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【読書記録】竹内真『図書室のピーナッツ』【司書という仕事】

学校司書となった詩織の、2年目の図書室での物語です。
(前作からの一応続きですが、この本単体でも問題なく読めます。)
詩織は司書資格なく学校司書となった身ですが、司書としての学びを深めるため、今作から通信大学による司書資格取得挑戦や市立図書館でのレファレンスサービスを受ける様子など、前作とは違う切り口での司書の様子が書かれていて面白かったです。


司書という立場について悩み、周囲の先輩に助言をもらいながら進んでいく詩織の姿は、生き生きとして眩しいです。
たまたま、学校司書となった詩織ですが、天職と呼べるものを見つけたのではないかと思います。
運命というのはどこに転がっているか分からないとつくづく感じます。

以下、印象に残った部分を引用します。

 きっと、人が「あるかないか」を決めたがるのは、その方が楽だからだ。
 白黒はっきりした結論があれば考えずに済む。迷わずに済む。結論に従い、科学なり信仰なりの理屈を引っ張ってきて、それに見合う材料を並べていればいい。

p.13

「父は、こんな風に教えてくれたんです」山村さんはお茶を一口飲んでから声色を変えた。「――そう、今年は父さんがお前たちのサンタになった。でもお前が『サンタクロースってのは父さんのことなんだ』って思ってるなら、それは間違ってるぞ。父さんだけがサンタじゃない。昨日から今日にかけては、世界じゅうのいろんな場所でいろんな人がサンタになってるんだ」
(中略)
「昔、どこかの誰かがサンタのお話を考えた。きっと頭のいい人、偉い人だったんだろうな。その話をみんなが面白がった。そして世界じゅうの子供たちには、年にいっぺんサンタに願い事をするって楽しみができたんだ。大人たちが本当のことを秘密にしてるのは、子供のそんな楽しみを守るためなんだ。亮一郎もお兄ちゃんなんだから、友二郎から、サンタを信じて願い事をする楽しみをとっちゃダメだぞ」
(中略)
「それ以来、僕は、サンタを信じてるんです。というか、サンタの実在を信じたってのとは違うけど、サンタの秘密を守るってことの大切さを理解するようになった。サンタはいるかいないか、誰なのかって答えを見つけることじゃなくて、いるってことにする想像力の楽しさを知ったんです。今にして思えば、父は僕に、架空の存在が持ってる力ってものを教えてくれたんですね」

p.54~55

「しかし、公共図書館と生徒たちを繋いだのは高良さんの功績ですよ」校長先生が持ち上げてくれた。「図書室の司書さんの役割は、生徒たちと本とを繋ぐことですから。そもそも教師だって、知識や学問と生徒の間をとりもつ仕事ですからね」

p.125

「そう、手品というのは、期待や願望から始まるところがあるんです」校長先生はおしぼりに手を伸ばした。「私が高良さんに期待したように――たとえば、このおしぼりから花束が出てきたらいいなと思う。手品師は、その願望を叶えるにはどうしたらいいかと考え、様々なトリックを駆使するわけです」

p.128


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