スパゲッティの正しい食べ方
わたくしは若い時分から
「アレだな、俺ぁ将来偏屈なジジイにだけはなりたくねぇなぁ、うん。周りに気ィばっかし遣わせてよォ」
と思っていた。
現在のわたくしはというと偏屈な青年になっている。若い時分は、とか言っていたがまだそれなりには若いのだ。
周りに気ィばっかし遣わせている。愚かな人間である。
"偏屈なジジイ"の戴冠に向けて順当に駒を進めている。グループリーグなど余裕のトップ通過だったのだ。向かうところ敵なし、視界良好である。
何てことはない。若い時分に伊丹十三のヨーロッパ退屈日記を読み、以来スパゲッティの正しい食べ方をきっちり守っているような人間なのだ。
わたくしは若い時分から充分偏屈だったのです。