「man,G亜・Ⅳ」
芥黒助は、葵吾裸の妄想の産物には違いないが……。
彼らには想像の中、空想の世界、夢幻の在り方がある。
少しわかりやすく説明しよう。
前世、という概念がある。
それは星の運行と無限に思える科学反応の末に、科学的な″一者(はじまりの君)″からの曙光から成る、永き流れの中の、ほんの一区切りの、一コマからなる限定的な連続性に過ぎない。それが他生の前世であり、今を生きる今生ではないか? と黒助は考える。
虚数と複素数というものがある。
複素数とは、実数と虚数を組み合わせた数だ。
a+bが実数としよう。
そこにi^2=-1となる″虚数単位″を組み合わせた、
a+biが虚数だ。
実数aが0であるもの、つまりはa=0で実数がグラフの中心を通るものは、特に純虚数と呼ばれる。
″一者″が0から来るグラフすべてだとすると、一者の宇宙には″四象″、つまり四つの象限とその区切りがあることになる。
点は存在、線は歴史、そして面は世界とも表現できる。
なれば、芥黒助は空虚な存在であろうか?
″現世(うつしよ)″に限っては、そうであろう。
だが″隠り世(かくりよ)″にあっては、実であり、象(しょう)であるとも言える。
それが複素数平面上の接点。
前世らの一端。″可能性の集合″である。
「なぁ、ワレラ。いつになったら彼女の一人でも作るんだ? お前は興味に愚直すぎるよ。……少しは人を愛してはどうだ。生涯独身の覚者では箔が付かんぞ。男でありたいのなら女を愛せ。それが魅力的なら一生を添い遂げるんだ。失ってからでは、次に会えるのはいつか、わからんぞ? ″人を愛せよ、愛せよ自分を。″だ。」
たまには、レディファーストも心掛けろよ。と、芥黒助は前世の今に語りかけた。
man,G亜・Ⅳ
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