ヒナドレミのコーヒーブレイク 彼女が部屋にやってきた!
私は1ヶ月ほど前に、今の彼女と出会った。一目惚れだった。毎日のように今日はフレンチに、今日は映画に、そして今日はウインドショッピングにと彼女を誘った。彼女は何処へ行っても楽しそうにしていた。
そしてそれから1ヶ月ほど経ったある日、彼女は言った。「春夜(しゅんや…私)の部屋が見たい」と。私は今までに私の彼女を自分の部屋に連れてきたことが一度もない。それはもちろん、アパートの狭くて散らかった部屋を彼女に見せたくないからだ。だから今まで 理由をつけては断ってきた。そして今の彼女にも、適当な理由をつけて断ろうとしたのだが、彼女は一度だけでいいからと譲らない。仕方なく、私はOKした。
それからの私は、部屋やトイレの掃除、床に散らかった数々のモノの片付けなど、かなりの時間をかけて 大掃除並みに部屋中をキレイにした。そして、彼女が好きそうな 可愛らしい小物を買って 棚の上に並べた。テーブルの上には花を置こうと、安価ではあるが ホームセンターで花瓶を買ってきた。こうして私は、私なりの 心ばかりの演出をした。
そして 当日。近所の花屋へ行き、切り花を買ってきて 花瓶に自己流で生けた。「これでよし」久しぶりに片付いた部屋を見た私は、満足げにそう言った。
彼女がやってきた。着いて早々、彼女は言った。「春夜の部屋って随分 片付いてるんだね。キレイすぎて何だか落ち着かない」次に、テーブルの上の花を見て「この花、結構ニオイがキツイね」と言う。私は「そうか?」とだけ言った。
その後も、良かれと思ってやったことが、彼女には気に入らないのか、イチイチ文句?を言われた。裏目に出てしまったようだ。仕方ないと言えば仕方ないが、彼女に色々と誤解されているような気もして、納得がいかない。そうかと言って、言い訳するのは何となくイヤだった。(これで彼女が・・・春夜とは 合わないわね・・・などと言って オレから去っていくのなら仕方ないな)と思って、半ば諦めかけた。だが、一方で、彼女はそんな人じゃないと思ってもいた。
彼女は私のアパートに3時間ほどいて、かなり素っ気なく帰っていった。
そしてその夜、彼女からド派手なLINEが届いた。そのLINEは『今日はオジャマしました。私のために色々と気を遣ってくれて、とってもウレシカッタよ。ア・リ・ガ・ト。それなのに、私ったら素直になれなくて、ゴメン。これからもよろしく!!!』となっていた。私はそのLINEを読んで跳び上がって喜んだ。
完