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積み木崩し

むかーしむかし、こんな題名のドラマがあった。
可愛がっていた娘がどんどん非行の道にすすんで、最後はすこーしだけ立ち直る的な、そんなドラマ。

別居してしばらくして、コロナ禍になった。
程なく、長い長い休校生活が始まった。
娘は家で過ごすのが大好きだったので、休校中も何にも心配していなかった。

長男は、デイサービスが預かってくれていたのでお任せしていた。働く人優先に預かってくれたのには本当に感謝している。

残るは次男。友達とワイワイ外で遊ぶことが大好きな息子をどうやって室内に留めればいいのか。
世の中の保護者の殆どが、ゲームに頼ったに違いない。
Switchを、大吾に取り上げられていたので、コロナ給付金10万円でゲーミングPCを買ってしまった。

これが、積み木崩しの始まりだった。
勘当されたのも、このPCをしていたことが発端だった。

どんどんゲームの世界にのめり込んでいった。
朝方までして昼間私が仕事に行っている間は眠る。
帰った頃からまたゲームを始めて夜通しする。
何度も止めても歯止めが効かなくなった。

ゲームの世界にのめり込むと、あんなにマザコンだった息子が、「クソババア、死ね、殺す」と言って、机の叩いたり、蹴ったりして威嚇してくる。

大吾という、天敵がいなくなったからか、俺様気取り、小さい頃から、怒鳴っているなを聞いているせいか、口調まで似ている、大吾2号の誕生だ。

ゲームを一歩離れると、いつもの息子に戻る。
怒鳴ったのはゲームのせいで覚えてないという。
本当だったら麻薬みたいなものだなと恐怖さえ感じた。

休校明け、まともな生活をしていなかった事もあり、朝起きれない日々が続いた。必死に起こしてなんとか行っていたが、学校に行って帰ってきても夜中までゲームをする毎日が続き、そのうち休む日も増えていった。

だんだん、朝起こすのが難しくなっていった。
無理やり起こすと、殴りかかってきたり、飛び蹴りをしてきた。そこまでしたら普通目が覚めると思うが、ベッドに戻ると1秒もしないうちに寝てしまう。

病気??と思い病院に連れて行くと、起立性調節障害と診断された。
とりあえず、沢山水分をとって、塩分を摂取するように指導された。でも、どんどん症状は悪化して、朝は、修羅場と化すようになった。

ガラスは割れる、壁には大きな穴があく、殴られ蹴られ青あざができる。

悲しくて辛かった。でも、その度にあの、昭和の積み木崩しのドラマが浮かんだ。
いつかは終わる。そう言い聞かせながら長ーいトンネルから抜け出すのを願う生活が始まった。

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