我慢の限界
モラハラ夫の攻撃は、慣れていたのにも関わらず、それは、家の中の出来事として捉えていた。
それが、大勢の中で罵られると、一気に今までの我慢の限界が襲ってきた。
「お前のことは絶対許さん」と鬼の形相で、怒鳴りつける大吾と、涙を流す娘を見て、急に腹わたが煮えくりかえった。
我慢の限界が来ると、離婚しようと言う言葉も自然に出た。それに対して大吾は、「いいぜ、離婚しようや。」と言って、朝食会場を後にした。
空気を読めない長男は、部屋に戻るとプールに行くと言って聞かない。こんな状況でも、リゾートホテルのプールでニコニコ笑いながら楽しそうに泳いでいる。
それを、プールサイドで眺めていると、「パパ、どっか行った」と言ってやってきた。
レンタカーに乗って何処かに行かれた日には、ホテルで帰ってくるまで過ごさないといけない。他の2人はプールには飽き飽きしていたので、2人にはホテルの夏休みの工作教室で、シーサーの色塗りをさせた。
昼を過ぎても大吾は帰ってこない。
16時の飛行機に乗るには、14時には飛行場に向かわなければ間に合わない。それをLINEで伝えても返事も来ない。13時を過ぎた頃今、沖縄最北端にいると連絡があった。
それとは別に、「弁護士に嫁が暴力を振るったので離婚すると相談した。今後離婚のことは弁護士を通せ」というLINEもきた。
脅しかもしれないが、暴力って、と逆に冷静になった。
「離婚のことは、帰ってきちんと対応する。とりあえず台風が来ているし飛行機に間に合わないと帰れなくなります」と返信すると戻ると連絡があった。
結局戻ってきたのは14時を過ぎていた。
急いで高速に乗って空港に向かったが、夕方の渋滞にぶつかり、飛行機の出発時間が近づいていった。
遅れた時のため、他の便に空きがあるかどうかを確認しつつ間に合うことを願ったが、間に合わなかった。
空港のカウンターでチケットを買おうとすると、あいにく台風で全便満席で、3日後のチケットしか販売できませんと言われた。次の日仕事だったので、引き下がらず、空港に来る途中チケットに空きがあることを確認してきたこと、障害児がいるので、延泊は難しいということを告げると、職員同士パソコンを指さしながらヒソヒソ話だした。
結果、5席の確保ができた。
家には帰れたけれど、今後どうなるのかという不安を抱えたまま帰宅した。
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