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小旅行②

ホテルに着くと先生が立っていた。沢山の呼び出されたであろう子達の荷物がロビーに並べられていた。何十人の保護者が犠牲者なんだろう。そう思いながら先生に話しかけた。

「ご迷惑おかけしました。でも、ここまでする必要あるんですか?」一言言わせてもらった。横で他の親も同じ様なことを言っていた。皆んな思うことは一緒と少し安心した。

少しすると息子が出てきた。怒られると思っているのか神妙な顔をしていた。先生が、「自分のしたことで親にも迷惑かけたんだからな。」と最後にまた説教をした。「ご迷惑おかけしました。」と2人でお辞儀をしてホテルを出た。

ホテルを出て開口一番学校の文句を言った。「決まり守らないことは悪いけど、旅行中は学校に全てお任せしたんだから迎えに来させるのはおかしい」と言うと、怒られると思っていた息子も一緒になって文句を言った。

「もう楽しむしかないけんどっか行こう。」と息子と小旅行することにした。
観光名所の島に行くことに決め息子と2人フェリーに乗って島に渡った。

島には足湯があって2人で景色を見ながら足湯を楽しんだ。「今頃皆んな何してるんやろうなー。最後までいたかったな。」と残念がっている息子に、「自分の甘えのせいでこうなったんだから仕方がない。」と話をした。

帰りのフェリーを待ったいたら、「あっ、もしかしたらフェリー残りの奴らと一緒になるかもしれん」と言い出した。それなら一緒のフェリーに乗ってこっそり皆んなの様子見に行こうと、探偵の様にフェリーに乗り込むバスを息子と2人で見つめた。数台目に、学校のバスが乗り込んで来た。

会わない様に、柱の影に隠れながら出航の時を待った。出航して間も無くバスから学生が降りてきた。
先生がいない事を確認して、仲の良い子数名の前に息子が顔を出した。

友達はびっくりしていたが、すぐに輪の中に入れてくれて、わずか10分ほどの時間だったと思うが、青春を楽しんでいた。

帰りの新幹線、何人かの保護者と子供と同じだった。
どうやら私は早く迎えにきた方だったようだ。

バレずにフェリーに乗ったつもりが、先生達にはバレバレだったのを後々知った。
息子との小旅行今となってはいい思い出になった。

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