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ひろく学ぶ

大学で教職についていた時、私は巣立っていく教え子たちに、このような話をしては広く学ぶことの意義を話すことにしていた。自分が進もうとしている道には関係なさそうに見える学問、否、もっと極端に、逆の方向の学問を一生懸命勉強することを勧めることにしていた。自分のやりたい学問と距離のある学問であればあるほど、後になって創造的な仕事をする上で重要な意味をもってくるからである。
(中略)
若い人たちへのこのような私の注文は、あるいは酷かもしれない、とも思う。何といっても、今の学生たちは、私たちの学生時代とくらべて、勉強しなければならないことの量が多すぎる。収集しなければならない情報量が格段に増えている。それを思えば、こんな理想論に対して、無駄なことを勉強している暇はないといった反論が返ってきても、しかたがないかもしれない。が、それを承知の上で、私は強調したいのだ。創造をめざすには、せまい勉強はためにならない。努めて広く学ぶことが大切である、と。
福井謙一「学問の創造」p87-88

無駄なことは極力取り除き自分の専門分野だけに集中したいと考える学生に対し、福井先生の言葉は逆説的に映るかもしれない。
しかしながら自分の思い通りに学ぶことができない時、フラストレーションを抱えるのではなく、「創造のために広く学習している」ととらえ直すと少しは葛藤も軽減するだろう。

今日も皆様にとって良い一日になりますように。

遠回りや傍流を楽しもう。

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竹内康司
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