Y's factory

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[詞]Days

庭の離れで見ていた夢を ずっと死ぬまで忘れないの 風が吹き抜け 湿度が変わる 水路を撫でて季節が進む 失くしたものは心ではなく 汚れてるのは誰の手でもない 掴める未来が今もあるなら すべてを捧げ生きるだろう 雪の木立ちが遠く広がる 何かに怯え鳥たちが発つ 無数の星が水面を渡る 昼中の空にもそれはいる 光の中で光を放つ

    • 明日

      失くして初めて気付くことが まだこの先もあるのだろう いつの間にこんなに年老いて 傷つくことを忘れられない 跳ね上げた雫の先にある 未来を今も信じている 光の粒の反射の中で 胸深く息を溜め目を閉じる 失くして初めて気付くことが まだこの先もあるのだろう いつの間にこんなに年老いて 恐れることを忘れられない 夢見ることも生きることも

      • 先週日記⑦ベイビー

        月曜 U-NEXTで「ベイビーわるきゅーれ」「ベイビーわるきゅーれ2ベイビー」。ドラマ版も見て、週末には「ナイスデイズ」を劇場で見たい。本宮泰風を初めてまともに見たが、松本明子を見る目も変わるほどだ。 火曜 急に寒くなった。折も折、ベイビーの高石あかりが朝ドラヒロインに。ひとり?まひろは?と思ったよね。 水曜 朝のニュースでハロウィンに備える新宿歌舞伎町を見て、そう言えば私、昔歌舞伎町で上田馬之助とすれ違ったことあるよ、実物は割と小柄なんだよと夫に自慢する。ふと、あれって本当

        • いちごの匂い(再掲)

          目覚めた朝の眩しい雪景色 光の中であの子が笑う 言葉は脆く人は愚かで いくつ橋を越えても道は果てない 時々涙が現れて 心を揺らしてただ過ぎて行く 流れ行く雲を見ていよう 約束よりも確かな未来 時々涙が現れて 優しい大人になりたいと言う おんなじ歌をうたいだす 今ふたりだけにわかること

        マガジン

        • 先週日記
          7本

        記事

          夏いちご

          君が思うより君は優しいから 余計な話は聞かないことさ  君が思うより君はきれいだから よくない噂は誰にもあるから もう季節の花のように 咲くだけ咲いて消えないで もう何を残しても 残された誰にも届かない 君が思うより君は出来ないから 後ろで僕が拾ってるから 君が思うより君は愚かだから ホントの自分とか探し出すから もう僕らはしょぼくれて 校舎の隅の隅にいて 何を言っても言わなくても 誰かの中に必ずいる 未来でまた逢う通りすがり

          先週日記⑥ピンと来たカフェにサッと

          月曜 U-NEXTで「オッペンハイマー」を2日がかりで見る(長い)。終わって切り替わったテレビでは「踊る大捜査線」。どの回のどのシーンから見ても本当に面白いと思う。 火曜 すっかり日が短くなった。川上未映子「ヘウ˝ン」を、集中せず目の端に捉えて途中まで読む。ざらざらとした感触が残り気持ちが落ち込む。 水曜 移動中に虹が見え、慌てて写真を撮る。少し考えて息子と娘に送信。帰って「ヘウ˝ン」の続きを読む。最後のシーンは美しく、次は集中して読もうと思ったが、その日がいつかはわからない

          先週日記⑥ピンと来たカフェにサッと

          白木蓮

          森の深さを惜しみながら  まだ見ぬ外海へ漕ぎ出した日 冷えた身体を風に晒して 入り江に点る灯を朧に見る 砂利を踏み敷く軽トラの音 野焼きの風が来る 犬と歩む 見えない明日を見つめていた 変わりゆく自分を信じたかった 森の深さを畏れながら まだ見ぬ大洋を恐れながら どの町にいてどうしていても 未来は苦くあり道は狭まる 張り詰めた額を緩く撫でる 春の光を浴び 時には潤びる

          風になれたら

          虹の彼方に帆を上げて 鏡のような水面を進む いつの間に傷ついた羽を そっと繕ってくれないか そのぬくもりを遠く離れて 上辺だけで生きたとしても 過ぎた日はすべて胸にある  緩く畳まれ風向きへ靡く 夜明けの気配に身を任せ  叶わぬままの夢を見ている なけなしでいい素顔を晒し  いつか笑ってくれないか 友よ その場所で心から

          風になれたら

          先週日記⑤美しく退屈で傷ましい

          月曜 実家から空港に近い友人宅に移動。昨日カラオケの爆音の中喋り続けて喉が圧倒的に死んでいる。死んでる喉で、昭和の港町の雑で無神経でむきだしな大人たちの思い出を語り合い、涙を流して笑う。 火曜 友人宅から空港へ。イヤホンで機内放送のクラシックを聴きながら、着陸のGを全身で受け止める、あの瞬間の高揚感、没入感がたまらなく好きだ。 水曜 久しぶりの出勤。なかなかのヒヤリハットが掲示されていて震える。同窓会でLINEを交換した同級生から、桜の下で笑う柴犬の写真が届く。こちらも負けじ

          先週日記⑤美しく退屈で傷ましい

          戻るための旅だったのか 薄い艀に危うく立って 寄る辺だけが確かに見える 雪かと空を仰いでいる 何も生まず時を重ねて 受け入れぬまま内側にいた 戻るための日々だったのか 街の明かりが少しく増えて 急に凍えるあたりの気配 下世話なものほどに美しい

          先週日記④ オリビアを聴きながら

          月曜 ちょっと凹む案件があったが娘に助けられ、最終的には相手の勘違いとわかり謝罪があった。夕方出先で土砂降り。これまた娘が車で迎えに来てくれる。色々あるけど今日のところは娘がいるから大丈夫。 火曜 山口由美子「西鉄バスジャック事件からの編み直しの物語 再生」を読む。これほど過酷な経験も、著者にとって人生の一部に過ぎない。濃厚なそれまでとそれからがある。 水曜 長年のお客様とのお別れ。お互い元気で直接感謝を伝えられるのはありがたく幸運なことと思う。今日も「推し」は掃除機を止め、

          先週日記④ オリビアを聴きながら

          先週日記③人間のいらない感情

          月曜 U-NEXTで「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」ふたりで作り上げていく新居の夢のようなかわいらしさと、その後の人生の苦さ。 火曜 ニュース原稿ではない、フリートーク的な所で男性アナウンサーが「おうち」と言っているのが耳に入り「最近言うよねー」と思う。もうこれは子供の言葉ではなく「家」の丁寧語なのだろう。 水曜 仕事で定期的に行くビルの掃除の人が好きでたまらない。小柄で年齢不詳のぽっちゃりさん。いつもちょっとオーバーアクション気味に指差し確認しながら働いている。今日

          先週日記③人間のいらない感情

          ルリカケス

          夜明けの空の 美しいミサイルの軌道 泣いて笑う その下の日々のあれこれ もう一度振り向いたら もう二度と逢えぬ気がした 小さな人  小さな人  そこで何を話しているの? もう一度振り向いたら もう一度壊してしまう 小さな人 小さな人 さっき何を笑っていたの? 小さな小さな小さな人

          ルリカケス

          先週日記②兵庫県知事会見中

          月曜 U-NEXT強化月間につき映画「スノーデン」。怖過ぎ&無知過ぎて、スマホのレンズを指で塞いだり放置する時は新聞にはさんだり(間違ってますよね) 火曜 eテレ ハートネットTV「意識障害を生き延びて、いま」を見る。交通事故で意識障害になった青年。パソコンで意思表示が出来るようになった時、誰に何を1番伝えたかったかと問われ「お母さんに謝りたかった」と答えていた。 水曜 福田和也が亡くなったと聞き、久しぶりに「悪女の美食術」を読む。「パリ、三泊十七つ星の旅」という、星つきレス

          先週日記②兵庫県知事会見中

          遠い町

          あの人は知っていたの ずっと最初から知っていた 小さく狭く生きたくて なるべく疎く生きたくて 浮かぶ何ひとつも形にせず 歌うそばから消えて行った 私には聴こえていたの きっと最初から鳴っていた 今思うすべてのことが やっと腑に落ち鎖骨を撫でる それから長い息を吐く それからあれこれと諦める

          切れ端

          自分なんか嫌いでいいんだよ 自分なんか取るに足らない でも積み上げてきたこと全部が 無駄になったと思わないで 帆に孕む風の先にある 微かな明かりを信じていよう 失う物もないと笑った こんなにも今そばにいるのに   苦い涙がずっと消えずに 掴んだ肘と擦り切れてゆく 出会った頃を思い出して  出会ったことを忘れないで 取るに足らないことばかりが 私の今を照らしてるんだよ 同じデッキに佇む人 たちまち消える街の灯り 自分なんか嫌いでいいんだよ 自分なんか誰も知らない