飲食と人生 ( 取り留めのない放言とレシピ) その14
蛸の旨さ、旨味、そして風味には、特別感が有るのは言うまでも有りません。
一流の和食店に行くと驚くほど柔らかい含め煮が出てきます。
しかし、香り、旨味が少ない気もします。
どうしたら良いか?
ここから先は、全くの我流ですので、素人のアレコレ思いつくままに試した工程と結果をお楽しみ下さい。
先ず、蛸は活ダコを使います。冷凍、解凍したものは、柔らかくなりやすいのですが、香り、旬の強い旨味が、感じにくいと思うからです。
又、大根は叩く時と柔らかく煮る為に必要です。是非、一般的な巨大な青首ではなく、味のシッカリした地元の在来種を使ってみて下さい。
下処理は、塩洗いまでは13と同じです。ここから、大根で、丁寧に皮をなるべく傷めないように叩きます。
一度、大鍋で2−3分湯がいてから、足を大き目に切ります。小さく切ってしまうと蛸そのものの味抜けが気になります。
伝統的なプロの職人は、桂剝きにした大根で、足を一本ずつ包みます。
私は、ピーラーで薄切りした大根を鍋底に敷き詰め、蛸を入れて、上部にも 覆うように掛け、
水出し昆布水、炭酸水,純米酒、味醂を100:50:20 : 5-10 位で、ヒタヒタになるよう入れてから、中火にかけ、湧いてきたら落し蓋をして、弱火で60分程度、のんびり煮ます。
圧力釜では、大根と蛸の嫌な匂いが身にこもるように思います。
その後、大根は外して、薄口醤油と再仕込み醤油で味付けしますが、イメージとしては、薄口で下味、再仕込みで味付け、濃くしないで、蛸の味を尊重しなくてはなりません。
基本、煮物は冷める時に味が、入りますから、グラッと来たら、自然冷却し、もう一度、グラッと来たら冷やして出来上がります。
食べる時に、もう一度沸かして、葛を打ちます。
本葛は高価ですが、上品に仕上がります。
本当の胡麻豆腐は、コレで作らないと伝統の真価、胡麻との相性の良さは、解らないのではないでしょうか。
九州のさつまいもから取ったスターチ(よく本葛と書いては居ますが違います。特有の甘みがあって、料理での利用範囲が広く、この料理にも良いです。)
北海道のジャガイモ-スターチは良くも悪くも個性がありません。(一般的に広く売られているものです。片栗粉と書いてありますが、当然、カタクリのスターチでは有りません。)
これらの葛粉は直ぐに火が通るように思われがちですが、艶が出るまで火を入れるとまろやかで一体感が出ます。
トロミを付けると、流れ出た蛸の旨味が、余すことなく食べれます。
個人的には時間と手間を掛ける価値のある料理だと思っています。
歯の調子の悪い方にも ( もう蛸は諦めていたのに、大好きだった蛸が食べれて嬉しい。)などと、嬉しいことを言ってもらえます。
もう一つ
蛸の刺し身の食べ方
活ダコを叩かずに下処理して、
3分位、大鍋で、強火でサッとです。表面の、雑菌、ヌメリの匂いを落とすだけで中は半生です。
なるべく薄く引いて、大皿に並べます。
自家製ポン酢や土佐酢、割り醤油も良いのですが、是非一度、
フレッシュなオリーブオイルと塩、
中口の胡麻油と塩か醤油の小皿を添えてみてください。
(岩井製油所の無量寿という、これぞ日本の胡麻油という商品が有ります。韓国風の強く焙煎したモノより、オススメです。)
オリーブオイルはワインやウイスキーの水割りにも鉄板の相性。
胡麻油は日本酒ですね。半分位、それぞれで楽しんだら、次は、ちろりで炭火焼しながらです。面倒でも是非。 口が変わります。
バーナーで炙っても良しとします。
その場合は、炎の先、燃焼しきった青い炎の部分で軽く表面だけ焼くのがポイントです。
根元近くのオレンジの炎はガスに安全の為につけられた玉葱の腐った匂いがつきます。
蛇足ながら、イカ類は煮れば、煮るほど 水分が抜けて固くなりますし、皮のイカ臭さが出ると思います。
刺し身になるくらいの新鮮なイカを、皮を外して、煮汁を先に作っておいて、最後に混ぜ合わせるように仕上げると美味いですよ。
次回は、マグロで。
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