ソル

暴力をなくしたくて物語る、肩書きと生涯無縁の六十三歳。硬派、ど・ストレートな長話は、堅苦しく、トシヨリくさくて、意味不明? そこんとこ実地検分してもらえれば冥途の土産。「生きあぐねている感」「ひとりぼっち感」に、こっそりさいなまれている方、必見。「未来を拓くソルの物語」連載予定。

ソル

暴力をなくしたくて物語る、肩書きと生涯無縁の六十三歳。硬派、ど・ストレートな長話は、堅苦しく、トシヨリくさくて、意味不明? そこんとこ実地検分してもらえれば冥途の土産。「生きあぐねている感」「ひとりぼっち感」に、こっそりさいなまれている方、必見。「未来を拓くソルの物語」連載予定。

最近の記事

「絶望退治に出かけよう」         第一部 精神科の光と影 第四章   ドクターショッピング――心が墜落した

――「未来を拓くソルの物語」 シリーズ第二作「絶望退治に出かけよう」第一部「精神科の光と影」―― (一)よけいなお世話  県立精神衛生センター心の相談窓口で、初対面の所長に追い払われた後。 「精神科、初体験」の国立病院では、続けて二人、ハズレくじのような医者に当たった。  でも、私はあきらめが悪い。  くだんの所長に命じられた「内科の検査」結果をたずさえて、また、センターへ車を走らせた。  封印された紹介状への返事を、のぞき見するまでもない。  問診で、前に差し出すよう言わ

    • 「絶望退治に出かけよう」      第一部 精神科の光と影 第三章   ドクターショッピング――始まり

      ――「未来を拓くソルの物語」シリーズ第二作 「絶望退治に出かけよう」第一部「精神科の光と影」―― ☆おことわり 「第一部」のタイトルを変更します。 前回まで「絶望退治に出かけよう」 今回から「精神科の光と影」 (一)始まり  やむにやまれず、県立精神衛生センター、心の相談窓口に駆け込んだ。  受付と事務所がひと続きの、イスもテーブルもそっけない場所で、私の話を聞きながらメモを取った、年上そうだが若い男性は言った。 「ドクターの面接を受けた方がいいでしょう」  案内された先、

      • 「第一部 絶望退治に出かけよう」  第二章 心が壊れた

        ――「未来を拓くソルの物語」 シリーズ第二作「絶望退治に出かけよう」―― (一)心が壊れた  今から四十余年前、二十四歳の真ん中ごろ、心が壊れた……たとえば、こんなふうに。  運転中(ガクン)小さくない衝撃に、凍りつく。  あわてて車を止め、飛び出して、道路と周辺をたしかめて、たしかめて、またたしかめて、たしかめる。  よくある、くぼみを踏んだのにすぎないが。  いくら(誰も、はねなかった、倒れていない)事実をなぞっても、ムダの上塗り。  人を轢き殺してしまったかもしれない

        • 「未来を拓くソルの物語」シリーズ       第二作「絶望退治に出かけよう」   第一部 絶望退治に出かけよう

          第一章 絶望と邂逅した!(一)邂逅――とくべつな出会い  国語辞典を引けば、「邂逅」とは「思いがけず会うこと。めぐりあい」  初めて目にしたのは、半世紀近く昔の高校三年生で、教科書のなか。  その年、現代国語の先生には「作家志望、だってさ」という噂があった。  苗字さえ忘れたのに、どんな声をしていたか、アタマに残っている。  当時は「オールドミス」――とうに死語、NGワード――に見えたが、今思うと、高めに見積もっても三十代のなりかけだ。  パッとしない同色の、えりなしジャケッ

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        • 「第一部 絶望退治に出かけよう」  第二章 心が壊れた

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          未来を拓くソルの物語「マイ責任論」

           未練、ではあるのですが。  直前の「障害者雇用、ある真実」――「緊急投稿」と「続報」をしめくくった後。  どうしても、これを話しておきたくなりました。 (一)無私の献身 助けが必要?  では……力になろう、と思ってしまう。  あなたを理解したい、と思いすぎてしまう。  思いが空回りして、少なからずジタバタする、みっともなさを。  昔々の同僚は、鼻で笑いました――「Sさんて、バカみたい」  ごもっとも……身のほど知らず、ただのバカ、にすぎないものを。  無私の献身、と決めつ

          未来を拓くソルの物語「マイ責任論」

          未来を拓くソルの物語、続報    「障害者雇用、ある真実」

          《「障害者雇用、ある真実」前回》 八月中旬、派遣で働く食品工場の所属部署に、新しく、六十五歳の男性が入りました。  私と同い年です……が、それにしても……歩き方はおぼつかなく、何かやろうとする手先も(ボタンをかける、手を洗う、エプロンをしめるだけで)ぶるぶる震えます。  出会った初日から(大丈夫なのか)疑問と不安でいっぱいになりました。 「障害者二級の手帳を持つ」とは、無責任な噂ですが。  Cさんと、私が働く洗浄室の仕事は、あきらかにミスマッチでした。  しかし会社は、重いハ

          未来を拓くソルの物語、続報    「障害者雇用、ある真実」

          未来を拓くソルの物語、緊急投稿      「障害者雇用、ある真実」

          「障害者雇用、ある真実」 九月中には、シリーズ第二作目をスタートしたい、と思っていたのに。  八月、派遣として働く食品工場の所属部署に、新人がやって来ました。 「二級の障碍者手帳を持つ」とは、あくまで噂。  それが何を意味するのか、私はさっぱりわかりません。  二十四歳から精神障害を患い、発達障害のある?子とともに生きた四十余年、誰の、どんな助けにも手が届かなかったので。  暗闇を手探りするように、「いつだって、ここがスタートライン」 「わざわい、転じて福」 「結果、オーライ

          未来を拓くソルの物語、緊急投稿      「障害者雇用、ある真実」

          未来を拓くソルの物語、臨時の一席     「ファーストペンギンさまへ」

          はじめに シリーズ第一作「万博と能登半島地震」めがけて。  いのいちばんに飛び込んで下さった、ファーストペンギンさまへ。  お礼代わりに、臨時の一席。  ソルの物語、誕生のいきさつを。 起 こんな私で、ごめんなさい(一)無条件降伏のような離婚 「人生を物語ろう」と決めたのは、三十年近く昔の三十七歳。  よりによって、我が子が高校受験に臨む、ズバリ、渦中。  夫の尋常でない恫喝、執拗なイヤガラセに精根尽き果てた私は、強いられるまま、離婚届にサインしました。  親権欄も命じら

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          再々々再出発「未来を拓くソルの物語」シリーズ第一作 万博と能登半島地震

          序章 再々々再出発のごあいさつ(一)二〇二四年、一月一日、私は、能登半島地震に、同じ石川県内で遭った。同月十五日、「能登半島地震に、思う」を投稿後。  音信を絶っていたが、筆を折ったのではない。  二〇二二年に開始した「ソルの物語」は初回シリーズが頓挫。  三度目の正直にしたかった前回のタイトルは「精神障害の母、発達障害のある?子、ともに生きて四十余年」  これを臆面もなく取り下げ、新たな「未来を拓くソルの物語」で再々々再出発する。  今まで「スキ」を贈って下さったのに期待外

          再々々再出発「未来を拓くソルの物語」シリーズ第一作 万博と能登半島地震

          未来を拓くソル、番外編の第1話        「能登半島地震に、思う」

           2024年1月1日午後4時すぎ。  能登半島地震(震源近くで震度7)にすくみ上りました。  同県内、奥能登へは車を飛ばして三時間くらいの場所にいたのですが。  津波警報を受け、すぐそこが日本海、という職場では、即刻避難の指示。  一夜明けて。  生産や作業が中途で放り出された現場はすさまじい光景でした。  四十四年前に引っ越してきた当初。 「地震が少ない、ほとんどない」と、石川県で生まれ育った夫から聞かされたのに。  十五年後に離婚したあたりから、能登で地震が頻発するよう

          未来を拓くソル、番外編の第1話        「能登半島地震に、思う」

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第7話 ミラー効果

          (一)前回は「力関係の不等式」  四十年前、大学病院精神科外来で。  すれちがっただけの小学生から、無意識に読み取った「何か」は。  結果として、私、必然的に我が子の、生死を分けることになったのです。 「人生最大の分岐点」と思い始めたのは、今から二十年ほど前。 「一瞬に秘められた救い」と思うまでには、さらに年月を要しました。  必死に命をつなぎながら、読み解いた「救い」の核心。  三つのうち、前回は「力関係の不等式」を取り上げました。 (二)ミラー効果  今回は、「ミラ

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第7話 ミラー効果

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第6話 力関係の不等式

          (一)一生にいっぺん、訪れるかどうかの救い  今からちょうど四十年前、大学病院精神科外来で。  名も知らぬ小学生とすれちがった一瞬が。  心を病み、疲れ果てた二十四歳の私に「絶対、治る」決心をさせました。 「一瞬に秘められた救い」といっても、その場は、それだけです。 ――わずか数分後の展開は、奇跡にして、人生最大の分岐点。  そう読み解くまで、ゆうに二十年はかかりました。  一生にいっぺん、訪れるかどうかの救い、だったのです。 (二)脳裏に刻まれた印象――インプレッション

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第6話 力関係の不等式

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第5話 今日を映し出す鏡

          (一)今日を映し出す鏡  初アクセスの方と、既読の方のためにも。  第1~3話のあらすじを、プラスアルファもまじえて物語ります。  トシヨリの過去自慢ではなく、今日を映し出す鏡として。 (二)せいぜい、「妄想未満」  今から四十年前、二十四歳の私は。 「二十四時間体制の監視」にビクビクしながら生きていました。  つきまとって離れない、母親、夫、舅、姑。  一挙手一投足を見張られ、ささいなミス、一瞬の手抜きも許されません。  とはいえ。  彼らが「実際そばにいる時」「本当

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第5話 今日を映し出す鏡

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第4話 ソル流、子ども――人間の取扱説明書(7/7回)   

          (二十四)「ソル流、進化の物語」  ものすごい大昔、ヒトの命はつくづく考えました、とさ。  暴力をふるったり、ふるわれたり、暴力ざんまいで、「ムダ死に」続出。  ヒトが、とことん溺れ、ふけってやまない、暴力。  地球上にあまねくはびこって、青天井にエスカレートする、暴力。  多くが「これでは、生きられない」と泣き叫んでも、わが世の春を誇る、暴力。  放っといたら、ろくなことにならないぞ。  というわけで、命が目をつけたのは。 「外界・他個体と情報をやり取りしながら生きる」ス

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第4話 ソル流、子ども――人間の取扱説明書(7/7回)   

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第4話 ソル流、子ども――人間の取扱説明書(6/7回)

          (二十)命は、こんなに!うまく!!できている ――屁理屈屋のアタシが、顔を輝かせて、いわく。 「云々、かんぬん……だから、神経質はサイコー!」 「リスク評価と対処プラン(なんちゃって)でパワーアップすれば、きっと活かせるよ、ガンバレ」――  哀れな「神経質」に、立つ瀬くらい見つけてやろうと。  ココロを砕き、アタマをひねるうち、私は。  負けず劣らずうっとうしい「理屈っぽい」を大活躍させていました。  初めに生みの親が、すぐに自分も、やっかい者扱いした性質たち。  ふたつ合

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第4話 ソル流、子ども――人間の取扱説明書(6/7回)

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第4話 ソル流、子ども――人間の取扱説明書(5/7回)

          (十五)暴力検出器  ――毎度、モノローグ。  アタシ、暴力検出器。  自分への暴力、だけじゃない。  生物以外、モノだろうと酷い目に遭ってると、針が激しく揺れる。  発信源の遠近を問わず、暴力らしくなく、ミクロサイズでも、反応する。  自然の脅威を別として、人がふるう暴力くらい、恐いものはない。  義務やチャンスに駆られるや、人は、自然に暴力をふるえる。  ゆえに人のつくる社会は、家庭から国際エリアまで、基本的に暴力装置。  暴力対策の道徳、ルール、法律なんか、カマキリの

          未来を拓くソル「精神障害の母、発達障害の?子、ともに生きて四十余年」  第4話 ソル流、子ども――人間の取扱説明書(5/7回)