画像1

第35回_マーク・トウェイン「ハックルベリー_フィンの冒険」_感想_2024.10.3

片倉洸一の耽楽的音声記録
00:00 | 00:00
ようやく涼しさが感じられてきた日々の合間にまた一作品読み終わったので感想を即興で述べる。ただし、想像以上にテーマが定まりがたい作品だったのでグダグダに。これも冒頭にある「警告」のためだと思います。

警告
この物語に主題を見出さんとする者は告訴さるべし。そこに教訓を見出さんとする者は追放さるべし。そこに筋書を見出さんとする者は射殺さるべし。
著者の命によりて
兵器部長G・G

1:作品概観
・「おなじみ」?トム・ソーヤの冒険―かといって情報は断片的
・「トム・ソーヤの冒険」になくて「ハックルベリー・フィンの冒険」にあるものとは―岩波文庫化される意義とは
・やたらメディアミックス展開が著しい「トム・ソーヤの冒険」―片倉の本格的な需要は神奈川での大学生時代のTVKの世界名作劇場の一斉放送にて。アニメ版の思い出

2:内容や時代背景に関して
・その後日談の「ハックルベリー・フィンの冒険」―ハッピーエンドの後日談は未解決の問題(ハックの親父)が火種に新たな問題を呼ぶ
・死を装って親父から逃げ出すハック、同時期に家から逃げ出した逃亡奴隷のジム…
・1830年代に中西部で生まれたトウェインが4,50代になって東海岸から振り返った作品世界
・南北戦争(1861~1865)以前のアメリカ南部の価値観―奴隷を逃亡させる事は他人の物を盗む事=重罪という意識。Nワード満載の南部の価値観
・あちこちから感じる「ドン・キホーテ」の影響―唐突に出現して物語を過激化させる詐欺師二人組から公爵夫妻を感じたり。
・大きく評価を分ける後半におけるトム・ソーヤの出現。
・片倉の印象深い点―トム・ソーヤの偏執ぶり。何をやるにも「本式」に従い、事を大袈裟に難しくしなければ気が済まない偏執性。
・トム・ソーヤとドン・キホーテ(アロンソ・キハーダ)の共通点―退屈のために自ら冒険を作り出そうとする。対してハックは普通に生きているだけでも冒険的な出来事に巻き込まれる身分。
・トム・ソーヤは19世紀版ドン・キホーテとも言えるが、かの遍歴の騎士の物語を越えてるとは言い難い。しかし、19世紀アメリカ中西部の雰囲気、多くの西部劇が題材にしている神話的なアメリカの時代と空間を感じられる。

・エドガーアランポーについても少し言及―トウェインが生まれて10年後くらいで死去。南北戦争前のアメリカでよく早くあんなものを書けたという印象。

いいなと思ったら応援しよう!