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聖域

別居生活を始めても、長男の日曜日大吾と温泉というルーティンは、変わらなかった。
隔週日曜日大吾が、長男を迎えに来ていた。

インターフォンが鳴って大吾がモニターに映り、ドアを開くと入ってくる姿が映る。
2階なので数十秒で、玄関のドアが開く。その後躊躇することなく、ズカズカと部屋の中に入ってきて、娘の部屋を開け、次男の部屋を開けて中を確認する。
ひとしきり家の中を見渡して、長男を連れて出ていく。

最初は違和感なく受け入れていた。
1ヶ月過ぎたあたりからか、ズカズカと入ってこられることに違和感を覚えた。更に月日を経ると、嫌悪感すら覚えた。

知らず知らずのうちに間に、4人で暮らすマンションが私の聖域になっていたのだろう。
家族だったはずの大吾が、聖域を乱す人になっていった。それが、私だけでなく子供達もそう感じるようになっていた。

そして、事件は起きた。

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