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お互いの家族

大吾は、学生時代地方誌のモデルをしていた。
バイトは、クラブの黒服で、昔の写真は、まさにバブリーな写真ばかりだった。
そのクラブで働いていた仲間とずっと仲良くしていたが、結婚を機に少しずつ会わなくなってきたという。

世間的にもそうだが、35歳にもなれば殆ど家庭持ちになっている。家に集まってくる友達は、殆ど独身だった。飲食業、不動産、保険会社等独立開業している友達が多かった。
自由に時間も取れるため、国内外に遊びに行ったりしていた。

でも、丁度その頃偶然なのか、その中の仲のいい友達が2人突然結婚すると言いだした。1人は、結婚式はせず入籍だけ、1人は、外人と結婚したので、ハワイで挙式を挙げた。そのハワイの挙式が、すごく良かったと、嬉しそうに話していた。

2人が結婚して刺激されたのか、家族を紹介すると言いだした。まずは、妹を紹介してくれた。
妹は2人いて1人は私と同じ歳、1人は私の6歳歳下だった。2人は一緒に住んでいた。
妹2人が家に遊びに来る形で、対面した。

2人は、大吾を大ちゃんと呼んでいた。
基本2人とも人見知りなのかなと感じた。あまり積極的に、話しかけてくることはなく、どちらかと言うと、こちらが質問することの方が多かった。
大吾と違って、見た目も服装も地味だった。
3人で私の知らない昔話で盛り上がって気付けば、5.6時間いたと思う。

疲れただけで全然面白くなかった。
でも、頑張っておもてなしはしたし、悪い印象はなかったはずだ。
根本合わないは永遠に続き、後に骨肉の争いまで発展するとは、この時は思いもしなかった。

彼の母親は10年ほど前に亡くなっていた。
父親は、1人で暮らしていると言っていた。彼の実家は、元々土地を沢山持っていて資産家だったが、しかし、父親が、お酒や、ギャンプルで借金を作り財産を食い潰したらしい。
そのせいで、親戚とも疎遠になってしまった。

似たような話を聞いたが、蒸発もしてないし、借金も踏み倒した訳ではないからうちの父親よりは少しはマシかと思った。

父親との対面は、父親の行きつけの古い居酒屋だった。夫婦で営んでいる所だったので、息子と、息子の彼女の私に、興味津々だった。後に、つけ払いで借金を作っていたと判明したので、払ってもらえる相手として興味を持っていたのかもしれない。

お父さんもご機嫌だったが、大吾は浮かない顔をしていた。大吾自体も2.3年ぶりに会ったという父親は、 お酒を飲んで調子に乗った様子だった。最後まで2人の溝は埋まった様に見えなかったが、私は、将来の息子の嫁になるかもしれない子の役割を終えた。

それ以来、父親の元気な姿を見ることはなかった。

私の母親との対面は、レストランだった。
母親は、良く言えば楽観的なので、「イケメンだね」を繰り返しただけだった。簡単だ。
昭和のイケメンはこういう時使えた。









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