見出し画像

闇バイトは社会保障の問題なのでは

 闇バイトと言うけれど、単に犯罪なのだ。
 食い詰めて犯罪に手を出すなんて、本当ならあり得ない。生活保護を受けられればその必要は無いのだから。

 しかし、日本で生活保護を受けるのはハードルがすごく高い。予算の削減のためだろうけれど、犯罪者を増やすのとどちらがコストがかかるのだろう。

 しかも、犯罪者になってしまったら、一度ではすまないかもしれないのだ。服役した事実がその後の社会復帰を難しくする。住む場所を得られず、職にも就けない、公的援助も受けられない、となれば選択肢は限られている。再犯か、死か。この場合、前者を選択することを責められるだろうか。犯罪を肯定するものではない。しかし、自力ではどうにもならないのも想像に難くない。

 罪など犯さず生きるのが最も楽な道であるはずなのに、そこから外れてしまう人には、何かしら阻害要因があると考えていいだろう。本来なら、その阻害要因に対処するための援助を必要としている人だ。

 人間は、発育環境の影響が大きい生き物で、それが故に個人差が大きい
。社会に適応できる範囲に収まらないことだってある。それは、本人や養育者のせいではない。やってみなければ分からないのだから。「適正範囲」におさまらなかった場合は、基準を決めた社会の側が手助けや援助をする必要があるのではないだろうか。そのための生活保護制度なのではないのだろうか。お金だけでなく、金銭的に困窮する原因を取り除く事もセットで援助する制度にするのが健全な方法では。金銭的援助に加えて困窮の原因を取り除くためにある程度の干渉を受けるとなれば、不正受給もできない。

 コストはかかる。人手が必要だ。だが、前科者を増やすよりは社会全体で見れば安上がりであるはずだ。

 生活のためではなく、遊ぶ金欲しさに高額報酬の求人を探す人もいるのかもしれない。これも、ちょっと考える手助けがあれば違う見方ができるはずだ。
 例えば、年収1000万円(高所得者と見なせる)でも1日あたりの収入を計算すると大体4万円ちょいだ。アルバイトでそれ以上なんて一体何の対価なのか。「遊ぶ金」のために差し出して釣り合うものであるはずがない。
 それ以前に、「誰でもできる簡単なお仕事」で、年収1000万円の人(=平均以上の能力と実績を持つ人)の1日分を上回る利益が出ることはない。となれば当然、アルバイト料などはじめから支払うつもりはないということだ。

 食い詰めた場合でも、遊ぶ金欲しさでも、少しの手助けがあれば犯罪に手を出すことを回避できる可能性が高まる。少しでも多くの人に踏みとどまる機会があって欲しいと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?