【お題小説】ありがちなおはなし
おじさんとおばさんは、とてもわるいひとでした。
でもわるいことをつづけることはできないものです。
おじさんとおばさんはたいじされました。
せいぎはかつのです。
めでたしめでたし。
昔話でもなんでも、物語によくあるパターンだ。
おばあさんを食べた上女の子をだまそうとおばあさんに化けてみたり、欲をかいて大きなつづらを選んだり、約束を破って柿を独り占めなんてしたら、最後にはこらしめられて死ぬしかない。
誰だって、悪が滅ぶのを望んでいる。
でも、「わるいひと」と「いいひと」の境界って、どこにある?
ぼくは、ごみをポイ捨てするのが悪いことだと知っている。
でも、どうやって捨てるのが正しいことなのかは知らない。どんな袋に入れて、どこに出せばいいのか聞いたことがない。
ぼくは、お店や他人の物を、盗むことが悪いことだと知っている。
でも、どうしても欲しいものがあるのにお金がないとき、どうしたらいいのかわからない。
ぼくは、誰かを殴ることが悪いことだと知っている。
でも、馬鹿にされたとカッとなったとき、拳を振り上げる以外の発散方法を知らない。
お父さんとお母さんは、逮捕された。
そんな両親に育てられたぼくを、誰も拾ってはくれない。
誰もぼくに、正しいことを教えてはくれない。
ぼくは、「いいひと」になれないのかな。
ぼくは、滅びるのが「正しい」ことなのかな。
正義はぼくを退治する?
お題はお題配布サイト「腹を空かせた夢喰い」様からお借りしています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?