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#0 ザウェイトゥーナリタ

アイルランドワーホリへ旅立つために成田へ行くのに、私はどうしてもケンティースカイライナーに乗りたかった。

アラウンド30にして初めての長期海外滞在への出発の日。予定しているフライトの時間よりはだいぶ早く着くが、下調べしてケンティースカイライナーに乗りつげる時間に家を出た。

最寄駅のエレベーターで乗り合わせた70代か80代くらいのご婦人に、大きな荷物でどこに行くのかと尋ねられて、アイルランドだと話すと、そのご婦人も旅行が好きで(ただし飛行機には乗れないそうで)、また昔から洋楽が好きで最近になって英語の勉強もし始めたそうで、彼女の降車までご一緒した。

まあなんか、旅の始まりっぽくて悪くないかもな、なんて調子乗っていたのも束の間、私を乗せた電車は定刻をやや過ぎて乗り継ぎ駅に到着した。

この「やや」がだいぶ厄介で、行く前はまあだいたい余裕っしょと思っていたが、春休みのターミナル駅、混雑したホームや構内を80L越えかつ20kg越えのでっけぇスーツケースを引きずるのは思った以上にしんどく、目の前で一本の電車を逃した。もう!!!
遅延がなければ。もう少し早く電車を降りられていれば。前の人が改札で引っ掛からなければ!!!!
このままじゃあケンティースカイライナーに乗れないかもしれない。実際1本後のに乗ったところでフライトには余裕で間に合うわけだが、そんなの幸先が悪い。

幸いにも次の電車は5分後で、日暮里でうまいこと乗り継げば間に合いそうだった。日暮里に着いた時点であと7分、でっけぇスーツケースを引きずって、エレベーターにのる。えーっと、どうやって京成の乗り継ぎ口に行くんだっけ。
意外にも乗り継ぎ改札は近く、妙に列のできているスカイライナーの券売機の前で一抹の不安を覚えたが、発車のおよそ3分くらい前にはホームにたどり着くことができた。

車体を撮影している時間などなく、とっとと乗り込んで席に着くと、さっそくケンティーがお出迎えしてくれている。

座席前のステッカーはおそらく4種類ある。9月に乗った時とは仕様が変わっていた。

なぜこの車両に乗りたかったのか。別にセクゾのファンとかではない。
昨年9月にも同路線を利用したとき、往路が思いがけずケンティースカイライナーだった。そもそもそうとは知らずにたまたま乗った電車がそうだったので、全便がこの仕様なのかと思っていたが、復路はそうではなく、大変がっかりしたので、次はケンティースカイライナーに乗りたいなと思っていたのだった。

車内アナウンスしかり、車内や外側のラッピングしかり、単なる移動手段を超えた、なんとも言えない充足感がある。前回乗った時のステッカーに書いてあったコピーは「お客様はお姫様」だったけど今回は「旅まで高速エスコート」になっていた。駅に掲出されているポスター(撮影できなかった)もフィルム風でなんか素敵な雰囲気なのだ。

もちろん特急としても速くて嬉しい。
鈍行に乗ると日暮里から成田まではえっちらおっちらやたらと時間がかかり、割と苦行だと認識していたが、スカイライナーはおおよそ40分とかそこらで成田まで着く。比べたら歴然だ。
以前はバスか鈍行で向かっていたが、一度知ってしまった蜜の味は忘れられないものだ。スカイライナーの時間の利便性に対しても、ケンティースカイライナーに対してもだ。

日暮里から成田の2タミへの旅は35分とあっという間で、お茶飲んでスマホ見ている間に着いてしまう。
終点は1タミなので降車した2タミ駅からはすぐに発車してしまい、よい角度で撮影できなかったが、降車後最寄りの外装ステッカーを撮影し、ここでケンティースカイライナーとはお別れ。

セクシーサンキュー、ケンティースカイライナー。

ありがとうケンティースカイライナー。帰国する時まで展開しててくれよな。

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Hal
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