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読書録「田村はまだか」2011/2023

朝倉かすみ「田村はまだか」(光文社)

久しぶりに小説らしい小説を読んだ気分である。
読後、後味の良い内容にしばし温かな気持ちになれた。

全6話で構成されているのだが、表題作の「田村はまだか」は本書のプロローグ的な役割を担っている。

小学校のクラス会の三次会で一人、未だに到着をしていない「田村」を待つ5人の同級生。各々の年齢は満40歳となり世間ずれした中年たちである。

彼らが思い出話に花を咲かせる時、地味な存在であったが独特な印象を残した田村は必ず登場してくる。彼らの話しぶりから田村像が浮かび上がり、田村本人が語る以上の出来事を伝えてくれる。

そのような本書では5人の同級生が歩んできた田村不在の人生模様が回想形式で描かれていた。今回、一番心に響いた台詞は

・・・・・一生懸命やったほうがいいよ。
どんな小さいことでもさ。
一生懸命って普段からやっていないと、さあやろうと思ったときにできないからさ。(p72)

第二話「パンダ全速力」の主人公池内が上司の二瓶に諭されたシーンでの一言。

現在、自堕落というほどでもないが、手を抜いた生活を送っている夏休み※であることは認める。「今日できることは、今日やる」をモットーとしていたが「今日できることは明日もできる」に変わって重い腰を上げようとはしない。英語の学習をさぼっているな。

「目的」がない学習をするくらいなら小説を読んだ方が有意義に過ごせるという考えはどこから生まれたのか。

理不尽な経済システムを是正したくて経済学を学ぶのではないのか。研究者なみに知識を増やすためには英語論文は避けられないぞ!

※本記事は2011/9/7に書いたオリジナルを一部修正したものである。

今日も皆様にとって良い1日でありますように。


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竹内康司
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