この区間のひだはおよそ4年ぶり、今回とは逆コースで南から来たのだが3両編成の車内はガラガラだった。ところが今回は4両編成の半分弱が埋まっており、しかも車内で聴こえてくる声はほとんどが英語。飛騨高山が欧米からの観光客に人気と知識では知っていたがここまでとは。確かに東名阪の途中にあるのでコースに加えやすいし日本の冬は欧米人の心をくすぐるという、加えて金沢や富山はそれだけでも魅力的な観光地だし拠点としても良い位置にある。インバウンド復調の流れに合わせていいタイミングで良い車両が来たものだと改めて感心した。
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富山市内は雨だったが山に入っていくにつれ雪景色に、真っ白な中を走って高山に着くと車内ほとんどの乗客が下車して街に散っていく。乗客はほぼ全て入れ替わって列車は名古屋を目指していった。
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散策や買い物を済ませるともう改札が始まっていた。ここからはひだ36号、大阪行きに乗車する。往年の急行「たかやま」の系譜を継ぐ列車で4年前この折返しとなる大阪発に乗ったのでこれで往復とも乗車することに。乗車時間はたっぷり4時間、この特急列車を心から満喫できるがそれだけに買い物は入念に済ませないと大変かもしれない。
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大きなホテルを擁した下呂を出てしばらく経つとそろそろ暗くなってきて景色も望めなくなってくるタイミング、持ってきた本を読みながら横を流れる飛騨川に思いを馳せる。時折交換列車とすれ違い久しぶりに広い構内の駅に着いたと思ったら美濃太田駅。そうしたら岐阜はもうすぐだ。犬山城などは流石に車窓の反対側で見ることは叶わなかった。
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関ヶ原付近で駅弁を広げると細かなカーブなども多く少々難儀して片付ける頃には米原、再び普通列車が223系などの世界だ。スムーズに駅を飛ばしていくと大阪も近い。
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特急券は元々新大阪までだったのだが車掌さんに申し出て変更を掛けてもらい終点の大阪まで乗り通す。回送として発車する様子を見送りしばらく撮影タイム。
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地下鉄で新大阪に向かう、そういえば「千里中央」行きなどの掲示も見られるのは今回が最後だろうと思いいくつかカメラに収める。次来るときには箕面萱野となっているわけか。
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ここからは新幹線、明日乗る列車のためにのぞみで新山口に向かう。今回乗車したのは7号車、S Work車両に設定されているがエクステリアはそう大きな変化はない。
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今回チョイスしたのは"S Work Pシート"、別に車内でテレワークに勤しもうという意図はまったくないがあくまでも普通車の括りにして既存のシートを減らして導入した新座席はさて、お手並み拝見とさせてもらおう(この後の写真は周囲の乗客が十分減ってから撮影したもので、新大阪時点ではとても撮影などできなかった)。
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基本的には3人掛けシートのB席を潰してそこに半透明の仕切りとドリンクホルダー、ミニテーブルを設置したものとなる。まるで欧州のフルサービス航空会社の欧州域内ビジネスクラスを思わせる出で立ちだ。座席横にドリンクホルダーが付いたことで大型のラップトップPCを机上に置いても飲み物の置き場に困らなくなったのもありがたいところか。
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更にN700Sの場合肘掛けにコンセントが付くのでB席が無くなれば下りでC席、上りでA席は誰憚ることなく堂々とコンセントの二口利用も可能、パソコンとスマートフォン等と効率的に使えるだろう。
また、これは乗ってみて初めて気付いたがA,C席のみ背面テーブルもPC利用に最適化された形状に変わっている。
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このように移動しながらPCを使いやすいようにデザインされたS Work Pシートだが、テレワークなど全く関係ないような場合にも使い所は大きそう。もちろん周囲の打鍵音やともすればWeb会議(新幹線内で話せるWeb会議ってどんななんだろう…)の音声が聴こえてくることは趣旨からして受忍すべきだが、パーソナルスペースを広く取りテーブルを広く使えるというメリットは大きい。座席本体は普通車のそれなので乗り心地が特に優れているとは流石に言い難いもののそれで構わないならお値打ちに居心地を良くすることができる。
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車内もすっかり静かになり、車掌のアナウンスは睡眠中の乗客への配慮を求めるものも交じる。夜も更けてきた頃新山口到着、周防国に宿泊するのはそういえば初めてだ。今宵の宿は新幹線がよく見える東横イン、1本くらいは通過していくのが見られるかな。
振子気動車と振子気動車、そして振子気動車
新山口始発の特急といえば「スーパーおき」、朝発車してから4時間以上掛けて終点の米子に向けて山口線、そして山陰本線をひた走る。車両こそいかにも「現代の特急『電車』」然としたキハ187系の2両編成だが山陰本線を振子を効かせつつ轟然と駆け抜けるさまはなんとも頼もしい。
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運行区間は単線がほとんどだが、その際役立つのが1両あたり600kWを超える高出力だ。2両で約90tなので14.67kW/tとなるが、国鉄時代から使われてきたような気動車とは全くの別物。変速機の進化もあって走りは見違えるように軽やかになった。
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山口線では中国山地のトンネルをくぐり抜けてきたが、山陰本線に入ると更に速度を上げて日本海の荒波の傍らを走り抜ける。いかにも冬の景色という中をディーゼル音を立てて疾走する、しばらく乗っていると時間の感覚も溶けていき江津、大田市と過ぎていって出雲市。ここまで来ると急に停車駅が増えてきて山陰本線で言えば米子から出雲市にかけての中海・宍道湖・大山圏域の存在感の強さに驚かされる。列車の本数やバラエティも一気に増え、車窓も一気に都市のものになっていくギャップはここまでずっと山陰本線を走ってきたからこそか。米子では4分接続で鳥取行きの「スーパーまつかぜ」に、乗車前の補給を忘れるとなかなかしんどい旅になってしまうので是非ご注意を。
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米子発鳥取行きの「スーパーまつかぜ」の場合途中停車駅は倉吉と鳥取大学前のみ、びっくりするほど割り切った停車駅パターンだ。車両は同じくキハ187系、座席位置もそんなに変わっておらず再び海をちらちら横目に見ながら軽快に駆け抜ける。30分で倉吉、もう30分で鳥取と考えるとなるほど分かりやすい。
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鳥取ではキハ121系4連のワンマン普通列車が発車していく、JRのワンマン列車なんてだいたいどこも2両編成ではないかという先入観がまだ拭いきれないのだがこの令和の世ではもうそんなことはない。朝新山口駅で見た115系3000番台の普通列車もワンマンだったではないか。私鉄では特に珍しくもないが…
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どこかレストランにでも行こうかと思ったが、14時で仕舞っているところも多く何より「元祖」の文字につられて駅弁のかにめしを購入、これにセブンイレブンで野菜のおかずを加えてスーパーはくとに乗車。今度のダイヤ改正で到達便が大きく減る京都までたっぷり乗り通そう。
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比較的近年にリニューアルされ、更にコンセント追設がなされたとしっかり手の入っているHOT7000系だが既に後継車導入に向けての議論が動いているという。振子を維持するならJR四国の2700系に近いものになるだろうか。それとも推進軸廃止及び乗務員の制約を減らすためHC85系ライクなハイブリッドだろうか。今回はグリーン席でゆったり移動しよう、ちなみにグリーン1人席にはコンセントが無いので要注意。
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朝8時半から14時前までほぼぶっ通しでキハ187、そして1時間のインターバルを挟んで3時間スーパーはくとに乗るのだから合計8時間程度、起きている時間の半分気動車特急に揺られるということになる。新幹線なら2時間と少ししか掛からない距離にも関わらず何たる伊達と酔狂の産物の旅程か。その締め括りを飾るのにこのグリーン席はいかにもうってつけの素敵な存在だった
…のだが、惜しむらくは編成中間部なので通り抜け客がかなり多い。もし叶うならば次期新車では編成の端にグリーン席をお願いできないだろうか。
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高速化された山陰本線と比べても智頭急行線はおそろしく速い、山を抜ける列車というよりは低空侵入する攻撃機にでも乗っているかのような気分だ。スピード感で言えば智頭線区間を除けばほぼずっと120km/hを維持していたように感じる。日も傾いてきた上郡駅を出れば後は速い列車たちの檜舞台・山陽本線を京都めがけて突っ走るのみ、夕日に照らされた明石海峡大橋の美しさもまた魅力的なものだ。韋駄天ぶりで名を馳せる因州武者の上洛はきっと明石の蛸を驚かせ鵯越の再来の如く響いたことだろう。
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ここまで来れば後は下るのみなのだから気が楽というもの、走ってきた新幹線にちょいと乗り込めばもう気分は帰ったも同然というものだ。
やれやれ年明け一発目からだいぶ愉快な旅路を愉しめた。さて、今年はこれからどこに行って、何を見ていこうか。