美禰子の失恋💔
里見美禰子は、法科出身の男性と、結ばれる。
夏目漱石『三四郎』での話。
その後の美禰子を誰かが書くと、どうなるか?
「『森の女』という、その題がよくない」東京生まれの与次郎が言う。
「あなたは、よっぽど度胸のないお方ですね」と言われた田舎者三四郎は、無意識の裡でしかその真意をつかめない。
三四郎、与次郎の想いをよそに、美禰子はあっさり結婚を決めてしまう。
他の作品で漱石は「結婚しなくても、いいんですよ」と書いていた。女性の登場人物へ向けて。
高校生のときから私は『三四郎』を何度も何度も読み返している。
美禰子…
彼女がその後、失恋したなら、面白い。《現実を知った》美禰子は、失恋する。そして、センチメンタルだけど、三四郎とやり直す。
その頃の美禰子はもう淑女ではない。不良だ。復讐と殺意に身が壊れそうなくらい。その罪悪感を彼女はニーチェの哲学で払拭する。「殺したい、殺したい」と内心で繰り返す美禰子。
そうだったら、愉快だと思う。眼差しはもう「涼しい目」ではない。「あたしは、今や、人間なんかじゃないんだ」美禰子は思い、「だけど、奴隷でもなくなった」と晴々している。
誰か、書いてくれないだろうか?
『悪い女』という題名がいい。