展望デッキにかじりつく話
飛行機に乗らずとも楽しい時間を過ごせる場所、空港。
魅力的なショッピングコーナーや飲食店、その他様々な展示も見どころだし空港によっては温泉などもある。そういった施設でなくとも主要空港であれば案内板にずらりと並ぶ行き先を見るだけで心躍ることだろう。
しかし空港にしか無い魅力といえばなんといっても展望デッキ、国内外を行き来する色とりどりの旅客機や貨物機、それらを支える地上の支援車両を眺めていられる場所は何時間でも飽きさせることはない。
そんなところに一度行ったらついつい長居してしまうのが性というもので、搭乗時間ギリギリまでなんとか粘れないかと思考をフル回転させたりFlightrader24とにらめっこしながらこの便の到着まではなんとか見届けたいと必死に時間の調整を行ったり…魔性とも思える魅力がある空間なのだ。
そんな空港の展望デッキ、どういった時に訪れるだろうか。
①これから飛行機に乗る際
一番多い時はこのタイミングだろうか、これから始まる旅への期待を込めて飛行機を眺めるとなんとも気分が盛り上がる。これから搭乗する機体を見ようとすると保安検査の時間を気にしなければならないので難しいが、折返し時間に比較的余裕がある便に乗る場合はこれができることも。特に夕方以降の便の場合屋内から撮影しようとすると反射などで難しいので、遮るものがない展望デッキから撮れると嬉しいもの。
撮る時間をしっかり確保しようとすると国内線なのに出発2~3時間前に空港に着くようにして撮影を満喫、早くも心もとなくなったスマホのバッテリーを機内で充電…なんてことも。それはそれで本末転倒感が否めないような気もするが…
②飛行機から降りた際
乗った時があればその回数だけ飛行機を降りることになる。こちらは搭乗した機体もじっくり見ることができるのが最大の魅力だ。スケジュールの組み方次第では搭乗した機体が折返しで飛び立っていくところまでしっかりと見届けることができるのは到着時ならではの魅力だろう。ただし便数があまり多くない空港では空港から市街地へのアクセスバスが預け手荷物を受け取って無駄なく乗り継げる到着10~15分後のみ、次のバスは次便に合わせて3時間後…などということが多く、そのような空港では撮影を断念せざるを得ないことが多い。一方で鉄道アクセスが完備されている主要空港の場合は「飛行機の遅れに備えて」余裕を持ったスケジュールを組めばたっぷり撮影を満喫できることも。
ちなみに下のエアバスA321neoは2022年11月に能登空港にて、飛行機が遅れてバスに乗り継げず、結果撮影時間が取れたという珍しい事態。
③飛行機を見たい時
飛行機が見たいから空港に行く、それ以外に理由など必要だろうか。出発情報や到着便の掲示、そしてFlightrader24を見ながら行き来する飛行機をただ眺める。それだけで心満たされるひと時になる。時間も何もかも自分で決めれば良い、そこに選択を妨げる要素はなにもない。
最高に贅沢な方法だがそれだけに旅先でわざわざスケジュールを割いてこれを行うにはなかなか勇気が要るのだが、時間を掛けるなりのものはある。とはいえメインはやはり地元の空港となり、すなわち筆者にとっては羽田空港や成田空港ということになる。JAL,ANA中心に国内線機材を眼の前でたっぷり満喫できる点が魅力の羽田空港か、飛来する飛行機の圧倒的なバリエーションが魅力の成田空港か…どちらも1日を費やしてでも滞在する価値のある魅力的なスポットということは間違いない。
また頻繁に訪れることができる空港であれば定点観測も一つの目的になるだろう。どの会社のどの機体がいつ頃来るのか…これを集積していけばそれぞれの時代や世相も窺うことができるようになる。
なんであれ飛行機を眺めているのは得も言われぬ幸福感を得られる楽しい時間の過ごし方に違いあるまい。何気なく撮ったスナップ写真が後から見ると驚かされるような並びというのも時折あるのも面白いところだ。この空港にこの会社の、この飛行機がいたのか、それもこの機体と並んでいたなんて!!ということもあったり。
まあ、そこを意識しすぎて肩肘張るのもあまり宜しいものでもなく、来たものを素直に記録していくあたりが最も良いのだろう。成田空港でいくらでもやってくるエアバスA320がよく見てみると個性豊かで魅力的な被写体だったりするのだし。
等と言っておいて何だが、何度か訪れて顔ぶれもだいたい把握できた気になっているような空港(成田空港など)ではどうしても「大物」に目が行ってしまいがちというのもまた偽らざる本音。例えばエアバスA380が飛来したときとかは…
さてそんな筆者が特に好きな場所はどこかとなると、機種のバラエティの多さと飛行機の見やすさ、少々の地元贔屓を込みで成田空港第1ターミナルと飛行機の圧倒的な見やすさと迫力で福岡空港国内線ターミナルを推したい。
前者はアジア路線のバリエーションが最大の魅力だろう。各国のFSC,LCCそしてハイブリッドエアラインの色とりどりの機体そして貨物機が見る目を楽しませてくれる。展望デッキすぐそこにフードコートやコンビニがあり長時間のスポッティングの補給にも不自由しない。26番スポットを中心に折返しの飛行機が見やすい位置でもあり、面白い組み合わせも見られる。
後者はなんといっても迫力が凄まじい。ボーイング777やエアバスA350が目の前にプッシュバックされてきてエンジンを始動させ、そして飛び立っていく。その目覚めの唸りは他の空港ではなかなか見られるものではない。もちろん離着陸もなかなか近い場所で見られ、こちらのレパートリーも魅力的なのは間違いない。そしてこの福岡空港の国内線ターミナルは概ね展望デッキが西を向いているので夕方から夜にかけて見事な景色を期待できる。このために時間を割いてでもわざわざ訪れる価値はあるだろう。そうなると夕食はやはりラーメンになるだろうか。
色々回ってきたつもりだが、まだ満足するほど滞在できていないような空港があったり、那覇空港などそもそも展望デッキに足を踏み入れたことがまだない。今後も訪れてみたいところは色々あるが、まず足元の成田空港が少しご無沙汰気味だ。しっかり時間を取ってまた見に行きたいものだ。