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映画「怪物」・主婦の視点

映画「怪物」を見に行った。
安藤サクラが息子を心配するお母さん役で出ていたのだが、何だか自分と重なって重なって・・・。

私の子どもの頃は、お母さんから日常的に寄り添ってもらうことなんてなかった。でも愛されてることはわかったし、不満もなかった・・・かな。忘れてるだけなのか。

現代はなんでこんなにも腫れ物にさわるような、今にも壊れそうなガラスを触るみたいに、子どもを扱わなくてはいけないんだろう。いつまでも親が守らなくちゃ、という思い込みに囚われているような。
いつも精神的に張り詰めていて親子ともども疲れる。もっとおおらかな気持ちで育てられる社会だったら・・・。

「怪物」という映画、見てからどよーんとした気持ちのままだ。娘に説明したら「怖い、ミステリーだ!」と言っていた。説明してたら自分の思考が少し整理された。

親は子どもに傷ついてほしくないためにモンスターのように変わってしまう、そういう瞬間が誰しもあるのではないだろうか。その姿を怪物と言うのは違う気がするが、自分が自分ではなくなるような不安や恐怖が自分を飲み込みそうになる時。私にはあった。

そこを理性で抑え、客観的に俯瞰的に自分や家族を眺める、視野を広げて周りの人の意見に耳を傾ける・・・それが出来る人が増えたら社会も変わっていくのだろう。

自分のドロドロとした感情や怒りや不安や戸惑いは時に人を攻撃してしまう。それに気づいてない人はたくさんいる。気づいていても見ないよう蓋をしている。人間は脆く弱い生き物だ。

曖昧な溢れ落ちて消えてしまいそうな心情が、見事なストーリー展開と映像や音楽で表現された映画だった。

ちなみに不安障害の治療で森田療法というものがある。認知行動療法とは違い、不安な気持ちをありのまま受け止め、そのまま置いておくという治療法。人によるかもしれないが、この治療法は不安の気持ちを包み込むので不安が今以上に大きくならないという利点がある。不安はなくなるものではない、不安とどう上手に付き合っていくか、それが大事だと思う。


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